盛岡地裁で、午後1時から、ある民事裁判の最終口頭弁論に出席した。
1~2ヶ月に1回。ここ盛岡地裁にも、かれこれ1年以上通ったことになるのではないか。その裁判も今日で終わりだ。
しかし、有名な石割桜(裁判所の前庭にあるサクラの老木。巨石の間に、根を張り、その石を割りながら成長している。天然記念物。)の開花にお目にかかることがなかったのは残念であった。
まだ紅葉もしていない石割桜の前で、旅行者だろうか、ひとりの老婦人が携帯電話をかざし、写真を撮っていた。裁判所の構内で、写真を撮っても叱られないところは、そうはない。
『写真、お撮りしましょうか?』と声をかけようかと思ったが、ナンパ目的と思われても面倒なので、私は彼女のそばを黙って通り過ぎる。
午後2時26分発の「はやて25号」で次は青森に向かう。
実は、あるお客さんから英文の契約書のチェックを頼まれていて、私は昨日からずっとそれを携えているのだが、もともと英語が英語以外の外国語の次に苦手な私にとっては、まったくチェックどころの話でない。
もちろんそのお客さんは、私とは長いおつきあいなので、私が英語が読めないのを重々知りながら「大事なところだけサラッと見てくれればいいですから。」などと言いながら、こうして私にものすごい宿題を平気で課すのだ。あえていえば、弁護士にチェックさせたという口実づくりのためと言えなくもない。ただ、その「大事なところ」を「サラッと」見ることが、どんなに難しいか、弁護士をしたことのある人ならみんなご存知と思う。
しかしながら、大恩あるそのお客さんの依頼を断るわけにはいかない。
…と、新幹線の中でその契約書を見ていたのだが、わからない単語だらけで、何がなんだかさっぱりわからないのは当然であった。
そうこうするうち、「はやて」はもう新青森に到着しようとしていた。
青森も近くなったものである。
特急「スーパー白鳥」に乗り換えて青森駅に。
駅前から少し歩くと、澎湃たる海の香りが。そう、津軽海峡がそこにあるからだ。(つづく)