せっかくあるのだから、美しい言葉も、下卑た言葉も、使えるに越したことはない。

フランス語だろうと英語だろうと。

とりあえず、日本人なら日本語を駆使できたらいいね。

どこかの新聞記者さんみたいに、しつこく追いかけたら変なこと言われた!なんて

言いふらさずに自分の言葉で何倍もの罵倒ができるぐらいに鍛錬なさいませ。

また、すぐに尻馬に乗って「いーけないんだ、いけないんだあ」と騒ぐ情けない男たち!

だめだ、こりゃ!!

 

 

            江の島夕景

 

橋のうえから

墨色のシルエットになった富士を見ている

いちにちの遊びのあとの

欄干にもたれて

おなじように夕富士に魅入っている人たち

残照の名残で

いちめん紗をかけたような薄紅の世界だ

 

島影を溶かして昏れてゆく海

 

いちにち二往復 今日の終バスが島に向かう

眩しすぎるヘッドライトの寂しさ

 

白髪にベレー帽のひとを

すれちがうとき盗み見て

マフラーのぶんだけ猫背になっている

その肩の辺りに 面影を重ねている

触れるとまだ骨に沁みて痛む傷がある

きょうで一年が過ぎた

 

さりげなく距離をたもって

そら似のひとの そのへりの辺りに

触れているだけで

それだけでいい かりそめの思慕

 

江の島は貝を焼く匂い

野良猫と赤い椿の島

そこここにうづくまる猫の飢えを

見過ごして歩いてきた

小魚一匹も持ち合わせない

やくたいもない通行人で