ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回のブログは、

昨日観てまいりました

歌舞伎座夜の部の感想です。

 

 

 

 

 

 

三月大歌舞伎 夜の部

 

 

 

一、伊勢音頭恋寝刃

(いせおんどこいのねたば)

 

 

 

 

 

 

夜の部はまず、

世話物の人気作品の通し狂言。

江戸時代に実際に起きた殺人事件を題材とした

「伊勢音頭恋寝刃」。

「青江下坂(あおえしもさか)」という名刀と

その鑑定書である折紙を巡るサスペンスドラマです。

江戸の庶民の憧れの観光地・伊勢の風物、

夫婦岩に昇る朝日、古市の芸妓の総踊り、

伊勢音頭などが随所に織り込まれ、

お金がかかるお伊勢参りはなかなか叶わない人も、

このお芝居を観てお伊勢参り気分に浸った、

というわけです。

 

 

 

通し(序幕から最後まで続けて上演すること)

での上演は珍しく、

歌舞伎座での通し上演は、

昭和37(1962)年以来62年ぶり。

私も、「油屋」「奥庭」以外を観るのは初めてかも。

 

 

 

伊勢神宮の御師

(おんし:参拝者の案内や宿泊の世話をする神職)

の福岡貢(みつぎ)は、

御家横領の画策に巻き込まれたかつての主筋、

今田万次郎が紛失した名刀「青江下坂」と

その鑑定書である折紙の詮議に奔走します。

 

貢と万次郎は、思いがけず二見ヶ浦で、

万次郎を陥れようとする

悪の一味の密書を手に入れます。

 

そんななか、貢の養子先である

御師の福岡孫太夫の屋敷では、

正直正太夫(しょうじきしょうだゆう)が

太々講(だいだいこう)の奉納金100両を盗んだ罪を、

貢になすりつけようとしています。

しかし、貢の叔母のおみねが

「青江下坂」を携えてやって来たために

正太夫の計略は露見するのでした。

 

刀を受け取った貢は、深い仲の遊女お紺とともに、

古市の遊廓油屋にいる万次郎のもとへ急ぐものの、

行き違いになってしまいます。

家来筋で料理人の喜助に「青江下坂」を預け、

油屋で万次郎を待つことにする貢。

一方、お紺は折紙を手に入れようと、

満座のなか、わざと貢に愛想尽かしをします。

意地の悪い仲居の万野から

罵倒されたことも相俟って、

逆上した貢はなんとか恥辱をこらえて、

預けた刀を受け取り、

油屋を出ていくのですが・・・。

 

 

 

 

 

 

通し狂言ということで、

かなりの人物が登場します。

観劇前に登場人物を

ざっくりと予習しておく方がいいかも。

 

 

 

それにしても、

クライマックスの「油屋」「奥庭」が

ひじょうに陰湿かつ陰惨な展開なので、

それ以前はどんなお話なのかと思ったら

思いのほかコミカルで驚きました。

なのに、暗い部分だけが

今も名場面として上演され続けている。

人は闇に惹かれるものなのですね。

 

 

 

今回は「太々講」の場面で、

「青江下坂」と福岡家の因縁も解き明かされるので、

クライマックスの「奥庭」での殺しが納得が行きました。

 

 

 

主人公の福岡貢は、

柔らかさのなかにも芯の強さをもつ役柄

“ぴんとこな”の典型。

ちなみに、“ぴんとこな”のアクセントは頭高。

パンシロン、と同じ感じ。

今回、イヤホンガイドを使って初めて知りました。

 

 

 

貢を演じたのは松本幸四郎さん。

胸に迫る演技。

一生懸命な若者が、

さまざまなボタンの掛け違えによって追い詰められ、

最後は妖刀に操られて殺人を犯してしまう。

そのさまが妙にリアルに映り、

人を斬って形を決めても、

拍手を送ることがはばかられました。

辛かった。

ちなみに(なんだかこればっかり)、

「油屋」の場面の貢の役柄は

「辛抱立役」というそうです。

 

 

 

“ぴんとこな”の貢に対して、

今田万次郎は“つっころばし”、

突けばすぐに転びそうな柔弱な色男の役柄です。

演じたのは菊之助さん。

相変らずおきれいでしたが、

菊之助さんがおやりになると、

実は“つっころばし”のふりを

しているだけなんじゃないか、なんて。

どうも真面目なイメージが強くって。

このお芝居、“ぴんとこな”の貢と

“つっころばし”の万次郎、

二人の若者の対照的な姿というのも見どころ、

と様々な解説にあるのですが、

今回はさほど差を感じず、ちょっと残念でした。

 

 

 

脇役で印象的だったのは、

愛之助さんの料理人喜助。

しっかり者の雰囲気が良かった。

高麗蔵さんのおみねも、舞台が締まりました。

魁春さんの仲居万野は、

派手なことはしていないのに

ネチネチと嫌らしい(誉め言葉)。

彌十郎さんのお鹿は朴訥として可愛らしかった。

そして、素晴らしかったのが雀右衛門さんのお紺。

愛想尽かしの前の表情が得も言われずよかった。

 

 

 

幕間あわせて3時間40分。

たいへん見ごたえのあるお芝居でした。

 

 

 

 

 

 

二、喜撰(きせん)

 

 

 

 

 

 

「古今和歌集」の撰者、

紀貫之が挙げた優れた6人の歌人「六歌仙」。

その6人を題材とした『六歌仙容彩』のうち、

名僧と茶汲み女の色事を描いた

ユーモラスな舞踊がこの「喜撰」です。

 

 

 

桜の花が咲き乱れる京の東山。

高僧と名高い喜撰法師が桜の枝を肩に担いで、

ほろ酔い気分でやってきます。

そこを通りかかった祇園の茶汲み女

お梶の美しさに見惚れた喜撰法師は…。

 

 


楽しくも華やかな舞踊です!

 

 

 

喜撰法師は松緑さん、

可愛らしくて楽しい!

ほろ酔い気分で桜の枝を担いで花道を登場。

とぼけた姿にまず微笑んでしまいます。

踊りも実に軽妙で、うまいなあ。

気分良く観ることができました。

 

 

 

対するお梶は梅枝さん、色気が濃い!

フォルム、面差しが、

夢二の画みたいなんですよね~。

踊りも柔らかく、艶っぽく、

うっとりと見惚れました。

 

 

 

お二人の踊りに続いて、

大勢の所化が踊る住吉踊り。

このメンバーが何気に豪華。

権十郎さん、吉之丞さん、松江さん、
彦三郎さん、坂東亀蔵さん、萬太郎さん、
種之助さん、鷹之資さん、玉太郎さん、
松緑さんの息子さんの左近さん。

もう、どこを観たらいいのやら。

そして、彦三郎さんの息子さんの亀三郎くん(11)、
菊五郎さんのお孫さんの眞秀くん(11)、
梅枝さんの息子さんの小川大晴くん(8)と、

可愛い所化たちも頑張っていました。

 

 

 

 

 

 

最初の演目が重たかった分、

軽やかな気持ちになれるこの舞踊は

ありがたかった。

 

 

 

おまけにこちらも。

 

 

 

 

 

 

昼の部の観劇時に撮り損ねていた

『御浜御殿綱豊卿』のポスター、

今回はしっかり撮影してきました!

この、仁左衛門さんのカッコよさったら!!

 

 

 

『三月大歌舞伎』

3月26日(火)千穐楽です。

 

 

 

 

 

 

歌舞伎座地下・木挽町広場では

第7回「ねこ展~ねこ・猫・ネコ 

アート&グッズフェア」開催中。

 

 

 

 

 

 

3Dトリックアートの撮影スポットも。

こちらは3月28日(木)までの開催です。