ヤッホ~!帆足由美です。

 

 

 

今日ご紹介するのは

林海象監督7年ぶりの新作です。

 

 

 

 

 

 

『BOLT』

監督・脚本:林海象

主演:永瀬正敏

 

 

 

2015年から17年にかけて製作された

3つのエピソードで構成された作品です。

それぞれがひとつの物語として

成立はしているのですが、

同じ男を主人公とした短編集のような物語。

 

 

 

episode1.BOLT

(2017年/高松市美術館にて撮影)

大地震が発生し、

原子力発電所のボルトが緩んだ。

圧力制御タンクからは冷却水が漏れだし、

作業員の男は、仲間と共に

命を懸けてボルトを締めに行くが・・・。

 

episode2.LIFE

(2017年/山形市にて撮影)

原発事故後、

避難指定区域に住み続けた

ひとりの老人が亡くなる。

遺品回収に向かった男が目にしたものとは。

 

episode3.GOOD YEAR

(2015年/山形市にて撮影)

クリスマスの夜。

ひとり車修理工場に暮らす男。

工場の前で衝突した車の女を助けるが・・・。

 

 

 

ひじょうに見応えがありました!

描き方はリアルとは逆の、

心象風景を綴ったようなタッチなのですが、

林監督ならではの原発事故映画。

 

 

 

息をするのが苦しいくらい恐ろしかったのが

episode1の『BOLT』。

現代美術作家のヤノベケンジ氏が

高松市美術館の中に巨大なセットを作って

撮影したとのことですが、

スクリーンに映る光景は

防護服の中の役者の顔と相まって異空間。

宇宙的というか、近未来的というか、

人智の及ばぬ領域にも映ります。

デザインはミニマルなのに

それが逆に緊迫感をあおり、

すっかり引き込まれていしまいました。

怖かった。

続く『LIFE』で感じたのは、虚無感、そして悔恨。

締めくくりの『GOOD YEAR』は、

どう捉えたらいいのだろう・・・と、

観終わってだいぶ経つ今でも思いますが、

簡単に答えの出ないのが、

林海象作品のいいところなのでしょう。

あのあと男は、自分の人生を先に進める力を

きっと蓄えたに違いない、と今は思っているのですが。

タイトル、『GOOD YEAR』ですしね。

 

 

 

主演の男を演じるのは、永瀬正敏さん。

すばらしかった!!

台詞で多くを語らずとも、

表情で、佇まいで見せてくれます。

そもそも私は、『私立探偵濱マイク』シリーズで

永瀬さんの大ファンになったので、

今回の林海象監督とのタッグは

嬉しいかぎりなのです。

その他の出演に、

佐野史郎さん、金山一彦さん、

後藤ひろひとさん、堀内正美さん、

月船さららさんなど。

佐藤浩市さんは『BOLT』で声の出演。

 

 

 

わかりやすい娯楽作品ではありませんが、

噛めば噛むほど味わいの増す人間ドラマです。

 

 

 

ちなみに、林海象監督のデビュー作、

「英国映画協会が選ぶ、

1925~2019年の優れた日本映画95本」

1986年度選出作品の

『夢みるように眠りたい』のデジタルリマスター版が、

12月19日(土)から劇場公開されます。

佐野史郎さん映画初出演&主演作でもあります。

 

 

 

『BOLT』

12月11日(金)公開です。

公式サイトはこちら