ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

喉の調子は良くないものの、

それ以外は元気そのもの。

歌舞伎は相変わらず

もりもりと楽しんでおります。

先日楽しんできたのがこちら。

 

 

 

 

 

 

『令和6年初春歌舞伎公演』

@新国立中劇場

 

 

 

毎年1月に

東京・国立劇場で開催されてきたこの公演。

国立劇場は建て替えで

昨年10月末に閉場したため、

今年は新国立劇場の中劇場で

公演が行われているのです。

上の写真は、もぎり前の特大ビジュアル。

 

 

 

さて、私はこの劇場、初めてです。

 

 

 

 

 

 

場所は京王新線の初台駅の中央口直結。

とても便利なところ。

エントランスはすっきりとしてモダン。

中に入りますと、

 

 

 

 

 

 

大きな吹き抜け!

ものすごい広がりです!

 

 

 

新国立劇場はオペラやバレエを

主に上演する劇場なのですよね。

この大階段の左右には、

オペラやバレエの舞台美術や

衣装が数多く展示されていて

とても華やかな雰囲気でしたが、

なにしろ初めての劇場ということで、

とてもじっくり鑑賞する余裕がありません。

うわ~、広いな~。

さすが国立だな~。

などと思いつつ、気持ちは前のめり。

一路、入場口へ。

 

 

 

ありがたいなと思ったのが、

クロークがあること。

コートや手荷物を預かってくれるのです。

もちろん、無料。

 

 

 

さて、かさばるコートと荷物を預け、

劇場に入りますよ。

 

 

 

 

 

 

おお!

歌舞伎座や、旧国立劇場とは

全然違う雰囲気!

すっきりとしていて、現代的。

 

 

 

これは1階席後方からの写真ですが、

傾斜がかなりあるのがおわかりでしょうか?

そして、客席が舞台の前に

扇状に広がっている!

 

 

 

公式サイトを見てみると、

中劇場の舞台は

二つの異なる形式をもつのだとか。

ひとつが、舞台を額縁のように仕切った

プロセニアム形式

もうひとつが、舞台面が客席前方までせり出した

オープン形式

演目によって、形式を使い分けているそうです。

また、この形式によって

客席の形も変化するんですね。

私が経験したのは、プロセニアム形式。

 

 

 

座席は舞台を取り囲むように設置されているうえ、

傾斜がしっかりついているのでひじょうに見やすい。

舞台に集中しやすい、良い劇場です。

しかも、舞台までの距離が近い!

もっとも遠い2階席最後列からでも

舞台までの距離は25mだそうです。

総客席数は、プロセニアム形式だと、

1階席843席、2階席187席の、合計1030席

(ただし、仕様によって席数が異なる)。

歌舞伎座は1964席ですから、かなりコンパクト。

 

 


 

 

 

今回私が取った席は、1階8列の48番。

かなり上手でしたが、

とてもよく見えました。

 

 

 

そして、もうひとつよかったのが

これですね。

 

 

 

 

 

 

座席クッション。

 

 

 

 

 

 

こんなタグが付いていました。

これ、新国立劇場とエアウィーブの

共同開発によるクッション

新国立劇場は1997年にオープンしたのですが、

椅子の劣化を指摘する利用者が増えたことから

このクッションの導入に至ったとのこと。

私も、このクッションのおかげで

お尻が痛くなることはありませんでした。

 

 

 

さて、初めて行った劇場ということで

施設のお話ばかりになっていますが、

そろそろ肝心のお芝居の感想をば。

 

 

 

『令和6年初春歌舞伎公演』

 

 

 

 

 

 

ロビーには演目を書きだした看板が。

シンプルですが、迫力があります。

 

 

 

演目は3つ。

最初に、時代物の名作、

「梶原平三誉石切

(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」

岳父・二代目吉右衛門が得意とした

梶原平三景時を、

菊之助さんがきっちりと素敵に熱演。

吉右衛門さんの姿もふと脳裏に浮かびましたが、

菊之助さんならではの味もあり、

とてもよかったと思います。

彦三郎さんの敵役・大庭三郎景親も、

菊之助さんと良いバランス。

青貝師六郎太夫は橘三郎さん

六郎太夫娘梢は梅枝さん

そして囚人剣菱吞助は片岡亀蔵さん

それぞれにうまい役者が、

気持ちのいいアンサンブルを見せてくれました。

 

 

 

二幕目は、

陰陽師・安倍晴明の出生秘話を描いた

ファンタジックなお芝居、

「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)

ー葛の葉ー」

安倍晴明の母親の葛の葉は実は白狐であった、

というお話です。

ヒロイン葛の葉は梅枝さん、大熱演!

あまりに素敵で、圧倒されました。

 

 

 

葛の葉の演技は、見どころ満載。

実は白狐の葛の葉と、本物の葛の葉を、

一人の役者が早替わりで演じるのですが、

田舎住まいの女房の衣裳から

赤い着物にびらびらかんざしのお姫様の衣裳に

あっという間に着替える、それだけではなくて、

姿かたちはそっくりでも、

狐と人との佇まいの違いも

演じ分けなければいけないし、

それぞれの心情も

細やかに演じ分けなければいけない。

たいへんな役です。

 

 

 

しかも、後半では、

白狐は障子に一首の歌を書き残して立ち去るのですが、

これが「曲書き(くせがき)」という大技を見せる場面。

 

「恋しくばたずねきてみよ 

いずみなる信田の森の

うらみ葛の葉」

 

恋しくなったらたずねておいで、

というわが子への、

そして夫への思いが詰まった歌なのですが、

初めは右手で書いていたかと思うと、

下から逆さに書いてみせたり、鏡文字で書いたり、

起きてきた子供をあやしながら左手で書いたり、

さらには筆を口でくわえて書きあげるのですよ!

もちろん、書きあがった歌は流麗な筆跡。

愛する子供と夫を置いて

長年住んだ家を出る悲しみを表現しながら、

この一首を本番で書き上げる。

たいへんなことです。

しかし、梅枝さんの白狐は、その技よりも、

子供と夫への思いが溢れて、溢れて、

ひじょうに感動しました。

 

 

 

夫の安倍保名を、梅枝さんのお父さまの時蔵さん

信田庄司を権十郎さん、庄司妻柵を萬次郎さん

 

 

 

三つ目の演目は、

「勢獅子門出初台(きおいじしかどでのはつだい)」

所作事(しょさごと)、舞踊です。

元は曽我兄弟の仇討ちを基にした芝居にちなむ

「曽我祭り」の踊り。

江戸の祭りの雰囲気が一杯の舞台に、

鳶頭や芸者、手古舞が登場し、

次々と踊りを踊ってみせます。

あら?では、獅子は?

「連獅子」や「鏡獅子」のような

長い毛の獅子が出てくるわけではなく、

獅子舞が登場します

萬太郎さん&吉太朗さん、頑張っていました)。

 

 

 

「初台」と題名にあるように、

今年の歌舞伎は初台から始まるよ、

という意味が含まれています。

初芝居の締めくくりらしく、オールスターキャスト。

菊五郎さん(最後の最後に登場するだけでしたが、

やはりオーラが凄い!舞台がピシッと締まる)、

菊之助さん、丑之助くん

そして眞秀くんの音羽屋三代。

時蔵さん、梅枝さん、萬太郎さん、小川大晴くん

萬屋も三代。

また彦三郎さんと亀三郎くんは親子出演。

こうして歌舞伎の世界が未来に繋がっていくのだな

と思う一幕でした。

それにしても、子供たちの踊りの

可愛くも立派なことよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三幕目はお祭りの提灯が飾られました。

 

 

 

ところで、この劇場、

国立劇場や歌舞伎座などにはある

花道がないのです。

 

 

 

 

 

 

代わりに、この幕の奥から役者さんが出てきて、

短めの通路を通って舞台に向かうのですが、

私個人としては、登場の姿から

しっかり拝見することができてよかったですね。

でも、引っ込みは時間が短すぎて

味気ないきらいがあったのは確か。

 

 

 

 

 

 

ロビーの積み樽。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の干支「甲辰」と龍の絵。

今回の演目『梶原平三誉石切』にちなんだ、

鶴岡八幡宮宮司・吉田茂穂氏により揮毫。

 

 

 

私の影が見事に写り込んでいますが(;^_^A

 

 

 

 

 

 

巨大な松羽目のフォトスポットもロビーに。

 

 

 

時代物の名作に、

けれんもたっぷりのファンタジー、

華やかな舞踊。

バランスのいい、充実した演目でしたよ。

しかし、お客の入りはかなり悪くて。

1月はあちこちで歌舞伎公演があるので

無理はないことかもしれませんが、

もったいないなあ。

 

 

 

『令和6年初春歌舞伎公演』

1月27日㈯千穐楽です。