ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回は、先日観てまいりました

歌舞伎座夜の部の感想を♪

 

 

 

 

 

 

歌舞伎座新開場十周年

錦秋十月大歌舞伎

夜の部

 

 

 

一、双蝶々曲輪日記

 (ふたつちょうちょうくるわにっき)

 

 

 

 

 

 

大坂堀江の角力小屋。

人気力士の濡髪(ぬれがみ)長五郎と

素人力士で名を上げた放駒(はなれごま)長吉の

大一番に賑わっている。

はたして取り組みの結果は、

放駒の勝利という番狂わせ。

実は濡髪、自分を贔屓にしてくれる

山崎屋の若旦那与五郎と

恋仲である遊女吾妻との仲を取り結ぶために、

わざと勝ちを譲ったのだ。

それを知った放駒は悔しさに憤り…。

 

 

 

「双蝶々曲輪日記」は

全九段の長いお芝居。

実在した二人の人物、

「濡れ紙長五郎」というあだ名の力士をモデルにした

「濡れ髪“長”五郎」と、

米屋の養子で後に侠客となった男性をモデルにした

放駒“長”吉の名前を読み込んで、

芝居のタイトルは、

「ちょう」が二つで『双蝶々曲輪日記』。

こういうセンス、おしゃれですよね。

今月上演の「角力場」は全九段のうち二段目。

単独でもよく上演されます。

 

 

 

前半の見どころは、

与五郎と放駒という対象的な役どころを

一人の役者が、しかも早替わりで演じるところです。

与五郎は、“つっころばし”と呼ばれる、

二枚目だけれどちょっと軟弱、

とぼけた味わいがありつつも、

大店の若旦那らしく品があるという人物。

一方の放駒は、自分よりずっと格上の

大関の濡髪に土をつけたばかり。

鼻息が荒いのです。

性格はおろか、体の大きさも全く違う人物を、

一人二役で演じ分けたのは巳之助さん。

その変わりようは実に鮮やかで、

観ていて気持ちが良い!

裏ではスタッフが大変なんだろうなあ。

 

 

 

後半の見どころは、濡髪と放駒の対比。

大関・濡髪を演じたのは獅童さん。

でっかい!!

その存在感、風格。

めったなことでは動じない、

そして義理堅い人物をどっしりと演じています。

一方の放駒は、

素人相撲では人気というものの、格が違います。

体の作りの差も歴然ですし、

立ち居振る舞いからして違うのですが、

向こうっ気の強い放駒は

濡髪の前で精いっぱいの虚勢を張る。

それが可笑しい、可愛らしい。

二人の男が対立しているだけなのですが、

ひじょうに面白く魅力的な芝居です。

 

 

 

また、江戸時代の角力小屋の賑わいが

味わえるのも楽しいところ。

ただし、見えるのは小屋の外の風景ばかりで、

中の様子は音で想像するという趣向。

これもまた、うまい演出なのですが。

 

 

 

台詞も難しくはありませんし、

ビジュアル的に楽しいので、

歌舞伎ビギナーにもお勧めの芝居です。
 

 

 

二、菊

 

 

 

 

 

 

菊の精たちによる華やかな舞踊です。

女性の一生を菊の花になぞらえた作品、

とのことですが、

歌詞、聞き取れませんでした~(;^_^A

 

 

 

はじめに、男寅さん(27)、虎之助さん(25)、

玉太郎さん(23)、歌之助さん(22)の

若手4人が登場(思わず年齢を調べてしまった)。

ひじょうに初々しい。

この人たちがこれからどんどん花開いていくのだわねと、

遠い親戚のおばちゃん目線で観てしまいました。

その後、オトナの菊の精が登場し、

男女の恋模様などを踊って見せますが、

花道からは雀右衛門さん、舞台下手から錦之助さん

しっとりとした風情のある踊りを堪能しました。

 

 

 

舞台上には色とりどりの菊の花を描いた大道具、

秋の風情を楽しめる舞踊でした。

 

 

 

三、水戸黄門

 

 

 

 

 

 

テレビドラマで慣れ親しんだ、

水戸黄門こと二代水戸藩主・水戸光圀のお話です!

 

 

 

さきの中納言・水戸光圀公は、

助さんこと佐々木助三郎と

格さんこと渥美格之進の二人を供に、

お忍びで四国の讃岐にやって来ます。

助さん・格さんは、金毘羅宮の境内で

お蝶という美しい娘に出会いますが、

お蝶が長次という男であることが露見したうえに、

財布を掏られてしまいます。

一方、水戸の百姓老爺に身分を偽って

うどん屋にいた黄門様は、

そこで領主松平頼常に対する

領民たちの不満を耳にします。

実は、この頼常こそ黄門様の長男。

果たして黄門様一行は

藩の内部にはびこる悪の根源を

成敗することができるのか…。

 

 

 

お馴染みの黄門様ですが、

歌舞伎になっているんですね、知らなかった!

初演は今から48年前の

昭和50(1975)年、歌舞伎座。

黄門様を演じたのは17代勘三郎さんでした。

 

 

 

今回、黄門様を演じているのは、

もうすっかりお茶の間(死語?)でもお馴染みになった

坂東彌十郎さん。

「この話が来た時には、私でいいのかな?と驚きました」

と筋書きのインタビューで語っていますが、

拝見する前から、

これは適役でしょう!

と確信していました。

果たしてお芝居を観た感想は・・・、

ホントにぴったりでした!

歴代黄門様からすると俄然上背のある黄門様ですが。

もうずいぶん前から黄門様を演じていたようなこなれ感があり、

安心して笑って観ることができました。

悪役もなさいますけれど、彌十郎さんって、

そこにいるだけで場を和ませる役者さんだと

改めて思いました。

 

 

 

このお芝居、若手も沢山出ています。

助さん&格さんは、中村福之助さん歌之助さん兄弟。

九紋竜の長次を虎之助さん

港屋娘お光を男寅さん等々。

そのフレッシュな芝居を、

うどん屋女将お源役の魁春さん

港屋辰五郎役の亀蔵さんなどのベテランが

きっちりと支える、といった感じ。

私の観たのは先週火曜日だったので、

まだまだこの先こなれていくのではないでしょうか。

肩の凝らない、楽しい人情劇でした。

 

 

 

 

 

 

彌十郎さんの黄門様のポスターは必見。

笑い声が聞こえてきそう~。

 

 

 

錦秋十月大歌舞伎、

10月25日㈬千穐楽です。

 

 

 

チケット、まだまだ余裕があるようですよ。

幕見もありますので、

興味のある方はぜひ!

歌舞伎公式サイト「歌舞伎美人」に

詳しい公演情報が掲載されています。