剣道は人間形成 | 剣道 稽古日記 ~終わりのない道~

剣道 稽古日記 ~終わりのない道~

剣道、稽古の日記です。
教え子や後輩に対するアドバイスなど
たまに違うかも!?

※あくまでも個人的な考え、意見です。

剣道試合・審判規則、細則の細則第12条に、

「次の場合は有効打突としない。」として、

「被打突者の剣先が、相手の上体前面に付いて

その気勢、姿勢が充実していると判断した場合」

と記されています。


竹刀を刀として考えた場合、

その状態で相手を打突したとしても、

自分も相手の刀に刺さっていることになるので、

相打ちになるため、一本にならないと

私は教えられました。


しかし、この細則があることにより、

剣先を相手の前面に付ければ、

打突されても一本にならないと

勘違いされている方がいます。


審判が、被打突者の

気勢、姿勢が充実していると判断した場合は、

確かに一本になりません。


しかし、気勢を挫かれたり、

姿勢を崩された場合は、

剣先だけが残っていても一本となります。


攻めも打突の意思もなく、

ただ構えて剣先だけをこちらに向けて、

「受け身」になっているときに

中心を割って入られて、

気勢もなく、姿勢も崩れた状態で、

剣先だけを無理矢理相手の上体前面に付け、

一本にさせないようにする人がいます。


私は、

一足一刀の間合いに入ったときに

相手の気勢が緩んだり、姿勢が崩れたと見たら、

剣先を付けらることになっても

構わず打突します。


それでも相手が

無理矢理剣先をねじ込むようにして

上体前面に剣先を付けにきた場合は、

体で押すようにして、

そのまま前に進んでいきます。


しかし、相手の気勢、姿勢が崩れていないときは、

私が勝手に

相手の剣先に刺さりに行ってる訳ですから、

「失礼しました」と引き下がります。


また逆に、構えている私の剣先に

中心を開けたままで刺さりにくる人もいます。


応じ返したり、出鼻を打てれば良いのですが、

体格差や、身体能力差があり、

私の竹刀が届かないところから

打突してくる相手には、

出鼻を打ち難く、

また刃筋を通さずに

変な方向から打突してくる竹刀は、

軌道が分かりにくく、

応じ返せない場合があります。


その場合は、気勢と姿勢を崩さず、

隙あらば打突できる準備ができているままで、

構えた状態からスッと軽く腕を伸ばし、

相手の上体前面に竹刀を付けて、

相手の打突を制することがあります。


その際、

相手の勢いを止めれば

それ以上は剣先を付ける意味がないので、

直ぐに竹刀を引き、

相手に怪我をさせないようにします。


もちろん、気勢で押されたり、

姿勢を崩されたり、

自分が打突できる状態ではないときに

打突された場合には、

無理矢理剣先を付けるようなことはしません。


いずれの場合も、

そのときの状況次第なので、

判断の難しいところもありますが、

攻められて、気勢を挫かれ、

姿勢も崩れているのに、

一本を取られたくないからと

無理矢理剣先を相手の上体前面に付けたり、

攻めもないまま無理矢理突っ込んで、

勝手に竹刀に刺さりにくるというのは、

剣道ではよくあることです。


ここまでは、まだ良いのですが、

その後が問題です。


剣先を相手の上体前面に付けようとしたときに、

防具のないところに

剣先が刺さることがあります。


そのときに、そのまま無理矢理前に出て、

相手を痛めつけるようなことをする人がいます。


また、

剣先を上体に付けられると、

相手の竹刀を腕に絡め、

竹刀をへし折るような仕草をする人もいます。


私は、そういう剣道をする人を見ると、

失礼ですが、どちらも品がないなと思います。


どこまでが、崩れているのに

無理矢理上体前面に剣先を付けたのか、

また、勝手に突っ込んだ状態なのか、

そして、どこからが、

気勢、姿勢が充実している状態で

上体前面に剣先を付けたのか、

また、攻め勝った状態で打突したのか、

いずれも判断が難しく、線引きはできません。


稽古では特に、

そこは自身の判断になると思います。


しかし、いずれの場合でも、

わざわざ相手を痛めつけたり、

相手の竹刀をへし折る必要はないと思います。


そういった一つ一つの行動に、

その人の人格が出てきます。


刀というのは、

人を斬るための道具であり、

竹刀は刀に見立てた道具です。


それを使って相手を痛めつけるのも、

また、それを制するのも、

それを持つ人の人格、品格次第だと思います。


打った打たれた、

勝った負けたに拘るなとは言いません。


しかし、そこに拘り過ぎると、

他の大切な物が蔑ろになる場合があります。


竹刀を握る人は、

その事を忘れてはいけないと思います。