ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今回のブログは

先日観てまいりました

歌舞伎座公演第一部の感想を。

 

 

 

今月の歌舞伎座は

一年を締めくくるにふさわしい

見応えたっぷりの演目が並びます。

なかでも第一部は

猿之助さんのザ・エンターテイメント歌舞伎!

 

 

 

 

 

 

十二月大歌舞伎

第一部

『新版 伊達の十役』

 

 

 

『伊達の十役』は、昭和54(1979)年に

三代目市川猿之助(現:市川猿翁)によって

復活上演されたお芝居です。

タイトルの通り、一人の俳優が、

見た目や性格、性別も違う十役を

次から次へと演じるのが最大のみどころ。

 

 

 

お話は、戦国武将の伊達政宗を藩祖とする

仙台藩伊達家で実際に起きた御家騒動がベース。

今回は、コロナ禍での

コンパクトな時間での上演ということで、

新しい演出の工夫が随所にあります。

まず序幕として、

『伊達の十役』三幕目にあたる「奥殿」で、

乳母政岡が我が子を犠牲にしてまで

忠義を尽くす姿を描き、

つづく「床下」は、

松ヶ枝節之助と仁木弾正の対立を

歌舞伎の様式美いっぱいに見せます。

いつもよりかなり早いストーリー展開ではありますが、

『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』

でもおなじみの数々の名場面が

ドラマティックに展開していきます。

 

 

 

 

 

 

驚くのが大詰。

三代猿之助四十八撰のひとつ

『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』

の所作事(しょさごと:舞踊のこと)

『写書東驛路(うつしがきあずまのうまやじ)』を、

“伊達の十役”の世界でリメイクしているんです!

題して、

「間書東路不器用(ちょっとがきあずまのふつつか)」。

筋書きによれば、

猿之助さんが、今年七月公演の

『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』

の出演後、楽屋のお風呂に入っていた時に

閃いたアイディアだったのだとか。

大磯の廓から鎌倉・鶴岡八幡宮までの道のりを、

次から次へと色々な人物が登場し、

踊りを交えて物語が展開します。

 

 

 

上演時間50分中、

猿之助さんの演じる役柄はなんと8役!

序幕の乳母政岡と松ヶ枝節之助を合わせると、

全部で10役を演じ分けています。

全ての役がぴったりで、

なんて芸の幅が広いのだろうと

感動しました。

 

 

 

そして、早替りの様子は見るも鮮やか、

イリュージョンのようでもあるのです!

最初から最後まで、とてもスリリングで、

華やかで、ドラマティックで、

瞬きするのがもったいないほど!

興奮のうちに、幕となりました。

 

 

 

 

 

 

歌舞伎ビギナーの方には、

あまりにスピーディーな物語の展開、

あまりの登場人物の多さに、

ちょっと置いてけぼりを食う箇所も

あるかもしれません。

でも、早替りの鮮やかさや、

時代物独特の雰囲気、衣裳の豪華さなど、

見どころはたっぷりです。

歌舞伎らしさを味わうには

うってつけの作品だと思いますよ。

 

 

 

 

 

 

『十二月大歌舞伎』

12月26日(日)千穐楽です。