ペコリーナのブログ

 映画「爆弾」を観てきました。


 器物破損と暴行で現行犯逮捕された男が、予言と称して秋葉原で爆弾による爆破事件が起こると言う。


 そしてそれは、男が言った時刻に本当に起こってしまった!

 この先も爆発は起こる、と「予言」をする男の正体は皆目つかめず、取り調べ室で対峙する刑事たち、現場で捜査をする刑事たちもまた、男の操る巧みな言葉に翻弄されいく……


 みたいなお話。


 逮捕された男を演じる佐藤二朗さん目当てで観に行ったのですが、期待以上の怪物っぷりに終始度肝を抜かれっぱなしでした。


 佐藤二朗さんは、当然、取り調べ室での刑事との対話が主なシーンなのですが、映画自体は彼の言葉をヒントに他の爆破場所を予想したり、彼の出自を調べるために街を奔走する警察官たちで物語が進められます。


 彼らそれぞれの立場や背景、過去が少しずつ明かされて行くとともに、連続爆破事件の真実にも近づいていき……。


 てな具合で、刑事役の染谷将太さん、山田裕貴さん、渡部篤郎さん、寛一郎さん、

 お巡りさん役の伊藤沙莉さん、坂東龍汰さん。


 全員、めちゃくちゃ凄かったです。


 染谷将太さんのちょっと脱力した感じ、

 同じく醒めた空気感でありながら聡明さを隠さない山田裕貴さん、

 熟練の落ち着きから徐々に冷静さを失っていく渡部篤郎さん、

 出世欲が強いあまり、佐藤二朗さんに取り込まれていく寛一郎さん、

 

 緊張感いっぱいの取り調べ室に比べて、まだ状況を把握しきれていないときの伊藤沙莉さんと坂東龍汰さん二人のユーモアすらあるやり取りと、やがて重要な環境に踏み込んでしまう恐怖感。


 この人たちでなきゃダメだ……、と思わされる圧倒的な存在感が全員にあって、リアリティの深みがさらに増した映像になっていると感じました。


 なかでもやっぱり、佐藤二朗さんは最高でした。

 気弱、お調子者、卑屈、そんな性格をかいま見せる男が、やがて聞いている側の理解が追いつかないくらいの饒舌さで、憎しみや恐怖につながる言葉を次々と吐き出します。

 一方で、被害者の安否を心配したり、かと思えば刑事たちの弱い部分を見抜いて嘲笑ったり、誰がどうなってもどうでもいいじゃないですかと微笑んだりすらします。


 表情や発言そのものがくるくる変わる上、喋るテンポや言葉の区切り方が独特で奇妙なのに、聞く者にはグサグサと響いてくる話し方は、怖いのにもっと聞いていたくなる不思議な魅力がありました。


 じわりとした恐怖を残して終わる物語のエンディングは、宮本浩次さんの、むちゃくちゃカッコイイ楽曲。


 はあ、凄かったな……

 物語も凄かったし、俳優陣の演技のぶつけ合いも凄かった……。


 そんな映画でした。


 ラストに感じたじわりとした恐怖が気になって、ズルして映画ライター?のネタバレ記事を読みましたところ、

 なるほどそっかー

 と思ったし、原作小説との違いから、それぞれ物語の重点的な表現、演出が解説されていたので、未読の原作小説にも興味が湧きました。


 今年は全然映画を観ていなくて、1日に2本観たり、あえて知らない映画館に出向いてみたりと活動的に映画を観ていた去年の半分も映画館に行っていません。


 とうとう映画にも興味を無くしてしまったか……


 と、そんな自分にがっかりしていましたが、

 どうやら去年末から精神的な疲弊がひどく、それが環境の変化によって徐々に回復され、


 よしっ!

 映画行こっ!


 てな気分が回復しつつあるようです。

 両親が「話題だし興味もあったから観に行ったらやっぱり面白かった」と言っていた「国宝」も、

 義兄が「もっかい観てもいいくらい良かった」と言っていた「ワン・バトル・アフター・アナザー」も、

 話を聞いて羨ましくなって観に行ったし!


 あと、回復するまでの精神的な疲弊を癒してくれたのは、昔から好きだった「お笑い」。

 毎年M-1グランプリをワクワクしながら観ていたし、テレビで放送される漫才の特番なんかも楽しんでいたし、たま〜に劇場にも行っていたけど、今年は今までそんなに利用していなかったTVerやYouTubeで、好きになった漫才師の漫才を積極的に観るようになりました。

 (YouTubeに関しては、公式があげている正式なやつのみ)


 疲弊していることに自覚がなかった渦中のときは特に気にしていなかったけれど、

 観たい映画を探したり、見つけて映画館に行く予定を立てたりする気力すらないとき、せめて家で、テレビやネットで好きな漫才師のネタを何回も何回も観て何度も何度も笑っていられたから自分を保っていられたし、少しずつ回復していけているのかなぁ。

 と思いました。


 漫才と映画に感謝!

 てなことで、これまた久しぶりのバーミヤン!

 の、チャーハンと唐揚げ!
 美味しかったあ〜。

 先日公開された、映画「近畿地方のある場所について」 の試写会に、少しまえに行ってきました!


 職場の関係者の方からご招待いただいての試写会なので、友人でもある同僚と、やはり同じ立場の方々の十数名? くらいでの鑑賞でした。


 知り合いであるオカルト雑誌の記者が、近畿地方のある場所について調べていたら行方不明になってしまった。

 誰か、情報をお持ちではないですか。


 という、フリーライターの呼びかけから物語は始まります。


 そもそもは、その雑誌の記事をコツコツと書き進めていた男性編集長が忽然と姿を消したため、その部下である件の男性記者が引き継ぐことになり、フリーライターの女性は昔の縁故で記事の作成に携わることになったのでした。


 消えた男性編集長が集めていた過去の映像や記事、取材内容などを改めて調べる2人は、一見、なんの関係もなさそうなオカルト記事、考察された過去の事件などに、ある共通点を見出します。


 危険だ。怖い。

 これ以上、踏み込んではいけない。


 漠然とした危機感を抱きながらも、すでに闇に囚われてしまっていて抜け出せない。


 そんな二人が目の当たりにした恐怖とは……


 みたいなお話。


 原作は、背筋さんという作家さんの同名小説で、ネット小説として配信されたその内容が大変リアリティのある現実の記事のようで、最高かつ最恐のモキュメンタリー小説として書籍化されました。


 発売当時、リアルタイムでネット小説を読んでいた職場の同僚(一緒に試写会に行った同僚とは別のひと)からオススメされて書籍で小説を読んで、大変怖い思いをしました。


 あ、いや、リアルにどうとかではなく、小説そのものが、読んでいて本当に怖かった、という意味です。


 ネットの掲示板や取材対象者の証言などを、縦書き横書きでリアルな表現が紙面でなされており、バラバラでとりとめもないと感じさせられつつも、読みながら認識する、


 「近畿地方のある場所」


 という、共通点。


 モキュメンタリーのホラー映画はいくつか観たことがありましたが、書籍という形でこんなモキュメンタリーができるのか……!


 と、ネット小説という現代の表現方法に感動すらしましたし、圧倒的に怖かったです。


 監督は白石晃士さん。


 ホラー映画ファンから絶大なる信頼を寄せられている監督で、わたしも昨年、どういう経緯だかは忘れましたが、コミック原作を白石監督が映画化した作品「サユリ」を観て、


 「ホラー映画って、こんなにも進化しているのか!」


 と、恐怖の先に感動を覚えた記憶があります。


 で、幸運にも試写会に参加させていただけたことに、


 『観させてくださって、ありがとうございます』


 なのです。


 とはいえやはり、「果たしてこれを、どのように映像化するのだろうか」という疑念はありました。

 文章だからこそのストーリー組みからくる不気味さや衝撃なんかがありましたもので。


 でも、そんなクソ素人(わたし)の疑念など、白石監督たちプロ集団にかかれば心配ご無用なのですよ。

 原作の背筋さんも製作に携わっておられたようだし。


 不穏すぎる冒頭から即座に始まる本題、

 過去の取材映像のリアリティ、

 禍々しいモノの衝撃的な姿。


 とつぜん驚かされてビクッとなるような、お化け屋敷的演出がないのも安心です。

 でもその分、ジワジワと不穏を感じて「うわああぁ……」となる演出は盛りだくさんで、油断はできません。


 物語についていろいろ言っちゃうとネタバレになるので控えますが、フリーライターを演じた菅野美穂さんと、男性記者を演じた赤楚衛二さんは本当に素晴らしい俳優さんだな、と改めて思いました。

 静と動、加えて不気味かつ不穏な演技が恐ろしくリアルで、あくまでフィクションであるはずのモキュメンタリーが、ノンフィクションのドキュメンタリー映像かのように感じられ、その展開に夢中になってしまいました。


 それがまあ、めっっっちゃ怖いわけなのでのすが。


 あと、最初に行方不明になった編集長を演じた夙川アトムさんもまた、

 い〜感じの渋いビジュアルのおじさんになっていて、キーパーソンでもある役どころにピッタリはまった迫力ある演技にビクビクしました。


 それから、転職サイト?のオープンワークのCMに出ている、かいばしらさんが最近好き(そのCMしか知らないけど)なのですが、彼も出演していました!

 心霊スポットにリアルタイム潜入する配信者の役で、


 最初はお調子モノっぽくヘラヘラ実況していて、だんだんマジでヤバくなっていく様を、その表情や声色で変化させていてものすごく怖い配信映像になっていました。


 きっと他の俳優さんも、観るひとが観れば「あっ!あの俳優さんだ」となるのかもしれない絶妙なキャスティングも素晴らしいと思いました。


 様々な「怖い」シーンが詰め込まれ、物語としても原作の不穏さをしっかりと残した作品だと感じたので、

 原作ファンにもホラー映画ファンにも、白石晃士監督ファンにもオススメ!な映画です!


 原作とは少し違う内容になっているため(いい改変)、観終わったあと、改めて原作小説を読みなおしました。


 映画での映像も記憶に残っているので、

 やっぱり怖〜い。


 で、少しまえに同名小説が文庫化されたのですが、


 これはなんと、ベースは同じだけど違う内容に書き直されたものなのですっ!


 それを知って既に購入していた文庫本を、単行本を読み直した後すぐに読み始めたものですから、わたしは試写会からこれまで、ずーっと


 「近畿地方のある場所について」の世界にいたわけです。


 冒頭の辺りで少し触れた「観させてくださって、ありがとうございます」という文言は、この作品のキーワードとなる「見つけてくださって、ありがとうございます」をもじったやつなのですが、


 「ありがとうございます」


 という言葉がこんなにも怖く感じことになるとは……。


 んで、全て読み終わって

 「こっからしばらくは、幸せそうで優しそうな小説を読むぞっ」

 とグルメ小説なんかを持ち歩きつつ職場に向かい、その前に銀行のATMに寄ったんですね。


 入出金とか振込みができる機械だけがある店舗。


 ああいうところって、入口にセンサー付きの音声がながれる機械が設置されてるじゃないですか。


 入ってから出るまでわたししかいないのに、


 ずーっと

 『ありがとうございました』

 て流れるんですよ……っ!


 わたし以外、誰も出入りしていないのに、操作中もずーっと、背後上部から『ありがとうございました』て言われてるんです。


 怖すぎるやろっ!


 と思いながら操作を終えて外に出たとき、初めて


 『いらっしゃいませ』


 て流れたんですよ。


 さすがに振り返って


 「なんでやねん」


 と言いました。


 映画「近畿地方のある場所について」

 オススメですっ!

 

 


 


 

 


 

 映画「SING SING」(シンシン) を観て来ました!

 アメリカにある最重警備刑務所「シンシン」 で行われている更生プログラム「RTA」という芸術関連のワークショップでの実話を基にしたお話。


 冤罪で収監されているディヴァインGは、自身の無実を訴える作業をしながらも、刑務所内で更生プログラムである演劇上演活動を立ち上げるなど、その聡明かつアグレッシブな性格で周囲からの信頼が厚い男性でした。


 自由を奪われた犯罪者とされる人たちが、その現実と向き合い、演劇で、役者としてあらゆる感情を放出できれば、それは今後、もし監獄から解き放たれたときに同じ過ちを犯すことなく、他者を思いやれるのではないか。


 そういった目的のあるプログラムの立ち上げから携わっているディヴァインGは、新たな入団者、凶悪なギャングだったディヴァイン・アイにも、反抗的な態度をとられても周囲への対応と同じように公平に接します。

 自身の境遇に人生を諦めていたアイでしたが、RTAでのワークショップ、ディヴァインGのおせっかいにも似たフォローによって目指す上演に向けて周囲との絆を大切にし始めました。


 そんなとき、ディヴァインGの心がポッキリ折れるどころか、バッキバキに砕かれてしまって……


 というようなお話。


 これは、哲学や心理を追求する物語で、

 物語っていっても実際のお話を映画にしたものなので、あらゆる感情を放出させることができる演劇において、それを他者に見せるための準備として自身の個人的な感情ではなく、関わってくるであろう他者との意思疎通を下地に共感、共有する感情を得る訓練が必要で、


 それはなにも収監されている人に限らず、感情の身動きが取れなくなって内にこもってしまいがちな「私」、もしくは「私たち」にも有効なプログラムなのかもしれません。


 劇中のアイにとっては無駄と思えるディスカッション、他者からの助言、そんなエピソードの数々と、そのシーンで演者の各々が浮かべる表情、言動が、観る者(わたし) の心をジクジクと刺してくるので、


 割と冒頭から涙ぐんだ状態での観賞でした。


 そこへきて、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」? の台詞? 

 生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ

 というやつ? (←読んだことないが何か知ってる)

 の真意を理解して、

「あとで本屋寄ってハムレット買ってみよ」

 と思うくらい、劇中の劇中で行われる演劇のモチーフにも深い真理を感じました。


 そんな「終始涙目」の状態で、ディヴァインGの闇落ち。

 彼の闇落ちを責められる人間などいないくらいの自己投影。

 けれど何とか這い上がってほしいと思う周囲の感情にも自己投影。


 つまり、これは映画の舞台が刑務所だからとか罪とか冤罪とかではなく、

 生きている我々につきつけられる、

 「生きるべきか、死ぬべきか」

 といった、極端な言葉ではない、人生の問題なのだと感じ、涙目だった目からは次から次へと涙が流れ、

 ディヴァインGの闇落ちのシーンは嗚咽をこらえるのが大変でした。


 努力しても、最善を尽くしても、報われはしない


 咆哮するディヴァインGを、誰が責められられましょうか。


 という、無力感。


 演出を担うブレンドという男性は、これまでのRTAでのワークショップが活発になる様を見て微笑んでいたのに、ディヴァインGの闇落ちのあたりでかすかに見せた悲しみの表情。

 参加者たちは、ディヴァインGを慮りながりも、演劇を完遂させたいという意思もあり、それがプログラムの目的でもある多角的な感情を、上演の準備が進められる過程で知ることになります。


 ラストに向かう素晴らしい流れにわたしの感情はまぁまぁ追いつかず、


 ディヴァイン・アイ……!

 ディヴァインG……!

 そしてみんな……!


 となってるうちにエンディングが流れ、思ってたより短いエンドロールだったため早々に客電がついてしまい、

 わたしを含めた観賞者の多くが鼻をズビズビいわせながら退出するはめになりました。


 ズビズビしてるの、わたしだけじゃなくて良かったー


 と思いました。


 人間の心の奥をえぐり出すような台詞、言葉の数々に圧倒され、出演者の多くが実際にシンシン刑務所でRTAプログラムに参加していた当時の人間だと知ってビックリしながらも、この更生プログラムは本当に意義のあるものなのだと理解を深めました。

 芸術は、心を救うのに大切なものであると。


 ズビズビで退出し、足早にバーミヤンに入ってチャーハンと餃子を食べました。

 ↑
 チャーギョー。
 うんまい。
 もはや芸術。