ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回のブログは、

先日、新橋演舞場で観てきた

スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』の感想です。

 

 


 

 

 

残念、光ってしまった~。

ここのポスターはいつもうまく撮れない。

 

 

 

 

 

 

ついでに言うなら、

演舞場の外観も、いつも素敵に撮れない。

 

 

 

ちなみに入口上の大きな看板、

こうなってます。

 

 

 

 

 

 

左側、市川團子さんバージョン。

 

 

 

 

 

 

右側、中村隼人さんバージョン。

 

 

 

どちらも素敵。

 

 

 

さあ、それでは感想です!

 

 

 

スーパー歌舞伎

三代猿之助四十八撰の内

『ヤマトタケル』

@新橋演舞場

 

 

 

1986年、三代目市川猿之助さんが

日本神話のヤマトタケルの伝説を題材に創り上げた、

スーパー歌舞伎第一弾作品『ヤマトタケル』。

とにかく派手で贅沢な舞台は

一大スペクタクルと話題になりました。

 

 

 

その初演から38年。

今回は中村隼人さんと市川團子さんがW主演、

私は團子さんバージョンを観てまいりました。

また、これまで何度も練り直しながら

再演されてきたこのお芝居、

今回は敢えて初演に立ち返っての上演ということです。

 

 

 

【あらすじ】

謀反を企む双子の兄・大碓命(おおうすのみこと)を

誤って手にかけた弟の小碓命(おうすのみこと)は、

父である帝の怒りを買い、

熊襲(くまそ)の征伐を命じられます。

 

大碓命の妻・兄橘姫(えたちばなひめ)は、

小碓命を夫の仇と襲いますが、

その清らかで優しい心を知り、

小碓命を慕うようになるのでした。

 

一方、小碓命は熊襲の首領のタケル兄弟を

見事討ち果たします。

そして、その勇気を称えた熊襲タケルより、

「ヤマトタケル」の名を与えられるのでした。


喜び勇んで大和に帰ったタケルでしたが、

帝の許しは未だ得られず、

今度は蝦夷征伐へ赴くことに。

吉備の大君タケヒコを伴い

蝦夷を目指すタケルでしたが、

道中は苦難の連続です。

走水(はしりみず)では

愛する弟橘姫(おとたちばなひめ)までもが

激しい嵐の犠牲となるのでした。

 

その後、蝦夷を平定したタケルは、

伊吹山の山神退治を命じられますが、

この戦いで深手の傷を負うことになり…。

 

 

 

お芝居の感想を一言で書きますと・・・、

 

 

 

超~面白かった!!!

 

 

 

壮大で骨太な物語が、

実にテンポよく展開していきます。

それを見せる舞台演出の、

大掛かりでゴージャスなこと!

見どころの連続なのです。

 

 

 

早替わりのてんこ盛りで突っ走る序盤。

いったい何分続くのでしょうという大立ち廻り

(しかも通常の歌舞伎よりずっとスピーディー)。

クライマックスは大きな翼をつけたヤマトタケルの宙乗り。

歌舞伎は見慣れているつもりでしたが、

「スーパー歌舞伎」のスーパーたる所以を、

あらためて知った気分です。

 

 

 

そして、演出の派手さに

目が行きがちな「スーパー歌舞伎」ですが、

久々にこの『ヤマトタケル』を観て思うのが

(前回は、團子さんが

ワカタケル役で初舞台を踏んだ2012年)、

物語がひじょうに深い、ということ。

 

 

 

今回、久々に観て、

この芝居の主人公のヤマトタケルとは、

なんと波乱に満ちた、

困難だらけの半生を送ったのだろうと思いました。

それでもタケルは言い放つのです。

「天翔ける心、それがこの私だ!」

力をもらいました。

そして、涙が出ました。

 

 

 

虐げられても、

壁にぶち当たってもくじけないこの主人公を、

團子さんは実に真っ直ぐに演じています。

清らか、と言ったらいいのかな。

気持ちが澄んでいて、濁りがみじんもない。

所作にも声にも、その澄んだ思いがみなぎっていて、

とてもよかった!

お若いので、技術的には

まだまだという部分はあるのでしょうが、

それを補って余りある真っ直ぐさ。

役に対する思いが、ヤマトタケルという人物に重なって、

観ていて胸の熱くなるお芝居でした。

また、一人二役で演じるタケルの双子の兄・大碓命。

ダークな空気をまとったこのキャラクターは、

本来の團子さんとは違うのかもしれませんが、

ひじょうに巧く演じ分けていたと思います。

演舞場の千穐楽は3月20日。

そして5月には御園座、

6月には大阪松竹座で上演。

まだまだきっと良くなりますね。

 

 

 

そして、もう一人の主役を勤める隼人さんは、

帝の使者役で登場。

ほんの少しの出番でしたが、

白い衣裳がノーブルで素敵でした。

隼人さんバージョンのタケルは、

團子さんバージョンと

まったく違う魅力に満ちていることでしょう。

観たくなってきました・・・

(隼人さんのタケルは2月25日まで)。

 

 

 

さて、脇を勤める俳優陣、

まず兄橘姫と弟橘姫の姉妹を

一人二役で演じたのが中村米吉さん。

可愛くて、きれい!

華があります。

声色や微妙な身のこなしで、

クールな姉、キュートな妹を

巧みに演じ分けていました。

 

 

 

脇を固める面々は、どなたもよかったのですが、

印象に残ったのは、

隼人さんのお父さまの中村錦之助さん。

いつもはすっきりした二枚目のイメージですが、

なんと熊襲弟タケルで登場!

いわゆる「赤っ面」のお化粧で、豪快な演技。

うわあ、こんなお役もなさるのねと、

嬉しい驚きでした。

最後の場面は泣けました。

また、錦之助さんは

尾張の国造(くにのみやつこ:豪族のこと)役も演じていますが、

こちらは一転、軽い楽しい役。

妻役の市川笑也さん

(これがまた、お綺麗なのにとぼけた味わいで!)

とのやり取りに、

くすくす笑わされてしまいました。

ダイナミックで、緊張する場面も多い舞台のなか、

こういう役どころがきちんと押さえられていると

メリハリが効いて、いいですね。

 

 

 

上演時間3時間25分(幕間2回は抜きで)、

最初から最後まで見どころ満載、

とっても楽しいお芝居です!

 

 

 

スーパー歌舞伎

三代猿之助四十八撰の内

『ヤマトタケル』

@新橋演舞場、

3月20日㈬千穐楽です。