Delizioso 10 | copain (Ameba出張所)

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強火智担で根っからの腐女子のあややがひっそりまったりと某気象グループの長男×四男の【J禁P禁】を取り扱っている駄文サイトです。
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某気象グループの長男×四男の
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◇18歳以下
◆J禁、P禁ってなに?
◇BLってなに?
◆ONは受け入れられない!
って方はご遠慮下さい。

◆side智  は な ︰11:26up
◆side和 あやや︰18:17up

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1つ前のお話

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和10


大野さんが演奏するベートーヴェン交響曲第6番『田園』第五楽章。

最初の音から、心地よく包み込むような優しい響きが広がり、美しい旋律が心にしみこむ。
言葉では表現しきれない深い感情が心を揺さぶる。


「どうでしたか?」
「…」
「二宮さん?」
「…あ」

いつの間にか演奏は終わっていた。
大野さんが心配そうにオレの顔を覗き込む。

「涙…」
「…え?」

言われて慌てて頬に手をあてると、たしかにそこは涙で濡れていて。

「あれ、なんでだろ…」

恥ずかしくてゴシゴシと手で拭った。

なんでだろ、なんて言ってしまったけれど、確信出来た。

友人に誘われて出かけたあのコンサート。
あの日も泣きそうになった。

あの時は理由がわからなかった。
でも今はわかる。

大野さんの奏でる音色がオレの心に直接響くからなんだ。

心の琴線に触れることができるのがチェロだ、って大野さんは言っていたけれど、オレの心の琴線に触れるのは、大野さんの音だけなんだ。

でも。
それだけじゃない。
知れば知るほど、大野さんのことが好きになる。
まだ出会ったばかりだけど。
そんなこと関係ない。
二人で過ごす時間は穏やかで優しくて愛おしくて。
オレの気持ちは真っ直ぐ大野さんに向かっている。

少し前からなんとなく自覚はしていた。
大野さんのことが好きなんだ、って。
だから着ていく服に迷ったり、触れ合う身体や手にドキドキしていた。

ううん、そんな可愛い「恋」じゃない。
もっと、なんというか、強烈に焦がれる。

このチェロの音も含めて、
オレは大野さんの全てが愛おしくて、大野さんが欲しいんだ。


オレは生まれてこの方、女の子に興味…
特に性的な興味がさっぱりわかなかった。

親から彼女が出来たのか、と言われるのも煩わしくて進学を機に独り暮らしを始めたが
その後もオレの性 的 嗜好?は変わらず。
AVにも全く興味を持てなかった。

それは他人に興味が無いからだと思っていた。

が、違っていたらしい。

なんだ…
そうか…
オレは男を好きになる男だったのか。

そして…
大野さんをそういう対象としてみているんだ。

そう、思ったらなんだかすごく落ち込んだ。

屈託なく笑う大野さんを、そういう想いで見ている罪悪感。

オレの気持ちがバレたら?
チェロのことを好きだと思っているから、こんなに良くしてくれているのに。
オレが邪な想いでここに通っていることがバレたら??

大野さんのことだから罵ったりはしないだろう、きっと。

きっと、大野さんなりのマイノリティに対する理解を示し、
そして…振られる。

振られるだけじゃない。

今のこの関係さえも失ってしまうのだ…!


「あ、の…。
 ありがとうございました。
 用事を思い出したので失礼します!」

オレは驚く大野さんに一礼をして、慌てて大野さんの家を飛び出した。



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次話→


です。

>゜))彡
ヒデ坊くんの日曜日のドラマ、さよならマエストロでも、ベートーヴェン先生の交響曲第6番「田園」が使われましたよね。なんか、このお話を書いたあとにオンエア観て田園が使われて、予知夢みたいな不思議な感じがしましたー。
アパッシオナート、も、タイトル候補に出ていた音楽用語なので、そこらへんも「おお!!」って思ったり。
あ、ちなみに、ベートーヴェン先生の交響曲第6番「田園」の第4楽章は「嵐」と言います。ティンパニは第4楽章しか出番が無くて残念ですが、印象的です♪