秋分の日は、東北地方に出張し、盛岡に一泊した。

 「セレブの宿 ホテル盛岡エクスタシー」というビジネス・ホテル。

 休日ということもあったが、1泊朝食つき3,980円という安さには驚きである。

 さぞや豪華なホテルかと思ったが、4階建の意外にもこじんまりとした宿。外観は信用金庫の支店のようであった。

「お部屋にもお風呂はあるのですが、1階にもお風呂があります。そんなに広くはないですが、夜12時までは男性の入浴時間となっておりますので、よろしければどうぞ。」

 フロントで若い男性からキーを受け取り、4階の406号室へ。

 そして、部屋の観察は後回しにして――まだ午後8時前だったが――さっそく1階の浴場に向かった。

 「そんなに広くない」と言われてはいたものの、なかなかどうして、そんなに広くない湯船と洗い場。

 ただし、たとえばライオンの口から湯がジャージャー流れているようなこともなく、要するに余計なものは何ひとつない。たとえば脱衣所には洗面台とかトイレとかもない。ましてや体重計とか、乗っかると足の裏が刺激される足型みたいなくだらぬものもない。

洗い場にも鏡なんかない。だからブヨブヨした自分の姿にゲンナリせずにすむ。

 こうして1泊3,980円を実現しているとすればうれしい。

 ただ、壁には合板の化粧板が工事現場みたいにきちんと貼られており、さらに――おそらくその日私が一番乗りだったこともあろうが――そうじは行き届いており、老婆の髪の毛が排水口にからみついているようなこともなく、清潔で、非常に好感がもてた。

 入浴中、ほかの客が来ることもなく、ひとりゆったりと旅の疲れを落とし、私は大満足で部屋に戻った。

 そのうえで室内を実況見分したら、やはり客室内も、不要なものはすべてそぎ落とされており、コスト意識の徹底には眼をみはるものがあった。

 たとえば、洗面台には歯ブラシとかカミソリなどのアメニティはおろか、コップもない。いやそれ以上にここでも鏡がないのが特に珍しい。

 テレビはあるが、当然ながら衛星放送は見られないし、地上波にスイッチを合わすと、早く地デジ化しろ・・・という例の黒帯が出てくる。有料チャンネルも1チャンネルしかない。

 さらに、部屋の中には電話がない。これも今どきのビジネスホテルでは珍しいが、お客のほとんどが携帯電話を持っていると思われる今日では本来客室内の電話なんて必要がないと思うのだ。

 しかしベッドは比較的広く、枕はとても薄かったが(私は二つ折りして寝た)、十分安眠でき、私は日頃の寝不足をかなり解消することができた。

 さて、楽しみなのはここの朝食である。

 ・・・翌朝、さぞや素晴らしい朝食たちが待っているのではないかと思い(ちなみに、朝食券なるものもない。)、1階の朝食会場に行ったところ、7,8種類のおにぎりに漬物、梅干、佃煮などが食べ放題、コーヒーやお茶といった飲み物も飲み放題。しかも、鍋にたっぷり入った熱々の豚汁がおかわりし放題。その豚汁がものすごくおいしくて、私は、これは絶対来年のB1グランプリに挑戦すべきでないかと思ったほどだった。

 結局、中国という全体主義的国家とこれからも親密にお付き合いしようという以上、こちらも堅いことばかり言ってられないということではないのか。

 ただ、検察庁の判断がこうして非常に政治的であり得ることが、はしなくも今回明らかとなった。

 しかし、政治的判断で被疑者を釈放するならまだましである。

問題は、その逆も十分あり得るし、これまでもそれが実際なかったとは言えないのではないか、ということである。

 わたしたちは、検察権力の行使に、今後も常に監視の目を光らせていなければならないだろう。

 日本が、民主主義国家、自由主義国家であり続けるために。

★ 写真は、ホテル盛岡エクスタシーのユニット・バス内のトイレと洗面台。便座にすわるとこの角度ではトイレット・ペーパーが非常に使いづらいのだけが、ここの欠点であった。


弁護士市川尚のコンビニエンスな日々