脚本の様なモノ 11本目 「ポイント・オブ・ノータリン」
※脚本の様なモノの11本目が無いじゃないか!という御指摘を頂きました。で、確認してみたら、本当に11本目が抜けていやがったので、今回の脚本の様なモノを11本目としてカウントしたいと思います。…反省!
《あらすじ》
楽してお金を稼ぎたい!常々そう思っていたアホな幼馴染み二人組が編み出してしまった、とっておきの錬金術とは一体!? 金よ、金よ、果たして成るや成らざるや!?
《登場人物》
男1 男2
照明点灯
舞台は真夜中の公園である。
人ッ気の無い公園の片隅(舞台上の上手寄り)に置かれたベンチが、ぼんやりとした街灯の光によって、頼りなさげに照らし出されている。
ベンチには男2が腰掛けている。何やら人を待っている様だ。
しばらくした後、男1が辺りを伺う様にしながら登場する。
男1:オウ。(ベンチに腰掛ける)
男2:オウ。で、なんだよその―
男1:静かにッ!
男2:…。
男1:誰にもツけられてねーよな?
男2:(頷く)
男1:周りは…大丈夫だな。
男2:―!(立ち上がり、ベンチの裏を確認し始める)
男1:どうした?
男2:…いや、盗聴器とか仕掛けられてっかもって。
男1:ととと、盗聴器!
男2:や、大丈夫。問題ない。
男1:(深呼吸)ンだよ、焦らせんじゃねーよ。
男2:マ、一応な。
男達はベンチに座り直し、呼吸を整える。
男2:で、なんなんだよ、その「楽して金を稼げる方法」ってーのはよ?
男1:(もう一度深く深呼吸する)
男2:おい、勿体ぶってんじゃねぇよ。
男1:俺、聞いちまったんだよ、テレビのニュースで―
男2:ニュース?お前、ニュースなんて観てんの?
男1:オヤジが観ててよ。んで、チラッと、チラッとな?観てみたらよぉ…
男2:観てみたら?
男1:何か最近円高傾向らしいんだよ、円高傾向。
男2:円高?
男1:円高。
男2:…傾向ってのはさ、あれだろ、そーいう感じって意味のアレだろ?
男1:それそれ、そういう感じ。
男2:じゃ、円高傾向って?
男1:バッカお前ェ!円が高くなる感じですよって、そーいうその、アレに決まってんだろ!円高だぞ?円が高いって書いて円高なんだからよぉ!
男2:マジで?円って、この、俺達が持ってるこの円?100円玉とかの円?
男1:当たり前だっつーの。韓国はウォンで中国は元で、どっかはなんかペソだ。円は円、俺達の円。この100円。
男2:この100円が…高くなる?
男1:らしい。
男2:え?意味分かんないんだけど?
男1:とにかく高くなるんだよ!100円が多分、いずれ130円とかになるんだよ!
男2:マジかよ…
男1:で、でだ。いいか、よく聞けよ?こっからが重要なんだからな?
男2:おう。
男1:円が実際高くなるにはよ、俺が思うにもう少しかかる筈なんだよ。ほら、国民とかも混乱すっしよ?
男2:確かに。
男1:だからよ、円が上がりきる前にな…100円玉を101円とかで売るんだよ!
男2:100円玉を101円とかで売る!?
男1:一円の儲けだぜ!
男2:たった1円かよ。
男1:馬鹿野郎お前、100円売って101円てお前、えーとあれだ、リエキリツが1%ってヤツだぞ?銀行とかより儲かる計算なんだぞ?
男2:そうなの?
男1:ったく、これだからお前はよぉ。これもニュースで言ってたヤツなんだけどよ、今の銀行って、なんかマイナス金利らしいぜ?
男2:マイナス金利?
男1:要するに銀行に預けてると損するらしいんだわ。
男2:はぁ!?銀行クソじゃん!
男1:ほらあの、誰だっけ、あの、週刊こどもニュースのお父さんだった人?
男2:池上さん?
男1:池上さん!が、それっぽい事言ってたんだから、まず間違いねぇって。
男2:(絶句)
男1:俺達のバイト代、銀行なんかに入れてる場合じゃねぇんだって事なのよ!
男2:だから、銀行からありったけの金下ろして?
男1:100円を101円で売りまくる!
男2:―!
男1:なんたって円高だからな、101円でなら売れるだろ。
男2:それを一億回繰り返せば―
男1:一億円の儲けに決まってんだろ!
男2:(絶句)
男1:実はな…、俺もうコンビニ駆け回って金おろして来たんだわ。俺の全財産、20万円!
男2:お前―!
男1:明日っからよぉ、その辺の小学生捕まえて100円を101円で売りまくってやるぜ!
男2:お、俺だって!
男1:待て。
男2:何だよ?
男1;(拳を突き出す)儲けようぜ、このチャンスによ。
男2:(男1の拳に拳を合わせる)ああ、やってやろうぜ!
#ポイント・オブ・ノーリターン
男1:やると決めたからにゃあよ やらにゃあならねぇ そうだろう?
100円玉を売りまくり 掴んでみせるぜ大富豪
男2:教えて貰ったからにゃあよ 掴まにゃならねぇ そうだろう?
100円玉を売りまくり 掴んでやろうぜ大富豪
男1:100円玉が101円!
男2:100円玉が101円!
男1:100円玉が101円!
男2:100円円が101円!
二人:どんどん売れるさ101円 円高ワッショイ 円高ワッショイ
一億回も繰り返しゃ 夢にまで見た億万長者
男2:101円で売れなくなったら?
男1:102円で買って103円で買えばいいだろうがぁ!
男2:そっか!
男1:100円玉が103円!
男2:100円玉が103円!
男1:100円玉が103円!
男2:100円玉が103円!
二人:どんどん売れるさ103円 円高ワッショイ 円高ワッショイ
何度も何度も繰り返しゃ 夢にまで見た億万長者
男2:…でも、どんどん値上がりしてったら?
男1:ばぁか!円高だぜ、円高?売れるに決まってるだろうが!
男2:でも…。
男1:あー!シラける事言うんじゃねぇよ!
男1:やると決めちまったンだからよ やってやろうぜ そうだろう?
俺が100円売るからよ 掴んでみせろよ大富豪
男2:売ると言われたからにゃあよ 買わにゃならねぇ そうだろう?
俺が100円買うからよ 買ってみせろよ101円
男1:100円玉が101円!
男2:101円が102円!
男1:102円が103円!
男2:103円が104円!
二人:どんどん売れるさ100円玉 円高ワッショイ 円高ワッショイ
何度も何度も繰り返えしゃ 夢にまで見た億万長者
男1:110円が111円!
男2:111円が112円!
男1:112円が113円!
男2:113円が114円!
二人:いつのまにやら こうなった ポイント・オブ・ノーリターン
もう戻れない引き返せない いつ終わるかも分からない
買わなきゃ損する 売らなきゃ損する 一体どうしてこうなった?
男1:1100円が1101円!
男2:1101円が1102円!
男1:1102円が1103円!
男2:1103円が1104円!
二人:いったいいつから こうなった ポイント・オブ・ノーリターン
もう戻れない引き返せない いつ終わるかも分からない
買わなきゃ損する 売らなきゃ損する 一体どうしてこうなった?
男1:20000円が20001円!
男2:20001円が20002円!
男1:20002円が20003円!
男2:20003円が20004円…
溶暗
照明点灯
舞台上には刃物を持った男2
男1はベンチの上に横たわっている。
男1の腹部からは血が流れている
どうやら男1は死んでいる様だ
男2:1000000円が1000001円…
1000000円が1000001円…
1000000円が1000001円…
1000000円が1000001円…
男2:いったいどうして こうなった ポイント・オブ・ノーリターン
いったいいつから こうなった ポイント・オブ・ノータリン
俺もお前も 馬鹿だった ポイント・オブ・ノータリン
ポイント・オブ・ノータリン
ポイント・オブ・ノータリン
バブルははじけたよ さようなら…
SEパトカーのサイレン音
立ち尽くす男2
溶暗
幕