中央音楽隊『アメージングレース』

第17話……


18:56(ヒトハチゴォロク)-α分

川上村梓山地区レタス畑

「今の撮ったわよねッ?」とさゆりがアツオに訊く。

「うぅ~ッ!ダメだった!……」とアツオが、嘘みたいな返答だ!

「ッ?嘘でしょお~ッ?……カメラマンが映像ォ~撮れなくてェ~どうすンのよォォォォォ~ッ!」と、先ほど前の~さゆりスマイル~は何処?へやら?アツオにキレるさゆりだ!……周りの見物人達、高山義人の母タエも唖然としている……。

オォ~イ!さゆりちゃ~ん!と叫びながら、中継車運転主のハジメが走って来た。‘‘肩掛け電話’’を持って来た!

「デスク(SNTテレビ社会部)から電話ですゥ~ッ!」と言いながら、肩掛け電話の受話器をさゆりに渡す運転手石田ハジメだ。

「はい!記者の池田です!……はいッ!……‘‘番組終了挨拶’’は中止ですね!……わかりました!……はいッ!………」と話し始めるさゆりだ……。

「……上空を~かなり低い高度で埼玉県側からァ~ッ!……三国峠を超えて現れましてェ~ッ!…はいッ!……あれは日本航空のボーイングジャンボ747型機ですッ!……3機の~‘‘ファントム戦闘機’’でしょう…数百m後方を追尾飛行して行くのを見ました……遠いンですがァ~1枚だけ写真を撮れました……ジャンボ機は垂直尾翼が吹き飛んだかのように欠損していました!……かなり高度は低く……今~右に旋回して行くのを見ました……はいッ!……長野、群馬、埼玉の3県がまたがる辺りの山間部に……戻るように飛んで行きました……」と……SNTテレビ東京本社デスクの関係者と、同じ内容の電話連絡をfew分間している……。その時だった……!『3県にまたがる辺りの山間部』……曇り空の下の山々の隙間から、流れ星のような光が走るのが見えた!

サァァァァ~ッ!と音がした感覚がした!次の瞬間だった……!

ドゴゴゴォォォォォォ~ゴゴゴォゴゴゴォォォォ~ッ!と地鳴りのような音がした!

『3県がまたがる辺りの山間部』の空に立ち込めた雲が、一気に明るく輝いた!明るい輝きは、なかなか終わらない!やがて、巨大な炎の塊りが昇るのが見えた!……数十秒してキノコ雲に変わった……。

「……………………」と無言になる、さゆりだ……。

『モシモシ!……モシモシ!…』と受話器から声がする……。

「………………今……『長野~群馬~埼玉の3県にまたがる辺りの山間部』の空に流れ星のような光が走り~轟音が轟き~大爆発が起きて……数十秒間巨大な火炎が立ち昇り……きのこ雲に変わりました!……何か大爆発が起きた模様です……長野、群馬、埼玉3県にまたがる辺りの山間部の上空の曇が明るく照されています……先ほど飛来したジャンボジェット機が……墜落して炎上している可能性があるようです…」と受話器でデスクに伝えるさゆりだ……。


『えェ~……乗員、乗客524人を乗せた~東京発大阪行き日航123便が~今夜~長野県内に墜落しました…』と露木アナウンサーが、ニュース速報を伝えたのを皮切りに……全放送局が、一斉に事故報道ニュースを流した……。テレビ放送プログラムの一切が、一蹴され‘‘日航ジャンボ機墜落事故’’ニュースが、テレビ画面を占拠した!

 が……情報は錯綜し、墜落現場は、二転三転する……。 当初、露木アナウンサーは『長野県北相木村御座山』が墜落現場と伝える……。

『群馬県富岡市山中』という情報もあった……。『群馬県、長野県の県境の山中』という情報もあったが、場所特定には繋がらない情報であった……。


21時台~

群馬県、長野県の県境の街

川上村消防団第α分団集会場(第α分団)

『墜落現場を取材に行け!』とテレビ局SNT本社社会部デスクより‘‘取材命令’’だ!会社の命令には従わねばならないが、さゆりの‘‘功名心’’はエネルギー満タンだ!

(「掛かってらっしゃい!」)と……自分から戦いを挑む姿勢だ!それは、他のメンバー4人も同じことだ!ハイエナのように、特ダネに飢えている……。

『急な取材』に対応出来るように、取材車両の中には、メンバー4人の‘‘一泊用のナップサック‘’が積んである。内容……水筒、プラ袋パック、鼻紙、替え下着、タオル……ラジオだ。

 取材クルーは……運転手~石田ハジメ、V.E.~(機材操作)太田ケイイチ、薄汚れたカメラマン~広川アツオ……そして……記者~池田さゆり……の4人で1チームだ……。川上村から相木村~上野村……へと、アチコチの消防団集会場を廻る、SNTテレビ取材クルー達4人だ!

 ヘトヘトになりながら、あちこちの消防団分団集会場と、役場を廻るさゆり達だ!【相木村】【川上村】消防団分団集会所に行くと、消防団員の男性達や、地元猟友会のメンバーが集合していた…。

「あと、1ヵ所……この地域なら【上野村】消防団と役場には……絶対に行かなければならないワァ~!……ここ等ァ辺の超有名村議会議員さんに~お見知り置き~して頂かなくっちゃ!」とさゆりは言った。~上野村消防団集会場~と村役場……少し、遠かったが、行ったのであった……。

 川上村消防団第α分団集会場に戻ったのは、21時くらいになった頃であった……。何処の消防団分団集会場にも、人はいるけど、全然、場所が特定出来ずにいる消防団員達だった……。

「三国山と御巣鷹山の間辺りに墜落した筈なンです!……連れて行ってください!」とさゆりは団員達に言った!

「構わないが…そもそも場所が特定出来ていない」と言う団員達だ……。

「ほぼ……三国山と御巣鷹山の合間くらいなンです……捜索に、一緒に連れて行って欲しい」と伝えるさゆりだ!

「だって!さっき〜!テレビのニュースでは〜上相木村の山間部ゥ〜て!言ってたンダニィ〜」

「ケイちゃん!映像ォ~見せてあげて!」とケイイチに言うさゆりだ。

 V.E.の太田ケイイチは、車内モニターに、墜落事故現場らしき山あいから立ち昇る煙等のVTR撮り映像を、モニターに映し、消防団員達に見せた。車内モニターの映像を消防団員達に見せて、団員達に言うアツオだ。

「ほぼ……三国山と御巣鷹山の合間くらいなンです……捜索に、一緒に連れて行って欲しいンです……」と、再度、伝えると、まだ怪訝な表情の団員達だ……。団員達としては『村の地域情報と行動を~都会モノに先導され仕切られている』感じが、やはり困惑気味らしい……。

「これを聞いて欲しい」と、さゆりは、ラジオを取り出した。現場近くからの様子を伝えている‘‘文化放送’’をラジオで流した。団員達は、静かになり、ラジオ放送を聴いた。

『文化放送より……

長野県北部に位置する三国峠の登山口近くの山道からァ~群馬県南部に位置する御巣鷹山方面を向きながら実況しております……

火災が発生している模様です……現場近くの三国峠より中継です……

~長野ォ~群馬ァ~埼玉ァ~3県に股がる三国山と御巣鷹山の間の辺りの上空に黒煙が立ち昇り……黒煙が下からオレンジ色のような明るい光に照らされております……

おそらく黒煙の真下ではァ~大規模な火災が発生してるモノと思われますゥ~

先ほどまでは航空自衛隊ファントム戦闘機の飛来が確認されています……

【大型飛行機が墜落した可能性が高い】という情報も寄せられてます……

炎を確認することは出来ませんがァ〜火災による黒煙がァァ〜……オレンジ色の明かりで照らされているのが確認できます……

おそらく黒煙の真下では…大規模な火災が発生してるモノと思われます……

警察でしょうかァ~消防でしょうかァ~自衛隊でしょうかァ~所属はわかりませんが……上空からヘリコプターがサーチライトで下を照らしている様子が……確認出来ます……
先ほど入った情報であは【アメリカ軍横田基地から救難のためのヘリコプターが飛び立ち……現場に向かった】……という情報も寄せられています……

山の中腹辺りに火災が発生している模様ですゥ~……

えェ~……中継をお届けしています……』 

 ラジオの‘‘文化放送’’の中継は……

~長野、群馬、埼玉…3県に股がる、三国山と御巣鷹山の間の上空に黒煙が立ち昇り……下からオレンジ色の明るい光に照らされている~……

~黒煙の真下で大規模な火災が発生してるモノと思われる~

~ヘリコプターが山あいをサーチライトで照らしている様子が、山々の隙間から伺える~

~航空自衛隊ファントム戦闘機の飛来が確認されている……

……という内容の中継を、繰り返していた……。

『地元住民の方の……長野県川上村梓山地区レタス農家の高山タエさんにィ~お話を伺いましたァ~その時の録音をお聞き下さい……【夕方のォォか6時50分くらいダニ~ジャアァンボォゼット(ジェット)機がァ~三国峠の山々を越えるように低ゥ~い高さでェ~飛んでェ~来たダニ~!あまりに低い高ささァ~飛んで来るダニィ~みんなァ~びっくりして驚いたズラァァ~!丁度ォ~レタス畑の農作業をテレビ局の人達が取材に来てたんだダニ~はぁ!カメラマンさん驚いてェ~畑ェ~にひっくり返しンなって泥だらけェ~なったダニィ~】』

ワハハハハハハハハハハハハハハハァ~!と消防団員達は爆笑だ!

「それでカメラマンさん薄汚れてンダニはァ~~!」と『アツオが梯子から畑の地面に落ちたために…TシャツとGパンが薄汚れている』と理由が分かった消防団員達だ……。改めて、東京から来たSNTテレビ局カメラマン~アツオの‘‘薄汚れ’’に目を向ける消防団員達だ……!

ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と再び、爆笑の団員達だ!ラジオは続く……。

『【その後をォ~ゴォゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ~!ゴゴゴゴゴゴォ~!ゴゴゴゴゴゴォ~!てェ~はぁ~!すごい音させて飛んでったダニィ~すごかったズラァ~!自衛隊の戦闘機が3機ィがァ~ジャンボゼット(ジェット)機ィ~追っかけてったンだニ~!……ヤァ~はぁ~!すごかったズラァ~!……何分かしたズラかァ~?流れ星みたいな光が見えた……思ったらダニはァ~!……ババババァァァァ~ン!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ~ン!てェ~雷ィ~が落っこって来たよォォなァ~はァ~?すごい音がァァ~したズラァ~!地震が来たみたいに揺れてェ~!みんなァ~またァ~ひっくり返しン倒れたダニ~!グラグラァ~て!】』ラジオが中継している三国峠から見ている様子の生中継である……。やはり、方角、場所的に、さゆりの言うことと同じである……。

「でもなァ~……」と……『よそ者の場所特定』を田舎街の消防団員は、受け入れ辛いようだ!ジャンボジェット機のコックピット内にあった‘‘運用規定’’と似たようなモノだ。

「お願いします……!」と頭を下げて頼むさゆりだ……。気まずい時間が流れた……。その時だった!

ルブルプルプルプルプルプルプ~ン!……ルブルプルプルプルプルプルプ~ン!……ルブルプルプルプルプルプルプ~ン!……と消防団集会場場の新型電話が鳴り響いた!

「ハイもしもし!川上村消防団第α分団集会場です……!」と団員の1人が電話に出た!

「……えッ?……上野村の?……ナラツカ村議ですかッ?……えッ?……ハイッ!……少々お待ちくださいダニ~!分団長に代わりますズラ~」と団員は『上野村の議会建設委員長のナラツカ村議からダニ~!』と受話器を分団長に渡した。

「ハイッ!……ハイッ!……ハイッ!……えェ~!東京から来たテレビ局さん達がァ~……ハイッ!……わかりました!……FAXが送られてくるンですダニ?……ハイッ!わかりましたダニ!……ハイッ!わかりました!……失礼しますダニィ~!」と言うとチャカン!と音をさせて受話器を置く分団長だ……。その時だった!

ルブルプルプルプルプルプルプ~ン!と電話が鳴り響いた!FAX機が動き始めた……。シャラララァァ~!と音がして、用紙が出て来た!

シャラララァァ~!と音がして、用紙が、もう1枚出て来た……。
「『上野村のナラツカ村議さん』からだ!……『先ほど上野村役場に来られた東京のテレビ局さんの情報と同様の譲歩が複数~寄せられていてェ~信憑性が高い』ようです……【相木村】【川上村】【上野村】の消防団員の3方向から、夜明けを待ち、速やかに捜索に向かいましょう』……と書かれてあるダニィ~!……分かりました!……明るくなったら~捜索に出発しましょう!」と分団長は、言った。‘‘この辺りの村’’の‘’村役場連盟理事長‘’をしている【ナラツカ村議】からの指示にニコニコ顔だ!やはり『‘‘この辺りを仕切っている人物’’の指示』が、欲しがったようだ……。
「ありがとうございますッ!」とさゆりは、笑顔を輝かさせて、分団長にお礼を叫んだ!
 消防団集会場前の空き地に停めた、テレビ局中継車の中で車中泊の4人だった……。
21:00(フタヒトフタマル)
上野村スギの沢墜落現場
うッ……!ウッ……!はぁ~!ウッ!ウウウゥ~!……少女の泣き声がする……。
「……1人ぼっちになったンねヤなァ~……アタシィ~……!」……12歳の少女…川上慶子…に突きつけられた現実は、あまりに辛く悲しいモノであった……。
 墜落直後は、周りには‘‘生存者’’が何人かいて、しばらくは、呻き声があちらこちらから聞こえていた……。
 が……墜落few時間後の今……暗い森の中に、機体の残骸と、何やら‘‘蜂の巣’’のような航空機機械部品に乗っかられ、挟まれ、身動きが取れない中……独りが怖くて堪らなかった……。ほんのfew時間前までは、‘’おとン‘’と妹の‘’咲(咲子)‘’は生きていたのに……。
 真っ暗闇の森の中……喋っていないと何か?『自分も死神に連れて行かれる!』という強迫観念に捕らわれ、怖くて堪らなかった……。まるで、映画で良くある‘’設定説明役‘’のように、独り言で自分のことを喋り続けている……。
「ジャンボジェット機(自分の乗った)が、飛び立ったやン(離陸してから)~ほンのォ~(僅か)十分とチョイ後やったやン……いきなりパアァァァ~ン!て大ッきな音(破裂音)してェ~白い煙(飽和水蒸気)ィ~入って来てン~息が苦しュウ~なってェ~後ろ向いたン……プロペラみたいン(なモノが…)回っとッたン!……『降りて来た酸素マスク』被ったったン……息するンはァ~楽~ンなったさかいなァ~……救命胴衣ィ~着けるン難しいンやわァ~スチュワーデスんおばちゃん(祐三子)がァ~お世話してくれたんサカイ……付けられたン……スチュワーデスさんてェ~大勢ン人ンためン~必死んなっとってン……!……むッちゃすごいわァ~……~むっちゃァ~シブかったわァ~ほンまァ~カッコえかッたわァ~!…………ほンまァ~誰かて憧れるてェ~……アタシもスチュワーデスんなりたいわァ~!……でも……スチュワーデスの試験てェ~むっちゃァ難しそうやわワァ~……看護婦さんとかもええなァ~」……と最後は『自分の夢』を説明?し始めた……!
 が……喋ることがなくなったのか?……静かになる少女だ……。
「…………おばちゃァ~ン!…………おばちゃァ~ン!…………スチュワーデスのおばちゃァ~ン!……ほんまァ~おおきになァ~!……おばちゃァ~ん……生きとらンのォ~?」と『自分達乗客を守るために必死になってくれた憧れの職業の人』に呼び掛ける少女だ……!‘’スチュワーデスのおばちゃん(祐三子)‘’の返事はない……。
「ウゥ~ッ!……ウッ!……ウゥゥゥ~!……死んでしもおたンかァァ~?……アアァァァァァ~ッ!アアァァァァァ~ッ!アアァァァァァァァァ~ッ!」と泣き出した慶子だ……。few分間、泣き続ける少女だ……。しばらくして、また、喋り出した……。
「右側ン方ン席ぃン人達ィ~見たら‘‘酸素マスク’’~壊れとったみたいン~見たら何ンも空気出てこンやッたみたいン……苦しそうンしとったン……うくッ!……ウゥ~ッ!アハァ~ッ!……エホォン!オハァン!エホォン!」と咳き込み始めた……。しゃくりあげ、涙鼻水をすすり上げた。
おはァァン!えはァァン!おごォほォン!とすすり上げた鼻水に土埃が混じっているのであろう……少女は苦しそうに咳き込ンだ。

おはァァン!えはァァン!おごォほォン!……咳き込みは、しばらく続いた……。しばらく続き、おさまった……。

ウ!……ウ!……泣き出しそうな慶子だ……。また、ブツブツ独り言再開か……?と思いきや、大きな声で泣き出した12歳の少女川上慶子だった……。

「ウゥ~ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~ッ!誰かァ~おらへンのォ~ッ?……生きとッたらァ~ッ!……返事してンかァ~ッ?……ウゥゥゥゥゥゥゥゥ~!……さっきン(先程の)僕ゥ~ッ?……生きとッたらァ~ッ!……生きとッたらァ~ッ!……返事してンかァァ~ッ!……ウゥあァァァァ~ッ!……エッ!…エッ!……『僕ゥ~!……がんばるゥ~!』言うっとッたやンかァ~?……うアァァァ~ッ!」と……墜落直後……近くで生きていたのに、何も喋らなくなった少年に、泣きながら呼び掛ける慶子だ……。返事がない……。息絶えたということだ……。
「アアァァァァァ~ッ!飛行機落っこちたとッ(時)から腕が痛いねェ~ン!おとンが乗っかかッとン……手ェ~痛いワァ~!……おとン!……おとン!……死んだンかァ~?なァ~おとン!死んだンかァ~?……落っこちたァ時~『おとン!動けンやンかァ~!』言うたッたン『ワシも身動き取れへンワァ……』答えれたやンかァ?オホォォォォォォォォォォォォォ~ッ!アアァァァァァ~ッ!何やァ?死んだンか?……おとン!……何ンか言うたッてやァ~!…………ワヒィィィィィィィ!」とだんだん泣き続けて、疲れ始めた慶子だった……。
「エッ!……エッ!……ィヒィィィィィ~ッ!……おとン……何ン?冷とうなっとンねやァァァ~ッ?」と隣の席の父の身体から、体温が下がって行くのを受け入れねばならない慶子だった……。
ウゥ~ッ!ウアハァァァァァァァァァ~ン!…ウゥ~ッ!と泣きながら……次は?
「咲ィ(咲子)~?……咲もォ~死ンだンかァ~?おかン触ってェ~『冷たい~』言うとッたやンなァ~!『なン?縁起でもないこと言うとンねェ~やア?』思ッとったらァ~人ってェ~死んだンらァ~冷とうなるンやなァ~!おとン冷とうなっとンねン……咲ィ~?……咲ィ~?」とずっと同じことをリピートしているようだ。リピートしては……?
アハァァァァァァ~ッ!アアァァァァァァァァ~ッ!と泣き声を上げている慶子だ……。
「さっきまで動いとッたやンかァ~!『足ィ~動くかァ~?』姉ぇちゃん~が訊いたッたッたらァ~ッ!バタ!バタ!足ィ~動かしたッとッたやンかァ~!『苦しい~!』言うとッたン……その後ォ……ゲボ(嘔吐)吐いとったやンな!……ほんま(本当)ン苦しかったンやな……ゴメンなァ~動かさしたッたらあかンねンなァ~?……おとンも死んでェ~おかンも死んでェ~……咲ィまで死んだン……真っ暗やン……姉ぇちゃん怖いわァ~!さっきからァ~飛行機がァ~ブンブン飛んでくるくせン!……早よ~助けに来てやァ~!……見えてンねやろォ~?さっきンまでェ~生きとッた人ォ~おったでェ~!早よお来いへンさかい……死んでく人ォ~出とるでェ~!……早よォ~来てえなァ~!……ウゥ~ッ!……早よォ~助けに来てンかァ~!何ンで来てくれえへンねン?」
ブボォボォボボォォォォォォォォォォォォォ~!とプロペラ機が、飛来しては去って行く音が聞こえている……。
「おとンも~おかンも~咲も~暗くなる前まで生きとったやン!ン……ウゥ~ッ!アハァ~ッ!……昨日までェ~!みんなでェ~楽しかったやンかァ~!ウウゥ~ッ!アハァ~ン!……ウッ!……ウッ!……昨日までェ~!ウクゥンはぁ~!北海道ン旅行行ってェ~!……『むっちゃァ~楽しかってン!』のに……ウゥ~ッ!おとンとおかンと咲と~皆ンなでェ~……『むっちゃァ~楽しかったてン!』のに……羽田空港で‘‘さんまちゃん’’おってン……『ヒャホホォォ~!』て笑ってくれたン~……さんまちゃん~ほんまカッコえかってン~……ほんの何ン時間(3時間とfew十分)か前やン……空港ロビーでは、やたらオモろい(楽しい)~家族(関西人)~がワラかしてくれとったン……席が近くやからァ~またワラかしてくれるンか思ってン……生きとってくれへンかなァ~?」
コタッ!……チバッ!……何やら?……何mか?……割りと近くで、微かな音がした気がした……。
「……ハッ?……誰かァおるンゥ~?……生きとるぅン~ッ?……生きとッたらァ~!……生きとッたらァ~!……返事してンかァ~ッ!…………返事してンかァァァァ~ッ!」と慶子は叫んだ。
 微かな音は、あれっきりしなかった……。
「あかン……おとンの隣で……しとおないけど……あかン……もお……限界やわァァ~……もお~あかン……」と言うと、慶子は力を抜いた……。暗い森の中が怖いのもあったが……【生理現象】に耐えられなかった……。
アハァァァ~!と息を大きく吐くと……‘‘楽になれた’’……。
…………タポポポボポポポポポポポポポポポポ!……と液体が流れる音がした……。
タポ!……タポ!……タポ!と……やがて、滴が垂れて滴る音に変わった……。トプトプトプトプ……!と遠くで微かな音がする……。
ハッ?……誰か生きとる?……あたしンつられて?
滴の音は……!ドコ!トプ!トプ!トプ!トプ!……!ドコココココ……!と森の木々が震える音に変わって行く……。
「ハッ?……ヘリコプター?(の音だ)……‘‘救助隊’’?……助けてくれるの?……早く~助けてぇ~」と、また、独り言の慶子だ……。そして、ハッ?と気づいた!
「どうしよう?……今ァ~漏らしてしもうたンさかい……スカート~びちょびちょやン!……漏らしたン~バレちゃうやン~!」と生死の境にいるのに【生理現象】を救助隊には、気づかれたくない‘’恥じらい‘’はある慶子だ……。
ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!……とヘリコプターの頼もしいエンジン回転爆音が近づいて来た……。 辺りが、昼間のように明るくなった……。ヘリコプターが、サーチライトで慶子のいる辺りを照らし始めた……。慶子の上には金属性の板で遮蔽状態だったなっているが、地面?当たった強烈な光量が横向きに変わり、慶子の方向の光が来るのだが、おとンの身体で影になって、真っ暗なままであった……。咲を確認したいに出来なかった……。
ビョワワワワワワワワワワワワァァァァァァ~ッ!と強風が地面に吹き付けて来た……。慶子が挟まれている、機体残骸を強風が襲った!凄まじい量の、枯れ草や土埃が吹き寄せられた!
「んあッ!……ぶグはァッ!……ウグッ!……プぶはッ!……パはァ~ッ!」と、慶子の顔を、埃大量に吹き付けられた!目が開けてられず、鼻や口の中に土草埃が、次々に吹き込んでくる……。
(「ひィ~ッ!もうアカン!……堪忍してやァ~ッ!……息が出来ケェ~へン!」)と……助かった命……早く収容して欲しいのに……。あまりにも救助隊が遅すぎる…トロ過ぎる……。これだけ、土草埃を吹き付けたンだから、早く収容して欲しい慶子だ!

アメリカ海兵隊
ヘリコプターUH−1キャビン内
ドコドコドコドコドコドコドコドコとエンジン回転爆音が騒がしく、怒鳴り声でやり取りの隊員達だ!
「見つけたゾォ~ッ!あそこ等ァ辺だァ~ッ!」と海兵隊ヘリコプターUH−1キャビン内で叫ぶのは、軍曹エバンス(仮名)だ!サーチライトの強烈な光量が、降下地点を照らす……。墜落時の炎上を免れ、損傷が少なかったらしき後部の白い機体残骸を見つけたのだ!樹木と樹木の間は割りと狭いかも知れないが、4人が同時に降下しても大丈夫そうだ!
 ヘリコプター小隊指揮官エバンス軍曹が叫ぶ!
「オーケェ~!マリーンズ!海兵隊ィ~ッ!スタァ~ンバァゼィシャアァン!位置に付けェ~ッ!」
「ウゥゥラァッ!(了解ッ!)」と叫ぶ医師隊員を含む、部下海兵隊員達は、既にハーネスの環にロープは通してある……!ヘリコプターの、両側部スライドドアが開けられた!ロープが機外に投げ垂らされた!スキッドに2名ずつ4人の海兵隊員達が立った!
「リペェ~リングディセントゥ~ッ!降下用意ッ!」の次に『ゴォ~ッ!(降下始め!)』を叫ぼうとしたエバンスだ!脚を軽く曲げ、スキッド後方に跳び退く用意の、医師隊員を含む4名だ!
 その時だった……?
「ワァ〜ットゥ?…何ンだってェ〜ッ?」とエバンスが、レシーバに手を当てて叫んだ!
「…中止だッてェ〜ッ?ホワァ〜イッ?何故だァ〜ッ?……本当に中止かァ〜ッ?……オケェ〜!分かったァ〜ッ!…スタァ〜ップ!…中止だァ〜ッ……」
「エッ?…何故ですかァ〜ッ?………救える命がァ〜救えなくなりますヨォ〜ッ!」

あっけに取られる4人の部下達だ!

 「『ジャパニーズアーミーが来るから』だとサァ〜!」とエバンスは吐き捨てるように告げた……。
「まさかァ〜ッ?…『面子』とかに、こだわってるンじゃあないでしょうねェ〜!シィ〜ットゥ!ザケやがってェ〜ッ!ジャパニーズアーミーは来るのがクソ遅すぎるぜッ!…平和ボケのアーミーごっこ共がァ〜ッ!」
「帰投するゾォ〜ッ!」
「ロープ仕舞えェ〜ッ!」
「ゲッファック!クソ喰らえェ!ボォウィスカァウトゥ!‘‘ごっこ’’ジャパニーズアーミーがッ!」
ブルバウゥワァァァァァァァ~!と遠ざかるエンジン回転爆音に変わり、アメリカ海兵隊ヘリコプターは飛び去って行った……。

スゲの沢
墜落現場
ブルブルブルワァウワァァァァァァ~ッ!と、ヘリコプターのエンジン回転爆音が
、遠ざかる音に変化した……。
ブルルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~ッ!と音は、どんどん小さくなって行く……。
「……ッ?……嘘でしょォ~ッ?……人に土草埃をたくさん吹き付掛けておいてェ~ッ?……置き去りなのォ~ッ?……信じられへんわァ~ッ!……ねェ~ッ!助けてェンかァ~ッ!……ウッウウゥ~ッ!……置いて行かンどいてェ~ッ!……ウェェェェェェ~ッ!」
とあまりの絶望に泣き出した慶子だ……。
ウウゥゥゥゥゥ~ッ!……ウェェェェェェェ~!アッァァァァ~!……しばらくの間、慶子は泣き続けた……。やがて、泣き声は、聞こえなくなった……。眠ってしまったようだ……。

ブボォボォボボォォォォォォォォォォォォォ~!とプロペラ機のエンジン回転音か、飛来しては去って行く音が聞こえている……。慶子にとっては、何の、役にも立たない飛行機のエンジン回転音であった……。


8月13日
04:30(マルヨンサンマル)
三国山登山口前小広場
 薄明るくなってきた04:00時頃、集会場を出発した!消防団軽トラ3台の荷台に団員3人×3台の計9人を乗せて、30分くらいして、三国山登山口前小広場前に着いた……。
 何回か、切り返しして車の向きを変えるSNTテレビ取材中継車と、赤色消防団軽トラだ。
「じゃあ……ケガだげはァ~気をつけるてくれダニなァ~ァ!」と消防団の軽トラ3台の運転手3人達だ!
「編集と中継は任せて下さい!」と、STNテレビ中継取材車両に残る、運転手ハジメとV.E.ケイイチは、藤岡市内の公共体育館で待機だ……。


05:00〔マルゴォマルマル〕

三国山山中

  辺りが明るくなってきた…。出発となった…。第α分団の9人の消防団員について行く形で『沢を進む』という方法を取り、三国山山中を上り進む、さゆりとアツオだ…。 

『沢を登る』と言葉にすれば簡単だが、沢は『雨が降ると川になり水が流れる』ような山道なのであるから、岩がゴツゴツあり、アスレチックのような急坂である……。

 岩を乗り越える時に、岩の上にカメラを置いて、岩の上に這い上がるように登る。進むと、また、岩がある……。その繰り返しを続けなければならない……。
 山の中は、涼しくて丁度『沢登り』には、良い気温だ……。なのに、す様運動量である……。
「アァ〜ッ!暑い〜ッ!暑くて堪らない〜ッ!」とカメラマン広川アツオは、ダラしない……?
ウグ!ブグオ!喉を鳴らして、水筒の水をガブガブ飲み出した!
「ダメッ!」とさゆりは水筒を取り上げる!
「何するンだい?」とアツオは抗議だ!
「口の中を湿らす程度ずつ飲まないとダメッ!すぐにバテちゃうよッ!」
「いやいや!飲ませてよ!」
「ダメッ!バテたらカメラマンがいい映像を撮れるのッ?」と【広田アツオの【言うことの聞せかた】は、かなりの、さゆりだ!
「…………ウゥ~……(それもそうだなァ~)」
 いやいや……誰でも、同じである……。消防団員達も、アツオ程ではないがフ〜ッ!フゥ〜ッ!ハァ〜!ハァ〜ッ!息が荒い……。 それも、そうだろう……。山火事の消火などで、沢を登ることもあるが、とにかく、三国山の近辺は傾斜が急である……。しかも、登山道でない沢は、更に急傾斜であろう……。

 30分進んでも、少しも墜落事故現場に辿り着く雰囲気にはならなかった……『ちょっと〜違うかも知れないダニなヤァ~…』と消防団員が言った…。 

〔「嘘でしょ?……地元の人だから詳しいンじゃないの」〕と愕然とするさゆり達だ! 

「戻るだダニなァはァ~!」と消防団リーダーは“簡単に”言う……。 

(「エェ〜ッ?今のは‘‘空耳’’……」)と……聞こえないフリのさゆりだッ!

「登山道でなぐゥ~山ン中ァへ入っだらァなンてはァ~地図なンてないンダニなァ~!『進んでェ~はァ~間違ったら戻るダニはァ~……山ン中ァ案内なンてほンなもンダニなァ~』進んでェ~来ダら間違っでだダニなァ~!」とやはり団長の言葉からは、逃げられないみたいだ……。

「……あのォ〜……そのォ……つ……つまり……今ァ〜進んで来た……”沢”……」と言いながら、進んで来た沢を見下ろすさゆりだ……。

「……コ……コレを戻るということですか?」と……恐る恐る”団長サン”に訊くさゆりだ……。

「んだなァ〜!進んでェ~来ダらァ~間違っでだダニなァ~!……戻るダニはァ~!」と、まるで“当たり前”のコトが起きたかのように『同じセリフ』で簡単に返事をする団長サンだ!

「エェェェ〜ッ?」「ウソォ〜ッ?」と愕然として声を上げる、さゆりとアツオだ!
「あの〜3…30分はァ登って来ましたよね?」と抗議を混ぜ気味に団長に言うさゆりだ。
「下るのはァ〜“地球の重力”に任せて行けばァ〜10分も掛がンねェ台はァ〜!」
「走って降りたらァ〜イイだに!」と団員だ!足先を見ると、団員達は‘‘地下足袋’’を履いている……。
ンダなァ〜?ンだな!ンだ!ンだっぺはァ〜!団員達は常にポズィティブだ……!

「分かりました!戻りましょう!」とさゆりは言い〔「どうぞ!」〕と手でジェスチャーした…!

「行くダニ〜ッ!」アイヨォ~!ンだなヤァ~!と言いながら、驚きだ!
ピョン!ピョン!と沢をロングストライドで『平地を走る』が如く、走り降りて行く!まるで忍者だ!足先を見ると、団員達は、皆が‘‘地下足袋’’を履いている……。‘‘忍者’’になれるワケだ……。
 あっという間に、団員達は20mは先に行ってしまった!
「…………ッ?……やめなさいッ!」と叫ぶさゆりだ!
うわァ〜ッ!と叫び声を上げ、薄汚れたTシャツの背中を、さゆりに掴まれて、走り降りようとするのを止められるアツオだ!
バッカじゃないのォォォ〜ッ!とさゆりの叫び声が、山に響いた……!
『何ンだに?』『何ンだズラ〜?』とさゆりの叫び声に、走り降りを止める消防団員達だ!
「転んでカメラが壊れたらドウすンのよォォォ〜ッ!」と言いながらピョン!と岩から下に降りた!さゆりだ!振り返るとアツオの方を向いて、両手を伸ばした?
〔「んん……???」〕と…何ンだか?分からないアツオだ!
「何ンだヨ~『抱きつけ』て言う(のかい?)ッ?」
「アホかァ~ッ!カメラ渡しなさいッてのォォ〜ッ!」とアツオを遮り、怒鳴り付けるさゆりだ!
「ヒィ〜ッ!」と悲鳴を上げるアツオだ!カメラをさゆりに手渡し、岩場を降りる。
『いやはァ〜…コレじゃあ……倍の時間、掛かるべナァ〜』と消防団員達は、呟いた…。
few時間後…
「ン〜ココじゃァ〜ないみたいダニなァ〜ぺはァ〜ッ!」と、リーダー『間違い』3回目だ!
エエェェェェェェェェ〜ッ?と、またまた愕然の声を上げる、さゆりとアツオだ!
最初に30分間、登り進んだ沢を『間違い』ということで、戻り、また、沢を30分間程登り進み『間違い』ということで、戻り、また30分間程、沢を登り進んで来た……。
〔「困った人達だなァ〜!……かと言って、団員さん達がいてくれないと困るしなァ〜」〕と参ってしまったさゆりだ……。
「戻るダニ〜ぺはァ〜〔ッ?〕」
「ちょっと待って下さいッ!」とリーダーの言葉を遮るさゆりだ!今回、登って来た沢は、かなりの急傾斜て‘‘沢’’と言うより‘‘崖’’に近い……。戻ることは、受け入れられない!
 もうfew時間もロスタイムが発生している。そして、自分は‘‘森林探検フォーゲル部’’だった!
『森の中で迷った時は……真っ直ぐ進む……』だ!

えた……。

「コレじゃあ〜ラチが開かないですッ!……」とリーダーに言うさゆりだ。
「一旦、沢を上に向かって登り進みましょう……!最後まで登って、現場が見えなかったら、もどりましょう!」と付け足した!


スゲの沢
上野村消防団ルート
 ナラツカ村議から送られてきた指示であったが……
なかなかの『無駄は徹底して省く』主義……であった……。
 と、共に本谷地区からのルートは、沢に熊笹が生えている地域特性がある……。
 また、元ゼロ戦パイロット村長の黒沢は『【上野村】に集合した2地区消防団員計180人を2班に分けた……。【中の沢入り口】と【本谷登山口】から、進めさせることにした……。
 機動隊員、を、むやみに動かすよりは【相木村】【川上村】の消防団に、ある程度、先に行ってもらい、情報を得てからの方が良い!』との考えであった……。
 また、村の給食センターを徹夜体制にして、村中の婦人会総出で【おにぎり】作りにあたらせよう!…と考えていた。場所が、判明次第、役場の新人職員達に背負わせて、消防団員達に届けさせる体制も整えさせてある。

 集会場では‘‘炊き出し’’の用意が始まっていた……。街のむ婦人会が、‘‘おにぎり’’を大量に握っていた。捜索隊に持たせるためだ!現場(らしい?)周辺の田舎の街や村役場は、徹夜体制となるようだ!


05:37(マルゴォサンナナ)に、長野県警ヘリコプター『やまびこ』から『墜落現場発見』の報告を受けた『対策本部』だ!

「人口2千人の過疎の村には『人口密度過密』変わることが、予想される……全力で対処するように!」とゼロ戦村長は、助役達に命じた!

  助役達は、全職員50人を出勤させた!女性職員には、全員で【握り飯づくり】を命じた!若手職員達には、リュックサックに【握り飯】を、満載させて捜索隊に届けることを命じた……。


05:40〔マルゴォ4マル〕

 群馬県南部
御巣鷹の尾根上空

 SNTテレビ取材ヘリ内
 テレビカメラマン樋場一成は、昨晩、消息を絶った“日航ジャンボ機123便”を探していた…。残念ながら、悲劇の現場を発見してしまった…。

 「あッ!…ただいま、昨晩、レーダーから機影の消えた“日航123便”らしき機体一部を発見しましたッ!……機体の一部…翼らしき白い残骸には『J……A……L』……JALの文字がァ~はっきりと見て取れます!…確認出来ますッ!……場所は、群馬、埼玉、長野の三県がまたがる名も知られていない山中ですッ!」と、現場上空から、生中継レポートだ……。


上野村役場

村長執務室

“ゼロ戦村長”黒沢は、助役達と共にテレビ画面に、食い入るように見た末に言った……。

 「あそこは…20年前に落葉松を植林した~国有林内植林地ダニはァ~…スゲ沢の先の…“御巣鷹の尾根”ダニはァ〜【国有林管理組合】のリーダーが……」と、村長机の引き出しを開け、合成皮革カバーの立派な電話番号メモ帳 を取り出す黒沢だ!

 老眼鏡を掛けて、指に唾を付けて、ページを捲る黒沢だが、途中で止めた。

「今の時間~【国有林管理組合】に電話してもしょうがないだニはァ~えっとお~~信ちゃん~の』のとこンダなヤァ〜!同級生ダニ知っとるダニはァ~!」

ワハハハハハハァ~!ンだ!ンだ!と助役達と笑い声を発した…。村役場の者達が、自身をリラックスさせねばならない。

 電話で、叩き起こした~組合のリーダー信ちゃん~は『墜落現場は群馬県上野村~本谷林道奥スゲノ沢周辺~』『山への入山ルートと具体的場所』を即座に教えてくれた……。

 「こりゃあ〜戦争になるダニはァ〜」

 『ほしたらァ~遺体収容に‘‘体育館’’に‘‘ブルーシート’’が沢山要るダニはァ~』

『狭い道路に沢山~車ァ~来て大変だニはァ~』などと言っていた村長と助役達だったが、役場に設置された【事故対策室】に来た県警本部長と話し合うことになった……。

『自衛隊、警察等が別々に対処しては混乱が生じる…対策本部は1つ出とる良い!…村役場が補助役に回る』ことに、なった!その重要な【補助役】の実行隊として、村の猟友会、消防団が務めを受け持つこととなった……。

上野村役場の『85年のお盆』は‘‘戦争’’になるようだ……。


06:30(マルゴォマルマル)

上野村役場前広場

カナカナカナカナカカナカナカカナカナカナカナカナカナカァ~!凄まじい数のヒグラシゼミの鳴き声だ!‘’静かな山ののどかさの代名詞’’ヒグラシゼミの鳴き声な筈が、大騒音に近いくらいに鳴いている……。

 集落単位11分団構成の‘’上野村消防団160人が、‘’朝早くから役場前広場に集結だ!全消防団員に‘‘召集’’が掛かり、機動隊員、レスキュー隊員達を現場まで誘導する‘‘案内役’’が任された……。

キヒィィ~ン!とハンドスピーカーが…ハウリング音を立てた……!アレ?と言いながら、ア~ッ!アァ~ッ!…テスッ!テスッ!(テスト)…本日は晴天なり!…と高年助役だ…。チパ!と音がした!……何か?ボタンを押した!

プゥウゥイィィィィィィ~ッ!とサイレンがなった!

『あ?…違った…』と言い……チパ!と音をさせて、サイレンスイッチを止める助役だ……。

ガク!と助役の『中高年ハンドスピーカー挨拶あるある』に、肩の力が抜けて、苦笑いの消防団員&機動隊員&レスキュー隊員達few百人だ……。

「ァはァ~イ!皆ざァ~ン!朝ァ~早ぐがらァ~大変ダニはァ~!よぉぐ集まっでェ~ぐれたダニはァ~!おはようござンしィ~!」と助役が挨拶だ……。

オザァァァ~スッ!と野郎挨拶の捜索隊の男達だ……。

「元ォ~ズロスン(ゼロ戦)乗りのクロサワ村長がァ~朝ァ~早ァぐからァ~【愛林組合】の組合長ォ~叩ギ起こしでェ~組合長がら聞いだァ~先ほどの説明ェ~通りに進ンでぐれェ~!」と助役から挨拶があった!次は‘‘ズロスン’’村長…黒沢

「はい!上野村消防団の皆さん!くれぐれもケガたけはしないで……お役目の‘‘道案内’’……果たし(て下さい)ッ?……」と村長が話し出した時だった……!

「何ンて?…‘‘道案内’’て?……山ン中に‘‘道’’あるの?」と、若い機動隊員が、隣の隊員に、真面目に質問している……。クロサワの話がとまる……。

ムブフフフフフフフフフフフフフフフ~ッ!と『クロサワの話を止めて…真面目にアホ質問』の機動隊員に‘‘堪え笑い’’の捜索隊few百人の野郎達だ……。

ンン~ッ!……と咳払いの村長は、続けた……。

「あァ~ッ……これは失礼しましたダニはァ~……‘’道‘’はありませんダニ……‘‘山案内’’と言わねばならンかったダニ…言葉は正しく使わないどダメダニはなァ~」

ドワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!とfew百人の捜索隊野郎どもは爆笑だ!

「ンだにはァ~‘‘山’’を‘‘道’’のあるドゴと勘違スでェ~ナメでェ~掛がッでッとォ~えらい目ン会うダニはァ~!……消防団員の皆さんはァ~スンロ(進路)には‘‘熊笹‘’が2m近くゥ~の高さまで生い茂ってるダニはァ~!鉈やノコギリで刈り払って、足で踏みしばいて……文字通り‘‘山’’の中に‘‘道’’を通してェ~機動隊やレスキューのォ~隊員の皆さん達をォ~‘‘道案内’’しであげて下さいダニはァ~……」

おぉォォォォォォ~ッ!と感動している様子の機動隊&レスキューの隊員達だ…。   

 さすがだ!やはり、村長になる人間となると……人をその気にさせる言葉が、直ぐに湧いて出て来るモノなのだ……。機動隊&レスキュー隊員達の【補助役】を上野村消防団で、しっかり果たして欲しい……という願いがあれば、自然に湧いて出て来るモノだ……。

チバパパパパパパパパパパパパパパパァ~!と拍手が、湧き出てきた……。


 そして……捜索隊は、出発だ!


 8月13日…06:30〔マルロクサンマル〕に役場を2班に分かれて、出発した捜索隊は、車両に乗り込むと、20Kmの山道を、50分掛けて進んだ。【本谷登山口】からの捜索隊は『魚止め沢出口』から、山中に入り“トロッコ軌道”を進む……。十数年前までは、かつては林業が栄えていたころは最先端トロッコであり、間伐材の運び出しに使われ、集落の人達からは、交通機関として、重宝されていた……。

 十数年前まで十世帯40人程が暮らす集落があった…。が、輸入木材量の増加に押されてる…日本の林業衰退の縮図を……熊笹が生い茂り荒れ果てたトロッコ軌道に、見て取れる……。集落は熊笹が生い茂り、飲み込まれてしまっている。
 荒れ果てた軌道には、小さな池をまたぐ、小さな木製の橋は、朽ち果ていて、池に落ちていた。錆びて茶色に変色した、レールが橋の代わりになっている状態だ……。レールの上から、落ちないように気をつけて渡る消防団員達だ……。さすがに第6話の【あかあざ線撤去作業】のように、自衛隊は入ってくれないみたいだ……。
 2m近くの高さにまで生い茂った”熊笹”を、鉈て刈り、地下足袋で踏み分け、後から追従する機動隊&レスキュー隊員達のために“道を”つくってやる……。これを、全て完了させていたのでは、時間が掛かってしまう。
 第◯分団7人の消防団員達がが“先導役”となり“熊笹”を鉈で刈り倒しながら、どんどん前進する…。目印に、カラースプレーで色付けをする…。よく、山に行くとあるカラースプレーでの着色があるが…“アレ”が、そうらしい…。その後の分団も、同じ要領で進む…。
 少しずつ、“道”が出来て行く……。1時間ほどトロッコ軌道を進んだ。‘‘スゲノ沢出口’’にたどり着いた……。さゆりとアツオが、進んだのと同じ『沢の乗り降り』で、進むことになる……。機動隊員達に『道は作って目印はつけて行く』が、待ってはいない消防団員達だ……。‘‘地下足袋’’履きの消防団員達は、都市型安全靴履きの機動隊員達より、どんどん先に進んで行った……。


07:54〔マルゴォマルマル〕

ひがし野駐屯地

05:00(マルゴォマルマル)ひがし野中央空挺旅団に……指揮官だけが出動待機する【第1種勤務体制】が敷かれ【へリボーン部隊編成】の命令か出た……。

 2時間半後の07:30(マルナナサンマル)には、相馬原ヘリコプター団前進基地より6機のV−107バートルが飛来した……。

07:54〔マルコナナゴォヨン〕に、 ひがし野駐屯地営庭をV-107バートルが、1機に12人…6機…計72人(工兵大隊と衛生隊からの要員含む)の空挺隊員が搭乗し、離陸した!  


08:40

御巣鷹の尾根上空few十m

V−107バートルキャビン内

パパラララララララララァ〜!とエンジン回転爆音を轟かせて、3機のV-107バートルが、御巣鷹の尾根“日航ジャンボ機墜落事故現場”に飛来した!出発した6機の内の3機だ。残りの3機は、一旦、相馬原基地にて待機だ!

 パパラララララララララァ〜!とエンジン回転爆音を轟かせてV-107バートルは、御巣鷹の尾根の茶色の地面が剥き出しになった山肌の約few十m上空にホバリングした!

 傾斜がきついために、ヘリコプターは下降気流を安定させることが難しく、ホバリング中、ヘリはフワフワ揺れ続けている……。揺れるヘリ後部ハッチから、ロープが投げ垂らされた!

 1人の空挺隊員…“当直明け”の“クマさん”こと2等陸曹佐久間がリペリング〔ロープ降下〕した!降下した佐久間は、自分のハーネスの環からロープを外すと、上を見て合図した! 

 同じ要領で2人目が降下するのだが……結構、時間が掛かっている……。3人目は3等陸尉岡部だ!4人目は野田陸士長〔仮名〕だ!ひがし野駐屯地は“前段お盆休み”に入っていたために、半数の隊員が、帰省していた……。

 ひがし野駐屯地中央空挺旅団歩兵群第3中隊2等陸曹‘‘クマさん’’こと佐久間と、中隊長付き陸士長野田も“災害派遣”に参加していた……。

 3等陸尉岡部は、駐屯地隊員クラブにて行われた【転属者歓迎宴会】に参加のために‘’隊員クラブ‘’にいた…。18時台後半に隊員クラブに佐久間から、電話が入り「航空自衛隊百里基地司令から【操縦不能状態のジャンボ旅客機が墜落する可能性が高い】という情報が寄せられました!派遣命令が出る可能性が高いンではないでしょうか?」と内線電話があった……。【歓迎宴会】は急遽【食事】に変更され、早めに切り上げられ、駐屯地に宿泊した岡部3尉であった……。

(「地獄絵図だ!」)……岡部は感じた……。【人間の身体だった部分】があちらこちらに『部分遺体(バラバラの……)』が散乱している……。

ウワッ?と声が上がった……。上がった方を見ると、陸士長の野田が声を上げた!

野田はしゃがんで手を合わせている……。人の手首から先が地面に落ちていたのを見つけたようだ……。岡部も、ふと横を見た……。何かマネキン人形の下半分みたいなモノを見た!

(「…ッ?…」)と言葉を失い、愕然とする岡部だ!女性のへその位置からちぎれた下……両脚部が地面に落ちていた……。足先に赤くペティキュアがしてあり、ハイヒールを履いていたから性別は女性と判別出来る……。木の枝に頭皮らしい髪の毛だったり、必ず何処か?が無い遺体【部分遺体】の更に【遺体部分】らしきモノがあちこちにある……岡部は降下した隊員達に命令した……。

「生存者の捜索と救助……と遺体収用(部分遺体を含め)と…【仮設ヘリポート】の構築……これは徹夜作業で行う」


08:40(マルハチサンマル)

『とにかく上まで登る』……沢の終わり…つまり“上”まで登り切るしかない……。あと、少しだ!消防団員達がヒョイ!ヒョイ!と忍者のように上がって行く!登り切ってしまった!

アァァァ〜ッ!オォォォ〜ッ!とどよめきの声が上がっている!さゆりも、岩場を駆け上がるようにして登るが、後ろを振り向く。
「ひゃ〜ァ!」と悲鳴を上げているアツオからカメラを受け取る……。その後、アツオが、岩を乗り越える。アツオにカメラを渡す……。
 この、要領で沢を登り続けて来た…!消防団員達から、どよめきの声が上がっているから、現場が発見されたのだろう…。
「あそこは“御巣鷹の尾根”ダニはァ〜!」 
 さゆり達も進んだ…。消防団員達が見ている左の方を見た…。
「…あ〜ッ!…あれだなァ〜ッ!」とアツオが叫んだ!
山肌がハゲた尾根に、ジャンボ機の翼らしき白い機体の残骸らしき白い翼の一部らしき残骸が見えた……。
「……あれは…やはり、ジャンボ機の機体の一部だろうね……」とさゆりは呟いた……。アツオは、肩に担いだカメラを回し撮影を始めた……。
「3…2…1……ご覧ください!…昨晩午後6時54分に消息を絶った“日航123便のジャンボ機”らしき機体の一部…あれは翼の一部のように思われます……」と言いながら、さゆりは呆然となりそうにだった……。ほんの少し、コメントが止まってしまった……。

(「……これでは……生存者は……まず……いないかも知れない……」)
「ご覧ください……山肌の木々がなぎ倒されて辺りが焼け焦げている場所も見えます……真っ直ぐに伸びた木々が、なくなっている場所が見えます……まだ、黒い煙が上っているのが見えます……これから、川上村消防団α分団の消防団員の皆さんに着いて行き、現場に向かいます……」とVTR撮りのさゆりとアツオだ。真っ直ぐに伸びた木々が、なくなっている場所が見えた……。報道のヘリが、現場上空を大きく周るように飛んでいた……。

「いくダニはァ〜ッ!」分団長が声を上げた……。

0930(マルキュウサンマル)

 バパラララララララララララァァァ~!とヘリのエンジン回転爆音が響き渡っている……。沢を下るのは『地球の重力が助けてくれる』通り、転ばないように気をつければ、意外に早く降りることが出来た……。1時間程で、現場に着いた…して、“御巣鷹の尾根”の‘‘日航機墜落事故現場’’……『御巣鷹の尾根』にたどり着いた……。
 消防団員達に続いて……さゆりとアツオが、着いたときには、自衛隊しかいなかった……。【入ってfew年目の若造】の2人だ……。なかなか、仕事は任せてもらえているが、まだまだ覚えることが沢山ある筈の2人だ……。
 それからの1週間ほどだが……目の前で色々なものを見ることになる……。f


10:50(ヒトマルゴォマル)
スゲの沢墜落現場

上野村消防団は元〜口入り口から〜小屋を過ぎて、スゲの沢を進んで行く……。進んで行くといっても、2m近くある熊笹を、鉈で刈りながら、地下足袋で踏み倒し、進んで行くのだ……。

 後から、追従する機動隊員達に、道を作る役目がある…。機動隊員達の都市型安全靴は、熊笹が生えている沢では、ツルツル滑り力が入らず、進んで行くのが、かなり難しいようだ…。

バパラララララララララァァァ~!とヘリのエンジン回転爆音が耳に入ってくる……。油の燃えた焦げ臭い臭いも鼻につくようになってきた……。
 皆が、汗だくだ!悪戦苦闘しながら、時間が経った…。水筒は、空になっている消防団員の1人が、沢に流れている水を飲んでいる。喉に何か?ひっかかった。ふと数m先を見た……。裸の脚のように見えるモノが、
沢の水の流れに浸かるように
落ちている……。ふと……足元を見るとハイヒールを履いた赤いペティキュアを着けた足首から先が落ちている……。脚部の持ち主の足首から先のようだ!

ウッ?……おぉォエェ~ッ!と飲んだ水を嘔吐しようとする消防団員だ!

おぉォ~ッ!おぉォエェ~ッ!と、あちこちに【部分遺体】の【遺体部分】があるらしく、あちこちで消防団員達が嘔吐していた……。

 消防団員達は、戦意喪失して、へたり込んでしまった。元々、もう役目は、しっかり務めた……。

『遺体の検死が終わるまでいたいには触らないで下さい』と機動隊員から言われていた……。やることは終わった……。そう思った、そんな時だった……。

カタン!と音がした……。

ヒィィ~ッ?と消防団員の1人が悲鳴を上げた!機体の残骸を見て声を上げた!

「ウワッ?何ンか動いたダニはァァァァ~ッ!」ともう1人も、機体の残骸の方を見て叫び声を上げた!残骸から腕が伸びて揺れているのが見えたのだ!

ワアァァァァ~ッ!ワアァァァ~ッ!と歓びの声を上げる消防団員達だ!

ザザク!ザク!ザク!ザク!ザク!と足音を立てて、機体の残骸に

走って行く!

「大丈夫ですかァ~ッ!」

40代女性…1名の生存が確認された!

「生存者1名確認~ッ!生存者1名確認~ッ!早く来て下さいッ!」と今井分団長はレスキュー隊員の無線機に叫んだ!

吉崎博子を背負って御巣鷹の尾根にむかうレスキュー隊員

 その後、非番のスチュワーデス……落合由美子、博子の娘…8歳の美紀子、12歳の中学生川上慶子計4人が助け出された……。

 『生存者あり』の知らせを受けて、野田陸士長は、忍者の如く下に駆け降りて行った!消防団員達が「遺体に触らない」ように指示されていたので、野田は機体の板をめくった!

 まるで蝋人形だらけだった!動かない…遺体だらけであった……と思った、その時であった……。

 薄汚れてはいるが【眠り姫】のような蝋人形のような女性の遺体を見た野田だったが……。

ウワァァァァァ~ッ?と大きな声で、思わず叫んだ!薄汚れた【眠り姫】が大きく目を見開いたのだった!

キャアァァァァァ~ッ!と悲鳴を上げ?両手を伸ばして野田に抱きついてきたのだった!よっぽど恐怖を味わってしまったらしい……。

「だ?だ?だ?……大丈夫ですかァ~ッ?」と顔を背けながら話しかける野田だった……。

キャアァァァァ~ッ!と野田に抱きついて叫び続ける落合由美子……生存確認……。


12:30(ヒトニィサンマル)

御巣鷹の尾根墜落事故現場

 機体の残骸のドア等で作った応急担架に乗せられて‘‘御巣鷹の尾根中腹’’まで、連れて来られた……。4人は、‘‘御巣鷹の尾根墜落事故。現場’’中腹の因みに慶子のスカートは、湿っていたので、助ける際に消防団員が外して捨ててしまった……。

バパララララララララララララララララララァァァ~ッ!と現場上空はヘリコプター銀座となっている……。

「ねぇェェェェ~ッ!立てるかなァ~ッ?」と自衛隊毛布を‘‘みの虫’’状態に身体に巻いた慶子を、さゆりは抱き抱える形で慶子を立たせた……。自衛隊隊員佐久間とアツオは…さゆりと慶子達に背を向けている……。

「これならァ~ッ!大丈夫でしょ~ッ?」と、さゆりはナップサックから取り出した【替えの下着】を慶子に見せて叫んだ!自分の替下着を慶子に履かせる優しいさゆりだ!

「お姉ェ~ちゃん!何ンやァァァ~ッ?白パンツなンねやなァァァ~ッ?」と慶子は無邪気に叫んだ!

「見るンじゃないワアよオォォォォ~ッ!」とスケ番のように叫ぶさゆりだ!

サ!サ!と慌ててソッポを向く、佐久間とアツオだ!

 だんだんマスコミも増えてきた……。

『もう連れて来てからァ~かれこれ1時間位時間たってるしィ~ッ?』『せっかく助けたのに!こんな炎天下にどうして晒しておくダニはァ~ッ?』と消防団員達がキレ気味で騒ぎだした!

 事故現場は、遮るものが何も無い、直射日光に晒されている……。普通の人でも参ってしまうのに、ケガをしている4人を、いつまでも炎天下の尾根中腹に放置したままだ……。特に、8歳の吉崎美紀子は、意識が朦朧とし始めている。

『まだァ~搬送されないンだに~ッ?』と第⚪分団長今井が岡部につめよっている!

「いやァ~!とにかく……この尾根は傾斜がキツ過ぎてホバリングが難しくて、最優先は【仮設ヘリポート構築】で資材運搬を優先したいンですよね……」と岡部が

答えている……その時だった……!

バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ〜とエンジン回転爆音を轟かせて“対策本部”である、群馬県警のヘリコプター『やまびこ』が飛来した御巣鷹の尾根の十数m上空にホバリングしている……。側部スライドドアが開き、警察乗員隊員が、何やらお世話をしている……。お世話をされているのは、【日本赤十字】群馬支部の、看護婦長春山典子だ!

 ハーネスの環に通したロープが投げ垂らされた……。尾根にいる、自衛隊員、消防団員達が下から見守る中、典子は要員に腕を掴まれ、あれこれ指示をされている。
「さゆりは、特に顔が輝いた!これは素晴らしい映像になるワ!」と記者として、先ほどまで見た地獄絵図から、4人の生存者が発見され、明るいニュースが届けられると思った矢先…小さな女の子“吉崎美紀子”〔8〕の様子が、素人目に見ていても、おかしい……。かなり、容体が悪く、自衛隊衛生隊員も、なす術なく、しきりに無線機に救援ヘリを要請していた……。
そんな中、県警ヘリコプターが飛来し、本格的なプロが駆けつけ、降下を始めるようとしているのだ!看護婦が、降下を始めた?
オォォォォォ〜ッ!と尾根にいる隊員達から、どよめきが上がった。
灰色がかった白い帽子と作業服姿にリュックサックを背負った40代の看護婦長春山典子が、ヘリのスキッドに立ったからだ!
ピョン!と後ろに飛び退き、数mブランコ状態にブラン!と揺れた看護婦だ!その後、スルスルと降りて来た……。看護婦は、慌ただしく腕を動かし、ハーネスの環から、ロープを引き抜いた。ヘリに両手でOKの合図を送った。
 看護婦は、急斜面を息も切らさずに尾根中腹まで駆け上がってきた!岡部の元に駆け寄ると「日赤群馬支部の春山婦長です!」と挨拶だ。
「副指揮官の岡部3尉です!……おい!」と挨拶し終えた岡部は、衛生隊員に声を掛けた!
「衛生隊員の◯◯陸士長です!」
「今!医師が降りてきます!早速ですが、救出された4人は……」
「この人達です!42歳女性…27歳女性…12歳と8歳女子児童です」
「あ?……この人達ですねッ?」と言いながら“トリミング”という看護の優先順位付けを始めた…。典子は看護対象者を看始めた…。
 その間に、男性の医師らしき……同じく、白帽子に白い作業服に、リュックを背負った男性医師がスキッドに立った。

 また、後ろに跳び退くと、ブラン!とブランコ状態にロックした後に、スルスルと降下して来た!やはり、ハーネスの環からロープを慌ただしくロープを引き抜くと、上空のヘリに両手でOK合図を送った!
ブルバァウワァァァァァ〜ッ!と遠ざかるエンジン回転爆音と共に、県警ヘリは去って行った……。医師は、急いではいるが、そんなに早くは、駆け上がれないようだ……。
 「大丈夫ですかァ〜ッ?」と、毛布に包まれ、横たわっている吉崎博子から問診を始める典子だ……。吉崎博子と落合由実子とは全身に、川上慶子は左前腕に、ケガをしている……。顔色が悪く、意識が朦朧とし始めた8歳の美紀子は、毛布に包まれ寝かされている……。

 典子が美紀子を看始めた時だった!鬼のような形相に変わった典子だ!男性の医師らしき、白帽子に白い作業服に、リュックを背負った男性医師が中腹まで、駆け上がってきた……。
はァ~ッ!はァ~ッ!と息を切らしている医師だ……。
 医師が4人の元に駆けつけると……。ペコペコ頭を下げている岡部に、凄まじい発射速度の‘‘口撃’’機関銃弾を、浴びせかけている典子を見た……。
「『何が安定したホバリング』だァァァ~ッ?早く収用しなきゃならないに~何が『仮設ヘリポート構築』だよォォ~ッ!8歳の小さな女の子を殺すつもりですかァァァァ~ッ!『命を救う』ために『自分の命投げ出す』つもりで事に臨まなきゃ~救える命なンて失くなるンだよォォ~ッ!何ンのための自衛隊ですかァァ~ッ?」
「スミマセン」
「『スミマセン』で済みゃァ~ッ!自衛隊いらないでしょおォォ~ッてのォォッ!サッサ!と【収用ヘリコプター】呼びなさいってのォ~あんたァァ~ッ!『人の命』なめてンですかァァ~ッ?」
「なめて(ませン!)ッ?」
「『人の命』なめンじゃねェェェェェ~ッ!」とぶちギレの看護婦長…典子が『ぶちギレさせる原因』を作った現場指揮官岡部3尉の頬に‘‘怒りのビンタ’’を食らわした!……乾いた音が…事故現場御巣鷹の尾根に響き渡った…。
チパシィィ~ン!

V-107バートル
真下ホイストケーブル
バパララララララララララララァァァ~ッ!とヘリのエンジン回転爆音が響き渡っている……。 典子のビンタが効き……僅か十数分後には、救難ヘリコプターとしてV−107バートルが事故現場上空に飛来した……。
ンアァァ〜!ゥアァァ〜!と慶子は呻いた!
「大丈夫だッ!…怖くないよ!頑張ろう!…君を抱えたこの腕はァ〜何があっても離さない!」
 下を向いている慶子は、高いのが、怖くて呻き声を上げていると感じた佐久間だ……。
ンアァァ〜!ゥアァァ〜!とまた呻き声を上げる慶子だ!
「大丈夫だよッ!ワタシには〜君と同じくらいの子供がいるンだ!……だから大丈夫だよッ!」???と…少女には関係ないコトを持ち出す佐久間だ!とにかく『少女をちゃんと抱き包まなければならない』『高所に引き上げ収容する際に怖がらせないようにせねばならない』……この2つに気を付けていた……。
 佐久間は、少女が何を見て、呻き声を上げているか…?まるで分かっていなかった…。それを、思い知らされるコトになる!
「大丈夫だッ!おじさんを信じ〔てくれ!〕ッ?」
「さき…!」と慶子は妹の咲子の名前を出した…。慶子は、真下に置かれている、複数の完全遺体の1体を見ている。
「さき…大丈夫かなァ〜?」
 尾根の急斜面に寝かされているかの如く、毛布に包まれて、顔を覗かせている少女…妹の‘‘咲子’’の完全遺体のことである……。

ウグッ!と呻く佐久間だ……。涙が溢れ出て頬を伝い、流れ落ちていく……。
「さき…大丈夫かなァ…昨日なァ〜飛行機が落ちたばっかの時はなァ~……」と言い、慶子は何も言えなくなった……。クマおじさんの目から零れ出たらしい涙の滴が、自分の頬の横を下に向かい落ちて行くのが見えたからだ……。

ホイストケーブルが巻き上げれていく……。

 佐久間は歯を思い切り噛みしめた……。そうして、自分に痛みを与えてないと、涙が溢れ出て来そうになるからだ……。佐久間は、空挺隊員だ……。佐久間は、悔しくて堪らなかった……。少女は、絶対に、こう思っているであろう……。

「飛行機が落ちたばっかの時は…妹のさきは生きていた……何ンで~すぐン助けに来てくれへンかったン……?」と少女は思っているであろう……。

 吊り下げられながら、佐久間は、少女を確実に収容することに集中した……。そして悔しくて堪らなかった……。

(「くそォ~ッ!何ンで~命令を出してくれなかったンだ!夜間に降下する訓練は沢山して来ているのにッ!……どうせ【自衛隊員の安全最優先】だから……夜の派遣は危険だからって……に命令が出なかったンだったンだろォ~!……この国はッ!……【誰かを助けるために危険を顧みないこと】とをするためには【危険な任務を命令出来る…軍隊】でなければ出来ないンだよ………【軍隊】でないから墜落後直ぐに【命令】が出せなかったンだ……『隊員を危険な目に会わせるのか?』『軍国主義復活だ!』なンてヌカす国なンだァ~ッ!……だから、いつまで経っても軍隊が軍隊になり切れない自衛隊なンだァ~ッ!…』」)……佐久間は、歯を噛みしめた時……奥歯の部分入れ歯が壊れる音がした……。。

リギガギィ!


軽井沢サービスエリア
 ‘‘こどもVIP’’客の美谷島健(9)の母…邦子の『85年のお盆』13日の夕方……。12日の夜…日航から電話があり、13日未明には、手配されたバスに夫と
共に、他の事故機の乗客の家族と乗り合わせて、墜落現場に向かう邦子だった…。『JAL123便の機影…レーダーから消える…』のニューステロップが流れるのを見てから……マトモではいられない……子を持つ親なら……それが正常なのだろう……。

『たった今…生存者…8歳の少女が毛布に包まれ、自衛隊員に抱き包まれ…ヘリコプターに収容するためにケーブルで吊り下げられました……少しずつ上昇して行きます』とラジオからニュースが流れていた……。
「生きている人は4人て言ってたわよねッ?…』子供が2人…女の子』って!……もしかしたら“男の子”と間違えてるンじゃないかしらァ〜ッ?……ねェ〜ッ!そうよねッ?…そう思わないッ?……それとも……あの木が沢山薙ぎ倒された尾根から、離れた所で見つかったのよね……小さな身体で……山の中でうずくまっているかも知れない……それなら……健ちゃんを助けてあげたいよォ~」邦子は夫に言った…。
「……そうかも知れないた!」と夫の善昭は答えた……。


さゆりとアツオのモデル……小林敦氏

第18話に続く……