第18話…

アメージンググレイス/本田美奈子

13:10(ヒトサンヒトマル)
千葉県I川市内
M間川沿い住宅地域
ほやた荘 
ジョワワジョワァァ~ッ!とアブラゼミの凄まじい鳴き声騒音が発生している川沿いの、緑葉が最高に生い茂る桜並木道だ……。
 その近くのおんボロアパート…ほやた荘2階の端の部屋に住む広彦は、テレビのニュース映像に釘付けとなっていた!“お盆休み特別編成”で【昨年のヒット洋画】の予定だったが“日航機墜落事故ニュース番組”に変更されてしまった。映画のテレビ放映は一蹴されてしまった…。
『ご覧ください!…今…自衛隊員に抱き抱えられて…奇跡的に助かった生存者の少女が自衛隊ヘリコプターの収容ケーブルで吊り上げられて行きますッ!』と……慶子の収容が始まった…。SNTテレビ取材ヘリカメラマン記者樋場一成の実況生中継だ……。ヘリには、近くに中継車がいない時は、アツオの撮った映像を、SNTテレビ本社に衛星中継して、生中継放送ができる最新機器が積まれている。
 さゆり達が川上村消防団と共に、現場を見つけた時も、アツオのカメラから、現場上空を飛行するヘリに、衛星中継してもらうことが出来た。勿論、録画も出来る。
 生中継映像は、下からの映像に切り替えられた!ヘリの下の尾根の剥き出しの地面からは、アツオがテレビカメラで生中継撮影をしている。記者のさゆりも実況生中継だ!
「SNTテレビ記者池田さゆりです!…20年前に植林されたカラ松の木々が真っ直ぐに生え揃っている筈の事故現場……地域の上野村の住民からは‘’御巣鷹の尾根‘’と呼ばれている…木々が薙ぎ倒されて剥がされたような痕のような山肌が見えています……昨日午後6時54分……日航123便ボーイング747−SR100型機が墜落して…凪ぎ払われたように土と岩が剥き出しの山肌に……仮収容遺体置き場が設けられています……その脇の比較的に傾斜が緩やかなスペースから…先ほどから…生存者のヘリコプターへケーブルで吊り上げるホイスト収容が行われています……2人目の…え~!…12歳の少女……川上慶子ちゃん……生存者川上慶子ちゃんが…自衛隊の収容ヘリコプターに吊り上げられて行きます!……2人目の収容が…先程から始まりました…収容された生存者ですが…1人目の8歳の少女…吉崎美紀子ちゃんは……かなり衰弱している模様でした…数時間前に長野県警ヘリコプターやまびこより尾根の現場に降下した医師と看護婦が…現場指揮官に…詰めよりビン(タを!)…」と…言葉が何ン分の1秒か止まるさゆりだ!
『トロ過ぎる自衛隊』に憤りを感じながらも…自衛隊員達の皆が真剣に誠実に、遺体収容に任じている……。…その必死な隊員達の指揮官岡部に対する言葉を瞬時に変化させ、言い直した……。
「『…ビ…敏捷性をもってお願いします!』と看護婦や救助にあたった消防団員の人達が…必死に収容ヘリの要請を求めていました…地形上…無線が届かないために遅れていましたが…指揮官があらゆる通信手段を講じて…通信バンド切り替えなどにより…要請が届いた様です…そして…先ほど収容ヘリが到着しました!」と…なかなか収容ヘリコプターが到着しないことに…イライラさせられた現場であったが…さゆりは‘‘典子ビンタ’’を伏せて…現場指揮官岡部の顔を立てる実況にした…。

 ゆっくりと上昇していく佐久間と慶子の2人だ…。広彦の目には、アクション映画のワンシーンを見ているかのように感じられた…。
 戦闘があり、爆発が起こった戦場に、ヘリコプターがホバリングして、パッと見“かわいい感じの少女”を兵士が救助している…。純粋に佐久間が“映画の中のヒーロー”に見えた広彦だった…。 
 佐久間が男泣きし、慶子が妹の咲子の身を心配しながら、ホイストワイヤーで吊り上げられて収容されていることなど、テレビの画面からは分からないであろう…。
「カッコ良いなァ〜」と瞳を輝かせて、胸がワクワクして、生中継テレビニュースに夢中にさせられている、テレビ視聴者の1人でしかない広彦であった……。
 4人の収容に、かなり時間が掛かり、費やした時間は30分となった。
『スマートに役に立てない軍隊…自衛隊』という感じもする……。
 が、墜落事故現場の傾斜は、30°〜40°という“崖”のような急斜面であった…。ヘリコプターのローターが吹き下ろす“下降気流”が逃げてしまい、経験を積んだ熟練パイロットでも、空中に静止する“ホバリング”が至難の技となってしまっている…。そんなことなど、テレビの視聴者には通じない……。
 確かに【映画の救助シーン】に比べたら、あまりに、時間が掛かり過ぎている…。だが、広彦には、感動の救助シーンの生中継放送となっていた…。 3人目の吉崎博子の収容時には、担架収容であったが、吊り上げ時にクルクルと回り出すという(担架安定ロープ結合を忘れる単純ミス)…あまりにお粗末で…【自衛隊の信頼失墜行為】懲戒処分ものであった…。“救助の練度”が、あまりに低すぎることが露呈されてしまった…。 だが…良き理解者となって、まるで映画のワンシーンのような、ヘリコプターへの生存者収容生中継を見て、感動している広彦だった……。 ……何かを思い出した……。『ネェ…広くん自衛隊入ればァ〜?』と…るみから言われた言葉を思い出した…。初めて、るみをバイクに乗せて、ひがし野駐屯地の前を通りかかった時のことだった……。自分の明日に、選択肢の1つがあることに気がついた……。
「……へェ〜……自衛隊かァ~……」…広彦は呟いた……。


8月13日
13:30(ヒトサンサンマル)
御巣鷹の尾根事故現場
バタバタバタバタ~!バパルルルルルゥ~!現場上空を取り巻くように、ヘリがゆっくりと飛行している。現場上空は‘‘ヘリコプター銀座’’と化していた…。自衛隊、警察、報道のヘリコプターが絶えず飛び続けている……。
 墜落時に、機体が剥ぎ取ったように、遮蔽物がない、土と岩が剥き出しの山肌だ!1500m級の高地で涼しい筈なのに、夏真っ盛りの太陽の直射日光が照り付けて、尾根の斜面は、熱を放ち初めていた……。
 衛生隊員陸士長が、必死に無線で、収容ヘリを要請していたが来なかった……。現場は、山で囲まれた山間部のために、FM無線が繋がらなかったからであった……。
『克服のための、あらゆる施策を講じようとしない』岡部に対し……常に、人命の最前線で戦っている春山典子はキレた!岡部にビンタを喰らわした!母親位の年の典子からビンタされ、脳細胞必死のフルワークで、直ぐに解決法を見つけ出した岡部だ!
『まず、山間部影響を受けにくいAM無線に切り換える→ひがし野駐屯地に【収容ヘリ要請】→ひがし野から現場地域の第12師団への報告』→直ぐに実行させた……。僅か十数分後には、ヘリが到着して収容が始まった……。
バパララララララァ~ッ!と収容ヘリV−107バートルのエンジン回転爆音が轟き、下降気流が山肌に砂埃を巻き上げる……。生存者4人の収容と医師の吊り上げが完了する……。最後に、ホイストワイヤーで吊り上げられて行く、日赤群馬支部看護統括係長…春山典子だ。典子は、岡部に、手招き仕草で?何か?叫んでいる……???
(「さっきの無線バンド切り換えさぁ~!最初ッから…そうしてくださァ~いッ!」)と??典子は叫んでいるのか???いつまでも嫌みを言うのか?違うみたいだ!
「何ァ~ンですかァァァ~ッ?」と耳に手を当て、質問の表情で叫ぶ岡部だ……。
「ヘリポォォ~トォォ~ッ!(ヘリポート造成)…急いで下さァいねェェ~ッ!」と叫んでいるのが微かに聞き取れた…!
「さっきはキレさせるもンだからァァ~ッ!ひっぱたいたけどさァ~ッ!遺体収容に最も必要な【仮設ヘリポート】造成ェ~イッ!…頑張って下さいねェェ~ッ!」と典子は真剣な顔で叫んでいるのが分かった……。
 典子は、キレさせたらコワいが、常に人の命を最優先に考え、人の気持ちを考えてくれる人間のようだ……。マスコミの前でビンタされて、恥ずかしかったが、岡部の【遺体の尊厳を守る】ための任務を理解し、待望しているのが分かった…。
(『必ず!明日の朝までに完成させます!』)と【決意のガッツ】を典子から与えられた気がした岡部あった……。
「わかりましたァァ~ッ!」と叫び、典子に敬礼を送る岡部だ……。典子が引き上げられて十few秒後……V−107バートルは、風上に機首を向けた……。
バパラララァ~ッブルバァウワァウゥ~!と遠ざかるエンジン回転爆音と共に……収容ヘリV−107バートルは飛び去って行った……。向かうは、藤岡市内の病院らしい……。
バパララァ~ッブルワウゥ~!バパラァブルワウゥ~ッ!バパララァ~ブルワウゥ~ッ!と遠ざかるエンジン回転爆音と共に、現場上空から遠ざかるマスコミの全ヘリコプターだ!ハイエナが獲物に集るように、バートルを追いかけて飛び去って行く……。

 因みに、アツオが撮り、送信されてきた、‘‘ビンタ映像’’……さすがに、SNT本社も‘‘保留’’の素材とした……。ただ、今後『自衛隊のトロさ』が続けば、容赦なく‘‘晒し者’’テレビ放送制裁を受けるであろう……。


ほやた荘

ジョワジョワジョワァァ~ッ!とアブラゼミの鳴き声の凄まじい騒音は相変わらずだ…。
おおォォ~!チパパパァ~ッ!と千葉県I川市内M間川沿い近くの、おんボロアパートの住人、あちこちの部屋から拍手喝采だ!

おおォォ~!チパパパァ~ッ!と近隣の地域の家屋の知らない人々も、誰かと共に、感動の瞬間を味わっている……。

「おおおおォォォォ~!」チパパパパパァ~ッ!と部屋で一人きりで歓声を上げて拍手している、孤独ぼっちのヤンキー少年がいた!
感動して、マスコミヘリが追跡飛行して生中継する、テレビ画面の飛行中のV−107バートルを見ている広彦だ!
『藤岡市内の病院に向かっているとのことですが……病院の場所が確認出来ないのか?……少し時間がかかってしまってます…』と追跡するマスコミのヘリからの実況中継だ!他のチャンネルにも変えてみた…。他のチャンネルも、自衛隊ヘリを追跡する映像であった…。撮影角度が違うだけで、全テレビチャンネルが飛行する自衛隊ヘリの映像を放送していた……。
「カァ~くいィィィ~ッ!感動させてくれるだべやァァァ~ッ!」と、他の部屋の住人達に聞こえる様に、割と大きめの声でぼっち独り言を発していた……。
 墜落事故ニュースに、全日本国民が悲しみに落とされた……。しかし、自衛隊による4人の生存者ヘリ収容のニュースに、全日本国民が感動した85年8月13日であった……。
 日本国民の孤独なぼっちの広彦は……感動を誰かと分かち合い、一緒に歓声を上げたかった…。が…誰も、感動を共有してくれる者はいなかった……。

搬送ヘリバートルキャビン内
パパパパパァ~ッ!騒がしいエンジン回転爆音の騒音の中、美紀子の側に膝まづき、医師と看護婦典子は看ている。
「大丈夫かなぁ~ッ?聞こえているかなァ~ッ?美紀子ちゃァ~ん!もう直ぐだからねェ~ッ!がんばろうねェ~ッ!」と、叫んでいる典子達だ。せっかく助かった8歳の女子児童美紀子の命だが、徐々に危険な状態に変化して来た。美紀子の手首に三本指を当て脈拍を図り、顔色が変わる典子だ!腕に血圧測定腕帯を巻きゴム嚢を圧し空気を送る
「脈拍ウン十!…血圧下がウン十~上がウン十ゥ!…体温34度3分……危篤状態です!」と典子はレシーバで医師に告げた!
「点滴をしよう!」と典子に言う医師だ!
「わかりました!」と言って、リュックの中から点滴セットを取り出すと、美紀子の前腕内側をアルコール脱脂綿で消毒して、チューブ点滴針を射した。神業のようなスピードで点滴の準備の典子だ!準備が整い、パックを持ち上げた……。必要な水分や塩分やブドウ糖などを血液内に送り込む措置が取られた……。
「多野病院ですよね?直線距離で45km…このヘリコプターは時速250km/hで飛んでますよね!10分あれば到着する筈ですよね?あまりに時間が掛かっていませんか?もう20分以上近くかかってますよ?」と典子は医師に言った。
ウンウン!と頷き、医師は操縦席に向かった。
「すみませェ~ん!収容した8歳の女子児童が危険な状態なンですゥ~!まだ到着しませんかァ~?」と医師は操縦席の操縦士隊員にレシーバーで訊いた!操縦士隊員は驚くことを言った!
「ン~ッ!……実はァ~ッ!……病院近くの着陸可能スペースへの着陸訓練はァ~ッ!…したことないンですよォォ~ッ!…そしてェ~多野病院はァ~何処?ですかねェ~ッ?…飛べば分かると思ったンですがァ~ッ!」と返事だ!
(「嘘だろォォ~?」)と唖然とする医師だが…とにかく、生存者を病院に運び込まねばならない。
「分かりましたァ~ッ!……そしてェ~ッ!このヘリコプターは大き過ぎるのでェ~ッ!案内しますゥ~ッ!上野村役場対策本部広場で小さいヘリに乗り換えさせましょう!5時の方向にお願いしますゥ~ッ!……つまりィ~ッ!…多野病院……すでに通過してますゥ~ッ!戻ってください~ッ!上野村役場対策本部広場に向かって下さい!5時の方向にお願いしますゥ~ッ!」と医師は呆れてしまった…!
バパララァァァ~ッ!とエンジン回転爆音を轟かせて、旋回して引き返すV−107バートルであった……。
(「『自衛隊反対!』『自衛隊反対!』一般市民の前に自衛隊が姿を見せることに、嫌悪する風潮になってるから……災害派遣など……いざと言う時のために必要な訓練が出来なくなってるなァ………」)と眉をひそめる医師であった……。

御巣鷹の尾根
13:50(ヒトサンゴォマル)
バタバタバタバタ~ブルバァウワァ~!とエンジン回転爆音を轟かせて、自衛隊汎用ヘリコプターUH−1が飛び去って行く……。水や糧食、資材などをロープで吊り下げて降ろしていた。降ろし終わると、去って行った。
 550km/hの猛スピードで山間部に墜落した123便の機体は、バラバラになり……後に判明するには『甲子園球場』と同じ広さの範囲に、様々なモノが飛散していた……。
 それ等のうち、早急に‘‘回収’’……いや……‘‘収容’’せねばならないモノがある…。【乗客の遺体】である…。乗客の遺族に出来るだけ早く会わせて上げたい…。また、冷涼な避暑地とは言え、夏の照り付けに、遺体を晒し続けるわけには行かない……。
 いわゆる…日本の国で重要視される『遺体の尊厳』を守るために
機動隊、自衛隊空挺部隊、自衛隊一般部隊、消防団が必死になり…
最優先で‘‘ソレ’’を回収し始めていた…。自衛隊のOD色毛布に乗せたり、包んだりして、尾根の急斜面を上がってくる。‘’ソレ‘’とは……?
『毛布に載せられた遺体』であった……。いくら避暑地のように冷涼な地域であろうが、土や岩の剥き出しの現場傾斜地面には『収容遺体』が無数に置かれている……。夏真っ盛りの直射日光が照り付け、気温が上昇する…。
 太陽光線で加熱されたフライパンのように、傾斜地面の土の中……下から熱を感じる…。早急に収容して冷却しなければ、遺体の腐敗が進んでしまうであろう…。
 広範囲急斜面のために、ヘリの下降気流を安定させられず、必要な物資、水、糧食、資材等を、ロープで降ろしたり、毛布等の柔らかなモノは投下したりする。降ろしたら、ロープを引き上げる……。【荷物】を降ろしたり、引き上げたりは、この方法で良い……。
 が……日本の国では『遺体への尊厳』が重んじられている。この方法を遺体収容に使うことは出来ない…。御巣鷹の尾根周辺での災害派遣は、救難から、遺体収容にシフトしていった……。
 御巣鷹の尾根の剥き出しの荒れ地に、自衛隊の搬入物の入っていた‘‘木製リンゴ箱’’が10cm程、土中埋められている。リンゴ箱内側には支給されたお茶缶とプラ袋詰めお菓子が備えられている……。
‘‘ミニお社’’?‘‘ミニお仏壇’’?を、隊員の誰かが、いつの間にか設けたようだ……。ひがし野空挺旅団隊員73人と、ひがし野部隊より1時間早い0740(マルナナヨンマル)に一番乗り到着の、先任の松本歩兵連隊情報小隊10人と、昼になり到着の松本歩兵連隊の60人、警察機動隊員α十人、消防団員α十人……計約few百few十人の【遺体収容要員】達の隊列が並び、立っている。
衛生隊員陸士長が‘‘要請(搬送物の指定)’’により届けられた‘‘お線香’’複数束にジッポライターで火を付け、隊列の小隊指揮官達に手渡した……。横にズラリと並ぶ隊員達の、複数箇所の地面に、配られた‘‘お線香束’’が、地面に突き立てられ、煙を立てている……。
‘‘お線香’’の煙が、尾根の荒野に佇む約few百few十人の自衛隊員、機動隊員、消防団員達…【遺体収容要員】達の全鼻腔に届き渡った…感の事故現場だ……。線香の煙の香りに、これから始まる任務を前に、一旦、心が落ち着く隊員達だ……。

「派遣隊ァァァァァィ~ッ!……気をォォ~つけェェェ~ッ!」と事故現場一番到着先任松本部隊指揮官1等陸佐川名が叫んだ……。

ザザザザァァァ~ッ!と、音を立てて約few百few十人の【遺体収容要員】達が‘’気をつけ‘’の姿勢だ!

「……黙祷ォォォォォ~ッ!……」と川名が叫んだ……。

「………………………」と無言で、気を付けの直立で、約60秒間、目を瞑る‘‘黙祷’’の全隊員、団員達計約三百few十人達だ……。
カナカナカカナカナァ~!と遠くの山から、ヒグラシ蟬の鳴き声が聞こえて来た……。
バシャシャシャ!とカメラで写真撮影している音がした…。尾根に辿り着いたカメラマン記者達であろう……。few十人に増えていた…。勿論、アツオも、黙祷する隊員達をテレビカメラ撮影している……。
『今…墜落事故で死亡した乗員、乗客520人を弔うために…事故現場に派遣された自衛隊員達…機動隊員達…消防団員達が黙祷をしています…現場周辺には【遺体収容】のために、警察機動隊員、自衛隊員、近隣の村の消防団団員が…多人数が入り込んでいます…皆が直立不動の姿勢で目を瞑り‘‘黙祷’’をしています…』とさゆりはコメントをする……。カメラが回っている……。
シーン!…と静まりかえる御巣鷹の尾根だ……。

カナカナカナカナカナカナ~!と遠くからヒグラシ蟬の鳴き声がする…。藤岡市内の病院に、4人の生存者搬送のための自衛隊収容ヘリV−107バートルを追いかけて行くために、マスコミのヘリコプターが1機もいなくなった……。

 空挺隊員達が現場に到着して、6時間近くが経過していた……。ヘリコプターのエンジン回転爆音が騒がしくて、かなりのストレスであった……。ひがし野中央空挺旅団より1時間前に到着していた松本第13歩兵連隊情報小隊隊員達10人も、追従の松本部隊隊員60人も、機動隊員、消防団員達の【遺体収容要員】達も同じであった……。
 ほんの少しだが、本来の避暑地の静けさを取り戻した雰囲気を味わっていた……。few百few十数人の【遺体収容要員】達は夏の山の避暑地の静けさを感じていた……。
 と共に……新たなストレスに気がついた…。無数のマスコミ取材ヘリが現場上空をホバリングしていたために、ヘリの下降気流が常に吹いていた。扇風機の送風が、常にあるのと同じ状態であったために、あまり、暑さを感じなかったのだ。が…夏の照り付ける太陽の熱を感じ始めた隊員達であった……。
 松本第13歩兵連隊70人と共に、広範囲に散らばった人間の【完全遺体】【部分遺体】の収容に任ずることになった、ひがし野中央空挺旅団73人…両部隊計百四十数人、機動隊員(県警、管区、警視庁、2機2大[新米、中高年])、消防団員…計約few百十few十数人の黙祷だ……。
「黙祷ォ~止めェェ~ッ!」と川名が叫んだ!
「それではァ~作業再開~ッ!」と叫び、重高に敬礼する川名だ……。
「ひがし野部隊は資材が追送されて来るまで、松本部隊と共に‘‘遺体収容’’の任務にあたれ!」と重高は岡部に命令だ!重高に敬礼の岡部は、各6小隊長に→73人の空挺隊員達に命令だ!
 各小隊指揮官が、岡部に敬礼を返し、各小隊隊指揮官達が小隊隊員達に「作業再開!かかれ!」と命令だ!
ザガザガガァァァ~ッ!と空挺編み上げ靴が、剥き出しの地に、編み上げ空挺靴の靴音を鳴らして、散開していく……!

 ひがし野部隊より先任の松本第13歩兵連隊指揮官1等陸佐川名に‘’1部申し送り‘’をし、川名の統制下に入る、ひがし野中央空挺旅団派遣隊指揮官1等陸佐重高だ……。‘‘1部申し送り’’…当初、現場周辺の山間部の地形把握が、ひがし野中央空挺旅団に命令されていたが、昨晩のうちに松本13歩兵連隊は、命令を待たず、独自に救難隊を編成し、出発していた……。

 空挺旅団より早く、現場に到達していたのだ!つまり、山岳行動のプロ部隊に‘‘地形把握’’を実施した方が【他の任務】の遂行スピードが早まるというわけだ!【他の任務】とは?…後述する……。

 空挺隊員達は、追送されてくる‘‘資材土工具等’’が到着するまでは松本部隊と機動隊、消防団員達と共に『遺体収容』の任務に就くこととなった…。

 遺体は2種類に分けられる……。

【完全遺体】…『5体が完全に揃っている場合のほか、上下顎部等頭部の一部が残存している死体か、または死体の一部』
【部分遺体】……つまり【離断遺体】『頭部、顔面、または下顎の一部すらも、すべて離断した死体、または死体の一部』…遺体は、かなりの数が【部分遺体】であった……。前話述の『消防団員が沢の水を飲んでいたら、同一女性の足と脚部があった』の様な状態だ……。そして…5体満足の【完全遺体】でも、損傷が激しく、正視に耐えられないモノが数多くあった……。
 550km/hの猛スピードで墜落した機体にとって…逆を言えば、山にある物体の全てが、550km/hで当たって来るのと同じだ……。機体を粉々にするエネルギーの前には、人間の身体などは、バラバラに離断させられルであろう…。【部分遺体】状態が多いことに不思議はない……。
 散開していく自衛隊員と入れ代わりに、さゆりとアツオもリンゴ木箱の前に来た…。2人は手を合わせて、亡くなった乗客達に弔いをした……。感動の救出劇を下から、空中テレビ中継出来たのは、さゆりとアツオ、ヘリ取材の樋場のSNTテレビだけであった…。  
 が、更に、早く駆けつけたカメラマンがいた…。地元の上毛新聞社のカメラマン伊藤だった…。さゆりは名刺交換すると伊藤は言った…。 
「5時間掛けて、ここまで来たンだにィ~!…明日の朝刊の締め切りに間に合わせないと行けないから下山するずらァ~…だにはァ~!急いででだにはァ~ッ!お先に失礼するずらァ~ッ!」と挨拶するや、忍者のように、尾根の急斜面を下って行った…。
お気をつけてェ~ッ!と叫ぶさゆり達の方を振り返ることをしない伊藤だ…。訛ってるが、カッコ良く去りたいらしく、トレンディ俳優のように前を向いたまま、手を振りながら、斜面を駆け降りて行く伊藤だ……。
「伊藤さん…多分、登りに5時間掛かったなら…下りには4時間位掛かるでしょ〜!『撮った写真もフィルムを現像しないと、載せられるか?どうか?分からない!』て言ってたからね…よかったわね…ウチ達はヘリの樋場さんの中継アンテナか、中継車のパラボラ衛星アンテナに送ればいいモノね!」 
「送ればV.E.のケイイチさんが、編集して本社に送ってくれるからね…」
 「上野村役場の方も、衛星回線も設けて下さったからね…肩掛け電話も使えて有難いわね…上野村の村長さんに意見具申して下さったナラツカ村議には本当に感謝だよね」 


14:00(ヒトヨンマルマル)
藤岡市内
公立多野病院 
バパルルルルルゥ~ッ!とエンジン回転爆音で騒がしい藤岡市内公立多野病院前広場だ……。自衛隊収容ヘリV−107バートルは一旦、上野村役場対策本部前広場に着陸した。4人の生存者達の内、吉崎美紀子と川上慶子は、待機していた消防庁ヘリコプターひばりに移された。藤岡市内公立多野病院に搬送されることとなった……。
 一時、危篤状態に陥り、典子を慌てさせた8歳の少女…吉崎美紀子は、点滴したら容態は回復方向に向かっている。が、何しろ、高高度上空のからの墜落事故だ!小さな女の子が、かなりの衝撃を身体に受けている筈である……。診ただけでは、わからない内出血が、身体の何処?に発生している可能性もあるのだ!
(「この小さな女の子が生きていてくれる…この奇跡……なのに……あの自衛隊指揮官~最初から頭フル回転してくれたら、もっと早く連れてこれたのに…軽く見てるンだよ…実際に命の危険なンてない【戦争しない軍隊】だからァ~命ィ~なめてンのかよォ~ちゃんとォ~!‘‘仮設ヘリポート’’頼んだからねェ~ッ!」)と、かなり…美紀子の容態が予断を許さない状態にピリピリしている日赤看護婦統括係長…プロ中のプロ看護婦春山典子だ!一刻も早く精密検査が必要だ!一切の時間のロスもゆるされない!
バパララララァァァ~ッ!とヘリコプターのエンジン回転爆音の騒音が、静かな筈の病院に響き渡っている……。多野病院建物脇広場上空約10m……に、飛来した東京消防庁ヘリコプターがホバリングだ……。
 ひばりの側部扉が開いた……。安全確認がされて、典子が、医師が、レスキュー隊員に抱き包まれた美紀子が、同じく慶子が…4往復のホイスト降下だ……。

 多野病院の看護婦達が集って来た!担架台車に乗せられる美紀子と慶子の2人だ!

ホバリング場所が平地で下降気流が安定していることもあり、全降下、降下隊員の引き上げ等、がわずか10分程で終了した……。
ブルバァウワァァァァ~!と遠ざかるエンジン回転爆音と共に、東京消防庁ヘリコプターひばりは飛び去って行く……。
「急いで下さい~ッ!」とヘリコプターから離れて、担架台車に乗せた美紀子に寄り添い、病院入り口に向かう典子達は、数十m走る…。
「こちらが入り口です!」と病院の看護婦が案内する方向に、運搬台車を押して、走る…。
「美紀子ちゃァ~ん!頑張ろうねぇ~ッ!病院に着いたからねェ~!」と常に美紀子に声をかける典子達は、入り口に向かい担架台車を押して走る……。その時だった!典子を愕然とさせるモノが目に飛び込んで来た!
???何ンと???病院入り口には数十人のマスコミ報道スタッフ達が、担架台車に乗せられた美紀子に向けて、カメラのレンズを向けて構え、進路を遮っているではないかッ?
「すいませ~ん!重体患者搬送中ですゥ~ッ!どいて下さァァ~い!」と多野病院看護婦達が叫んだ!
パシャシャァァ~ッ!パシャシャシャァァ~ッ!とカメラのフラッシュが一斉に眩しい光を放った!典子は、再び、鬼の形相に変わった…。
「邪魔ァ~ッ!邪魔ァ~ッ!搬送中~ッ!邪魔ァ~ッ!」と叫びながらマスコミ報道スタッフがふさいでいる通路を通ろうとした……。
パシャシャシャァ~ッ!パシャシャシャァ!パシャシャァ~ッ!と音させて凄まじいフラッシュの光が発っせられた!
『撮影はやめてください!』『撮影はやめてください!』『搬送中です!進路を開けて下さいッ!』と看護婦が叫んでいる…。生存者を乗せた担架台車が通れないでいる。騒然となる病院入り口通路だった…。その時だった…。
「いい加減にしろォォォォ~ッ!」と典子が一発ぶちギレ叫びだ!
シーン!と静まり返るマスコミ報道スタッフ達だ……。
 典子は続けた!
「ここは病院なンだよォォ~ッ!患者の命がかかってる瀬戸際なンだよォォ~ッ!一刻も早く処置しなきゃならないのに通れないだろォォ~ッ!邪魔だからァ~邪魔だからァ~……さっさと……どけよォォォォォォォォ~ッ!」とぶちギレ叫びの典子だ!
ササササササァ~!て通路をふさいでいたマスコミ報道スタッフ達は、二手に分かれた!典子が寄り添い、多野病院看護婦達の押す、2台の担架台車が通る道が出現した……。

 吉崎博子と落合由美子は……上野村対策本部広場から、救急車に乗せられ、公立多野病院に搬送された……。(注…いろいろ書籍にあるが…few時間掛かったそうだ…)
川上慶子は、多野病院で処置が済むと、国立高崎病院に移された…。
吉崎博子と、落合博美は救急車で多野病院に搬送……。


17:00(ヒトナナマルマル)
 先任到着部隊…松本第13歩兵連隊派遣隊指揮官1等陸佐川名に‘’1部申し送り‘’をし、川名の統制下に入った、ひがし野中央空挺旅団派遣隊指揮官1等陸佐重高だ……。山岳行動のプロ部隊が‘’地形把握’’を実施した方が、ひがし野部隊の他の任務の遂行スピードが早まるというわけだ!
 ‘‘他の任務’’とは……?ソレは‘‘仮設ヘリポート造成’’であった……。
 自衛隊一般部隊、機動隊、消防団員達が、毛布に乗せて包み、集めて来る収容遺体であるが、一旦、炎天下の尾根に置くしかない……。収容した遺体をヘリに載せるには、前述の通り【遺体の尊厳】があるために『資材のように吊り下げる』『引き上げる』扱いが出来ない……。
 着陸が出来るように【仮設ヘリポート】がどうしても必要なのである……。
バタバタバタァァ~!ブルバァウワァァァァ~!
バタバタバタバタバタァァ~!ブルバァウワァァァ~!とエンジン回転爆音を轟かせて、自衛隊ヘリUH−1が、やって来て、土工具、資材、糧食、水等をロープで吊り下げ、降ろす…これを複数回繰り返した……のはfew十分前だ……。
 食事だが……自衛隊員には携行真空パック赤飯が1日分持たされている。機動隊員は、何も糧食の携行も無い…。
 前話述の通り、上野村役場ゼロ戦村長黒沢の指揮の元…『村役場女性職員、村の婦人会』総動員で『おにぎり』作りをさせた。リュックに背負わせた若い職員達に現場まで届けさせた『160人分の消防団員達のためのおにぎり』であった。
 が、消防団員達は、腐敗が始まった【遺体】【部分遺体】…つまり変化が始まった‘‘人間の死体’’、‘‘人間の死体の一部’’を見るのは、初めての者ばかりであったようだ。
 食欲は、無くなり、水しか飲むことが出来なくなった…。

‘‘消防団員達のためのおにぎり’’は、このあと、徹夜でヘリポート造成作業にあたるための……機動隊員達に食べてもらうこととなった……。『機動隊員達の食欲』の変化は???

 それは、まず、無いであろう……。よく、事件、事故のニュースで「機動隊の捜索により『腐乱した人間の身体の一部』『一部白骨化した人間の身体のようなもの』が発見されました…」と耳にするから、変化した遺体を見ることには、精神的耐性が出来ているのであろう…。発見現場にカメラ取材に行くさゆりとアツオも同じくだ…。
『ありがとうございます!いただきます!』と感謝して‘‘おにぎり’’を『機動隊員達は胃袋に納めた』とのことだ…。
 夕方には、消防団員達は『一旦、下山して、村に帰る』とのことだ……。消防団員も上野村の若手男性職員達も、山の斜面に露営するわけにはいかない……。マスコミ報道スタッフ達も『締め切り』があるために、かなりが下山していった……。4、5時間掛けて登って来たが、4時間近く掛けて降りることとなった…。

 さゆりとアツオは自衛隊から、毛布を一人、一枚ずつ貸してもらうことが出来た…。岡部の意見具申→重高→川名からの命令であった……。避暑地の山の夜の気温はかなり低い。上半身Tシャツでは、まず、耐えられないであろう…。
 もちろん、さゆり達に‘‘ビンタ映像’’を撮られている弱みがあり『風邪でもひかれて逆恨みされたら…』は、あったが…逆に『マスコミに、撮影取材をしてもらった方が、自衛隊の活動を国民に知ってもらえ、自衛隊のイメージアップになる効果が大きく…勝手に、自衛隊広報活動をしてくれるに等しい~マスコミ報道には、元気で取材してもらう方が良いので出来る場合は‘‘提供’’しろ!』という…隷下に入っている松本部隊の指揮官川名の命令であった…。何より、自衛隊員達が‘‘携行食料’’を食べていると……
じ~!と視線を感じたのには、参ってしまった岡部達だ…。
【ビンタ映像】を握られているから…という訳ではないが……パック飯を食べている自衛隊員達を……さゆりとアツオが、じ~!とモノ欲しそうな顔で見ていたのには、やはり、恐怖を感じた岡部だった…。
(「ヤバい…!食いもンの恨みは怖いからなァ~!何されるか?何を晒されるか?分からンぞォ~!」)やむを得ず、2人に明日の朝食べる‘‘真空パック炊き込みご飯’’を進呈するのだった…。
「ありがとうございますゥゥ~ッ!」と、1袋に多めに入っている‘‘パック飯’’…大人2人に1食パックで、丁度、良かった。『マスコミ報道スタッフ達には、可能なら提供しろ!』というスタンスの自衛隊であった……
「機動隊員分はもちろん……‘’着の身着のまま‘’来た、マスコミ報道スタッフ達の分も『朝の第1便で糧食』を届けるように!……連絡して欲しい」と…岡部は重高に意見具申だ!重高は川名に伝えた…。川名は、松本部隊に直通する高出力無線機で松本部隊に無線を入れた…。明日の朝は『ちゃんとしたご飯と味噌汁と焼き魚パック』の朝食が、ヘリコプターで空輸されて来るであろう……。
 因みに【自衛隊エンピ(スコップ)トイレ】だが……。今回のような場合‘‘緊急避難’’的トイレが設けられたであろう…。(few日間のみ…)
 ‘‘緊急避難’’的トイレとは……いわゆる…尾根を降りたスゲの沢辺りに、エンピ(スコップ)で穴が掘られ、【遺体収容要員】達は、その穴に用を足したであろう……。

22:00(フタフタマルマル)
ゴガン!ゴガン!ゴガン!と杭打ち込みの音がする。
尾根の下方からジャゴ!ジャゴ!ジャゴ!と鋸引きの音がする……。
黒沢が国有林管理組合組合の信ちゃんに訊いた‘‘墜落現場’’…目印は『20年前に植林した‘‘から松’’』であった……。
 樹齢20年では伐採時期には、まだ早いが、仮設ヘリポート造成には形も、強さも扱いの良さも抜群に適していた……。先ほどから事故現場下から上の方まで‘‘運搬道’’造りが、続いている。
『はぁい!もらった!』『放すぞォ~今ァ~ッ!』ドサン!
『せぇ~のォ!』ガラン!ゴガン!と掛け声とモノが放つエネルギーの変化音がする…。
『こっちにお願いしまァァ~すッ!』と自衛隊員達と機動隊員達が、力を合わせて‘‘人海戦術’’作業だ……。
 重機を空輸するという方法もあり、仮設ヘリポート造成などは、たちどころに終了してしまったであろう……。が…重機を空輸するとなると、一旦、全ての任務をストップせねばならない…。
【遺体収容要員】の願いは『一刻も早く、遺体を遺族の元に…』であり‘‘人海戦術’’方式が採用されることとなった…。
 から松がどんどん切り倒されて行く…。樹齢20年ではそんなに大木にはなっていない…。よく、空き地を囲うように打たれてある、杭に丁度良い太さだ!
 階段登り道の段差に使う、約 1.5m近くの長さの丸太が担がれてくる。尾根に階段登り道が造られて行く…。何やら、凄まじいスピードで杭が運ばれてて来る!運んで来るのは機動隊員だったり、自衛隊員だったりまちまちだ…。
 意外にも1m位の杭なら2本……1.5mモノなら1本しか、抱えていない…。人海戦術作業とは、波の如くモノが運ばれて来る。次から次へとやって来るモノ…杭を打ち込む。一回、一回の作業を全力出して行うようだと、続いて行かない…。もう1人が運ばれて来た杭を、横から手をそえて自衛隊員が大ハンマーを振りかぶり打つ。
ゴガン!ゴガン!ゴガン!と音をさせて、杭が傾斜地面に打ち込まれて行く!勿論、大ハンマーで打ち込んでいる隊員、杭をに手を添える隊員、横に丸太を並べ、エンピシャベルで土砂を盛っていく隊員…。何人もいる……。

 嘘みたいに美しい星空であった……。東京にいたらプラネタリウムでしか見ることの出来ない、信じられないくらいに夜空に星が広がっていた…。だが、仮眠をとっている場所からfew十m離れた場所は【仮遺体安置所】があり、仮設ヘリポート造成作業場所であった。

 少し異様な設定と素晴らしい光景だ…。自衛隊から借りた毛布1枚を斜面に敷き、1枚を上から掛けて仮眠をとるのだが……。その掛けている毛布1枚の下に、あろうことか?カメラマン広川アツオと一緒だ!若い独身美女が、恋人でもない若い独身男性と同じ毛布の下に眠るとは???こンな???マンガみたいな設定があって良いのか?
 うつ伏せに寝ているが、上体は反らして起きているさゆりは、ペンライト片手に、ノートに色々速記している。肩掛け電話で、SNTテレビ本社と樋場一成カメラマン記者と連絡しながらだ。
『はい……下山して……
藤岡市民体育館ですね…ですが……まず、着替えをしないと……やはり……オーバーオールにTシャツでは……アツオちゃんはGパンにTシャツですからねェ~…既に2日間身体も洗ってないです…はい!…宿に行って着替えて……洗濯機ありますか~?それからですね……今回は、遺体数があまりに多く…特例として…収容遺体の遺体検視が…医師と看護婦の立ち会いの元に行われるンですね…ン?ン?ン?…もしもし…遺体の検視というのは警察により行われるンですよねェ~?
日本赤十字群馬支部の医師と看護婦が、今日から待機してるンですかァ~?へェ~……検視の立ち会いが行われるンですかァ~?……はい!……はい!……へぇ~…そうなンですかァ~……話は変わりますが…宿なンですが……今日…現場にいましたが…本当に明日から…4人で行って大丈夫ですか?…あァァ~!ありがとうございますッ!…はいッ!…よろしくお願いします!…お伝えください!…はいッ!…失礼しますッ!』と言ってカタパン!と音をさせて肩掛け電話の受話器を置くさゆりだ!話相手はヘリカメラマン記者の樋場からだった。記者だから、その日にあったことは、記録しておかなければならない……。
(注……検視→変死体や、その疑いある死体に対し、捜査機関の責任で行う…

医師診療を受ける者の死亡→自然死に分類され、死亡診断書作成→以後の手続き…
医師診療を受けることなく死体発見や、犯罪被害関係の状態の場合→警察官が検視する[医師の立ち会いにより適切な指示]
検視の主体は警察にあり、場合により、行政解剖や、司法解剖にまわる…

尚…遺体が航空機墜落と原因が明らかで、520人分[部分遺体を含め]なので特例として……)
はい!もらったァ~ッ!どうぞォ~!と隊員達が‘‘階段登り道’’造りの掛け声がする。
ゴガン!ゴガン!と大ハンマーでから松杭を地面に打ち込んでいる人数がfew十m離れた場所まで上がって来ている……。もう少しで【階段登り道】は完成するらしい……。
「えェ~!明日の予定ねェ~!…‘‘仮設ヘリポート’’が出来上がってるでしょうからァ~取材撮影ねェ~ある程度撮影したら……下山するねェ~」
「えェェェ~ッ?……もう少しさゆりちゃんと2人でいたかったかなァ~?」と、ガッカリした表情で隙あらば‘’あいこく(愛の告白)‘’のアツオだ……。
「何よォ~ッ?樋場さんがァ~知り合いの人に宿の手配してくれてンのにィ~!着替えも用意してくれてあるらしいンだけど~イヤなの?…分かった…アツオちゃん残って現場中継ね!デスクに言わないと!」と言って、ピポポパポポピポパァ~!と肩掛け電話のプッシュボタンを押し始めたさゆりだ!
「チョ?チョ?チョ?チョ?チョォ~ッ?待ってよォ~!冗談止めてよォ~!デスクに『残る!』なンて言うのォ~勘弁してよォ~ッ!」
「あ?もしもしィ~ハジメちゃァ~ん!明日の昼過ぎにィ~‘‘本谷林道入り口’’に迎えに来てくれるゥ~?」
「……ッ?……何ンだよォ~ッ!冗談かよ~!」と騙されたアツオだ!
「キャハハハァァァ~ッ!…うん!…樋場さんがァ~宿を手配して下さってるってェ~……う~ン!だから迎えに来て欲しいのねェ~」と笑いながら、運転手のハジメに電話するさゆりだ…。
「はい!…じゃあ明日、また電話します」というとタパン!と音をさせて肩掛け電話の受話器を戻すさゆりだ…。さゆりも、一段落したので仰向けに寝転んだ…。星空が目に入って来た…。
(「置いてかれはしないみたいだ」)と安心したカメラマンのアツオは、まるで、キャンプ気分だ!逆に、緊張感を持つべき所は持ち、力を抜く所ではリラックスする…ある程度、得な性分なのかも知れない。
 

「あの天の川のォ~挟んで‘‘三角定規’’の3つの頂点みたいに位置してる…明るい星~琴座のベガ…‘’織姫星‘’…ベガから三角定規みたいに伸ばしたところの明るい星……‘‘白鳥座のしっぽあたり……白鳥座の’’デネブ……‘‘彦星’’…わかる?」
「わかるってェ~!続けなよォ~!」と、はっきり言って‘’小中学生星座講座‘’…だが、息の合う仕事仲間アツオの語り口…なかなか悪くない。
「しっぽの位置のデネブでしょォ~あそこら辺から翼を広げてるじゃん…そっから首を伸ばした先のォ~頭の位置の明るい星がアルビレオだよ~」と腕を伸ばした先の指で明るい星を指差すアツオだ。
「ベガ……天の川……天の川の中のアルビレオ……」
「天の川を挟んで~あれがァ~…彦星だよね……」と、いつの間にか‘’どうでも良かった小中学生星座講座‘’に少し興味あるふりをして、アツオの頬に自分の頬を寄せるさゆりだ!さゆりとしては、常に自分に好意を表すアツオへの【本日の御褒美】だった……。
 前述の通り、池田さゆりは功名心の塊であり、男性は『いくら?自分にお金をもたらしてくれるか?』しか興味は無かった……。ルックス?冴えない……代わりはいくらでもいる同期入社ではあるが契約カメラマンだ……将来的???……経済的???に見ても何ンの魅力も無い……。アツオを男性対象とは、見ていないさゆりだった……。
 カメラマンとしての腕…?
 広川アツオ…‘’相棒カメラマン‘’……昨日は間近に飛来した日航123便と追尾するF4ファントム戦闘機3機を、撮り逃す大失態をカマした大バカ野郎だった……。が…今日…『奇跡の生存者少女を抱き包む精悍な自衛隊員…吊り上げ収容する自衛隊ヘリコプターを…唯一…下からのテレビカメラ撮影』したのは広川アツオだけで、その実況をしたのは池田さゆりであった。
 間違いなく、今年の報道大賞受賞であろう……!間違いなく相棒カメラマンとして…100点…いや!200点!300点!満点!として認識したさゆりだった…!興味はないが……悪くない…‘‘小中学生向け星座講座’’に付き合うさゆりだ…。
「アルタイル……『あんたいる』じゃないよ『アルタイル』だよ」
「キャハハハハハァァ~ッ!」と笑うさゆりだ!

「『あんたいる』じゃないよ『アルタイル』てかァ~ッ!(ベガ)…な~ンてねぇ!ぶ!(デネブ)」

キャハハハハハァァ~!と笑い声を弾けさせるさゆりだ!
「『あんたいる』じゃないよ『アルタイ(ル』だよ)ッ?」
「面白くて笑ってンじゃないからねェ!…大の大人がまァ~【小中学生向け星座講座あるあるネタ】をまァ~小中学生向けの教師か?アツオちゃんは?キャハハハハハァァ~ッ!『あんたいる』て繰り返してンのバカうけじゃん!アハハハハハァ~!」
「ヒデェ~なァ~!参ったなァ~!アハハハハハハァ~!アハハハハハハァ~!」

アハハハァ~ッ!こンなン笑ったのって久しぶりだわァ~ッ、アハハハハハハァ~ッ!
 しばらく笑うと、2人は、静かになった……。昨日からの、2人は、ず~っと歩きっぱなしであった……。かなり、疲れていた……。少し眠気がしてきた。
がんばろォォ~ッ!ガゴン!ガゴン!ガゴン!と隊員達の叫び声や
作業をする音がする……必死に起きている……。眠ることは出来ない……。
 アツオは『言葉を絶やしてはいけない』…と素晴らし過ぎる美しい星座をネタに話しだした。

「いやァァ~!すごいなァァ~!さゆりちゃ~ん!キレイだねェ~!」
「あァ~……ありがとう……」と自分に挨拶代わりに『綺麗だね!』『綺麗だね!』言うアツオに、片付けるようにTHANKS!のさゆりだ…。
「えェ~?‘‘天の川’’メチャメチャキレイだよねェ~」
「何ンだァ~?紛らわしいなァ~!星空のことね……さっきから何十回言ってンのよォ~ッ?」
「えェ~?さゆりちゃんもキレイだけど~」
「星空の話してくれンでしょ?いいから続けなよォ~」
「‘‘夏の大三角’’の話ね~……あの三角定規みたいに明るい3つの星~……天の川を挟んで離れ離れの『こと座のベガ…織姫』と『わし座のアルタイル…彦星』…2人は出会い……恋人同士になり……恋に落ちた2人……仕事もしなくなっちゃった……それくらいに……ンンン~!……愛し合って……愛し合って……仕事ォ~そっちのけで……朝から晩まで……愛し合ってたから……」と天の川と、3つの星座を話しだすアツオだ!キレイ!で素晴らしい星空を眺めながらする暇潰し話には良い選択のアツオなンだが……!
「何ァ~ンかァ~!『愛し合って…愛し合って…』て…アツオちゃんが言うと~何ンか~下ネタっぽくなるねェ~……それでェ~?」と言うさゆりに話しを続けるアツオだ……。
「織姫のお父さん…神様なンだけど『けしからん!2人を天の川の両岸に離れ離れにさせてやれ!』て……」
「知ってるけどねェ~」
「じゃあ~止めるよ」
「いいから続けなよォ~」
「年に一回だけ7月7日七夕の日だけに…2人は会うことが出来て……年に一回だけ……思いっきり愛し合う2人……という話でした……」
「イエ~イ!」チパパパパパァ~!と音をさせてミニプチ拍手喝采だ!
「仕事もしなくなっちゃうくらいに……出会ったばかりの男女……て言ったら……」と…話を引っ張りたいアツオは、プチ下ヌタ気味変化球だ!

「何ンだかイヤらしいわねェ~!せっかくの星座神話が台無し~」とさゆりも長引かせに同調道草だ!

「だってェ~!『実際はそうでしょ?』何か?が始まるでしょ?て話だよね?」と下らないが仲の良い2人だ!
「だからアツオちゃんは下品だっての!若い男と女が好き同士になったら~昔なンか~娯楽が無かったンだからァ何がァ~『愛し合った』だよ!いやらしい~!ハッキリ言えば良いでしょ!『寝てはセックス!醒めてはセックス!セックス!セックス!……セックスばっかりしてた!ンに決まってンでしょォ~!』……」
「『寝てはセックス!起きてはセックス!』て今ァ~さゆりちゃん!『セックス!セックス!』何ン回『セックス!』(て)言ったァ~ッ?6~7回?『セックス!セックス!』何ン回?いっ(言)たァ~?」
辺りはシィィィィ~ン!と静まり返っていた……。杭を打ち込む音も、隊員達の掛け声も聞こえない……。登り階段造り作業の任務は中断?休憩か?さゆりは、アツオに言い返した!
「人聞き悪い!『何ン回いったァ~?セックス!セックス!』て!隊員さん達が

聞いたら勘違いされるでしょう!」と、さゆりは言い返した!

 その時だった!
ボバォワハハハハハハァハハハァァァ~ッ!と何十人もの隊員達は大爆笑だ!
「違うンですゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~ッ!」とさゆりは、飛び起きて叫んだ!
バハハハハハハハハハハハァァァァ~ッ!
ワハハハハハハハハハァァァ~ッ!

ドォワハハハハハハハハハァァァ~ッ!と大爆笑の隊員達だ!

‘‘階段登り道’’頂上
(仮設ヘリポート造成場所)
さゆりとアツオはテレビカメラを持ち、仮設ヘリポート造成場所に向かった。派遣隊の第一任務である‘‘仮設ヘリポート’’造成のための資材運搬と、収容遺体運搬のための階段登り道造りをいそいでいた……。完成は近い!

「遺体収容のための仮説ヘリポート造成のために、必死で作業の任務にあたる隊員達を前に『セックス!セックス!』話は不謹慎でありますが……隊員達にとっては、この上ない“リラックスタイム”となってりましたッ!…ぶグフッ!…ありがとうございました!…派遣隊ァ~イ!気をつけェ~!SNTテレビ局さんにい~ッ!頭らァァ~中ッ!……敬礼ッ!グぶふッ!」と岡部が堪え笑いで敬礼だ!

ザザザァァァ~ッ!ザザザァァァ~ッ!ザザザァァァ~ッ!と音をさせて気をつけ→頭なか(顔向け)→敬礼の派遣隊員達だ!

ワハハハハハハァァァァァ~ッ!と爆笑の隊員達だ!「もうすぐで仮説ヘリポート造成のための“階段登り道造りが終了します!派遣隊の活動の様子の取材の方……引き続きよろしくお願いします!……派遣隊ッ!直れェ~ッ!」と岡部は叫んだ!

ザザザァァァ~ッ!と音をさせて、直れ!の派遣隊隊員達だ……。敬礼終了だ!

「みんなァァ〜ッ!“階段登り道”が完成したら1時間仮眠休憩だ!掛け声行くぞォォ〜ッ!」と岡部がさけんだ!

『もう少しだぞォォ~ッ!』『がんばろォォ~!』と各部隊掛け声が始まった!
中央ォォォ~空挺ェェェ~イッ!
ゾォ~ッ! (行くぞぉ!)
おォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おォォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おおォォォォ~ッ!
まつもと13連隊ァァ~イッ!
ゾォ~ッ! 

おォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おおォォォォォォ~ッ!
県警ェ~松本管区~2機2大~警視庁ォォ~機動ォォォ~隊ィィィィ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おォォォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おォォォォォ~ッ!

ゾォ~ッ! 
おおォォォォォォォ~ッ!

‘‘階段登り道頂上’’付近で掛け声気合いを入れている……。

「アタシ達も取材やるわよォォ〜ッ!」と仕事モードに切り替わる、さゆりとアツオだ!あちこちから、報道カメラスタッフがやって来た…!パシャ!パシャ!パシャ!と音をさせてとフラッシュ撮影だ!

「フラッシュ撮影は作業に支障ないよう少なめでお願いします!」とカメラマンに言う岡部だ……。ゴガン!えいさァ〜ッ!ゴガン!おいさァァ〜ッ!隊員達の掛け声と共に、大ハンマーで杭を打ち込む音が響く尾根の急斜面だ。アツオは高感度モードに切り替えて、照明ライトが無くとも夜間撮影をしている…。アツオの撮る映像には、真っ暗闇の中、昼間のように隊員達の姿が映し出されている…。「満点の星空とは言え…まっ暗な山…この御巣鷹の尾根の剥き出しになったの急斜面…長さfew百mに渡り…登り階段道が…かなり出来上がってます…暗い中…明かりは隊員達の懐中電灯です…今…SNT広川カメラマンのテレビカメラには作業任務に必死で取り組む姿が映し出されています…

作業任務は分担されている模様です…

杭を運ぶ隊員…手を添えて杭を支える隊員…大ハンマーで打ち込んでいる隊員…懐中電灯で手元を照らす隊員…一切の無駄のない人海戦術です…あとfew十mで階段登り道は完成します…松本第 1 3歩兵連隊…ひがし野中央空挺旅団…警察機動隊…隊員達は明日の朝までに“仮設ヘリポート”を完成させるために、必死に作業をしています!…朝から始まるヘリコプターによる…検視が行われる藤岡市民体育館への搬送…こちらには日本赤十字群馬支部から派遣されたfew百人の医師、看護婦が待機しています…藤岡市民体育館遺体検視所への収容遺体の搬送のための仮設ヘリポート造成作業が急ピッチで行われております…以上…SNTテレビ記者池田さゆりがお伝えしました…」ゴガン!えいさァ〜ッ!ゴガン!おいさァァ〜ッ!と杭打ち込みの音と、掛け声が響き渡り続けている……。人海戦術の作業任務の遂行は続く…。もう少しで“階段登り道”造りは終了だ!そらには満点の美しい星空が広がる…。が…隊員達は、美しい満点の星空に目を向ける暇は無かった…。


23:00(フタサンマルマル)
尾根の階段登り道
「よォ~し!‘‘登り階段’’は完成したなあ~ッ!1時間、仮眠を取ろう!下まで‘‘逓伝’’(口頭で伝え続けること)」岡部は野田に告げた!
「了~解ッ!」
派遣隊ァァァ~イッ!これより1時間ァァ~ン!仮眠を取れェ~ッ!逓伝せよォォ~ッ!」
05:00(マルゴォマルマル)

グゴォガァガァァァァァ~ッ!ガァゴォガガガァァァァァ~ッ!と凄まじいいびきで、

ゴワァァァァ〜ッ!……ふピィぃ〜ッ!…てゴワァァァァ〜ッ!……ふピィぃ〜ッ!…アツオの大イビキだ!「ハッ?」とさゆりは目を覚ました…カナカナカナカナァァァァ〜ッ!カナカナカナカナァァァ〜ッ!日暮せみが大合唱だ!トプ!トプ!…ト!ト!ト!…トプ!トプ!トプ!…パタパタパタ!とUH- 1Hヘリコプターの飛来すエンジン回転爆音が近づいて来た…。いつの間にか?熟睡してしまったさゆりとアツオ達だ!
「アツオちゃん!大変よッ!…いつね間にか寝ちゃたわッ!起きて!」
「うん~ッ?やべ!熟睡しちまったよォォ~ッ!」と大慌てでとび起きるさゆりとアツオだ!
バタ!バタ!バタ!バタ!バタ!バタ!と凄まじいエンジン回転爆音と共に、UH- 1Hヘリコプターが飛来さした!さゆり達が眠っていた辺りに砂ぼこりが襲い掛かるキャアァァ〜ッ?うわァァ〜ッ?と悲鳴を上げるさゆりとアツオだ! が、驚いていてはいられない!ヘリコプターに間違いないからだ!毛布を抱えて、カメラや肩掛け電話、ナップサック…忘れ物に気をつけながら、身支度し、仮設ヘリポートに向かう…。
ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!とエンジン回転爆音が、辺り一帯からの音を掻き消した独占した!何やら、昨晩までと違う場所に来た錯覚を覚えたさゆりとアツオであった…。から松杭few十本が地面に突き刺さっていて、壁のように横に並べ重ねられたから松杭が、土砂を10m四方の四角柱の空間に押し込めた形状の構造物が完成していた。
やがて……ヒュキュイィィィィィ~ン!シュワン!シュワン!シュワン!シュワン!という回転音に変わりエンジンとヘリのローターは回転を止めた……。仮設ヘリポートに駐機のUH- 1Hヘリコプターだ……。few十人の隊員が並んてま集って行った。隊員達は、OD深緑色のバッ缶や、保温バッグを降ろし、配膳だ!プラ袋ご飯‘’、紙コップ味噌汁、パック焼き魚…朝食‘’を手にヘリポートから離れる隊員達だ……。
 ……朝食が届けられたのだった……。
 看護婦春山典子が自衛隊幹部岡部に、ビンタを喰らわす場面を見て、さゆりは『日本の自衛隊は何か?…足りないモノがあるかな?』感じた……。が……夜通し、土木工事をしている自衛隊員達の姿に、驚いた……。
【仮設ヘリポート設置】造成の夜通し作業にあたっていたのは取材出来た!残念ながら、熟睡してしまい取材が出来なかったが……隊員達が完成させた‘‘仮設ヘリポート’’を見て、土木工事に徹夜で作業にあたった自衛隊員達を知り、さゆりの自衛隊を見る目が180°変わった!
 岡部に取材したところ「【遺体の尊厳】を守るためと、に、遺体の収容時の安全と効率を確保するために…どうしてもヘリが着陸出来る【仮設ヘリポート】の造成が必要であった…明け方までに間に合って良かった…粗末ですが温かいご飯と紙コップ味噌汁…パック焼き魚…召し上がって下さい…『腹が減っては戦は出来ぬ』言いますでしょ…」。

 さゆりとアツオは、不眠不休で、御巣鷹の尾根にたどり着いた。が、それからは、尾根のスペースから出ていない…。消防団員達は、帰って行き、また、夜明けになって、尾根に向かうのであろう。自衛隊員達と、機動隊員達の、信じられない程の驚きの体力と精神力の持ち主の男達がいることを知らされた。

仮設ヘリポート
09:35(マルキュウサンゴォ)
ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!ドコ!とエンジン回転爆音が響き渡り遺体収容のUH-1Hが着陸した…遺体収容第 1便だ…。
第 1便…09:35〔マルキュウサンゴォ〕6包み、6遺体
第2便…09:51〔マルキュウゴォイチ〕5遺体
第3便…09:54〔マルキュウゴォヨン〕4遺体、3部分遺体
第4便…10:08〔ヒトマルマルハチ〕5遺体、1部分遺体
第5便…10:30〔ヒトマルサンマル〕7遺体
       
     8月14日収容遺体

         以下…

全21便…121包み、111遺体、163部分遺体…。

警察、自衛隊、消防による13〜16日までの4日間の合同捜索……1000人以上が投入…。
11月27日までに…身元確認に繋がる遺体について…ほぼ収容…。
完全遺体492体、離断遺体1128体、遺品4328件…
捜索は厳冬期に入る限界直前の11月4日まで行われた…。




第19話に続く…