母の頭の中は、兄と交際相手の事で常に埋まっている。

連絡がくるとその件での悩み事や、不平不満を私に伝えたく着信音を鳴らす。

いつからか。
ここ、1、2年、母からの着信にすんなりと出れなくなっていた。

1日跨ぎつつし、折り返すのだが、それまで、混沌としてしまう。

そういえば、幼少時代も、母の話しを聞き、間に入り、その時々の相手や、兄に、一語一句間違わないように気をつけながら、母が伝えてほしい事を私の意見として発言していた。
それが、母の私に対しての望みだからだ。


沢山の生命体の中で、人となる事になって生を受けた。

郡を抜き優秀な生命体に、手違いなのかなったようだ。

私には、重責な身分不相応な任務。

同じ結果を出すのに、手間がかかり、燃費も悪く、故障しやすい気がする。

シャットダウンの操作とシャットダウンされた画面に時間を忘れそうになる。

真っ暗な起動の音が消えた画面が、落ち着く。
安心感というのか、憧れに近い状態に感じる。

無。

綺麗なゼロ。

変わらない母の、支える任務さえ、滞る。
変わったのは、私だ。

ワガママになっているのか、大人気ないのか。
何かが、躊躇してしまう。

ずっと、言うことを親身に聞き、母が望む立場や、満足出来るよう疑問なく動けた。

何故か、母が話す事に、感想が一瞬出てくる。
言葉にする訳ではないが、私個人の意見というよりは、一般論みたいなものが。

とっさに自分自身に戻り、以前と変わらない対応をする。

自分の性格の悪さが、汚く感じ、気持ちの悪さで、顔は歪み、嘔吐さえしてしまう。

こんな事をこなしながら、何事もないように沢山の人は対応しているのだとしたら、

やはり、私は何かの間違いで人になってしまった。