ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回のブログは、

昨日観てまいりました

歌舞伎座第一部の感想を。

 

 

 

 

 

 

歌舞伎座新開場

二月大歌舞伎

第一部 『三人吉三巴白浪

(さんにんきちさともえのしらなみ)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵看板の写真、

みごとに私が映り込んでる・・・(;^_^A

 

 

 

第一部は、今年没後130年の名作者、

河竹黙阿弥の「白浪物」の名作

『三人吉三巴白浪』。

「白浪物」とは、盗賊が活躍するお芝居です。

 

 

 

節分の夜更け。

美しい娘姿の盗賊、お嬢吉三が、

夜鷹のおとせの懐から百両を奪い取り、

大川へ突き落します。

その一部始終を見ていた

御家人崩れの悪党、お坊吉三。

お嬢を呼び止めると、

百両を巻き上げようとして

二人は争いを始めます。

と、そこへ通りかかった一人の男が、

二人の間に割って入ります。

この男、元は吉祥院の所化で

今は盗賊となった和尚吉三。

和尚は、お嬢とお坊の争いを仲裁します。

そして、同じ「吉三」の名を名のる縁から、

三人は義兄弟の契りを結ぶのでした。

 

この大川端での出会いを発端に

悪事を重ねるようになった三人は、

追われる身となります。

また、お嬢が奪った百両は、

いったんは和尚が預かることになりますが、

その百両の金と名刀庚申丸を巡り、

数奇な運命に導かれていくのです・・・。

 

 

 

お話はテンポよくどんどん進んでいきます。

人間関係がちょっと込み入っているのですが、

和尚吉三とお坊吉三、お嬢吉三という

同じ名前の盗賊が主人公で、

百両の金と庚申丸という名刀によって

三人の身に因果が降りかかる

ということを押さえておけば大丈夫です。

 

 

 

それから、今回すぐ近くでご覧になっていた

歌舞伎ビギナーらしいお若い方が、

「お嬢吉三は、女性?男性?」

と仰っていましたが、男性です。

女として育てられたので女装で登場し、

「お嬢」と名乗っているのですね。

 

 

 

序幕の「大川端」は、

このお嬢が良いところのお嬢さんを装って、

夜鷹のおとせから

百両を奪い取るところから始まりますが、

はじめはなよなよとした女の子が、

いきなり男の声・立ち振る舞いに

がらりと変わって悪事を働く、

その変わり目の鮮やかさが面白い!

そして、「月も朧に白魚の・・・」からの

名台詞が始まるのです。

シメの言葉は、

「こいつぁ春から縁起がいいわえ」

そう、お芝居を観たことがなくても、

この台詞は知っている、という方も多いのでは?

黙阿弥のお芝居の特徴のひとつが、

まるで音楽のように流麗な七五調の台詞ですが、

この「大川端」ではそれがたっぷり堪能できます。

 

 

 

また、絵画的な美しさも見どころのひとつ。

三人の吉三が百両を巡って争ったり、

庚申塚の前で義兄弟の契りを交わして

かっこよく見得を切ったり、

拍手を送りたくなる場面が次から次。

「大川端」のみ上演されることが多いのも

うなずけます。

 

 

 

さて、今回の上演は、ダイジェスト版。

和尚の父の家の場面「伝吉内」の上演がなく、

二幕目は「吉祥院」。

「伝吉内」では、和尚の妹がおとせであること、

おとせと恋仲の十三郎が実は双子の兄弟である、

というショッキングな事実など、

様々な人間関係が明らかになるので、

これを観たつもりで観劇。

初めての観劇で、予備知識がない人には、

脳裏に?が浮かぶ展開かも。

しかし、それぞれの関係性が分かっていると、

和尚、お嬢、お坊、それぞれの苦悩が分かって、

味わいも深くなると思いますので、

これからご観劇の方は、

相関図やあらすじを

頭に入れておくことをお勧めします。

 

 

 

そして大詰めの「火の見櫓」。

前の「吉祥院」に続き、

「八百屋お七」の趣向で書かれた芝居ですが、

ひじょうに美しくはかない、絵になる一幕です。

降りしきる雪の白、

お嬢、お坊、和尚3人の衣裳の赤と黒が、

素晴らしく良く映えるのです!

美しい景色を見せながら、

三人の主人公はどんどん破滅の道へと突き進む。

『俺たちに明日はない』や

『明日に向かって撃て』といった

アメリカンニューシネマを思い出しました。

というか、『三人吉三』のほうが

ずっと早い時期に誕生しているのですが。

あらためて、河竹黙阿弥、すごい!!

 

 

 

お嬢吉三は七之助さん。

カッコよかった~!

こういうジェンダーレスな役柄は

本当に素敵に演じてくれますね。

お坊吉三は愛之助さん。

すっきりとして、いかにもお坊。

七之助さんとのバランスもよかった。

感動したのが、松緑さんの和尚吉三。

気持ちがしっかり伝わります。

実の妹弟を手にかけねばならぬ苦悩、

すべての因果を受け入れる懐の大きさ、

ひじょうに人間味がありました。

ほかに印象に残ったのが、

壱太郎さんのおとせ、きれいで、そして哀れ。

坂東亀蔵さんの源次坊は、

終始緊迫感のあるドラマの中で

ほっとさせてくれる役回りで、

これもまたよかった。

 


 

隅から隅まで堪能しましたが、

書いていたら、また観たくなってきました。

ああ、面白かった!

 

 

 

『二月大歌舞伎』、

2月25日(土)千穐楽です。

 

 

 

幕間に、これいただきました。

 

 

 

 

 

 

中里の「揚最中」♪

『三人吉三』の舞台・巣鴨吉祥院にちなんで、

今月のお土産として

1階お土産処「木挽町」で販売しています。

1個186円。

 

 

 

 

 

 

最中の皮をごま油で揚げているとのこと、

どんなお味かと思ったら、

パリッとした食感でほんのりと塩味、

揚げもちのような味わい。

挟まれた餡は程よい甘みで、

とても素朴な美味しさでしたよ。