昨日、通勤の帰り道 一匹のホタルが 揺れる1本の細い草に
必至につかまっているかのように 私の目に映った…
おそらく もう寿命のときを 迎えているのだろうか?
発する光も どことなく 弱々しく 一瞬見えなくなるときも…
自転車を止めて じっと見つめていたら
子どものころ
「ホーッ ホー ホタル来い こっちの水は甘いぞ」と叫びながら
土手を走り ホタルの光を目指して何度も何度も繰り返していたことが
頭をよぎった…
「どうして、こっちの水は甘いんかねえ?」と父に聞いたら
「砂糖のような甘い水のことじゃあないんで、
農薬とかで汚れていない水のことじゃけんのう…」と教えてくれた。
そのときは、
「へ~え、そうなんじゃ?」と、半信半疑だったが、疑うこともなかった。
私が家庭をもち、父親になり、東京からUターンすることとなり
30年前と変わらない地域の自然を目のあたりにしたとき
子どもたちに あのホタルの光を どうしても見せてやりたくて
丁度この時季、四人を連れて家の外に飛び出した時のこと
私の口から、あの「ホーホー ホタル来い こっちの水は甘いぞ」との
一節が飛び出した。
子どもたちから「どうして甘いの?」と、
私が子どものときに父にした同じ質問をされた。
その場は、父に教えてもらったことを そのまま子どもに伝えたが
やはり確信はなかったので、インターネットで調べてみると
その通りのことが書いてあった。
「へ~え、やっぱり、そうだったんだ…」とつぶやきながら
あのときの父との光景が 再びよみがえってきた。
昔の人は、いろんなことを口から口へ伝えていったのだろう、
親から子どもへと。
現代は、便利すぎて、人に聞くことを避け
便利なものについつい頼ってしまう。
そこには、情緒もなければ 生きた空気も発生しない…
今、感じるのは、子どもたちとの こうしたやりとりが
心を和ませてくれる思い出となっている…
四人の子どもたちは、もう大人の仲間入りの年齢になったが、
昨夜は
子どもたちが親になったとき、同じような体験をしてほしい、
と願う 帰り道となった…
「ホーッ ホー ホタル来い こっちの水は甘いぞ!」
「ホーッ ホー ホタル来い!」と、
私は暗闇のなかを、こう叫びながら走っていた、
そんな自分を苦笑しながら…
