7/7 七夕 午後10時すぎ

一年半振りに地元へ帰って来た男性が寄った先は

私鉄の駅裏の通りを二分程歩いた小さな交差点の向かいにある、焼酎バー

先月で丁度、丸三年目に突入した、まだ新し目の店


彼は、オープン当初からの常連であるが、ある日を境に立ち寄らなくなり、挙げ句の果てに地方へ転勤になり、一年半ぶりの来店という訳だ。


久しぶりの地元

しっかりと噛み締めるように、ゆっくりと駅の改札を抜ける。

一年半ぶりの地元

しかし、町並みは以前と比べ、変わっていた。

駅の改札を抜けると、まず目の前にロータリーがある。
周りには銀行が数軒
ファーストフード店が3軒ほどしかなかった寂しい町並みが一辺

立ち飲み屋2軒
イタリアンレストラン
美容院

と、転勤先に住んでた所と差程変わらない景観だった。

彼はその町並みを横目に、裏駅へと向かい、懐かしみながらバーへと足を運ぶ


音沙汰もなく、突然の来店に果たして店主はどのように迎えてくれるのか?

緊張の色を隠せないまま、引き戸を開けた。


マスター『おっ!いらっしゃい!!』

変わらぬ対応に思わず笑みを浮かべ、周囲を見渡しながら、いつも座ってた右端のカウンター席に座る。


ただ、一つだけ変わっていたのは・・・


隣に彼女が居ない
それだけだった。


いつものように、二人で一緒に来ては、仲良く常連達と会話を弾ませながら、焼酎のボトルを必ず一本空けていたのを、昨日のように思い出す彼


上を見渡すと端から端までびっしりと書かれてある、メニューの数々


そういえば、彼女はいつも刺身を摘んでた。

冗談半分に刺身を一気にたいらげようとすると、顔をプクッ!と河豚のように膨らませ、怒っていたのを、
思い出す・・。

目をつぶりながらにやけている彼を見たマスターは咄嗟に答えた。

マスター『どうしたの?なんかいい事あった?

そう言えば、今日は彼女どうしたの?』


痛い質問に動揺を隠せぬ彼は、タバコに火を着け一服
煙を吐き、心を落ち着かせ、マスターに説明をした。

スペード『一年半前にわかれちゃったんですよ!で、その翌週にいきなり転勤になってしまって・・・

音沙汰もなく、すみませんでした。』


マスターは軽く頷きながら、キープボトルをそっと差し出してきた。

マスター『どうする?まだボトル残ってるんだ!これを飲んでから新しいの入れるかい?』


『とりあえず飲みな!』

有無も言わさず、キャップを開け、グラスに焼酎を注ぐ。一杯か二杯分程しか残ってない霧島20度を、マスターは音沙汰もない彼の為に、一年半もの間、残しておいてくれた。

いつも飲んでた水割り

ボトルには、彼と彼女の名前が、彼女の筆跡で書いてあった。

それを見つめながら、水割りを一口、二口と

飲むたびに目頭が熱くなってくる。


マスターの背中ごしに並ぶ棚の隅に、

彼女が使ってたグラスが静かに眠ったまま・・。


マスター『そんなにしょっぱい顔するなよ!

久々に歌聞きたいから、じゃんじゃん歌っちゃってよ!』


外は大雨雨
こんな天気だから、客は彼一人だけ

まさにオン・ステージだ!





そうこうしてるうちに時間は深夜3時

連日の深酒に疲れ切っていたせいか、マスターはしらぬうちにカウンターで寝ていた。

そっと壱万円を置き、起こさぬよう店を出る彼

外は小雨

そういえばと、彼はある事に気付く。

自分が店に入る前から、看板の電気は消えたまま

ただ単にマスターが電気を点けるのを忘れていたのかもしれないのに

彼は自分の為に、マスターが気を利かせてくれたんだと、思い込み、深々と会釈し店を後にした。


人気のない駅裏通りをフラフラと蛇行しながら歩く彼
止まない雨の中を傘もささずに・・。


ふと足を止め、夜空を見上げると、彼はそっと呟いた。

スペード『こんな天気じゃ~、
天の川はみえないな

オレのおり姫はいつ出会えるんだろう・・。』



そんな寂しい、
独りぼっちの七夕の夜星空
夕方6時前

逗子海岸にて波

沈みかける夕日を、海の家のテラス席から、ずっと眺める男と女ラブラブ


波の音波

心地よい風台風


彼らのテーブル席の真ん中に、

トロピカルカクテルが一つカクテルグラス

そのグラスに今にも沈みそうな真っ赤な夕日が晴れ

美しく、交差する


情熱な赤色・・・。



今日という素敵な一日
空が衣替えする頃

彼らは海岸を後にする車DASH!
横目でチラチラと彼女の様子を気にしつつ、いつもより、力一杯ハンドルのグリップを握り締める彼


躊躇し、ためらいながらシフトチェンジ


あまりスムーズでないドライビング


いつもとは違う
静寂に包まれた車内


無数のテールランプに導かれながら、車はハイウェイへと走っていく


対向車が通り過ぎるたびに窓際に映し出される彼女の横顔はどこか寂しげ

彼女の瞳にはいったい何がうつしだされているのだろう?

スペード『・・・・・・・』



車は気付けば本牧の埠頭へ

車を止め、煙草に火を着け、いつもより重くため息と同時に煙を吐く彼に、彼女は一言呟いた。


ハート『まさか、こんな日がくるとは思わなかったDASH!

ここで、降ろして・・・』

無言のまま、別れを告げ
その場を後にする彼女の後ろ姿を、

じっと車内から見つめる彼
煙草の灰は、今にも落ちそうなのに・・・・



深夜一時すぎ星空


今にも、閉めそうな小さなバーへ、先程、恋に別れを告げた彼女が来店


カランカランベル


ハート『すみません・・・
一杯だけいいですか?』


こんな夜更けに、綺麗な女性が一人

どことなく事情を察したバーテンは、彼女を席へと案内した。

バーテン
『いらっしゃいませ
まだ大丈夫ですよ・・。』

表の看板の電気を消し、彼女のもとへお絞りを差し出すバーテン

ハート『すいません・・・
どうしても、一杯だけ飲みたくて・・・。』


バーテンは、静かな笑みを浮かべながら、カクテルを作りはじめた



彼女の前に置かれた
綺麗なカクテルグラスに、そっと注がれる爽快感溢れそうな色と香の液体


バーテン
『ホワイトレディですカクテルグラス
少し、ベースのジンを多めに入れておきました。

誰にでも、飲みたいときがあります。

色々な思いを抱えながら

そんな時こそ、このような場を提供するのが、我々、バーテンの勤めだと思います。

お客さまの前にある、そのホワイトレディは、きっといつもより重く感じる事でしょう。

ですが、爽快感が貴方の輝かしい明日へ導いてくれるはずです。』

そう言い残し、バーテンはそっと、店の裏へと姿を消した。彼女を察してか・・・。


グィッとカクテルを口に運ぶ彼女


ズッシリと心に響きわたる辛口のジンの味が、涙を誘う

しばらくグラスをじっと見つめる彼女

物思いに更けるように、二口、三口とカクテルを飲み干す。



しばらくして、バーテンが店内へ戻ると

彼女の姿は消えていた・・

飲み終えたカクテルグラス

そのカクテルグラスの中に






少々、傷のついた指輪が一つ・・・・。








夏の日の1993
部屋でYシャツな私-201007021743000.jpg

みなさんこんにちわ得意げ

ようやく過ごしやすい日になってきましたが、今晩は雨雨のようです。

家路へ急ぐか・・・

飲み屋でゆっくり週末を過ごすか・・・


週末ですから、せっかくなら、時間を忘れてしっぽりまったりと、飲みたいものですねニコニコ音符

本日のご紹介は

『高倉』

奄美大島産 黒糖焼酎


ふわっと香る、黒糖の甘い香り

アルコール臭もさほど強くないので、違和感なく喉を通ります。

鼻から抜ける、心地よい余韻がたまりませんニコニコラブラブ






さて・・・今日はちょっと違う感じで




雨本降りの夕方6時過ぎ

傘を忘れた勤め帰りの若い女性が、バッグを傘がわりに

両手でしっかり頭をかばいながら、雨宿りできる場所へと駆け出している。


ハート『もうあせるやだぁ~!!
こんな事なら、傘持ってくればよかったしょぼん』

バッグを足元に置き、両手で体中の水滴を払う彼女

たが、結局は無意味だと分かったのか、動作を止めぼっ~と夜空を見上げていた。

しばらくすると、先程の雨が嘘のように上がり、

薄暗い雲間から月が顔を出しはじめた。

ハート『タイミング悪いわよむかっお月さん!!水も滴るいい女て、さも言いたげねDASH!』


月明かりがとても綺麗で、しばらくじっと月を見つめる彼女星空


そこへ、トボトボと仕事疲れが、思いきり顔にでてる男性が偶然通り掛かった。
彼は、彼女に気づくも、あっけにとられたと言うか

体中、びしょ濡れで夜空を見上げる彼女に心を奪われてしまった

スペード『あ・あの~お姉さん、大丈夫ですか?!
相当、びしょぬれですけど・・。』


ハート『ああせるごめんなさいビックリマーク
変人だと思いました?

傘忘れちゃいまして、帰り掛けに雨にやられちゃってこの始末ですあせる』

しばらく、そこで談笑する男と女

話ながら、その濡れたロングへアーを気にする彼女が、彼にとってはとてもセクシーに見えたのだろう。

思わず、ナンパまがいな事を口にしはじめる。

スペード『あの~、ここで偶然お会いしたのも、何かの縁ですし、これから一杯軽く飲みに行きませんか?』

ハート『はぁ?
うふふふラブラブ新手のナンパ?
そうですねぇ、いいかもキラキラ実は、先日彼氏に振られちゃって、むしゃくしゃしてるとこで、この雨でしょビックリマークでも、月を見てたら何だか嫌な事スパーッと忘れちゃったしニコニコラブラブ

こうやって、今男の貴方と出会えたのも、縁かも』


どうやら、意気投合したみたいで、

繁華街へ向かう男女トイレ

その距離感はまだあるものの、これからのお互いが、より幸せな日々が続く事を見守るかのように、月明かりがそっと二人を照らしていた。


スペード『よし!!今日は高倉を飲むぞビール』


ハート『え?高倉 健?』


スペード『違いますよビックリマーク
おもしろい事、言う人だニコニコ
高倉と言う、黒糖焼酎があるんですよ音符甘くて、美味しいんだひらめき電球』


ハート『ふ~ん、そうなんだ。あたしは甘い恋がしたいなぁ~?』


その言葉を聞いた彼は、
彼女にばれぬよう、そっとガッツポーズをとった。




今宵も素敵な夜を星空