私たちが慣れ親しんだものとまたお別れをした。
妹と私のための雛人形たちだ。物心ついてから毎年見ていた。幼い頃は華やかな衣装を着た段飾りに憧れて、「どうしてうちのはこんなにコロコロしたお雛様なんだろう」ってちょっぴり不満だった。
でも可愛いお人形たちとお花、そして母手作りのちらし寿司と家族4人で過ごす3月3日はやっぱり特別な日だった。
私たちが成人し、社会人になっても母は毎年飾り続けてくれていた。2階の和室にひっそりと飾られた雛人形に大人の私は心癒されたものだ。そしてその頃初めて木目込み人形の良さに気づいたものだ。
母が倒れてからは雛人形を飾る余裕などなく、ずっと納戸に置いたままだった。
もう飾る人も飾る場所もなくなった雛人形たちに別れを告げることにした。
近くの神社でお人形供養をしてくださると言うので、梅雨空の下、妹と納めに行った。
今までありがとう。ずっと飾ってあげられなくてごめんね。

