そして、大学初日
【大学構内】
千夏と勇作は、同じ理工学部科学コースである。
勇作は、化学では解明出来ない不思議なことを解明することが夢なのである。
千夏は、勇作の隣にずっと居たい、ただそれだけでここまで来た。

2人の研究室は、田所教授についた。
田所教授は、BF のドク・ブラウンそっくりだった。研究テーマは、人間の潜在能力開発である。
人間の脳は普段は 10%程度しか能力を発揮していない。もし、100%発揮出来る方法を研究している。
勇作は、幼いころから田所教授の研究に興味があった。

あっという間に 3年と半年が過ぎようとしていた。2人は、その間に上級公務員の資格を取得していた。


【マンション 2人で夕食】
千夏「科学なんて全然興味なかったけど、何か最近すごく面白くなってきたよ」
勇作「全然興味なかったのに、よくここまでついて来たね、ほんと尊敬するよ」
千夏「じゃあさぁー、何かご褒美頂戴よ」
勇作「誕生日、クリスマス、ハロインまで指輪とかネックレスとかプレゼントしたじゃん、更に何か要求するの?」
千夏「違うよ、形があるものじゃないよ、もう~ほんとに鈍いねぇ」
勇作「ご、ごめん、俺、勉強で一杯いっぱいで」
千夏「わかってるけど、じゃぁ、ハグしてよ」
勇作「い、今?」
千夏「違うよ、これから毎日」
勇作「ま、毎日だとぉ~」
千夏「そうね、毎日義務でされてもね」
 「じゃ、百歩譲って、私もしくは、勇作がハグしたいなぁと思った時にしようか、それでいいよね、ねっ」
勇作「うん、いいよ」
千夏「やったぁ、ドラマみたいだね」
千夏「ところでさぁ、就職どおするの?」
勇作「そのことだけど、明日、田所教授に相談してみようと思ってるんだ」
千夏「うん、わかった、私も一緒に行くよ」
勇作「うん」


【田所研究室】

田所教授「おー、君たちか、丁度よかった」 「就職先はもう決まってるのかね」
勇作「いえ、まだで、それを相談しようと思って、ここに来ました」
田所教授「実はわしの教え子から、優秀な学生がいないか、と相談されてな、君らのことを話をしたら、ぜひ会いたいと言われてな、どうだ会ってみないか?」
勇作「ぜひ!お願いします、教授」
 「ところで、その方はどの様な方なのでしょうか?」
田所教授「えと、内閣調査室って言ってたかな?」
千夏「えー、内閣調査室ですかぁ」
 「勇作、何かかっこよくない?」
勇作「う、うん、そうだね、夢みたいだ」
千夏「まだ、就職出来たわけじゃないよ」
田所教授「はっははは、ほんとに君らいいコンビだ、君らなら大丈夫だ」
 「明日 10 時、ここに行ってくれるかね」
勇作「霞が関!」
勇作と千夏「教授、ありがとうございました、じゃ、失礼します」
田所教授「おい、今日は研究手伝ってくれないのかね」
勇作「あっ、すみません、やります」

【次の日、面接場所】
女性職員「西方君、高木さんこちらにどうぞ」
勇作と千夏「はい」緊張している
女性職員「お二人をお連れしました」
加治局長「ようこそ、内閣調査室の加治です」 「田所教授から評判を聞いてるよ」
 「二人は、アツアツカップルで成績優秀、ひとがうらやむリア充だってね」
 「実は僕は、能力が 60%開発されている」「だから君たちの頭の中の記憶や思考はすべて見えている」ジーと勇作を凝視した
 「ほう、君はまだ DT なのか? 珍しいな」
勇作「なっ、なぜ?」
加治局長「君らの毎日の生活が 5倍速くらいで見えたのだよ、インターネットや携帯の通話も感じるのだよ」
 「君らは稀にみる清らかさだ、ほんとに清々しいとは君らのことだな、合格だ」
千夏と勇作「えぇええええホントですか?」
加治局長「ああ、僕は嘘はつかない」
 「給料は年収 1千万、勤務時間は 9:00~17:30、休憩 1時間、週休 2日、身分は特殊公務員だ」 「あと、高木さんが心配している子供のことだが、全然心配いらない」
 「ここには、0 歳から預けられる託児所がある、それどころか、保育園から大学まである、この建屋の中にだ、しかも住む場所も温泉、病院だってある、どうだ、いい条件だろ? 君は子供を産むだけでずっと働ける」
千夏「すっごーい、ぜひお願いします。年収が高すぎるので仕事内容が気になりますが」
加治局長「それは、私を信じてくれないか」 「いくら君たちでも正式な手続きを済ませた後でないと話すことが出来ないんだ、すまない」 「それから、さっきの条件も秘密にして欲しい」
勇作と千夏「はい、分かりました、宜しくお願い致します」


【マンション】
千夏「びっくりして疲れたよ」
勇作「あぁ、何回も言っちゃうな、”びっくり”って」
千夏「あの加治局長って、イケメンだったね」「40 歳くらいかな、イタリアのハーフっぽいし、痩せマッチョだよね、しかもフェラーリに乗ってるんだって」
 「あそこで仕事すると勇作もあんな風になるのかなぁフフフ、ちょっと想像したら笑っちゃった」
勇作「し、失礼だなぁ」
 「それにしても、あと 3 か月で卒業、で就職かぁ」 「なんか夢みたいだな」
千夏「とりあえず、実家に帰って説明しなきゃね、そして引越だね」

 

         つづく