ヘタレ「外務省」(1) | 子や孫世代の幸せを願って

子や孫世代の幸せを願って

次世代の幸せを願って、日本の社会、経済について考えます。

ヘタレ「外務省」(1) 

 

 

このブログで私は、これまでさんざん財務省の批判を行ってきました。それは、日本再生を阻む首魁であるからです。子や孫の幸せを願う以上、なんとかこの省には、自身のしている行為が、国益を損なう間違いだと気づき、反省していただきたいと願うからです。

それが叶わなくても、経済や財政を正しく理解している政治家に、財務省を正してほしいからです。

 

もっとも、省庁のなかで財務省だけが日本の国益を損なっているかというとそうではありません。他の省庁もいろいろありますが、わたしが双璧だと思っているのが「外務省」です。

 

財務省は「罪」務省、外務省は「害」務省。両者とも国益を損なうことについては甲乙つけがたいところがあります。

 

しかし、同じように国益を損なうにしても、この二つの省はその性格、遣り口が真反対です。

 

財務省は「痛い積極派」。自身の主義・主張を貫くためには、学者やマスコミはもとより、国際機関まで巻き込んで、プロパガンダさせる。平気で嘘を吐き、逆らう相手は恫喝するなんでもありです。まんま支那気質です。

 

外務省は、国際間の重要事案に際し、正論であっても主張せず、その場しのぎを繰り返し、ややこしいことは頬被り…。常に「逃げ腰」「その場凌ぎ」「事なかれ」で保身を図り、国益ではなく省益を守り抜く役所です。あるべき日本の外交を問わず「(どうなろうと)政府、大臣の御意思」。まことに官僚の鑑です。

 

このことは、最近出版された、ある暴露本により裏付けられました。外務省は期待を裏切らない無責任官庁だったようです。

 

日本の元外交官。外務省経済局長、駐オーストラリア特命全権大使と歴任された山上 信吾氏(2023年12月退官)が著された「日本外交の劣化―再生への道」(文藝春秋)で、はっきり語ってらっしゃいます。

 

外務省の実態は、なにかにつけ「腰が引け」「事なかれ」「内向き」「無責任」。それがおかげで「規律が弛緩」し、「士気が低下」。組織や外務官僚個々人の「劣化」この上なしと。

 

この著作で、様々な事例とその内幕を生々しく語っておられるのですが、いちいちにつき、あまりの残念さに眩暈がしそうでした。(ご興味のある方は、ぜひご一読ください)

 

この本で取り上げられている「福島原発の処理水放出」に対する中国の「日本の水産物前面禁輸」。その嫌がらせに対して、国内からWTO提訴の声が上がったが、それを「WTOに持ち込んでも負けるかもしれない。」と戦闘ポーズすらとらず抑えに回ったのが外務省

 

これに対し山上氏は、「負けるかもしれないから何もしない。」のでは外務省に対する国民の期待を裏切ることになる。WTO提訴にかかるリスクを説明しつつも、尽力する姿勢が必要。

「敗北主義」は、「危険と責任の回避。突き詰めれば保身。」と断じておられます。

 

これと同様の構図が23年7月に尖閣沖で発見された中国ブイ問題です。

日本の「撤去要請」など通じるはずもないのに、これを繰り返すばかりで自ら撤去、回収に踏み込まない。

 

24年3月、とうとう国会で野党議員により「ブイを撤去するかどうか明確にしないと国益は守れない。事実上放置する判断をしているとしかみえない。」と突っ込まれました。

しかし上川洋子外相は、一切まともに応えず「有効な対応を適切に実施していく」と常套句を繰り返すだけ。そして現在も放置されたまま。まさに腰の引けた「様子見外交」です。

 

日本政府は、「我が国の排他的経済水域(EEZ)で同意なく構築物を設置することは、国連海洋法条約(UNCLOS)上の規定に反する」(松野博一官房長官、当時)と発しました。

 

しかし撤去に関しては、「(国際法上の)明確な規定、実績がない」(上川陽子外相)、「法的グレーゾーン」(外務省幹部)と怖気づいているのです。海洋法に詳しい専門家に言わせれば「法的に撤去は可能」としているのですけどね。

 

そして放置を続けた結果、逆に中国外務省から「設置の正当化」(24/7/5)を主張される始末。彼らは「嘘も百回言えば真実となる」宣伝戦(プロパガンダ)の常習犯です。

これは世界の常識。外交での見て見ぬふりは百害あって一利なし。

 

明かな国際法違反とは言えない、ましてや法の適用に一定の正当性があるのであれば、実力行使に出るべきでしょう。中国の覇権主義により害されている他国は、日本より小国であっても皆立ち向かっています。

外務省が、小さなリスクにビビり、戦いを放棄する。ありえない100%の勝ち、「安全パイ(責任回避)」に拘る限り、日本は国益を損ない続けます

 

次回に続きます。