じきに述べるとおりカレーもたしかになかなかだったが、まず驚いたのが、この揚げたてのトンカツだ。
「カツ衛門」とか「とん兵衛」「とんかつ割烹豚珍漢」といった一流のカツ専門店のトンカツに劣らぬ、カツそれ自体としてのうまさなのだった。
サクサクした衣。ジューシーな、しかしジューシー過ぎない、中まで十分揚がった豚肉。厚みもちょうどよい。カレーといっしょに食べるのがなんだかもったいなくなる。むしろブルドック・ウスター・ソースをかけて、このトンカツでご飯をいただきたい。
かといって、カレーがトンカツに位負けしているわけではない。
カレーは、トンカツの前で決してでしゃばることなく、しかし、単にトンカツの引き立て役というのでもなく、十分にカレーの香味、旨味を発揮し、そしてなんと言ってもほどよく辛く、この一品が紛れもなくカツカレーであり、カツとカレーとご飯をいっしょに食べる醍醐味ここにあり!・・・とインド人もびっくりの感激を味わわせてくれるのだった。
これでたった680円ですか!
しかもCOCO壱番館とかと違って、福神漬けだけでない、大粒のラッキョウまで無料で食べ放題。
半端な時間の割にお客が多いわけだ。
まわりを見ると、お客の2人に1人は、今日のおすすめであるカツカレーを食べているようだった。しかも、みなうれしそうに!
まさに「今日のおすすめ」という名に恥じないと思う。
黙々とカツを揚げ続ける厨房のマスターを改めて見ると、たしかにその顔には、いかにもゆるぎない自信がみなぎっているようにも見えたのだった。
私は、大いなる期待が変化した大いなる満腹感と満足感をもって、『K』のカウンターを立った。
こういうときは必ず「おいしかったです。」と一言、私は言い置くことにしている。それはもしかしたら、店の人にとっては、680円のカツカレーを食べて700円払い「おつりはいらないよ!」とか言うより、張り合いのあることかもしれないからだ。
その私の背中に、マスターの「ありがとうございました!」という気持ち良い声が。
いや、マスター、それはこっちのせりふだよ!!
私は思った。
次北海道に来た時もこのカレー・ショップに来よう。
否、このカレーを食べに、また北海道に来よう、と。
こうして私の北海道の旅も終わりに近づいたのであった。