失われた30年をもたらした失政の結果(6)
地方の衰退と縁の下の力持ちの消失
①地方の衰退と東京一極集中
「小泉純一郎内閣」の「三位一体の改革」で国に財源を吸い上げられ、さらに地方交付税交付金を減らされ、公共投資削減(公共投資に頼る地方が多かった)もあり景気低迷で税収が上がらない、そのような政府の「財政健全化」による矢継ぎ早の不幸が地方財政を襲いました。
政府が追い込んだ地方財政の悪化にもかかわらず、その悪化を理由に地方債発行も規制を受けて、地方は縮まる以外やりようがなくなったのです。
公共投資を減らし、職員を減らし(派遣・パートに切り替え)とやっても追いつかない。
中央は、もっぱら「合理化努力が足りないんじゃないか」との批判ばかり。
行政予算の削減やそれによるサービス供給力の低下は、そのまま地域の荒廃につながります。
自然災害などによる危機時にも十分な役割が果たせません。地方は追い詰められました。
そんなもがく地方を嘲笑うように設けられたのが「ふるさと納税」です。「税が足らなきゃ他所から奪ってこい」というのです。亡国ならぬ亡地方の競争政策極まれりです。
こうした背景で経済的な地域格差が広がり、特に首都圏との格差がより拡大し、若者が流出。
高齢化、過疎化が進み、それによる後継者不足、労働力不足が深刻化、さらに経済低迷、格差が拡大するという悪循環が続いています。
若者は、仕事もあり、賃金も高い東京を目指します。
そして公共投資。減らされたなかにあっても南関東圏には集中するという実態があります。
相対的に寂れる一方の地方に投資を回しても財政上効率的ではないとの判断なのでしょう。
結果的に東京一極集中となり、現在でもなおこれが続いています。「財政健全化」と「効率(競争)至上主義」が地方格差を生み、東京一極集中を生んだのです。
②縁の下の力持ち(中小企業、農家)の消失
長引くデフレや競争原理主義の過酷さは、当然ながら経済弱者に集中し、その退場を促します。例えば中小企業や農家です。
主には「儲からない」、「仕事がキツイ」、それゆえに「後継ぎがいない」、「苦労させたくない」、そして本人も「高齢になった」という理由で廃業、離農が進んでいます。
地方の衰退、都会への若者の流出がそれに拍車をかけています。
中小企業や農家の消失によって失われる経験豊かな「人材」と蓄積された「技術、技能」そして再生が困難な「農地」。これまでの日本の経済成長と食料安全保障を支えた大きな力が失われつつあるのです。ここにおいても統計だけでは捉え切れない危機が進行しているのです。