第2回 2023年10月23日投稿

 

 

【現在の元の世界編】


ビルとビルの隙間がパッと光った。
光が収まると勇作と千夏が立っていた。
現代にふさわしい服装に変わっていた。


目の前 5m くらい先で女性と男性が死闘を繰り広げていた。
K1 に近い格闘技だ。
女性がけりを放てば男性が足で受け止め、男性がパンチを出すと、女性が肘でガードするなどほぼ互角に戦っている。
勇作は空を飛び、3 階ほどの高さから男性にキックを打ち込んだ。男性が消えた。
勇作「君、大丈夫か」
女性に声をかけた。
女性「あなたは誰? 空を飛べるの? 未来人?」
勇作「違うよ」
千夏「私たちは未来人と戦うために来たの」


女性「えっ! ま、ママ?」
 「今一瞬、ママと遊んでいた画像が浮かんだ」
千夏が女性の手を握った。
千夏も懐かしい感覚と子供のころのゆうかの記憶が頭の中に湧き出した。
千夏「ゆうか、無事だったのね、会いたかった、こんなに美人さんになっちゃって」
勇作「ゆうか」
ゆうか「おとうさん?」
勇作「あーそうだよ」
ゆうか「二人とも死んだって、幽霊?」
 「それに写真と全然違うみたい?」
千夏「生まれ変わったの、話すと長くなるわ」
ゆうか「そうね、合わせたい人が一杯います、行きましょう」


【内閣情報調査室】
ゆうか「私のボスです」
加治「話はゆうかから聞きました、部下を助けて頂き、ありがとうございました」
千夏「加治さんお久しぶりです」
勇作「ご無沙汰してました」
加治「えっ! もしかして、勇作と千夏ちゃんか?」
加治が千夏の方を向く
加治「お前えーわざと言わなかったなー、コイツ」
 「本当に驚いた、君らは死んだんじゃ? 幽霊?」
勇作「ゆうかと同じこと言ってる」
 「はい、色々あって転生して戻りました」
加治「あっ、ゆうかちゃん、田中博士も居るから呼んできてくれないか、シーでね」
ゆうか「了解です」
ゆうかと田中博士が部屋に入ってきた。
田中博士「なんじゃ、急に合わせたい人って」
勇作「田中博士お久しぶりです」
千夏「ご無沙汰してました」
田中博士「えっ、誰じゃ、、、、、、、まさか」
加治「そーですよ博士、僕はすぐわかりました」
ゆうか「えーうそばっかし」
田中博士「死んだはずなのに」
勇作「博士、この世界はまだまだ科学で説明できな
いものがたくさん在りますよ」
千夏「皆さんに今までの事をお話したいのですが、お時間よろしいですか」
加治「待ってましたーそれじゃ会議室で弁当でも食べながら話を聞くとするかー」
 「お茶とお弁当頼んだかな?」
ゆうか「はい」


【会議室】
全員黙々と弁当を食べていた。
皆が食べ終わるのを見計らって勇作が口を開いた。
勇作「やはり僕が死んだところから話を進めた方がいいかな」


 

「僕は気が付いたら天国にいました。そこは、僕が素晴らしいと思い描く場所でした」
 「山に囲まれた湖のほとりにいました」
 「食べ物、飲み物、家までも想像して、欲しいと願うだけで現れました」
加治「さっき弁当頼んで損した」
千夏「ふっふふふ、あいかわらず」
勇作「千夏ちゃんが死んだことを女神様から聞きました」 「自殺と見なされ、地獄にいると、、」


ゆうか「ママは、私を助けて、、、、うっ、、」
千夏がそっとゆうかの手を握った。
勇作「僕は何が何でも千夏を救いたいと女神様にお願して、女神様から神様へ伝えてもらいました。神様は前例がないがと言って、承認してくれました。
地獄は思い出したくないほど酷いところでした」
 「獣の腐った臭い、湿度が高くジトっとした重い空気、何も見えない暗闇、更に泣き声、恨み言、後悔、怒りなどの言葉があちこちから聞こえてきました。地面はヌメヌメしてて、今思えばあれは人の顔の上にいたと思います」
 「僕はまず 3 千年門を守っているという魔獣と戦って勝ちました。そしたら、蝙蝠が音波で千夏のところへ案内してくれました」


 「千夏は、半ば廃人と化してました。僕も忘れられ、ずーとごめんなさいばかり繰り返してました。
ここでも 5 匹の魔獣と戦いました。地獄の魔獣は、地獄に落ちた人の魂を食べて生きてました。
僕は魔法が使えるようになっていて何とか 5 匹の魔獣を倒しました。
僕はクタクタに疲れ果て気を失いました。
気がついたら千夏と二人で天国にいました。
千夏は元の千夏に戻ってました。
たぶん魔王が僕たちは地獄に相応しくないと判断して天国に戻したと思います。
勇作「えっと、ここまで大丈夫ですか」
加治「なんか、いい映画を見てる気分だ」
ゆうか「私泣きそう」
田中博士「にわかには理解できんのぉ、もはや化学は不要なのか」
千夏「勇作、ほんとに感謝してるわ、助け出してくれて、ありがとう」
勇作「まだまだ、これからが凄いんですよ」
 「一旦休憩しましょう」
加治「うん、トイレに行かせて」

 

つづく