青森では裁判とかの用事はない。知り合いの知り合いが、年取ったお母さんの財産問題でもめていて相談事があるというので、「では今度盛岡に行きますから、ついでに青森に寄りますよ。」と、こうして面談の約束をした。盛岡のついでに青森に行ける時代になったのだ。

 私はその知り合いの知り合いと面談した後、近くの「ゴダイメカギシメソバドコロカキザキ」という蕎麦屋で「どうぞ、なんでも召し上がってください。」と勧められたので、蕎麦屋に行くとたいがいそうするように、「冷やしとろろそば」を注文、ご馳走になった。ところが、いわゆるザルそばみたいなのとは違って、東京で言えば、あったかい「山かけそば」をそのまま冷たくしたような作りだったので意外だった。

 しかしとてもおいしかった。

 こうしてそばを食べた後、私は彼と別れて駅に引き返し、若干駅近辺をぶらついた。

すでにあたりはとっぷりと暮れており、ところどころ町の灯を落とす海峡には重い暗幕がひかれているようだった。

新青森に。そして、新青森614分発の「はやぶさ6号」で3時間ちょっとの旅を終え、こうして東京に帰ってきたというわけだ。

 たった1泊2日、それでもたしかに東北を旅してきたという実感は、今、漠たる疲労感となって私を包んでくれている。

 時間にすれば、わずか24時間未満の旅ではあった。