続きですキラキラ


現実逃避か…



まりこは誰でもよかったし


夫も誰でもよかった




弱い人間同士が



何かの拍子に惹かれ合う



逃避の世界…



誰も救われないな






帰りの車の中リムジン後ろリムジン前




「らんがかわいいって言うからどんだけかわいいかと思ったら…。


あれは、気ー強いわ。


マスクとったら、こんな顔だね。」




姉が下膨れの変顔をする笑




前とはイメージが全然違うんだよね。




「でもなんでかなー。

まともな見た目なのに、なんで結婚できないんだろ。結婚したいなら、わざわざ既婚者に行かなくてもいいのに。」




「寂しかったんだろうね。」




「私が女だったら腹立つわ。奥さんにお金なんて払いたくない。あんたの夫が悪いでしょって思うわ。」




「はは…。まぁ、そうかニヤリ




「らん、運がいいわ。こんなにスムーズにいくなんて。」




「そうだね。
みんなのおかげだよホントに。



周りの支えで、ここまでこれた。

本当に…
感謝の気持ちでいっぱいだ。






そして
私は、まりこのことを考えていました。



父が蒸発する。



これはかなりショッキングな出来事…


ぽっかり空いた穴を抱えて生きてきたのかな。


父親のような存在を、
いつも求めていたのかもしれない。



心の隙間を埋めてくれるなら、
誰でもよかった。



承認欲求を埋めるために抱かれるなんて
もっと傷つくだけなのに。



自分が幸せになれないのは

パワハラする上司のせい

私を大事にしてくれない男のせい



なんで私はこんなに不幸なの



自分なんて大嫌い

誰か私の話を聞いて

誰か私を愛して



そんな風に

まりこの闇を勝手に想像した。



うーん、

まりこを理解しようとしたのかもしれない。




自分が救われる為に…






家に帰り、夫へ報告。





「ただいま。終わったよ。」





「辛い思いさせてごめんね…」




夫は私を抱き締めた。




「あの子のお父さん、蒸発したの?」




「え?

あぁ。前に聞いたことある…」





やっぱり知ってたか。

相談女って怖いな。



既婚者に近付く。

既婚者に相談する。

自分の不幸な生い立ちまで話す。



それなのに

いい子って思ってしまう男心

ヒーローになってしまう男心



それでヤラせてくれるんだから。



男の征服欲は天まで登る








「慰謝料請求された彼女に、

何か思うことはある?」





「ビックリするぐらい、何の感情もない。


向こうも、悪いことをしたから…。」






夫は未来を見ている。

まりこもケジメをつけた。





私はどうだろう…



まりこの存在を知ってから2年。

まりことの戦いがやっと終わった。



でも、私の心はぽっかり穴が空いたまま。



あぁ…

私の心の金額は、数十万か。



そんな事を考えたりした。




戦う相手はもういない。



これからは自分との戦い。




空いた穴は、いつか埋まるんだろうか…