第6話-6

ゴミマウンテン頂上広場では…
「ああァ~!ティモーナ!無事で良かったわ!」と、今度はサカタがティモーナに抱き付いた!泣いて喜ぶサカタだ!数十秒間ティモーナを抱きしめるサカタだ。
「ティモーナ!無事で良かったわ!でも、どうして?あんな危ない事をしたの?すごく心配したのヨ!」とティモーに言いながら、両手を握りしめようとして、何かに触った……。ティモーナが手に持っていたモノが‘‘教科書の表紙まわり‘’と分かり『先ほど、舞っていた紙は教科書のページだったのね……』と気付くサカタだった……。


[re:]/『もう一度』




街頭ビジョンの前では……
 群衆はサカタの言葉を聞いていた……。
『‘‘教科書’’を取りに戻ったのね……だけど、さっきの津波から逃げる時に……ページは全部、落としちゃったのね……』と言いながら、目から涙が溢れて来たサカタが堪えきれず涙を溢し、泣き出した映像が映し出された。全世界衛星生中継放送街頭ビジョン前に、サカタの悲しみの叫び声が響き渡った。
『何故なのォ~ッ?どうしてティモーナはこんな目に合わなければならないのォォォ~ッ?私には何も出来ないッ!悔しい~ッ!アハァ~ッ!』と泣き出したサカタを見て群衆だ。
オォ~マイガァッドゥ!が、あちこちで呟かれた。泣き出す人が出始めた……。

ゴミマウンテン頂上広場では……
 スーはティモーナに『今の心境は?』の質問を、セルズには『救助の時の様子は?』等のコメントを求めたかったが、難しい状況であった。大ベテランのスーなのに、タイミングを掴めずにいた。
『中止せよ!』の命令に違反をしたが、セルズはティモーナの救出を成し遂げた。あとは、その場から立ち去るだけだ。傷ついた少女の心を救うのは、任務ではない。が、どうしてもティモーナを放っておけなかった。堪えきれず、口を開いてしまった。
「ティモーナ!……何か言いたいことがあるンじゃないカ?言ったらどうなンだ?」
「……別に……」と冷めたティモーナの返事だ。
「ある筈だゼ!言ってみろよ!」

ダークベレー本部オペレーションルームでは……
 ディスプレイスクリーンのテレビ放送画面には、いつまでもセルズが映っていた。しかも、自分から喋り出したではないか!
「何やってンだァ~!アイツはァ~!……おい!……」と、立って、落ち着きなく行ったり来たりだったマーク大佐の苛つきは怒りに変わった!スクリーンのセルズを忌々しそうに睨みながら、手のひらを上に見せて、ホモっ気上級部下隊員プーイに差し出した。
「はい?(何かしら?)」とマーク大佐の手のひらに顔を近付けるプーイだ。
「おい!」と、スクリーンを見ながら、手のひらを差し出し続けるマーク大佐だ。
「(何かしら……?)」と、マーク大佐の手を取り、顔を近付けるプーイだ。
「(ハッ?)馬鹿野郎ォ~ッ!気持ち悪い野郎だなァ~ッ!」とプーイの手を振り払い、怒鳴り付けるマーク大佐だ!
キャアァァ~ッ!と、ホモ悲鳴のプーイに更に怒鳴り付けのマーク大佐だ!
「レシーバよこせってンだろがァ~ッ!…………ったくよォ~!」
「どうぞ!」と、渡すプーイからレシーバマイクを引ったくるマーク大佐は、口に近付けて言った。
「アルファ01!アルファ01!見事な救出であった!アメリカのイメージを良くしてくれた!……‘‘命令違反‘’であったが不問にする!……が、~以後、気を付けるように!…………そして、お前はダークベレー……アメリカ合衆国エネルギー省第2特殊部隊隊員だ!……早くテレビ画面から消えるンだ!……おい!……ジョン・セルズ中尉!聞いてるか?……ン??……おい?……聞いてるかァ~ッ?」

ゴミマウンテン頂上広場では……
 セルズは無線を切った……。特殊隊員であるセルズは、いつまでも人前に姿を晒していてはいけない……。が、1人の人間としてティモーナを、放っておくことが出来なかった。
「しめたワ!……彼が自分から口を開いたワ!」とスーはサムの方を見て、マイクに耳打ちした。サムは既に全世界衛星生中継テレビ放送のカメラをセルズとティモーナに向けていた。
「ティモーナ!今、テレビ中継されてて世界中の人達が見てンだゾ!……チャンスじゃないかァ~ッ!ある筈だろ!お前の言いたいことを……言えよ!ホラッ!黙ってたって何も変わら(ねェンだゾ!)ッ?」
「どォ~うせェッ!何も変わらないよォ~ッ!」とセルズを遮り、叫ぶティモーナだ。続けた……。
「『‘’新しい教科書‘’を下さい!』……そう言えばいいの?……知ってるンだヨ!……世界にはワタシ達みたいな貧しい人間が沢山いる国ばかりで!……オジサンの国の様に豊かな国は!……ほんの一握りなんだヨネ?……『新しい教科書』なンて……届くワケないヨ!」と、ティモーナは、誰も何も言えなくなる時間を作ってしまった。静まり返るゴミマウンテン頂上広場だ……。セルズは何も言えなくなった……。
 ティモーナは、ただの紙きれ一枚になった‘‘教科書の表紙まわり’’の裏を見た。1ページ目に載っているのは‘‘You are my sunshine’’だ……。歌い出した……。

♪The other night dear,as I Lay Sleeping

♪ディアダァナァイディ~ヲ♪アズァ~イレェ~スゥリィ~ペェ~ン

……元気のない声でティモーナは歌い出した……。

♪I dreamed I held you in my arms

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪ヨォ~ヲェ~ンマァ~イタァ~イズ♪

……歌っていく内に元気になるティモーナだ!

♪And I bowel my houd and I cried

♪エェ~ンドゥアァ~イ♪ホォ~ゥマァ~ヘェ~ダァ~ンクゥラァ~イドゥ!

……ルカァイも一緒にキャァ~!キャァ~!とメロディー発声だが、一緒に歌い出した!80人近くの‘’脱村住人‘’達、‘‘活動隊員’’達も歌い出した。ゴミマウンテン頂上広場では‘‘You are my sunshine’’を歌う人達が笑顔に導かれていった……。


街頭ビジョン前では……

♪I dreamed I held you in my arms

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪ヨォ~ヲェ~ンマァ~イタァ~イズ♪

♪And I bowel my houd and I cried

♪エェ~ンドゥアァ~イ♪ホォ~ゥマァ~ヘェ~ダァ~ンクゥラァ~イドゥ!

……群衆も‘‘You are my sunshine’’を元気に歌った……。ティモーナとルカァイが楽しそうに歌う姿を見て、先ほどの、ティモーナの悲しみを忘れてしまった。泣いていた人々は泣き止み、笑顔を取り戻した。歌の持つ力は素晴らしいのだ……。


ゴミマウンテン頂上広場では……

 歌ってるティモーナとルカァイを見ているセルズに、サカタは近づいて来た。少しずつ落ち着き、泣き止んだようだ。サカタはセルズに言った。

「ティモーナは常に明るく、笑顔を絶やさないの……どんなに貧しく苦しい生活でも、辛い事があっても、いつも笑っている……無邪気で底抜けに明るい笑顔……光輝く宝石の様な……ティモーナの笑顔の魅力には……誰も抵抗出来ないの……いつも笑顔を忘れず…思いやりのある心から…この輝きは来てるのヨ……ここの人達は貧しくても…苦しくても素敵な人達ばかりなの……そんな……ここに育ったから(‘‘ゴミと宝石’’文章引用……)……ティモーナは……だから……強いのネ……」

 ゴミマウンテン頂上広場の歌声は‘‘You are my sunshine’’3番に入っていた……。

♪You are my sunshine

♪ユウ~ア~マァ~サァ~ンシャ~イン!

♪My only sunshine

♪マァ~オォンリィ~サァ~ンシャ~ァイン!

「………ともねェ~!……何ンともねェ~ッ!」とセルズは独り言を繰り返し、だんだんとハッキリ言葉にし始めた……。


 セルズはイラク人少女ティーシャが残した‘’ティーシャの励まし‘’を思い出していた……。全て、ティモーナに当てはまることであった……。
『どんな困難にも打ち勝つ勇気を持って!』
『闘いなンだよ!自分との!……諦めたら何もかもが終わってしまうンだよ!』
『最初から投げ出しちゃダメなンだよ』
『自分に出来ることは精一杯しなくちゃ!……動かなケレば何も始まらない!……自分から動くンだよ!……自分の願いは伝えるンだよ!……自分の意思は示すんだよ!……』
『人間として最低なことは、何もしないクセに、何も言わないクセに、グジグジ不貞腐れて愚痴ってることネ!』
『泣きたい時は泣けばいい……笑いたい時は笑えばいい……いつも笑っていられる日が来ることが、本当はいいンだけどね!』
『とにかく私に出来ることは前に進むこと!……黙ってたって何も始まらないヨ!……黙ってたって何も動かない!……黙ってたって何も変わらないンだよ』

 ティーシャは、いつも、心が荒んだアメリカ兵士達を笑わせてくれた……。癒してくれた……。‘‘小さな救世主’’は、いつも必死に、自分に出来る事をしていた……。
『エディーに……会いたい……』……映画を見て楽しく暮らせる平和な日を願いながら、命を落としたティーシャ……。
 そして、ティモーナは生きている……。生きているから、闘える……。今、自分に出来ること……全世界衛星生中継テレビ放送で世界中の人達が見てくれているのだから、自分の願いを言えばいい……。なのに、何も言おうとしない……。生きているから出来ることがあるのに、闘おうとしないティモーナに苛立つセルズだ……。
 スーミリガンはキラン!と目を光らせた!セルズが『?‘‘おっ始めそう’’』なのを感じ取ったのであった!

「彼を撮って!何か始まるわヨ!」スーは、レシーバマイクに小声で言った。サムから『オッケー!ちゃんと撮ってるヨ!』とレシーバに返事が帰って来た。

 そして、セルズはサカタを叩きのめす様な事を言葉する……。

「強くも何ンともねェ~ッ!ただの怠け者だァ~ッ!自分に出来る事があっても何もしようとしないッ!闘おうとしないッ!ただの怠け者じゃねェ~かァ~ッ!困難に目を背け~ヘラヘラ笑っていれば幸せなンだ!」と、サカタに苛つきを吐き出した!

 と思いきや……?歌っている笑顔のティモーナに歩いて近づいていった。僅かに残っていた‘‘教科書の表紙まわり’’を取り上げると、細かく破り、上に放り投げた!紙吹雪を舞わせた。

「何をヘラヘラ笑って歌ってやがるンだァ~ッ!お前は命を懸けて何を取りに戻ったンだァ~ッ!……お前は生きてるじゃないかァ~ッ!……お前は闘ったンだよォ~ッ!闘ったから‘’表紙まわり‘’が残ってたンだろォ~ッ?お前は生きてるンだヨォ~ッ!生きているから闘えるンだよォ~ッ!闘って次の‘’教科書‘’を手にいれろよォ~ッ!自分に出来ることをするンだよォ~ッ!思ってることを言えよォ~ッ!世界中の人達が見てるンだゾ!チャンスじゃないかァ~ッ!闘えよォ~ッ!ティモーナァ~ッ!闘わなければ何も変わらねェンダぞォ~ッ!」

「……どうせ……新しい教科書なんて手に入らないヨ……何も変わらないヨ……」と言ってセルズに笑顔を見せた。

 間一髪で救いだした少女……。が……、命を懸けて取りに戻った、心の拠り所の‘‘宝物’’を失って、完全に投げやりで無気力な少女になった。ティモーナの宝石の様に澄んでいた美しい瞳の輝きは曇り始めていた……。

 セルズは急にティモーナに笑顔を見せた……。急に、オカマ仕草で鼻歌を歌い始めた。世界中の人々が唖然とすることを言い出した。

「♪ラララァ~!♪ララァ~!♪ララァ~!……こんにちわ~!ハァ~イ!臭~いッ!臭い~ッ!ゴミ処分場でェ~ッ!毎日、毎日ヘラヘラ笑って~!ゴミを弄ってたらァ~!ゴミになっちゃた少女へェ~!クイズでェ~す!」とふざけた調子で続けた。

 ティモーナの頭に顔を寄せて、髪のにおいを嗅ぎながら咽び始めた!セルズは世界中の人々が唖然とすることを言い出した!

「ブムフォオハァ~ッ!オッホォア~ッ!ウェ~ッ!何ンなのこのにおい~ッ!ウワァハァ~ッ!臭ァ~いッ!」と‘‘決死の救出劇ヒーロー’’が貧しく、苦しく、そして、心の拠り所である‘‘宝物な教科書’’を失い傷ついている少女の心を踏みつけ始めたのだ!

 自分が懐いていった大好きな‘‘おじさん’’のセルズに『臭い!』と言われて、ティモーナの目が、みるみる赤くなり、溜まった涙は今にも溢れそうだ。ティモーナは、手の甲で目を拭いた……。泣いて流れ溢れる涙をセルズに見られたくない様だ。

 サカタは信じられなかった……。たった今、大好きなティモーナを救ってくれた‘’決死の救出劇ヒーロー‘’が悪魔に変わったのだ。愕然として何も言えなくなった。


世界中の街頭ビジョン前では……

ヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~ッ!ヴヴヴヴヴゥウゥウゥゥウゥゥゥゥ~ッ!と凄まじい怒りのうなり声た!大ブーイングだ!

ファッキョオメェ~ン!クソ野郎がァ~ッ!と、数えきれない人数の中指立てファックだ!親指立てダウンだ!


ダークベレー本部オペレーションルームでは……

「オォ~イ!何やってンだアイツはぁ~ッ!あの野郎~ッ!許さねェ~ゾ!やっぱり釈放したのは間違いだった~ッ!刑務所送りにしてやるゥ~ッ!今度は80年ぶち込ンでやるゥゥ~ッ!」とマーク大佐は激怒MAXだ!


ゴミマウンテン頂上広場では……

「何ンなのコイツ……」とスーは、呆気に取られていた……。世の不条理はキリがない程、見てきたが度が過ぎている……。目の前で屈強な兵士のセルズが、蔑みの言葉の暴力で、貧しく傷つき苦しんでいる少女の心を踏みつけだしたではないか!殺意が沸くに等しい程に激怒のスーミリガンだ!

 セルズは、ティモーナへの言葉の暴力を続ける……。

「さァ~て!このォですねェ~!ゴミを毎日~弄ってェ~!身も心もゴミになった臭ァ~い!臭いゴミ少女の……‘‘ゴミになっちゃった願い’’は~!叶うでしょうかァ~?『はい!』……ピィ~ッ!お答えェ~!どうぞォ~!……『えェ~とォ!少女はァ~!アッ?間違えたァ~!ゴミになっちゃったゴミ少女はァ~!新しい教科書をォ~……手にすることが出来る~!』……さぁ~!答えはァ~!……ビィィィ~!はい!不正解~ッ!残念ェ~ン!世界中には貧しくて苦しみ、勉強したくてもすることが出来ない子供が7200万人いまァ~す!(2005年ユニセフ調べ)このゴミ少女に新しい教科書はァ~!お婆ァさんになった頃に届きますゥ~!つまり『教科書が届くのは、お婆ァさんになる頃なのでェ~それまで生きていられたらの話』ですネェ~!」

 セルズが‘‘オカマクイズ物真似をしている’’間……怒りに身を震わせていたが、スーミリガンに、我慢の限界が来た様だ!セルズに向かって歩き出した…。

 セルズは続ける……。

「毎日ゴミを弄ってェ~ゴミを漁ってたらァ~このゴミ少女の母親と同じ様にィ~病気になってェ~命を落と(すでしょう)ッ?」

チィシィパァァァ~ン!
 ……乾いた音がゴミマウンテン頂上広場に響き渡った……!セルズの頬に、スーミリガンが怒りを込めた平手打ちを食らわしたのだ!

「いい加減にしなさいよォ~ッ!このファック野郎ォォ~ッ!」とスーミリガンが怒鳴り声介入だ!


世界中の街頭ビジョン前

ワァァァァァァァァァァァァァァ~ッ!と大歓声の上がるの街頭ビジョン前だ!『いいぞォ~ッ!スーミリガン!』

『スーミリガン!ソイツと戦え~ッ!トークバトルだァ~ッ!』

『ソイツをトークバトルでケチョン!ケチョン!に叩きのめしてくれェ~ッ!』

ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~ッと大歓声でスーミリガンの平手打ち怒鳴り付け介入に大喜びだ!世界中が大喜びだ!


ゴミマウンテン頂上広場……

 チェリーボーイサムとチャンネル8のカメラマンが撮影だ!スーミリガンとセルズの全世界衛星生中継テレビ放送トークバトルが開始された!

「何ンでよォ!何ンなのよォアンタはァ~ッ!どうして小さな女の子を言葉の暴力で傷つけるのよォ!」

「何ンだ?本当のことを言ってやっただけだロォ!コイツ等ァゴミ共はァ~『今を精一杯生きる』て言ってやがッてェ~後先なンてどうでもイイ!ゴミ弄って漁ってりゃ~幸せなンだとよォ~!何も望むことなンてないンだよォ~ッ!毎日ゴミ弄って漁ってりゃ~不衛生に決まってンだろがァ!病気になンて直ぐになっちまうわなァ~!病気になっても薬を買う時のことなンて考えてないンだコイツ等ァゴミ共はァ~!そのくせ家族が病気ンなって死んだらウワァァァァァァァ~ン!なンて泣き叫んでやがるンだコイツ等ァ~ゴミ共はァ~!」と‘‘脱村住人’’達を指差して『コイツ等ァ~ゴミ共はァ~!……人をゴミ呼ばわりのセルズだ。

 スーミリガンの番だ!

「アナタは国際活動隊員でしょ!活動隊員が貧しい人達をゴミ呼ばわりするなンて、アナタはココにいるべき人間じゃないワ!人間として最ッ低ィ!ここのスラムに来た人達は、貧しくて、特別な技術もあるわけでもなく、仕事も見つからず、故郷を出たけど、まともな職もなく、巨大都市から排出されたゴミの埋め立て処分場スラムにたどり着いたのよ!スラムの外では家賃も払えず、故郷にも帰れず、家族も養っていかなくてはならない……ゴミの中から有価物を拾い出して生計を立ててた人達が、もっと他に仕事があればイイのに!‘’職業訓練’’などが受けられるといいのに!必要な技術があれば良いのに!ここの人達には仕事が必要なのよ!そうすればゴミから拾い出ししなくて済むでしょ!(同書~引用)そういう方向に行くように、国際社会の……‘‘国際世論’’を高めるために、私達海外メディアは現状を取材して世界中の人達に知らしめているワ!」と、スーミリガンは、‘‘ニュースワイドショー番組’’お決まりコメンテーター風のトークだ!

 セルズの番だ!まずはスーミリガンのトークの笑い飛ばしからだ!

「ワハハハハハハハハハハハハハハハァ~!つまり『職業訓練させて‘’脱ゴミ弄り‘’』てか?ワハハハハハハハハハァ~!笑わせてくれるぜェ~!ファニィマダァファカァ~ッ?ウケるぜェ~ッ!ワハハハハハハハハハァ~!ボォ~シエットゥ!バカじゃねェ~のォ~!簡単な話だろォ~!コイツ等ァ~はァ~!ゴミを弄って生きる事しか出来ねェ~ンだァ~!ゴミから引き離そうとせずに、もっとバンバン沢山ゴミ弄れるようにしてやればイイだろォ~!沢山ゴミ弄らせてやれヨ!ワハハハハハハァ~!」

 聡明なスーミリガンだ!ニュース解説者が言葉するパターンで応戦だ!

「何を無責任なコト言ってンのよォ~!家計を助けるために……学校教育に参加出来なかったり、学校を中退せざる負えなかった人には……例えば自動車整備や木工などの技術指導して、より良い収入を得るのヨ!……女性には就業のための……アァ~例えば~技能取得訓練として裁縫の技能を身に付けるとか(同書~引用)……アァ~……そうすればゴミの中から換金出来るモノを探さなくてイイの!」

 かったるそうな顔でセルズの番だ!

「だからァ~!現実を見ろってのォ~!そういうのの前に、先ずは、コイツ等ァ~ゴミ弄るしか能がないがないのサ!もっとバンバン!とさぁ~沢山ゴミ弄れるようにしてやればイインだ~つゥ~のォ~!『大津波が来る!』言ってンのにヨォ~!死んでもいいからゴミ弄りたいってサ!だから、ここにいるンだよな!ゴミィ~沢山弄らせてやれヨォ~ッ!」と、‘‘脱村住人’’達を指差して言セルズだ!

 少し、苛立ちが入って来たスーミリガンの番だ!

「アンタはどうなのヨ!さっきから『沢山ゴミ弄らせてやれ』って!ここの人達をゴミ呼ばわりしてるワよねェ~!じゃあ!具体的に!どうすればイイのよ?仕事は無い!故郷にも帰れず!こんなヒドイ状況の人達に『沢山ゴミ弄らせてやれ』って!ヒドイじゃない!どうすればイイのか具体的に言ってみなさいよォ~ッ!」

「オイ!オイ!本当~馬鹿じゃネェの?だから言ってるじゃネェかァ~!コイツ等ァ~ゴミ弄るしか能が無ェ~ンだって!もっとバンバン沢山ゴミ弄り出来るようにしてやればイイだろってのォ~!」とセルズだ!


例のとあるアメリカン一家では……

(「好きでゴミを弄ってる人間なンている筈ないじゃないかァ~!」)と少年ピートは思った……。

「コイツ!世界中の人達を敵にまわしてるたゾ!スゴくムカつく野郎ォ~だぜ!マジ叩きのめしてくれ!スーミリガン!」とダァディは言って新しい缶ビールを手にしてリングプルを起こした。

シィカァパァ!と音をさせて開けると、すぐに口に付けた。

「スーミリガン!本当~!ヤッつけてぇ~!アタシも飲むわァ~!」とマァムも缶ビールを手に取った……。

ブプルルルゥゥ~!と音をさせて唇を震わせ鳴らすピートだ。

(「大人は腹立つといちいちビール飲むの?……一体、何ンなンだろう……?それにしてもヒドいヤツだなァ~!マジにスーミリガン!トークバトルで……ソイツを叩きのめしてよォ~!」)とテレビに釘付けのアメリカ人少年ピートだ!


街頭ビジョン前では……
ヴヴヴヴヴヴゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ~!と勿論ブーイングだ!セルズは生中継衛星生中継テレビ放送を見ている世界中の人達を敵にまわしてしまったのだ……。

 世界中の人達がイカった!が……世界中が激怒する中……ある2人が違った。セルズを味方する者が現れた……。2人、3人、4人……と、だんだん数えきれなくなる程の数のセルズの味方をする者が現れた……。

『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』『ソウダ!』


モハベ矯正センター牢部屋
「そうだゼ!コイツの言う通りだゼ……」と‘‘選別作業(手作業)’’が仕事のチャンクだ……。
(「確かに……その通りダワ!」)とジョイだ……。

米加州知事執務室では……
「ヒドイわ!」と、ステファニーだ!少女ティモーナの心を傷付けただけではなく、反省のかけらもなく『ゴミを弄らせろ』と笑っているセルズに怒り、涙ぐんだ。
 が……シュワ知事は違った。
「あの野郎ォ~ッ!撃ち殺してやりたくなって来たゾウ!」と始めは怒った…。が、何かに気付いて言った!
「ンン?……待てよ!……ソウだ!……コイツの言う通りだゾウ!」

ダークベレー本部オペレーションルームでは……
「セルズの野郎ォ~!プラス25年だァ~!105年刑務所にブチ込んでやるゥ~!」とマーク大佐は呟いた。

ゴミマウンテン頂上広場では……
 具体例を上げれば『ゴミを弄らせればイイ……』と言い、自分の具体例は否定して『ゴミを弄らせればイイ……』とセルズだ!トークバトルでは絶対に勝っているのに、負けた気がして来たスーミリガンだ!チェリーボーイサムがレシーバマイクで小声で言って来た……。
(「スー……確かに‘‘リサイクルの仕事’’てあるからね……『沢山ゴミ弄り出来るようにしてやればイイ』て……『‘‘リサイクル分別収集’’に変えれば?』てコトだよ……ソイツの言う通りかも……」)
「……ッ?……スラムの人達……た……確かに……していることは……リサイクルの仕事と同じだワ!つまり『形をかえれば‘‘雇用’’を発生』させてあげられる……てことネ……」と‘‘完璧な敗北’’に愕然とするスーミリガンだ!
「ア……ア……アナタの言う通りかも……ゴ……ゴメ(ンなさい)ッ?」と、吃りながら敗北宣言のスーミリガンだ!
「痛ったかったなァ~!」とスーの言葉を遮るセルズだ。…続けた……。
「アンタにひっぱたかれたナ~!でも……ノープロブレムね~!誰でも間違いってあるサ……しっかし……どうすればイイかな~?……YNBテレビの信用に関わるネェ~……miss.ミリガン?……さぁ~全世界衛星中継テレビ生放送で……私に……詫びてもらおうかなァ~?……」と冗談をカマすセルズだ!
「……ッ?」(「コイツ~!調子ン乗りやがってェ~!」)と、セルズに対して闘争心が沸き上がって来た!
「詫びて!詫びて!詫びてェ~!アハハハハハハハァ~!」と最後はオカマ風に、身体クネクネ揺らしてふざけてセルズは言った。
(「よし……戦法を変えよう……」)と別方面から攻めることにした。
 トークバトル再開だ!スーミリガンからだ!
「だからといって、少女を言葉の暴力で傷付けてイイのォッ?」
 セルズが返す!ティモーナを顎で差し示して続ける!
「だからァ~ッ!いつまで経ってもソイツ(ティモーナ)はゴミ弄りしていくンだヨ!闘わないンだモノぉ~ッ!自分から闘おうとしないヤツ等ァ~に俺達ィ先進国の者達はなァ~‘‘支援’’てカネ払ってンだゼ!少しは自分達が、まず!出来ることから闘っ(始め)てくれないとサァ~ッ!キリがネェ~ッてのォ~ッ!」
 サカタが泣き声混じりで入って来た。
「ヒドイわ!ティモーナは……ウ!……生きていくらかためにゴミの中からお金かなるモノを拾い出して……ウ!……ウ!……やっと少しの食べ物を得て生きているのヨ!……そのために学校にも行けない……せめて新しい教科書が欲しい…そう願って必死に闘っているじゃない!そうよ!ティモーナは闘ってるワァ~!アァァァァァ~!」と泣き出して顔を両手で覆うサカタだ……。
 スーミリガンの番だが、勢いがないようだ!
「そうよ……その通りよ!……ティモーナは立派に闘っているワ!」
『まだ、やるのかヨ!』という顔でセルズの番だ!
「……それで……?……だったら今まで通り……ゴミスラムの子供らしく、ゴミ弄りしてればイイじゃない!……ゴミ弄りしてれば、ゴミの中に食べられるモノが捨てられてるって言うし、生きてくためには、ゴミ弄りしてれば必要なモノは捨ててあるって言うし……ソイツを拾って喜んでりゃイインだヨォ!マニラに住んでる気の利いたカネ持ちは、まだ、使えるモノでも要らなくなればゴミに出して捨てちまうンだモノなァ~!つまり‘‘ゴミ’’はァ~!コイツ等ァ~‘’ゴミ‘’共には‘‘宝物’’なのサァ~ッ!捨ててある要らなくなったモノ拾って喜んでりゃイイじゃない!ワハハハハハハハハ~ッ!」
 ……そう言い、笑ってセルズは心の中で祈った……。
(「ティモーナ……!ゴメン!許してくれ……俺はただ……お前に闘って欲しいんだヨ……お前の笑顔が大好きだ……楽しい時に見せてくれるお前の笑顔は最高に素敵なンだ……だから、悲しさを忘れるために笑うなンてやめて欲しいンだ……オカシな笑いは……いつも、本当に楽しい時の笑顔でいて欲しいンだ……それには苦しいだろうが……ティモーナ……お前には闘って欲しいンだ!……自分に出来ることをして欲しい!……諦めたら何もかもが終わってしまうンだ!……人間として最低なことは何もしないクセにグジグジ愚痴ってる事だ!……頼むティモーナ!……自分の思いを表してくれ!……闘ってくれ!……でないとお前やスラムの人達は、いつまで経っても立ち上がる事が出来ないンだゾ!」)
 そんな、張り裂けそうな心のセルズとは知らず、スーミリガンの番だ!
「アナタは、も自分の子供が同じ目に会ったらどうなのヨ?」と言った。
「……ッ??……」とセルズは身体を震わし驚いた。スーミリガンは、セルズの著しい気動揺に気がついた!セルズの顔色が世界中の街頭ビジョン、テレビ画面でも、一目見て分かる程に変化したのだ……。
 子供を作れない身体の自分にとっては、予期せぬ質問であった。スーミリガンは‘‘喋りのプロ’’だ!セルズも優秀だが、動揺した状態の彼だ……。
(「顔色変わったのは見逃さないわヨ!ティモーナを傷付けた報いを受けさせてやるワ!」)とスーミリガンの‘‘ディベート’’砲が襲い掛かった!
「子供はいないの?……‘‘劣化ウラン弾’’の影響?アナタ達がばら蒔いてきたイラクの?」と、いきなり要衝にミサイル着弾だ!
「お!……お前に何が分かるっていうンだ!(『俺は‘‘劣化ウラン弾調査’’に行って、こうなったンだ……こんな目にあって何ンで……何ンで、こんな事を言われなきゃならないンだ……』)」と言いセルズは身体が震えた……。
 セルズ劣勢の、スーミリガンとの全世界生中継衛星放送トークバトルが続く。
「ヘェ~!カマかけたつもりだったンだけど‘‘ドンピシャリ’’ね!……じゃあさ!訊くけどね~アナタにそのコ(ティモーナ)の何が分かるってのヨ!」
「俺は当たり前の事を言ってるンだ!俺はコイツ(ティモーナ)に闘って欲しいンだ!……ただ、それだけだ!」
「このコは疲れ果てているのよォ!私達、国際社会が支えてあげなければならないンじゃないのォ?」
「だから!それだけじゃキリが無いだろォ!自分からも立ち上がってくれないとォ!」
「イラクの子供達も?……アナタ達がヒドイ事をしておいてェ~!『立ち上がれ!』って言うのォ?……一体、アナタ何者?」
「………………」と黙ってしまうセルズだ……。
「何者なの?……国際活動隊にしては……さっきの身のこなし……ただの兵士ではないワ!……何者なの?アナタは?……グリーンベレー?……ネイビーシールズ?……デルタフォース?」

ダークベレー本部オペレーションルームでは……
「大変です!『‘‘グリーンベレー’’、‘‘ネイビーシールズ’’、‘‘デルタフォース’’に苦情の電話やメールが殺到している!』とのことです!」とオペレーション要員隊員が伝達をマーク大佐に向かって叫んでいる。
「ヘェ~イ!カマァ~ン!ビィッチ!お~い勘弁してくれよ!姉ェ~ちゃん!頼むから‘‘ダークベレー’’の名前は出さないでくれよなァ~!
 しかし、マーク大佐の願いは一蹴されることに……

ゴミマウンテン頂上広場では……
「あと聞いたことあるわァ!大量破壊兵器捜索に‘‘核の何ンでも屋’’と呼ばれる特殊部隊隊員が作戦に帯同したって……」というスーミリガンの言葉にセルズは顔色が真っ青だ。
「アメリカ合衆国エネルギー省第2特殊部隊……‘’ダークベレー‘’ね!」
「な……何ンだ?そりゃ?」
「あら?どうして聞き返すの?……ヘェ~!……アナタが‘‘核の何ンでも屋’’特殊部隊の……‘‘ダークベレー’’かぁ~!ヘェ~!ありもしない『‘‘大量破壊兵器’’を探す!』って言いがかり付けて~平和のための戦いなンだァ~?」
「俺は平和のために……」
「‘‘劣化ウラン弾’’ばら蒔いてきたの?」
「俺は平和のために……」
「大勢の人が死んでるの!大勢の人が涙してる!絶望してる!苦しんでる!……劣化ウラン弾の後遺症にもね……」
「俺は平和のために命を懸けて来た……」
「アナタが子供を作れない身体になったのは自業自得ヨ!」
「………………」
「全くゥ~!本当にどうしようもないヤツだワ!初めて見たワ!アナタのような頭ァ~イカれてンのはァどうしようもないワァ~!」
「………………」
「イカれてンのは頭だけじゃなくて~特に‘‘種作る所’’もネェ!」
「……ッ?……」と‘‘後遺症’’まで出され、完璧に叩きのめされたセルズだ。
「~どうしたの?何も言い返せないの?」
 スーミリガンに何も言い返せなくなったセルズだ……。

例のとあるアメリカン一家
「そうだヨ!スーミリガン!ソイツを伸しちまえ!やっつけろォ~!」てピート少年は大喜びだ!スーミリガン対セルズのトークバトルに夢中だ!
「ハハハァ~ッ!こりゃイイワァ~!この野郎~ゥ!ザマァ~ネェやぁ~!ワハハハハハハハハハァ~ッ!さっきの調子はドコ行ったァ~ッ!おいカカア!それ~!ビールよこせ!」と、ソファーから身体を起こせば手が届くのに、妻に取らせて飲むビールが、この上なく美味いらしい夫だ!
 ビールを手渡すと、機嫌が良いダァディは、そこそこ稼ぎが良いから、言うことはホイホイ!と聞くマァムだ!ソファーにもたれて座る夫、ビールを手渡す妻だ。
「本当ォ~!さっきはァ随分とォ~!調子に乗ってくれたワネェ~!」少年ピートの父母だ!
「ザァまぁねぇやぁ~ッ!」とピートだ!

ゴミマウンテン頂上広場では……
「イラクの子供達を苦しめて……今度はフィリピンの子供なの?」などと、スーミリガン対ジョンセルズのトークバトルが行われている。
 サカタとティモーナは、ハッ!として顔を見合わせた。2人のトークバトルの中に、ティモーナがすべき事のヒントが、セルズの言葉にあったのだ。
『つまり‘‘ゴミ’’はァ~!コイツ等ァ~‘’ゴミ‘’共には‘‘宝物’’なのサァ~ッ!捨ててある要らなくなったモノ拾って喜んでりゃイイじゃない!ワハハハハハハハハ~ッ!』というセルズのことを聞いた時であった。
(「『使えるモノでも要らなくなればゴミ』……『ゴミは宝物』……ワタシの‘‘宝物’’は……ハッ?」)とティモーナは考えて、サカタの顔を見た。サカタもティモーナを見た。何か目の前に立ちはだかっていた大きな壁が取り払われた気がした!
「ティモーナ!彼の言う通りよ!闘って!アナタなら出来るワ!」とサカタはティモーナに言った。
「そうだヨ!ワタシ……闘うヨ!何もしないでグジグジ愚痴って、悲しいクセに、ヘラヘラ笑ってるなンて嫌だヨ!」とティモーナはサカタに言った。

 世界中がセルズの敵にまわった!‘‘決死の救出劇ヒーロー’’がスーミリガンにKO負け寸前だ!

ダークベレー本部オペレーションルームでは……
「マーク大佐!大変です!苦情の電話やメールが殺到して回線がパンクしました!」と要員隊員が叫んだ!
「あの野郎~ッ!終身刑だァ~ッ!銃殺だァ~ッ!」と叫ぶマーク大佐だ!

例のとあるアメリカン一家では……
「ヘェ~イ!見ろヨォ~!あの野郎~もう何も言い返せネェ!いいザマだァ~!分かるハハハハハハァ~!」とパパだ!
「カウントとりましょ!10秒以内に言い返せなかったらアイツはKO負けよ!」とママだ!
「カウントしよう!せぇのォ~!1!……2!……」とピートだ!

世界中の街頭ビジョン前では……
 群衆のカウントダウンする叫び声がこだましていた。世界中がセルズの敵に廻った!‘‘決死の救出劇ヒーロー’’のセルズがスーミリガンにKO負け寸前だ!
3ィ~ッ!……4ォ~ッ!……5ァ~イブ!

ゴミマウンテン頂上広場では……
「どうしたのヨ?……エ?……何ンとか言ってみなさいよ……」とスーミリガンの『あなたの番よ!ヨォタァン!』が放たれた!返せなければセルズのKO負けだ!
「…………」と何も言い返せないセルズだ。

 世界中で叫ばれるカウントダウンだ……
6ェ~ックス!……7ェ~ベェヌ!……8ェ~イトゥ!……9ァ~イン!

ゴミマウンテン頂上広場では……
「何ンとかァ言ってみなさいヨォォ~ッ!」
「止ァめェてェェェ~ッ」
 スーミリガンの怒鳴り付けを制す少女の絶叫だ!

 世界中の10カウントを数える叫び声はカウント9で止まった。セルズのKO負けは少女の絶叫で阻止された……。

「止めてェ~ッ!言葉で人の心を傷付けるのはッ!」と、スーミリガンを止めたのはティモーナだった!
「そうよ!ヒドイわヨ!小さな子供に言葉の暴力なンて!言ってやって!言ってやって!」とティモーナに抗議を促すスーミリガンだ。
「オバサンはオジサンの心を言葉で傷付けている!」とティモーナは言った。
「そうよ!ヒドイわヨォ~!……て?……エェ~ッ??私なの???」
「オジサンの言ってるコトが正しいヨ……何も言わなきゃ……何も変わらないヨ!」と始めたティモーナは、思っていることを言葉に表すことにした……。

 全世界衛星生中継テレビ放送で……世界中の人達が見ていた……。カリフォルニア州知事執務室ではシュワ知事とステファニー秘書官が見ていた。世界中の街頭ビジョン前では群衆が見ていた。モハベ矯正センター全牢部屋では、チャンク、ホモッ気囚人ジョイを含め全囚人が見ていた。例の、とあるアメリカン一家ではダァド、マァムゥ、少年ピートが見ていた。

ゴミマウンテン頂上広場では……
 ティモーナは、全世界衛星生中継テレビ放送の取材カメラを前に、思っていることを言葉に表し出した。
「ココの人達は何も言わない!何もしない!闘わない!……でも、しょうがないよ……ここにに住み着くのは本当はダメなンだよ……だから何も言えない……追い出されちゃうから……食べて行くには……ここに住み着いてで、ゴミの中からお金になるモノ拾うしか生きていけないモノ……ゴミの中に紙とか布とか、お金になるモノがあるけどゴミの汁でダメになってる……分けて持って来てくれるとイイのに……ワタシ達には、どうして良いのか?分からないです!……豊かな国の人達に聞いて欲しいです……どうして良いのか?……教えて欲しいです……そして……そして……そしてワタシは……ワタシは……ウッ!……ウゥ!」と呻き声が混ざり始めたティモーナだ!『世界中の人達が見てる』……と緊張して言葉が見つからなくなったか?泣き出しそうなティモーナだ!
「ティモーナ!……頑張ってッ!」とサカタが励ましの言葉を小さく叫んだ。
『ウン!』とサカタを見て頷くティモーナだ。スー!と息を吸い込むと、再び、自分の思いを言葉にし始めた。
「ワタシは……ワタシは…………勉強がしたいです!……ウゥ~ッ!……ハァウゥ!」と、泣き出してしまったティモーナだ……。だが、続けるティモーナだ!
「ワタシは勉強がしたいです!……ワタシは人間だからです!……ウゥ!……ワタシはゴミじゃないです!人間なンですッ!……ススン!ハァ~……人間だから!勉強して色んなことを知りたいッ!……勉強して色んなことを考えたいッ!……勉強して色んなことを感じたいッ!……ススン!……ハァ~ッ!勉強して色んなことを思いたい!……勉強して色んなことが分かるようになりたい!……」と涙が頬を伝い落ちるティモーナだ。泣き出してしまった。涙を流しながら、鼻水を垂らしながらも思っていることを言葉で表し続けている。
「そして色んなことが出来るようになりたい!……そして……ウゥ~…………色んなことを……ワタシも……ワタシも……誰かのために……誰かのために……出来ることを必死になって出来る人間になりたいッ!…………おじさんのようにィ~ッ!」と叫んで、セルズの方を見た。涙と鼻水でドロドロに汚れた顔でセルズを見た。ティモーナは続けた。
「ワタシもおじさんのように!誰かのために必死になれる人間になりたいッ!誰かのためにワタシが何が出来るか知りたいッ!……ワタシも!誰かのために出来ることを必死にしたいです!………だから!……勉強がしたいです!……それがワタシの願いですッ!……勉強がしたいですッ!……勉強がしたいですッ!」

 全世界が言葉を失った……。貧しい少女の願いが、あまりにも崇高で美しいからだ……。
『何とか力となってあげたい』と世界中の人達が純粋に思った……。
『だけど貧しい国は数え切れない!……力になってあげたいが、現実は‘‘お金’’がいるって話……』
『力になってあげられるかな……?』と思う世界中の人達だ。

 ティモーナは『実現してもらえる可能性が高い願い』を言葉にし始めた……。
「だけど……ワタシは……ゴミの中から、お金になるモノを拾いだしてないと生きて行けません……だから……だから……学校に行けません……たがら……せめて次の教科書が欲しいです……お願いです……ワタシは……ワタシは……ウッ……スハぁ……ウッ……スハぁ……」ティモーナは感極まり言葉に詰まってしまった。
「ティモーナ!がんばって……」サカタはティモーナを見て言い頷いた。
ティモーナはサカタを見て頷いた……。
 セルズはイラク人少女ティーシャが最後に残した‘’ティーシャの励まし‘’を思い出していた……全てティモーナに当てはまることであった……。
(「負けるな!ティモーナ!頑張ってくれ!……辛いだろうが……最後まで闘ってくれ!」)とセルズも心の底から祈った。
 ティモーナは続けた。
「……『勉強し終わって使わなくなって……要らなくなった教科書』を……貰えないでしょうか?……落書きがしてあってもイイです!……破れててもいいです……汚れててもいいです……表紙まわりから剥がれてて、気を付けて持たないとページがバラバラに落ちてしまうンでも構いませン!豊かな人達には‘‘ゴミ’’でも、ワタシには‘‘宝物’’です!……大切にしますッ!…勉強がしたいンですッ!……お願いしますッ!……ワタシに下さいッ!……ワタシに下さいッ!……要らなくなった教科書を下さいッ!ワタシにィ~ッ!下さいィィ~ッ!ウゥゥゥゥ~ッ!アアアアア~ウゥ~ッ!」と、発する言葉が乱れ始め泣き崩れそうだ!もう限界かも知れない!
 ティモーナは最後の力を振り絞り叫びだした!
「ゴミに出してェ捨てるならァ~ッ!ワタシに下さァいィ~ッ!‘‘要らなくなった教科書’’をワタシに下さい~ッ!ワタシはゴミじゃないッ!人間なンでスゥ~ッ!人間だからァ~ッ!勉強がしたいンでスゥ~ッ!人間だからァ~ッ!人間だから勉強アイアイエウ~ッ(したいです)!クアァァァ~イッ(下さい)!アアアアァァァヲィアァァ!(ワタシは)……エェンヲォォ~アアァイアイエウ(勉強がしたいです)~!ハァ~ッ!」と、発する言葉が乱れ始めた!泣き崩れ始めた!もう限界かも知れない!
「アアイアァイイィィンヲェェンワァンアァ~ッ(ワタシは人間なンだァ~ッ)!ウウウウゥゥゥゥ~ッ!ヲォォォ~ウィィィィ~ワァアァァァ~アアアイイィィィ~ッ!(ゴミじゃなァ~いッ)」と、それ以上ティモーナは言葉を発せられなくなった。
 ティモーナの前に片膝を着き、しゃがんだセルズに抱きすくめられ、胸元を口で塞がれたのだった。
アァァァァァァ~ン!とルカァイも泣き声を上げてセルズに抱きついて来た!2人を抱きしめながらセルズは叫んだ。
「よく頑張ったッ!ティモーナッ!お前は強いコだッ!お前は闘ったンだッ!お前はゴミなんかじゃないッ!強い人間だッ!」と叫びながらティモーナの髪の匂いを嗅ぐセルズだ。
「ティモーナ!……お前は臭くなンかないヨ……お前の匂いが大好きだ……」……言いながらセルズは空を見上げた……涙が溢れそうで……。
『泣きたい時は泣けばいい……笑いたい時は笑えばいい……いつも笑っていられる日が来ることが本当はいいンだけどね!』と‘’ティーシャの励まし‘’がセルズの涙を溢れさせようとする……。
 
 セルズは心の中で叫んだ……。

「クソォ~ッ!泣いてたまるかァ~ッ!……俺は……コイツ等ァ~を守って行くって決めたンだァ!……メソメソ涙なンて見せるもンかァ~ッ!……泣いてたまるかァ~ッ!……泣いてたまるかァ~ッ!」

 傷付いた少女の心を救うのは特殊部隊隊員セルズの任務ではない……が、1人の人間として、1人の男としての使命であり……セルズのジャスティスであった……。


最終話に続く……


緑黄色社会『想い人』



写真集紹介『ゴミと宝石』上田敏博・戸井十月
『ゴミと宝石』を読んで歌も作って送ったンです
歌って下さる弾き語りミュージシャンのメジャー志望の方に~お願いします動画~を送る予定なンです(するかどうか未定……)

『君の願い』

君の願い叶うはずさ あきらめないで 誓いを心につよく

いつも見上げる空 何を探すの……? 失くした涙……?
ぼくは何も出来ず 君のかわりに 泣きだしただけなのかな……
夢はもう見ないのかい 瞳曇らせないで
みんな同じさ 空に描いた明日は
掴んでくれないかい? 君の小さなその手で
チッポケだけれど 僕が差し出すこの手を
君はいつまでも 輝かせていて欲しい(僕の好きな♪)
君の瞳は輝く宝石のようさ
君の瞳を見つめる僕の瞳を(見つめる♪)
君の瞳を僕は見つめ続けていたい

君の願い叶うはずさ 空に描いた 明日はあの白い雲

きっと同じはずさ 君が僕で 僕が君だったなら
君は僕のために 君の出来ること 探し続けてくれるだろう
悲しみの僕達など 受け入れられるものか
素敵な君の笑顔 必ず手に入れるよ
君はいつまでも 輝かせていて欲しい(僕の好きな♪)
君の瞳は輝く宝石のようさ
君の瞳を見つめる僕の瞳を(見つめる♪)
君の瞳を僕は見つめ続けていたい

君の願い叶うはずさ 空に描いた
明日はあの白い雲

いつかいつも君が笑顔で(♪描けるひまで)

  途中……