ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回のブログは、

先日観てまいりました

歌舞伎座昼の部の感想を。

 

 

 

 

 

 

歌舞伎座新開場十周年

『六月大歌舞伎』昼の部

 

 

 

 

 

 

一、傾城反魂香

 (けいせいはんごんこう)

 

 

 

 

 

 

すごい顔で映り込んでる、私(;^_^A

 

 

 

絵師の浮世又平は女房のおとくと二人、

師匠・土佐将監の元を訪れます。

なんとかして土佐の名字を授かりたいのです。

しかし、又平は生まれついての吃音で

うまく話すことができません。

代わりに口の達者なおとくが願い出ますが、

絵の道の功を立てなければと、かないません。

そんな折、虎を筆の力で描き消した功績から、

弟弟子の修理之助が土佐の名字を授かり、

さらには姫君・銀杏の前を救出する

大役を任されます。

後に残された又平は、絶望の末に死を覚悟。

ところが、この世の名残に

庭の手水鉢に自画像を描くと奇跡が起きて…。

【土佐将監閑居】

 

翌朝、又平の住家では

又平とおとくが銀杏の前救出の

使者としての準備をしています。

そこにやって来たのが、

なんと銀杏の前その人で・・・。

【浮世又平住家】

 

 

 

近松門左衛門作の義太夫狂言です。

昭和45(1970)年、

三代目市川猿之助(現・猿翁)が

自主公演で補綴・演出をし、

『傾城反魂香』上の巻を復活上演。

後に「三代猿之助四十八撰」に制定されました。

今回は、昭和45年の自主公演以来53年ぶりに

「浮世又平住家」を上演しています。

私はもちろん、初めて観る場面です。

 

 

 

一方、「土佐将監閑居」は

何度も観てきたのですが、

音羽屋型ばかりで猿翁型は初めて。

幕が開くと又平夫婦がすぐに登場するので、

お芝居がすぐ本題に入る印象です。

テンポが良くていいなと思いましたが、

音羽屋型に慣れた身としては

急かされている気持ちにも。

しかし、猿翁型では、

弟弟子が虎を描き消す偉業を、が登場

又平が自分の目で見ることになる

(音羽屋型ではこの場面の後に又平が登場。

又平は人のうわさで聞く)ので、

追い詰められた心情が手に取るようにわかります。

一長一短、というところでしょうか。

 

 

 

また、猿翁型では将監の奥方は出てこず、

代わりに女中が登場します。

今回の女中の役は、現在93歳!

現役最高齢の歌舞伎俳優の寿猿さん。

そんな年齢には見えないほどしゃっきりして、

声の張りもあって、

愛嬌たっぷりの女中でした!

もう、お姿観るだけでも

ありがたい気持ちになります。

 

 

 

さて、肝心の主役、又平を演じた

中車さんはどうだったかといいますと、

良いのです!

歌舞伎の俳優さんになって来たな、と思いました。

って、上から目線な書き方ですみません~。

でも、とても魅力的な又平でした。

女房おとくは壱太郎さん。うまい!

又平への愛情に満ちて、可愛くて。

中車さんとのコンビネーションも

とってもよかったです。

今月、大活躍ですね。

弟弟子の修理之介は

中車さんのご子息の團子くん、凛として素敵。

台詞がない時の芝居もよかった。

将監は歌六さん。

存在感たっぷり、安定感ばっちりでした。

 

 

 

さて、初見の「浮世又平住家」、

これはストーリーはほとんどありません。

又平夫婦の家にある大津絵の人物たちが

つぎつぎに絵から抜け出して、

銀杏の前を追ってきた軍兵を追い払う、というもの。

銀杏の前は米吉さん、とても可愛い!

絵から抜け出る人々は、鯰が新悟さん

奴が青虎さん、藤娘が笑也さん、座頭が猿弥さん

追手は男女蔵さんを頭に、男寅さん

中村福之助さん玉太郎さん歌之助さんと、

若手が勢ぞろい。

とても賑やかな一幕でした。

 

 

 

二、児雷也(じらいや)

 

 

 

 

 

 

父の仇を討つため、

山中で仙素道人から

蝦蟇(がま)の妖術を譲り受けた

盗賊・児雷也のもとに山賊夜叉五郎らが現れ、

暗闇のなか、秘術を記した一巻を巡って

探り合いとなります。

そこに、どこからともなく蝦蟇が出現。

妖術使いの綱手も現れ…。

 

 


草双紙をもとに河竹黙阿弥が脚色した作品。

登場人物たちが暗闇で探り合う「だんまり」など、

見どころたっぷり、のはずなのですが・・・、

スミマセン、寝落ちしました(;^_^A

暗めの舞台に誘われてしまったのかしら・・・

芝翫さんの児雷也が堂々として立派だわ~、

とか、

孝太郎さんの越路、やけに色っぽい~、

とか思ったことは覚えているのですが。

だんまりでは松緑さんと橋之助さん

出ていたというのに。

 

 

 

一番鮮烈に記憶に残ったのは蝦蟇。

すっばらしい動きなのです!

びよ~んと飛び跳ねて。

パカッと開けた口のなかが真っ赤、

というのも何か癒されました。

演じているのは、坂東彌紋さんという役者さん。

ご本人がTwitterに投稿していらっしゃいました。

色々な先輩たちに教わったり、

過去の映像を参考に役作りをしたそうですよ。

 

 

 

三、扇獅子(おうぎじし)

 

 

 

 

 

 

日本橋を舞台に、芸者たちが

江戸の四季の風物と風景を踊りながら綴る

清元の舞踊です。

クライマックスにはなんと、

芸者たちが獅子頭をかぶって登場。

はい、衣裳は芸者の美しいお着物で、

毛振りをしちゃいます。

女形の毛振りはそうそう見られないので、

面白いといえば面白いのですが・・・、

なんだかキツそうで、

私はあまり趣味ではないかしら。

 

 

 

芸者衆は、壱太郎さん

(毛振りはいちばんお上手だったかも)、

新悟さん、種之介さん、

米吉さん、児太郎さんの5人。

皆さん、それぞれ艶やかで、可愛らしい。

誰が好みかな~、なんて品定めするのも楽しい。

 

 

 

圧倒的な存在感は福助さん!

5人の芸者衆を束ねる

先輩芸者的役割?で登場します。

日本橋の太鼓橋に乗って

大ぜりでぐわ~っと。

そこにいるだけでオーラが凄い!

素敵でした!

短い舞踊劇ですが、

とても華やかな気持ちになりましたよ。

 

 

 

『六月大歌舞伎』、

6月25日㈰千穐楽です。