ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今日は歌舞伎座

『猿若祭二月大歌舞伎』が千穐楽。

夜の部を観てまいりました。

 

 

 

 

 

 

「本日千穐楽」の赤い幟。

おめでとうございます!

それにしても、さすがは千穐楽、

すごい熱気!

 

 

 

十八世中村勘三郎十三回忌追善

猿若祭二月大歌舞伎

夜の部

 

 

 

2012年12月に57歳の若さで亡くなった

十八世中村勘三郎さんを偲んでのこの興行、

ゆかりの俳優たちが揃い、ゆかりの演目を上演。

黒・白・柿色の中村座の定式幕が

歌舞伎座にかかっているこの光景、

昼の部鑑賞の時にも見たのですが、

あらためて感動しました。

 

 

 

 

 

 

一、猿若江戸の初櫓

 (さるわかえどのはつやぐら)

 

 

 

 
 

 

江戸初の幕府公認の芝居小屋

「猿若座(後の中村座)」が櫓をあげたのは

1624年2月15日のことでした。

そのエピソードを題材にした舞踊劇。

 

 

 

江戸歌舞伎の源流となった猿若と

出雲の阿国がそろって登場。

猿若は今月22日に13歳になったばかりの

中村勘太郎くん、

阿国は勘太郎くんの叔父の中村七之助さん。

客席からは割れんばかりの拍手です。

すごいんですよ!拍手の数も、音も。

なんともめでたいムードが

歌舞伎座中に充満していきます。

 

 

 

勘太郎くんは堂々たる踊りっぷり。

体をゆったり大きく使って

キレよく踊っていきます。

指先の伸ばし方がきれいだったなあ。

台詞回しも堂々としていて、

大人の役者たちとしっかり渡り合っていました。

その姿を見守る七之助さんの嬉しそうなこと。

 

 

 

そのほかの出演に、中村福助さん(歩いてらした!!)、

中村芝翫さん、中村獅童さん、坂東亀蔵さん、

中村萬太郎さん、中村種之助さん、

中村児太郎さん、中村橋之助さん、中村鶴松さんなど。

 

 

 

華やかで、めでたい気持ちになる一幕でした。

 

 

 

 

 

 

二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

   すし屋

 

 

 

 
 

「歌舞伎三大名作」の一つ『義経千本桜』の三段目。
源平の戦いを背景に、
武士の世界に翻弄される庶民の姿を
細やかに描写したお芝居です。
 
 
 
権太は中村芝翫さん。
いがみの権太というと、
私は仁左衛門さんの、色男が
何かの拍子で道を踏み外したというような
空気をまとった権太が頭に浮かぶのですが、
芝翫さんの権太はとても人間臭くリアル。
悪ガキがそのまま大人になったような
愛嬌がありました。
それが一転、悲劇的な死を遂げる。
落差が生きていました。
 
 
 
脇を勤めた面々も充実。
権太の父、すし屋弥左衛門は中村歌六さん、
安定のお芝居。
弥助実は平維盛を中村時蔵さん、気品たっぷり。
権太の妹で弥左衛門の娘のお里は中村梅枝さん、
物語が進むにつれ、うつろう心情を、
豊かに演じて魅力的でした。
 
 

三、連獅子(れんじし)

 
 
 
 
 
能の「石橋」をもとにした舞踊の大曲です。
歌舞伎を観たことがない人でも、
二頭の獅子が長い毛の頭をぐるんぐるん振り回す
(「毛振り(けぶり)」といいます)
映像はどこかで見たことがあるはず。
 
 
 
幕が開け、松羽目の舞台に
白と赤の手獅子を携えた狂言師右近と
狂言師左近が姿を現すと、ものすごい拍手が。
狂言師右近後に親獅子の精は、中村勘九郎さん。
狂言師左近後に仔獅子の精は、
勘九郎さんの次男、今回が初役の長三郎くん10歳。
 
 
 
長三郎くん、お顔のシルエットこそ
いつものふっくらとしたものなのですが、
目の力が凄い。
気合が入っているのがわかります。
勘九郎さんにしっかりとついて踊る姿が、
劇中の親獅子と仔獅子に重なります。
腕をいっぱいに伸ばし、跳躍し、
首を勢いよく振って見せ、
もう、すべての動きが愛おしい。
これをひと月やって来たんだ。
なんて頑張ったんだ。
観ながら涙が出そうになりました。
もう、遠い親戚のおばちゃん状態。
舞台で観ている勘九郎さんはどんな思いだったのか。
そう、勘九郎さんの踊りの上手さにも
改めて感動した一幕でもありました。
 
 
 
終演後は拍手が鳴りやまず(もちろん私も拍手してた)、
なんとカーテンコール!
歌舞伎座の古典作品では、まずないことです。
舞台中央には
勘九郎さんと長三郎くんの二人が立ち、
深々とお辞儀。
客席ではスタンディングオベーション。
これもめったにないこと。
すごい瞬間に立ち会えたんだわと、
今しみじみ噛み締めています。

 

 

 

 
 
 
さて、天国の勘三郎さんは
どんな表情でこの興行をご覧になっていたのか。
きっと満面の笑みを浮かべていたことでしょう。
 
 
 
『猿若祭二月大歌舞伎』、
お疲れ様でした。
すばらしいお芝居をありがとうございました。