第6話-3



マガダンマガオマガ・マニラ店内

‘‘マガダンマガオマガ・マニラ’’の入り口の開いた扉から、ダンボール箱1箱を担ぎ、1箱を脇に抱えた白人と黒人の背広姿の大男が2人入って来た。それだけで、警察官や入国警備官達は驚いたが、その後に入って来た背広姿の白人男性を見て更に驚いた!
『20時に来るンじゃないのか!予定より2時間早いじゃないか!』
『本物だよな?』
『本当に来た!』と口々に言葉した。
『何ンでペペラァ?』
『何ンで?シュワちゃんがいるのペペラァ?』とフィリピン嬢達も自分達のピンチさえ忘れて驚いていた! 
「ハァ~イ!グッディ~ブォニンエボォリィバデェイ!やぁ~今晩はァ~!フィリピン嬢の君たちにィ~お願いがあるンダァ~!どうしても君達の力が必要なンだァ~!君達はァ~‘‘チャラ(放免)’’だァ~ワタシが決めたァ~!」とフィリピン嬢達に告げるアーノルド・シュワルツェネッガー米国カリフォルニア州知事だ。
 フィリピン嬢達は、自分達には夢のように嬉しい話なのに、にわかに信じられなくて茫然てしいた。
「ちょっ!ちょっ!ちょっ!ちょっ!ちょっと待って下さいヨォ~ッ!コイツ等ァ~‘’ジャパゆき‘’達ィ~これからショッぴく(連行)ンですからァ~!‘‘ダサ男’’はアイツにィ~横取りされちゃッたカラ~自分はァ~‘’手ブラ‘’じゃァ~帰れないですヨォ~‘‘点数’’貰えないじゃないスカァ~!」と上野は、スチール警棒で指し示して言う上野だ。指し示す後輩制服警察官は、ダサオを床にねじ伏せ、後ろ手に手錠を掛けている?
「見逃してやってクレないかァ~どうしても彼女達の力が必要なンだァ」
『俺~こいつパクったからァ~!アザす!』と後輩制服警察官が言う。

「うるさいッ!何が『アザす!』だァ!この野郎ォ~ッ!」と後輩を罵る上野だ。続けた。

「大体~!いくら‘‘シュワちゃん’’……イエ!……シュワ知事でも、ここ日本国は法治国家です……そんな権限はないですゥ~!コイツ等ァ~‘‘不法滞在’’の‘‘不法就労’’なんですゥ~!」と‘‘シュワちゃん’’の‘‘お願い’’も聞かず、ツッぱねる有田だ。

「だってェ~コイツ等ァ~野放しにしたンじゃァ~警察の面子丸つぶれじゃないスかァ~!不法滞在の不法就労なですからァ~」と店内席に座るフィリピン嬢達をスチール警棒で指し示す上野だ。

 ‘‘噛み合うやり取り’’を求めても無駄なのに、シュワちゃんにマトモに説明してしまっている有田と上野だ。多分……有田と上野はシュワちゃんに、最後は‘‘チャラ’’を了承させられるであろう……?だって‘‘シュワちゃん’’だもの……。

「ワタシもパスポートを忘れたコトがあったケド~‘‘チャラ’’(入国OK)にしてくれたゾゥ~」と、や早速‘‘噛み合うやり取り’’は受け付けないシュワちゃんだ。

「イヤ!シュワ知事!あなたはが特別‘’ですから!何ンでもOKですヨ!‘‘シュワちゃん’’ですカラ~……ア?……いえ!……‘‘シュワ知事’’ですモノ!」と有田だ。

「じゃァ~頼むヨ~ワタシは‘’特別‘’なンだろう?」

「でもォ~‘‘手ブラ’’では帰れないですゥ~」と、やはり‘‘手柄’’が気になる有田だ。

「上に行ってヤクザ共ォ~パクったらイイだろゥ~?」と『警察』と『入国管理局』の‘‘管轄’’など、とことん無視のシュワちゃんだ!シュワちゃんには‘‘決まり’’など通用しないのだ!

「…………」「…………」とすっかりシュワちゃんのペースに巻き込まれている制服警察官達と入国警備官達だ。拒否出来るのに出来ない……だってシュワちゃんだモノ……。

「アストロビスタ~ベェイビィ~!」とサービス満天で、有田に顔で頼むシュワちゃんだ!

オワァァァァァァ~ッ!オォォォォォ~ッ!キャアァァァァ~ッ!と制服警察官達、入国警備官達、従業員達、フィリピン嬢達……店内全員から歓声が上がる!不法滞在、不法就労の摘発現場なのに?

「オォ~!すげェ~!‘’ターミネーター2‘’だぜェ~!本物だァ~ッ!俺~あの映画3回観に行ったぜェ~!」と大喜びの有田はシュワちゃんの大ファンらしい。
「俺達はレスキューチームだ!殺し屋じゃない!……ポワァ!…スフゥ~!」と『映画‘‘プレデター’’で葉巻を美味しそうに吸う』‘‘ワンシーン再現’’だ!
オワァァァァァァ~ッ!オォォォォォ~ッ!キャアァァァァ~ッ!と取り締まり官達、従業員達、摘発されている筈のフィリピン嬢達から歓声が上がった!サービス満天シュワちゃんは続けた。
「で?……作戦は何ンだァ?」
オオオオオォォォォォォォォォ~ッ!とかなり食い付き喜び大歓声の店内にいる全ての者達……!
「オわぁッハァ!ハハハァ~ッ!イヤァ~ッ!最高ォ~ッ!」と大喜びの制服警察官上野も、勿論シュワちゃんの大ファンらしい……。

「チィ~チィ~ン!プゥイ!プゥ~イ!ゥりィえェ~ちゃァ~ん!大丈ォゥ夫ゥイ!ブゥ~イ!アリナミィ~ンブゥ~イ!」とアリナミンVCMよりサービス満点3発目だ!
ヲヲヲヲヲオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォ~ッ!
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァァァァァ~ッ!と大歓声&大爆笑の最高の食い付きの店内摘発現場だ!日本人男性、女性は、シュワちゃんの映画が大好き……。つまりシュワちゃんは、日本人に大人気なのだ……。 
 シュワちゃんが、TVで呼び掛ければfew日でfew億円の募金が集まるのも当たり前というワケだ……。というよりフィリピン嬢達は外国人だから……世界中の国の人達からの人気者というワケだ……。
 ざわついていた店内だったが、やがて静かになった。シュワちゃんは、サービスしたからには『元はシッカリ取るであろう』……。生‘‘映画ワンシーン&CM’’披露サービスに感動し、態度を軟化させ始めた取り締まり官達に求めた……。
「頼むヨォ~!彼女達の力が必要なンだァ~……見逃してやってくれないカァ~」と有田と上野に頼むシュワちゃんだ……。
『参ったなァ~』『我々が処分食っちゃう』と、やはり、自分達の‘‘手柄’’が心配の上野と有田だ。
「大丈ォ~ゥ夫ゥ~イッ!」と3発目のサービス2回目のシュワちゃんだ!
『でもォ~!』『イヤァ~!コイツ等ァ~ですねェ~!』と‘‘見逃し’’すれば‘‘処分’’確実なのに、‘’断れないオーラ‘’全開のシュワちゃんに完全に飲まれている上野と有田だ。
(「ガッデェムサァカァ~ッ!」)と、‘‘チャラOK’’を素直に了承しない2人に少しイラつくシュワちゃん……法治国家日本国でめちゃめちゃだが……イイのか?イイのだろうよ!……だってシュワちゃんだモノ……!

「イヤァ~!コイツ等ァ~ですねェ~!」と上野が指し示すスチール警棒をワンハンドで掴んだシュワちゃんだ。

セカンドフェイバリット台詞~‘‘バトルランナー’’より~シュワちゃん最後のサービス追加だ!
「このワタシが頼んでるンだヨ……『お願いします』ってねェ~!プゥリィィ~ズゥ!」握力を強めた!

ギギィ~キィ~ギギピキキィ~ッ!と軋み音を立てて、シュワちゃんのバカ握力で変形するスチール警棒だ!

「……………………」「…………………」「…………………」「…………………」と顔から血の気が引く無言の取り締まり官~制服警察官有田達、入国管理局入国警備官有田達だ。シュワちゃんの‘‘異次元のバカ握力’’に相当ビビりまくっている……???合同摘発現場だ……。

 ……と言うより『そこまでの素晴らしいサービス』なら……‘‘了承’’……というところだろうか……。

「……ダ……‘‘ダサ男’’は………お……お前が……連れてケ!」とダサオを後輩警察官に渡し、続ける上野だ……。

「……う…上に行ってヤクザ者ン共ォ~パクった方が点数高いワァ~!上に行ってくるわぁ~ッ!……行きますかァ~?」と上野は有田に言った。

「あァ~!そうすねェ~!」と有田は上野に返事した。ケンカは止めたようだ。

ダザダザダザザザザザァ~ッ!と足音を立てて合同摘発の制服警察官、ジャンバー入国警備官達三十名近くは入り口から出て行った……。

「さあ……行くゾ……」とダサオを入り口に向かい歩くよう促す制服警察官だ。

「はい……」と素直に従い入り口に向かい連行されて行くダサオだ……。

 その時だった……。

 

「ダサオさん!」と店内から女性の声がダサオを呼び止めた。

「ハッ?」とダサオが足を止め後ろを振り返ると、17番席ソファーを立ち上がる女性がいた。

 自分を呼び止めた女性を見ると、流れ出た大粒の涙が頬を伝い、顎で雫となり落ちるのが見えた。自分が恋した女性に想われ、涙を流して見つめられる……。勿論、ダサオには初めての経験であった……。

「……ロエラちゃん……」とダサオの口から、涙を流す女性の名前が出た……。

「……ダサオさん……アリガト……凄ォクゥ……嬉シかッタァ……」とロエラの素直な言葉であった……。

『ドういうコトなンだァ~?』と、ダサオを確保している制服警察官に質問するシュワちゃんだ。制服警察官の簡潔明瞭な英語説明を聞いて頷く……。

「マァ……キミはァ~キミのォ大切な女性のタメにィ行動シたンダァ……胸ヲ張れェ~!……男トシテ責任を取っクるンダナァ……」とシュワちゃんはダサオに言った。

「ありがとうございます!」とシュワちゃんに言い、頭を下げて礼のダサオだ。

「ダサオさん!」「ロエラちゃん!」と名前を呼び合う2人だ。
「さァ!行くゾ……」とダサオを連れて行く制服警察官だ……。
 ダサオが連行されて行き、シーンと静まり返る店内だ……。
スン!スン!ハァ~!とロエラが涙を啜り息を吐く音だけが聞こえた……。
「イイかなァ~?」とロエラに言うシュワちゃんだ……。
「スン!……ハァ~!……スミマせんペペラ~!……ハァ~!……どうゾ」と少し落ち着いて来たロエラだ。
 「ヘェイ!バディガ~ドゥ!」とシュワちゃんが言い『テーブルに持って行ってくれェ~!』と顎と指差しで‘‘バディガードゥ’’2人に合図した。
 大きなダンボール箱を肩に担ぎ、脇に抱え立っていた巨漢の黒人と白人‘‘バディガードゥ’’は店内4テーブル席のテーブルにダンボール箱を置くと、シュワちゃんの横に戻って来た。
 シュワちゃんは店内のソファー席に座るフィリピン嬢達に、言いたいことがあるようだ。
「君たちィ~!この前ェ~テレビを見たカなァ~?フィリピンの‘‘トゥポインティングエリア’’のティモーナのように~学校に行けずに勉強したくてもする事が出来なイ子供達がァ~勉強する事が出来るようにィ~ベストを尽くしタイ!」と店内のフィリピン嬢達に言うシュワちゃんだ。
(「何かしらァ~ペペラ?」)とフィリピン嬢達は『自分達に何が出来るか?』考え始めた……。
 シュワちゃんは続けた……。
「ワタシはfew日前に日本にやっテェ~来てェ~‘’チャンネルエイト‘’などテレビ局に片っ端から行きィ~日本全国にィ~テレビ放送でェ~呼び掛けたンだァ~『勉強シ終わリィ要らなくナっタァ教科書……‘‘リサイクル(リユーズ)教科書’’』……‘‘英語ォ~’’……‘‘算数ゥ~’’……‘‘理ィ科ァ~’’……をォ~……学校でェ~集めてるカラ持って来てクレないかァ~……ティモーナ達にィ~届けたいンだァ~』てネェ……あっとォいう間にィ~沢山のォ‘‘リサイクル教科書’’が集めらレたョォ……」
(「ソレはァ~素晴らシイわペペラァ~!……で?……ワタシ達は何ヲすればァイイのでスかペペラ~?」)と興味津々のロエラ達フィリピン嬢二十数名近くだ。
「ソコでだァ~‘’リサイクル教科書‘’のォ~日本語部分にィ~フィリピン語訳の手書きボランティアをキミ達にお願いしたいンだァ~」
キャアァァァァァァァァァ~ッ!
パチパチパチパチパチパチパチパチィ~ッ!と二十数名のフィリピン嬢達は歓喜の悲鳴を上げ、拍手だ!
 
フィリピン嬢達は瞳を‘‘宝石’’のように輝かせて答えた……。


「是非ッ!……やらせテ下さいペペラァ~ッ!」



ヤクザビル前路上
パ~ン!…………パ~ン!…………パ~ン!と乾いた音がヤクザビル前で響いている。
 ビル入り口から、手錠を掛けられ警察官達から連行されて出てくるヤクザチンピラ達だ。次々と護送車に乗せられている。

パ~ン!…………パ~ン!…………パ~ン!と音を立てて一人一人の頭を‘’ハタいて‘’(叩いて)見送りのシュワちゃんだ!連行する警察官達は笑ってしまっている。シュワちゃんの左右斜め後ろには‘‘バディガードゥ’’2人が立っている。

「このヤロゥ~!」パ~ン!ブプッ!
「このクズがァ~!」パ~ン!クフゥ!
「このチンピラがァ~!」パ~ン!バハハァ!
「フィリピン女性を食い物にしヤガってェ~!」パ~ン!とヤクザチンピラ達一人一人を罵り、頭をハタいて見送るシュワちゃんに、ワハハハ!と笑ってしまっている連行する警察官だ。
『放せイヤラしぃ~ッ!』ブッ!カァ~!ペッ!と警察官達に唾を吐き掛け散らす‘‘ツボ振りオンナ’’が連行されて来た。
(「……ッ?……」)とシュワちゃんを見て、目を見開き、驚いて静かになるオンナだ。
「ハァ~イ!キュゥティ~パァ~イ!やァ~!かわいコちャン!『ワルイコトシチャアダメダァゾォ~!コォイツウゥ~!(こいつ~!)』」と日本語で付け加えながらオンナに、おでこ‘’コイツ人差し指プッシュ’’のシュワちゃんだ。
 おでこに‘‘コイツ人差し指プッシュ‘’され、オンナの軽く顔がのけ反らされるた。オンナは眉間に皺を寄せてシュワちゃんを睨み付け、グゥ~ン!カァホォアァ~!鼻を啜り咳払いした!
(「……オッ?……」)(「……ッ?……」)と何か?を感じたシュワちゃんの‘‘バディガードゥ’’2人だ!
ホォッブベェ~ッ!と音をさせてオンナは‘‘痰唾’’を吐き掛けて来た!
 シュワちゃんの顔の前に、‘’並べられた大きな2つ手の平防御壁’’が作られた!左右斜め後ろから‘‘バディガードゥ’’二人が手の平を伸ばしてガードしたのであった!
シピィパァッ!と濡れた音がして‘‘痰唾’’は‘’2つ手の平防御壁‘’に阻まれた。
「来なさい!」と警察官に両脇を掴まれ連行されて行くオンナだ。
「お嬢ォちゃァ~ン待ちィなァ~!……忘れモノだァゼェ~」とシュワちゃんはオンナを呼び止めた。連行の警察官と立ち止まり、振り向くオンナだ。
『ヘイ!』と顎で‘‘バディガードゥ’’2人に合図した!2人はオンナに無言で近付いて行った。
「……ナ?……何ンなンだッてのさァ~?」と巨漢の‘‘バディガードゥ’’の白人男性と黒人男性の2人が近付いて来て、さすがにビビるオンナだ。
‘‘バディガードゥ’’2人は‘‘痰唾付き手の平’’をオンナの着物の肩や背中に擦り付けて拭いた。手の平を拭き終わると、2人はシュワちゃんの左右斜め後ろに戻って来て、定ポジションに着いた。
「行きナ……」とシュワちゃんに言われて、シッ!シッ!と手の甲で追い払われる仕草をされ、オンナは目を見開き頬を震わせた。
キィィィィィィィィィィ~ッ!と悲鳴を上げて悔しがる‘‘ツボ振りオンナ’’だ。
『この野郎ォォォォォォ~ッ!ブッ殺してやるゥゥ~ッ!放せェェ~ッ!』と金切り声で叫びながらシュワちゃんに向かい、走りだそうと暴れる。が、堪え笑いの警察官2人に両脇を抱えられ、叶わず『ブフッ!いいから来なさい!』『クハァ!大人しくしなさい!』と連行されて行く……。

キィィィィィィィィィィ~ッ!『放せェェェェ~ッ!』と悔しがるオンナの悲鳴が響き渡っていた……。が、やがて、護送車に乗せられられたのか?聞こえなくなった。

 さぁ?……次は、どんなヤクザチンピラが現れるか?ヤクザビル入り口から、騒がしい罵り声が響いて来た!サラシを腹に巻いた上半身唐獅子牡丹刺青の大柄なヤクザチンピラのタケハラが連行されて来た。
「何ンじゃァ~ッ!コラァ~ッ!放せやァ~ッ!」と手錠を掛けられた両腕を掴んでいる2人の取り締まり官を罵っている。
『大人しくシなさイ!』と片腕を制服警察官上野に、『イイから来なさい!』と、もう片腕をジャンパー入国警備官有田に掴まれている。

「この‘‘粗大ごみチンピラ‘’がァ~ッ!」とシュワちゃんがタケハラを罵った!

シィパァァァァ~ンッ!と続けて最大級の頭‘‘ハタき’’音が、騒然としてる筈のヤクザビル前に響き渡った!よく聞こえる‘’頭ハタき音’’だ!

「アァ~ンッ???」と言い、立ち止まるタケハラだ!シュワちゃんに頭をハタかれて、イカらされたようだ!シュワちゃんの方を向きメンチ切りするタケハラだ。‘‘バディガードゥ’’2人が、すぐに間に入り、立ちはだかった。

「お~ウ?‘‘シュワルナァゼェ’’こらァ~!今ァ~何さらシたァ~ン?ボケ~!」とシュワちゃんに言うタケハラだ!
『プハハッ!イイから来い!』『ブフフッ!来るンだ!』と‘‘シュワちゃんにハタかれたタケハラ‘’を堪え笑いで連行しようと引っ張る上野と有田だ!
「おう!ちょォ~放せやァ~」
「イイから来な(さい!)アッ?」ガァンッ!と音がして上野の顔面に衝撃が走った!
「来ォいッての(ォ~ッ!)ワッ?」ゴォキンッ!と音がして有田の顔面に衝撃が走った!
ドォサァン!ダァバァン!と2人が、路面に倒れ叩き付けられる激突音が響き渡った!
 ……連行しようとしていた上野は肘打ちを、有田はヘッドバットを、タケハラから喰らわされ、失神してヤクザビル前歩道路面に倒されたのだった!2人は歩道路面に墜落だ!
 倒れた上野のベルトの手錠鍵入れに素早く手を伸ばし、鍵を取り出すと手錠を開錠してしまったタケハラだ!
 慌てて、他の警察官達が取り押さえようとタケハラに集って来た!バキン!ドォサン!ゴォキン!ダァサァン!ダァバァン!ドダァン!ゴォゴォン!ダァダン!と、タケハラが片っ端から警察官達にパンチを喰らわす打撃音と、警察官達が失神して倒され、路面に叩き付けられる衝撃音が、ヤクザビル前に響き渡った。
 あっという間に、二十数名の警察官が、歩道路面に倒された。タケハラは、足元が失神した警察官ばかりで踏み場が無くなり、歩道から道路上に出た……。

ダァダァダァダァダァダァダァダァ~!と靴音を鳴らして二十数名の機動隊員達か駆け寄って来た!

ブフゥン!と風切り音がした!機動隊員が棒丈をタケハラに振って来た!ダッキングして棒丈を空振りさせるタケハラだ!空振りしてバランスを崩した隊員から棒丈を奪うタケハラだ!

ゴォスン!ドダァン!ボゴォン!ダァサァン!ボゴォン!ダァバァン!ゴォキン!ダァバァン!と凄まじい棒丈の打撃音と、警察官が倒れ路面に叩き付けられる激突音が放たれた!片っ端から機動隊員を棒丈で突きまくり、蹴りまくり、叩きのめしまくり、倒しまくった……。

バキン!ドサン!ゴォキン!ダサァン!ボゴォン!ダァバァン!ダァサァン!と凄まじい音が響き渡り続けている!あっという間に二十数名の機動隊員が道路上に倒された

『……ヤバいゾ!あの掃除道具入れみたいにデカいの!』
『何ンだかアブない粗大ごみチンピラだダァ~!』
『お前ェ~先に行けェ~!』
『いやいやお前先に行けェ~!』と、道路上に追いかけて来たものの、すっかりビビりまくりだ!タケハラを遠巻きに包囲するも、手出し出来ずにいる、残り数十名の機動隊員達と警察官達だ!
ハァ~!とため息をついたシュワちゃんだ。
「バディガードゥ!」と言うと2人の巨漢、白人バディガードゥ、黒人バディガードゥに『あの粗大ごみチンピラ~ヤっつけろォ~!』と、顎と人差し指でタケハラを指し示した!親指下向けダウン合図も追加だ!
 バディガードゥ2人はタケハラに向かって走って行った。
バキン!ゴォキン!ボォフゥン!て人間に何かの塊がぶつかる……打撃音がビル前に響き渡った!
 黒人バディガードゥが、タケハラにボコボコに叩きのめされている。
ドダァン!と、黒人バディガードゥは失神して、激しい音を立てて路面に倒された!墜落だ!
 白人バディガードゥがタケハラに殴り掛かるも空振りだ!
ゴォン!ゴォン!ゴォバァン!と音を立てて、タケハラは白人バディガードゥにジャブ、ジャブ、ワンツーを喰らわした!フラつく白人バディガードゥだ!
バキン!と音をさせて白人バディガードゥの顔にパンチをブチ込ンだ!
ボォフゥン!ボォフゥン!ボォフゥン!ボゴォン!凄まじい音をさせて、徹底的にボディーブローを浴びせ掛けた……。サングラスが外れると、白人バディガードゥの怯えて降参の目が見えてた。
バァゴォキィン!と『顔面の骨大丈夫か?』と、失神間違いない打撃音が響き渡った……。
ドサァンダァン!と音を立てて、やはり白人バディガードゥは路面に倒された!
「ふ~ぅ!……お~う!シュワルナァゼェ!オドレのボディーガードはァ~弱っちょろいのォ~!オドレェ~映画ン中じゃあ随分とォ~調子ン乗っちょりよりよっとったけェ~本当はドナイなンじゃァろォかのォ~?ただの‘‘筋肉バカ’’のアホじゃろォ~がァ?あン?オドレ掛かって来ォンのンのンカイ?ワシが怖いンじゃろォ~が?ドないじゃ~?アアァ~ン?『さあ~!楽しもうぜェ~!イツパァアティ~!』映画でヌカしちょりよりよっとったじゃろォがァ?ワハハハハハハハハハハァ~ッ!」と、タケハラは事実上の『シュワちゃんへのタイマン(決闘)』要求だ!実に下らない!
シーン!と静まり返るヤクザビル前道路上だ!警察官と機動隊員は恐れおののき、相変わらず遠巻きに包囲して見ているだけだ!
「ワタシの台詞の真似をするンじゃネェ!……お前みたいなチンピラ粗大ごみはァ~わざわざ引き取りに来てもらわなくてイイ!……‘‘チンピラごみ’’でパッカー車に積んでやるヨォ~!……フン!……『怖いンだろ?』『掛かってこい!』だと?……それはァ~お前のコトじゃないのかァ~?これから刑務所にブチ込まれるのが怖いンだろォ~?ワタシに叩きのめされてカラなァ~!」とシュワちゃんも下らない喧嘩口上だ!
「ウッ?……じゃッ!……じゃかァ~しゃいンじゃァ~ッ!誰がオドレなンぞ~!オドレなンぞ怖かないんじゃボケェ~ッ!ブチ殺しちゃるワァ~ッ!」と『実はイタいところ』を突かれたらしいタケハラは、徐々にシュワちゃんのペースに嵌まって行く……?

 伝統的なアメリカ映画の、アメリカンタイマン悪口キャッチボール~喧嘩口上やり取りだ!クリントイーストウッドも『悪口キャッチボール』から&しながら喧嘩をしていた。


「真似するンじゃねェ~!ハリウッド映画の見すぎだ!お前のような粗大ゴミはワタシの映画にカネ払って見てくれなくてイイ……汚らわしイ……」とシュワちゃん、努めて冷静に悪口返球だ!
「思い込みもソコら辺ンにしちょけェやァ~!お前の映画はァ~地上波TVで、年がら年中ダダ(無料)で再放送じゃァ~!誰がカネ払って(有料)ワザワザ見ちゃりよりよりよるンのンのンじゃァ~?バァワハハハハハハハハハハハハァ~ッ!」と『絶対に噛んでるに違いない広島弁』のくせに爆笑してチンピラ挑発全開のタケハラだ!
「マァ~!日本を含め世界中のファンのおかげでカリフォルニア州知事になれたンダァ……ソコは感謝だ!」と『そろそろ粗大ごみチンピラの相手は終わりダ!』とモード切り換えのシュワちゃんを!
「わざわざカリフォルニアからァ~わしンぶちのめされン来ちょりよっとンのンじゃろォが?」とタケハラも、そろそろ喧嘩口上やり取りから、バイオレンスに移行したいようだ。肩を左右に回転させてパンチを軽く出して準備運動だ。
「フフフ……このワタシが怖くないようダナァ~!しょうがない粗大ごみチンピラだァ~」と言いながら、背広を脱ぎ捨てるシュワちゃんは、ネクタイを弛め、両袖口ボタンを外して袖を捲り上げた。前腕の筋肉は見せたいシュワちゃんだ!奇妙なコトを言い始めた……。

 いかにもアメリカ映画の、タイマン前の悪口キャッチボールだ!クリントイーストウッドも『悪口キャッチボール』で喧嘩をしていた。

「イイのかァ~?ワタシは‘‘メイトリクス大佐’’だゾォ~!(『コマンドー』)このワタシが怖くないということは……」と、シュワちゃんは、奇妙なコトを言い始め、Yシャツのボタンを外し、首もとを弛めた。更に続けた。
「脱がンでもエエ~けぇのォ~!どうせ今はァ~ブヨついとンのンのンのン‘‘パパラッチ’’されとったじゃろォ~」と『のンのンのン』と噛みながらタイマン決闘前口上らしいタケハラだ!確かに、脂肪が付いてしまって‘’腹筋見せ‘’はしたくないけど‘’前腕筋肉見せ腕まくり‘’だけはしたいシュワちゃんだ!
「ブヨついてるが敏夫の割にはマアマアだろゥ?フフフ……お前はァ~バカと言うことカナ?……そんな顔してるヨ……この粗大ごみチンピラがァ~ッ!」と叫ぶや、左、右、左フック三発放ってタケハラに向かっていった!タケハラはスゥエーで全て空振り強振させた!
「オウ?何ンしとンのンじゃァ~?ワハハハハハハァ~!」とタケハラは笑いながら言い……ジャブを3発放った!
ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』とタケハラのジャブ三連発の打撃音と、鼻にヒットされてのシュワちゃんの呻き声だ!
ザワザワザワザワザワザワ~!と、シュワちゃんVSタケハラのタイマン決闘を、遠巻きに包囲の機動隊員や意識を取り戻した警察官たちだ!ザワついている!

ウゥゥゥゥ~!アイテテェ~!とヤクザビル前の歩道路面に失神して倒れていた上野と有田が、意識を取り戻して起き上がる……。
 機動隊隊員、警察官達が遠巻きに何か?道路の方を見ているのに気が付き『何ンだ?』『どうした?』とヨロヨロと立ち上がり、道路際まで出て行く上野と有田の2人だ。2人の‘‘手柄’’……手錠を掛けた筈のタケハラが、どうやら?……シュワちゃんとタイマン決闘をしているのが目に入って来た。

「クソォ~ッ!ワタシはFBI捜査官だゾウ!(『ゴリラ』)」と、鼻血を出して悔しがるシュワちゃんだ!
「何ンぴちょぴちょヌカちょるンじゃあ?ただのデカいガイジンの老いぼれじゃけぇ~!」と『実際のシュワちゃん』と『ゴリラ』の主人公は違う……ということをシュワちゃんにいちいち訂正する、やはり間抜けなタケハラだ!
「クソォ~ッ!」と悔しがり、更にタケハラに向かって行く。右スィング、左フック、右前蹴りのシュワちゃんのパンチ&キックだ!全て空振りだ!
「おうシュワルナァゼェ?何ンじゃァ~?当たらァ~へンけぇ~のォ~う?アホじゃのォ~!ワハハハハハハハハハハハハァ~!」と笑うタケハラだ!

ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』ガスッ!『ウッ?』と更にジャブ六連発だ!

「何ン『ウッ?』~呻いとンじゃァ~?シュワルナァゼェ!パンチ喰らわされとンのンじゃァ~ッ!おらァ~ッ!」ガス!ガス!と鈍い音がしてタケハラの右ストレート、左フックがシュワちゃんの顔面をのけ反らせる!

「クソォ~ッ!ワタシは秘密諜報部員だゾウ~!」と叫びながら左右ロングフック、万歳しての右、左前蹴りのシュワちゃんだが、全部空振りのシュワちゃんだ!頭の中は、今度は『トゥルーライズ』らしい……。息切れで、ガス欠で、早くもフラフラのシュワちゃんだ!だが、映画の中のヒーロー癖は抜けないようだ。
「ハァ!……ハァ!……ワタシはコマンド部隊の隊長だゾォ~ッ!」と叫びながら、タケハラにタックルしようとエックスガードの低い姿勢で、タケハラに突っ込んで行くシュワちゃんだ!今度は『プレデター』らしい……。
ガスン!と鈍い音が響き、タケハラの膝蹴りがシュワちゃんの顎を突き上げる!
「グワッ!」と呻き声で顎が跳ね上げられるシュワちゃんだ!
「来いや!シュワルナァゼェ!」とタケハラが顎を突き出して挑発だ!
「クソォ~ッ!フン!フン!フン!」と当たる筈のない右、左、右ロングフックだ!勿論、タケハラがスゥエーして全て空振りだ!
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!と6打撃音と共に、タケハラのワンツー、左右アッパー、左フック、右ストレートの6連発が直ぐに飛んで来た!
ダダァ~ン!と路面に倒されるシュワちゃんだ!
ウウゥゥゥゥ~!と唸りながら立ち上がる、かなりタフなシュワちゃんだ……。が……もう限界が近いのか足取りがフラ付いている……。
「ウウゥ~!ハァ~!ハァ~!ハァ~!ワタシはァ~‘‘幼稚園の先生’’だゾォ~ッ!」と、言うことが……『シュワちゃん、けっこうモラっちゃった』ようだ……。
今度は『キンダガードンコップ』らしい。頭の中には常に映画のヒーローだ……?
 上野と有田は見ていて、思ったことが素直に口から出た……。
『なァ~!シュワちゃんて、ひょっとして……バカなンじゃないの?』『多分~脳に行く筈の栄養がァ~筋肉に全部ゥ~流れて行った感じかもな?』と言って2人はワハハハハハハハハハァ~!アハハハハハハハハハハハァ~!と爆笑した。
ダハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と機動隊員達と警察官達も爆笑だ!上野と有田の方を睨むシュワちゃんだ!
『ヒッ?』『やべッ!』と笑いが止まる上野と有田だ!機動隊隊員達と警察官達も笑うのを止めた。
ガン!ガン!ガス!バァゴン!と、打撃音だ!よそ見のシュワちゃんにタケハラのパンチ4連発だ!
ダダァ~ン!と地響きのような衝撃音と共に、仰向けに倒され路面に叩き付けられたシュワちゃんだ!
‘‘死んだフリのカエル’’のように、路面に仰向けに手足を広げてひっくり返った格好で倒れている、ダウンのシュワちゃんだ。シュワちゃんKO負けらしい……?
ハァン!と笑いタケハラは、シュワちゃんを見下ろし言った。
「ほぉ~?オドレ~なかなか頑丈じゃったのお~?じゃけぇ~のォ~!映画のようにはァ行かァへんけぇ~のォ~!オッ?何ンやァ~シュワルナァゼェ?そがいンなって倒れちょッとッたらァ~!何ンやァ~?カエルがひっくり返っちょるみたいじゃのォ~!ワハハハハハハハハハハハハァ~」と爆笑のタケハラだ!
「…………ン?……何?……カエル?……ハッ?……そうか!」と、何か?思い付いたシュワちゃんだ!
ヒィヤァァァ~ッ!と掛け声と共に、両足を上に蹴り伸ばして、跳ね起き上がりを試みる……シュワちゃんだ……。が……失敗し、尻餅を付く。ヨロヨロと、立ち上がったシュワちゃんだ!
 鋭い目でタケハラを射抜くように見据え、クラウチングスタイルのエックスガードで、少しずつ前進して距離を詰めて行く。
シッ!シッ!シッ!とタケハラがジャブを放つ!
ガス!ガス!ガス!と音を立てて、シュワちゃんのエックスガードがブロックだ!
フン!フン!と鼻息と共にタケハラがワンツーだ!
ガス!ガス!と音をさせてパンチはシュワちゃんだブロックされた!
くゥわァ~ッ!と叫びながら左ロングフックを、シュワちゃんの右頬に振ったタケハラだ!
 その時だ……!
「今だッ!『カエルのアドバイス』ありがとうヨ!」と言いながら、シュワちゃん‘‘カエル’’のようにしゃがみ込み、タケハラの左ロングフックを空振りさせた!
しゃがみ込んだ脚のバネを利用して、伸び上がり‘‘カエル跳びジャンプパンチ’’だ!シュワちゃんの直線パンチがタケハラを突き上げた!
ゴクキャン!と完全にタケハラの顎がイカれた音が響き渡った!
ウウゥゥ~!と呻き声と共にタケハラはフラつき後ずさる……。
ドォボォフン!と音を立ててシュワちゃんの右ボディーストレートがタケハラを襲った!
グフゥ!と呻き声を上げるタケハラの頬へ、シュワちゃん左ロングフックが炸裂だ!
ゴォガァギャン!と凄まじい打撃音が響き渡った!
「このクソ粗大ゴミがァ~ッ!」バキッ!
「シャラくせェ~ゾォ~ッ!」ドバァン!
「パーティーだぜェ~!」ブバァン!とシュワちゃんの罵りと打撃音のワンセット連発だ!

「ナメるンじゃねェ~ッ!」バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!バキッ!と最後は、シュワちゃんの連発バックブローの打撃音が響き渡った!タケハラの髪の毛を掴みヘッドバットを喰らわすシュワちゃんだ!

ゴキン!と鈍い音が響き渡り……。

「コイツでェ~!オネンネしてろォ~ッ!」と叫びながら右ロングアッパーをタケハラの顎に喰らわすシュワちゃんだ!タケハラの身体が宙に浮き、吹き飛ばされた!
ドサァン!と音を立ててタケハラは背中から、路面に落下して叩き付けられた!
 背広を拾うとバサ!バサ!と音を立てて振りハタいたシュワちゃんだ。背広を着ながら、ビルの方に向かい歩き出す。
タケハラがヨロヨロと起き上がり『シュワ……ル……ナァゼェ~コラァ~』と言いながらふらつき歩き、シュワちゃんを追いかけて、背後から殴り掛かろうと近付いて来た。
『アアァ~ッ!』『後ろ!』と機動隊員達が指差して知らせた!
 背後からタケハラに右オーバーパンチを、シュワちゃんの後頭部に向かって放った!シュワちゃんは立ち止まり、右に十数cm頭を傾けた半歩動いた!紙一重でパンチを空振りさせた!動くついでに、左拳槌を左下に向けて振り下ろした!
ボォフグチャン!と何か?ついでに液状のモノが潰れたような打撃音がした!タケハラの股間に、シュワちゃんの左拳槌ブローがめり込んだ!
オワギャァ~ッ!と目を見開き、口を大きく開けて、骨盤恥骨粉砕&睾丸破裂の~異次元の激痛~がタケハラを襲った!

オワアァァ~ギャァァァァァァァァァァァァァァ~ッ!と断末魔悲鳴を上げるタケハラだ!

「ワタシは‘’シュワルナァゼェ‘’ではない!……」と言うシュワちゃんだ!
ゴォガァギャン!の打撃炸裂音と共に、シュワちゃんの左縦裏拳がタケハラの顔面を後ろに吹き飛ばした!
ドダァサァン!と音を立ててタケハラ路面に倒されて叩き付けられ、タケハラ完璧に失神KOだ!
「アーノルド・シュワルツェネッガーだァ!」と付け加えるシュワちゃんだ。
ダァダァダァダァダァダァ~!と足音を立てて、‘‘再逮捕’’するために、道路上に失神して転がるタケハラに向かう上野と有田だ!
『やったァ~!』『今度は気を付けヨォぜ!』と言いながらチャキチャキ!と金属音を立ててタケハラに再び手錠を掛けた。ニコニコ笑顔の上野と有田だ!
「おいッ!お前ェ~ッ!ヘェイ!ユゥ~ッ!」とシュワちゃんは立ち止まり、上野と有田の方を振り返った。続けた……。
「先程ォ~何かァ~言ってたナァ~?ワタシのコトをォ~……『脳に行く筈の栄養がァ~筋肉に全部ゥ~流れて行った感じかもなァ~?』とかァ~『シュワチャンハァ~ひょっとシたラァ~何ンだ』ってェ~?……訂正するなら受け入れるがァ~……ドウするかネェ?ワァヨォゴォナァドォ~ゥ?」と、上野と有田に、かなりプレッシャーを掛けたシュワちゃんの‘’質問ビビらせ‘’だ!果たして、上野はどう返すか?
「いいえェ~!『ひょっとしたら?』じゃなく『絶対に!』ですよォ~ッ!『絶対に!』」と上野の返事だ!命知らずにも『絶対にバカ!』というコトなのか?
「何ンだってェ~ッ?」と続けて(「この男はァ~ワタシがァ怖くないのかァ~?」)と自分の耳を疑うシュワちゃんだ!
「シュワ知事は‘‘絶対に!’’ですッて!‘‘絶対に!’’大統領になりますってェ~ッ!絶対にィ~!」と上野は切り返し上手すぎる!
「そしてェ~ッ!絶対にノーベル賞を受賞するンですッてェ~ッ!‘‘絶対に!’’ですッて!‘‘絶対に!’’」と有田も、すかさずシュワちゃんを喜ばせる!
「ヘェ~イ!カマァ~ン!そンなに持ち上げナイでクレよォ~!参ったナァ~!」とニコニコ笑顔になったシュワちゃんだ!遠くの夜空を見上げて『大統領になりノーベル賞を受賞する自分』を想像してニヤけ笑いのシュワちゃんになった……!
『オ~イ!持てよォ~!』『行くよォ~!』と、いつの間にか、護送車の扉が開かれている後ろに、上野と有田の二人はタケハラを‘‘運んで行った’’ようだ。両足首を上野が、両手首を有田が掴み、脱力した腰が下に垂れ下がり、持たれている失神したタケハラだ!護送車の後ろ扉が開かれている。二人は、Vの字型人間ブランコ状態のタケハラを、惰性を付けさせて行ったり来たり振っていた
『一斉のォ~!せぇいッ!』と二人は掛け声を合わせて、タケハラを護送車の後部に放り込んだ。
ドサンッ!と大きな落下音がした!タケハラだ護送車の後部に、粗大ごみのように投げ込まれた!
バアンダァンッ!と大きなドア閉め音がした!
『それでは!ご苦労様ですッ!』『ご苦労様ですッ!』と敬礼する上野と有田だ。二人がキャビンに乗るとエンジンが掛けられ、護送車は走り出し、去って行く。
ブロロロロロロロォ~!と遠ざかるエンジン音だ。

 ニヤけ顔のシュワちゃんは『大統領になってノーベル賞受賞』と言われて、マンざらでもない様子だ。が……何か?思い出したようだ!
「そういえばアイツ等ァ~‘‘訂正’’しなかッたゾウ!……」と呟き、続けた……。叫んだ……!
「くそォ~ッ!ファ~ック!」

走る護送車内

 運転席上野と助手席の有田は、生きた心地がしなかッたが、現場から遠ざかるや、やっと落ち付いてきた……。

「おォ~!怖かったァ~!シュワちゃんにブッ殺されるかと思ったゼェ~!」と有田は言った。
「何ンかァ~嵐が来たようなメチャメチャな人だったなァ~?」と上野は言った。

 今から16年前……2008年の時点……筆者は、シュワちゃんが、やがて、アメリカ合衆国大統領になる……と予想していた……。が……予想は外れてしまった……。
明け方
ヤクザビル前
 朝日が射してヒンヤリとした空気のヤクザビル前……昨夜の喧騒が嘘のように静かだ……。交通量は少なく、遠くからトラックの排気音が近付いて来るのが聞こえる……。
 道路始端に停めてあるリムジンのトランクに、顔が腫れ上がった2人のバディガードゥが段ボール箱を入れている。4箱の段ボールに入っている、ウン百冊の‘‘リサイクル教科書’’手書きフィリピン語訳ボランティアは終わったようだ!
「イヤァ~!みんなァ~!徹夜でボランティアしてもらっテェ~!ありがとォ~ウ!」とシュワちゃんはニコニコ笑顔で大喜びだ!
 シュワちゃんに『感謝の見送り』をするために、二十数名のフィリピン嬢達全員が、ヤクザビル1Fフィリピンクラブ‘‘マガダンマガ・オマガマニラ’’前の歩道上に勢揃いだ……。
「シュワ知事!本当にどうもォ~アリがッとォうごザイましたペペらァ~!ワタシ達にィ~出来る事がァ~あればァ~何ンでもおっしゃってェ~下さいペペラァ~!ワタシ達ィ~!シュワ知事の力にィ~なりたいですぅペペラァ~!」とロエラは昨晩の涙は嘘のように、晴々とした笑顔でシュワちゃんに言った。
「またァ~フィリピン語訳手書きボランティア……シテくれるかァ~?」とシュワちゃんはロエラに聞いた。
「エエ!もちろんデスぅペペラァ~!千冊だろうとォ~!1万だろうとォ~!指ィがァ~ブッ壊れるまでェやりますぅペペラァ~!……ネェ~!みんなァ~?ペペらァ!」とロエラは‘‘ボランティア’’の充実感に酔いしれてるようだ!
『是非!ヤラセテクダサイペペラァ~!』仲間のフィリピン嬢達も同意見だ!
ブボォカララララカカラカラ~!ヒュキィィィィィ~!ボォカラララカカララァ~!プッシュウゥゥゥ~ッ!と騒がしい排気音と共に近付いて来たJRコンテナトラックがヤクザビル前の道路端に来て、停まった。
運転席から、運転手と2人の作業員の計3人が降りて来た。
「おはようございます~ッ!‘‘マガダンマガオマガ・マニラ’’はァ~こちらですかァ~?えぇ~!品物はァ~‘’リサイクル教科書‘’~ウン百箱ですゥ~!伝票にサイン下さい~!」と伝票をシュワちゃんに見せ、認めサインを求める運転手だ。シュワちゃんがサインすると『どうもありがとうございます!』と運転手だ。
「あのォ~ぼく達ィ~ファンなンですゥ~?握手して下さい!」と作業員2人がシュワちゃんに声を掛けてきた。
「ありがとォ~ウ!がんばってェ~運んでクレェ~!」と3人と握手のシュワちゃんだ!
『ありがとうございます!……』と言いながら運転手はコンテナの横扉を開けた。   
 コンテナ内の積み荷は、シュワちゃんのバディガードゥ2人が担ぎ、抱えていた段ボール箱と同じ段ボール箱であった……。コンテナ内の天井までギッシリと詰め込まれてあった……。段ボール箱だ!。
 運転手が脚立を扉前に脚立を立てた。
『オイ!下ろすゾ!ホイヨ!渡すゾ!』『ハイ!もらったァ!』『それ!』『ハイ!もらったァ!』と次々に段ボール箱を下ろして、店内に運び込んで行く3人だ!
 フィリピン嬢達は、目の前で起きていることが、にわかに理解出来なかった……。フィリピン嬢の1人が、店内に戻り、運び込まれました段ボール箱の一箱を開けた。箱の中身は、やっぱり‘‘リサイクル教科書’’であった……。
「じゃア……コレもォ~‘‘手書きボランティア’’お願いするヨ……ワタシは一先ずホテルに帰ってェ~」と言いながらフワァ~!と大あくびのシュワちゃんだ!続けた……。
「一眠りと休むかラァ~」と言いながら、白人バディガードが開けた後部左ドアから、リムジンに乗り込んだ。
バタン!と音がして閉めドアが閉められた。
バタン!バタン!と音がしてバディガード2人も乗り込んだ。
ボチュルボォシュシュシュ~ン!シュシュシュシュシュシュシュシュシュシ~ン!とおそろしく静かなエンジン音のリムジンだ……。
チュルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~!と音がしてドアの窓が開いた……。シュワちゃんはもちろん例の挨拶らしい……。
「アァ~オヲゥビィバアァ~ック!戻ってくるゼェ~!」とシュワちゃん、激励のサービス挨拶だ……。
『………………』『………………』『………………』『………………』『………………』と、‘‘シュワちゃんのサービス‘’に無反応なフィリピン嬢達だ。

チュルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~!と音がして窓が閉まった。

シュシュシュシュシュシュシュシュシュシ~ン!とおそろしく静かなエンジン音のリムジンは走り出し、去って行った……。

『オイ!下ろすゾ!ホイヨ!渡すゾ!』『ハイ!もらったァ!』『それ!』『ハイ!もらったァ!』と、相変わらず作業員3人の掛け声がしている。ウン百箱の段ボール箱の荷下ろし&運び込み作業は続けられている……。

 次々と店内に運び込まれて行く段ボール箱を見て、フィリピン嬢達二十数人は呆然と立ちつくしていた……。


数日後
OT区内警察署前
ぢ 警察署玄関から出てくるダサオだ……。ダサオは初犯でもあり、不起訴処分となり釈放されたのであった……。起訴すると『フィリピン嬢達の見逃し』等が面倒になるからだ……。不起訴処分なので、ダサオも勤め先からの解雇も免れた……。
「以後、気を付けるように……」
「ありがとうございました……」と、警察官に挨拶して歩き出すダサオだ。
タッ!タッ!タッ!タッ!と足音がして、1人の女性が駆け寄って来て、ダサオに抱きついた。
「ダサオさん!」
「ロエラちゃん!」と互いの名前を呼び会う2人だ……。

 どうやら2人の願いは叶ったようだ……。


更に数週間後
フィリピン‘‘トゥポインティングエリアスラム’’
 シュワちゃんはリサイクル教科書を持って、‘‘トゥポインティングエリアスラム’’を訪れた……。だが、ティモーナが教科書を手にすることはなかった……。

 シュワちゃんが、スラム住人に聞くと、こう言った……。

「ティモーナなら、いないよペペラァ~!あの後ォ~『‘‘養子’’にしたい!』申し出が殺到したンだペペラァ~!何ンだが~2人の姉弟はァ~アメリカ人に貰われてったってさペペラァ~!」

最終話-4に続く……


Honey My Love So Sweet−Jovit Baldivino










ストーリー用