第6話-4




 米加州トランスバース山脈西部から比国ルソン島ラモン湾間は、直線距離(航空路)で約1,2000km離れている。メルカトル図法地図では、航空路は緩やかなカーブ投球の軌跡だ。航空路を大陸海岸線沿いに更に大きなRを描き迂回するように、約1,5000kmのトランスフォーム断層線(海溝線)が走っている……。
 海溝線を『導火線を伝わる火』の如く‘‘プレートエネルギー解放’’が、あっという間に伝わり、地震の巣であるフィリピン海プレートまで到達していた。明け方05時頃から、フィリピンルソン島ラモン湾に溜まっていた、プレート巨大エネルギー解放の‘‘前震’’が群発し始め、震度は徐々に強まっていった……。


[re:]/『もう一度』


⚪月△日(⚪月△日-1日カリフォルニア……時差15時間)午前8時-few時間(フィリピン時間)
避難テント村
 モンダ軍曹の『アイスクリーム(ラム酒)作戦』によりトゥポインティングエリア埋め立て処分場スラムから『おびき寄せられ』て避難してきた数万人の住人達は保護され、数えきれない程に張られたテントで寝泊まりしていた。‘’国際活動隊管轄テント村‘’だ……。
 スラム住人達はテント村内食料配給広場に集まり、クラッカー、スープ、飲料等の簡易糧食を貰い朝食をとっていた……。そして、例の‘‘アイスクリーム(ほぼ酒類)‘’も振る舞われた……。
 住人達が群がる広場には、とにかく子供の数が多い……。親は昨日からの‘‘ラム酒風味?アイスクリーム’’で既にテントの中で『出来上がって』いる…。あちこちで朝早くからゲラゲラ!と酒酔いの笑い声がテント村をザワつかせている。
ウアァァァァァ~!アァァァァ~!と、あちこちから子供の泣き声がしていた。
「怖いよォ~!怖いよ~!怖い~!ウゥ~!ウゥ~!」と、徐々に強まる‘‘前震’’に怯え、朝早くからルカァイや小さな子供達は泣き出し始めた。
「ティモーナ~!恐いよぉ~!」と怯えるルカァイもティモーナに近付き、泣き出した。あちこちから小さな子供の泣き声がして、配給広場は徐々に怯えた子供の数が増えてきた。
「大丈夫だよルカァイ!……あのねルカァイ……今日~日本のテレビ局‘’チャンネル8‘’のサカタさんが来るンだよ」弟ルカァイを抱き寄せ、背中を擦り落ち着かせようと‘‘日本のテレビ局の取材’’の話をする姉ティモーナだ。
「うぅ~!怖いよォ~ティモーナァ~!」と、かなり強まってきた‘‘前震’’に怯えて、‘‘サカタ’’にあまり興味が沸かないルカァイだ。
「大丈夫だよォ~!ネェ~!みんな~!歌おうよォ~!歌おう~!」とティモーナは叫んだ。そして、歌い出した……。

『ユーアーマイサンシャイン』ジミー・デイビス


♪ディアダァナァイディ~ヲ♪アズァ~イレェ~スゥリィ~ペェ~ン

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪

 ティモーナが歌い出すと数人の子供達が一緒に歌い出した。

♪ヨォ~ヲェ~ンマァ~イタァ~イズ♪

♪エェ~ンドゥアァ~イ♪ホォ~ゥマァ~ヘェ~ダァ~ンクゥラァ~イドゥ!

ティモーナは、まず『ユーアーマイサンシャイン』1番を元気よく歌った。‘‘子供の泣き声’’が止み、歌声に変わり出した。ルカァイも泣き止み、歌い出した。   

 他の子供達数十人も一緒に歌い出した……。子供達は全員が笑顔を弾けさせて歌い出したのだ!あっという間に配給広場は‘‘こども合唱団公演会場’’となった。

 住人達は子供達の歌声に目を細めた。笑顔で『ユアマイサンシャイン』を歌った。

♪ユウ~ア~マァ~サァ~ンシャ~イン!

♪マァ~オォンリィ~サァ~ンシャ~ァイン!

ルカァイも一緒にキャァ~!キャァ~!とメロディー発声だが歌い出した

♪ユウメェ~クミィ~ハァ~ピィ~!♪ヲェ~ンスカァ~ィザァ~グレ~ェ!

♪ヨォネバノォ~ゥディア~♪ハァ~ウマチア~ィラァ~ビュウ~!

♪プリィ~ズドォン~テェ~イクマァ~サァ~ンシャ~イロヲェ~イ!

 食料配給広場の国際活動隊兵士達も一緒になり歌い出した。

(「ハッ?」)とティモーナから笑顔が消えた!‘‘ユーアーマイサンシャイン’’を歌い『そういえば!』と思い出したのだった!皆が笑顔を弾けさせ歌っている中、歌うのを止めた!思い出した大変なことに、目を見開き口を開け愕然とした。

♪アァ~イルオォ~ウェ~イズラァビ~ュウ♪アァ~メェィキョォハァピィ~♪

♪イヒュ~ウィ~ルオォ~リィ~♪セェ~ィドァ~セェ~モォ♪他の子供達は夢中で歌っている……。

「ルカァイ!ここで待っていて!すぐに戻ってくるから!」と歌声の広場に幸せな時が満ち溢れる中、ティモーナはルカァイに言った。

「ティモーナ!何処に行くの?」とすかさず‘‘質問’’のルカァイだ。

「家に戻るの!」

「どうして?」

「大切なモノ~家に忘れて来たから取りに戻るの!」

「大切なモノて?」

「‘‘宝物’’忘れて来たノ!……ワタシの大切な大切な‘‘宝物’’…………家に忘れて来たから取りに戻るの!……ルカァイ!分かった?」

「『‘‘宝物’’忘れたから取りに戻る』ンだね?…………で…………ティモーナ!……何処に行くの?」

「だから!……家に行くの!ワタシの‘‘宝物’’……取りに戻るの!ルカァイ!すぐに戻ってくるから!ここで待っていてネッ!分かったわネッ!」と『記憶力メカニズム成長途中』のルカァイに無理矢理に‘’了承‘’を押し付けるティモーナだ。

「………」と黙ってしまうルカァイだ。

「ルカァイ!すぐに戻ってくるからッ!ここで待っていてッ!分かったわネッ!」とティモーナは自分を安心させるために弟に言い聞かせているようだ。

「何処に行くの?」……案の定~ルカァイの’‘質問テロ’’だ!言ったばかりなのに、すぐに質問だ!

「だから家に戻るのッ!」

「どうして?」

「‘’宝物‘’忘れたから取りに戻るのォ~ッ!」と立ち上がり更にルカァイに言った。話をしても要領を得ないルカァイに苛立ち、語気を粗めるティモーナだ。

「何を忘れ(たの)ヒッ?」と驚き質問をストップするルカァイだ。

「ルカァァ~イッ!」と弟の名前を強く叫び‘‘質問テロ’’を許さない姉だ!‘‘質問テロ’’掃討だ!

「すぐに戻るからァァ~ッ!ここで待っててェェ~ッ!分かったわネェェッ!」とヒステリックに叫んだ!おそらくルカァイに初めて見せた姉のヒステリックだ。

「………………ウン…………分かった…………」と、いつも優しい筈の姉の剣幕に、‘‘質問’’出来ず‘‘了承’’……の返事をするルカァイだ。

 立ち上がり、広場を後にするティモーナだ。弟は、走り去って行く姉を目で追った。姉の姿が人混みに消えた。一人になった弟ルカァイだ。

♪バァリィフュゥ~リィブミィ~♪トゥ~ラァ~ブアナァ~ダァ~♪

♪ヨォゥリィグレェトォ♪オォ~ル♪サァムデェ~イ

ワァァァァァァァァァァァァァァァァ~!最後まで歌い広場は笑顔と歓声に包まれた……。

「……………………ティモーナ?………………ティモーナ~?………………」と、しばらくして、案の定、姉の名前を呟き出したルカァイだ。一人ぼっちにされて不安になったのだ。

「……………………ティモーナ?………………ティモーナ~?………………」

『すぐに戻るから、ここで待っていて……』……‘’すぐに‘’とは、ルカァイの認識として、せいぜい‘’1~2分’’なのだろう……。

「………………ティモーナ~?………………ティモ~ナァァ~!…………ウゥ~!…………ティモォ~ナァァ~!……ウウゥゥゥゥゥ~!」と、姉の名前を叫び泣き出しそうなルカァイだ。

♪ディアダァナァイディ~ヲ♪アズァ~イレェ~スゥリィ~ペェ~ン

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪

 広場では、2回目『ユーアーマイサンシャイン』を皆が歌い始めた。

「ティ~モォ~ナァ~!…………ウアァ~!………アァァァ~!……ティモォ~ナァァァァァ~!…………アァァ~ン!」と、とうとう泣き出したルカァイだ。泣きながら立ち上がり、姉が走り去って行った方向に走りだした。ルカァイの泣き声は皆の歌声にかき消された……。


⚪月△日8時-few分前(カリフォルニア時間⚪月△日-1日17時)

予備処分場~ゴミマウンテン頂上

カリフォルニア州政府庁舎知事執務室

ダークベレー本部モニタールーム

世界中街頭ビジョン前通り広場

モハベ矯正センター

AW609キャビン内

ハンター01、02キャビン内

コンパウンドブラックホーク操縦室内

『やっとゴミ溜めスラムからおさらばだ!』と、胸を撫で下ろしていたセルズだったが、そうは問屋が卸さなかった……。‘‘少数派’’の避難誘導任務があった。‘‘少数派’’とは……?
 国際活動隊‘‘陸上自衛隊’’側からの説明はこうだった。『テント村へ避難したスラム住人達の保護』が任務の日本国専守防衛軍‘‘陸上自衛隊’’は『テント村からの‘’脱村(村から抜け出す)住人の捜索と保護’’』も任務であった。
 ‘’少数派住人’’達を保護するために、バーン・フィッチャー操縦のコンパウンドブラックホーク、‘‘陸上自衛隊’’のUH−1J……モンダの班の‘’ハンター01’’、別班機‘‘ハンター02’’、の3機が避難テント村から処分場エリアの間を飛行していた。処分場エリアへ‘‘戻った住人の保護’’には、日本国専守防衛軍‘‘陸上自衛隊’’が任務に当たっていた。バーン・フィッチャー操縦のコンパウンドブラックホークは処分場エリアからテント村の間を巡回飛行していた。
 セルズは……?ヘリからの情報を受け処分場に入り込んだパッカー車や住人達の避難誘導の任務に当たっていた。
 マニラ行政からは『⚪月△日のトゥポインティングエリア処分場へのゴミ搬入は禁止』の通達が出ていた。が、『出し抜いてやれ!‘‘ゴミ運び’’は仕事→おカネ』の搬入ゴミ収集車が数台いた……。‘‘出し抜きゴミ収集車’’目当ての『出し抜いてやれ!‘‘空き缶(有価資源物)’’を独り占め出来るぞ!』というスラム住人達80人程の少数派がいた…。保護されているテント村を『脱走』ならぬ『脱村』してゴミ漁りに来た住人達……少数派というわけだ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォオオオオオオォォォ~!と地鳴りがして強めの揺れが感じられた。明け方から始まった軽い‘‘前震’’であったが、徐々に、地鳴りと共に立っていても身体に感じる程にまで強まっていた。
 ラモン湾の海を見渡せる海沿い予備処分場の地面を不気味に揺らしている……。数十cm程の低い津波も来始めていて潮位の変化も確認された。
 本作を読んでいると『そろそろ限界』というのは誰もが予想してくれるであろう。が、‘‘自由すぎる住人’’達は『大したことないねペペラァ!』『津波はスラムまで来ないよペペラァ!』と、完ぺきに、たかをくくっていた……。
 いつも、ブブ~ン!ブブ~ン!と羽音を立てて、まとわりついて来てセルズを悩ませている蝿が、朝から全くいない。‘‘地震’’を予知して安全な所に逃げたのだろうか……?
 フザけたヤツは、どこの世界にもいるものだ……。処分場に来る道はフィリピン軍や警察に封鎖されていて車両通行止めの筈が『何処をどうやって?』通って来たのか?1台のパッカー車がゴミ搬入のために、ラモン湾海岸沿い予備処分場内に入って来た。20人程の‘‘脱村住人’’達がパッカー車の後ろを追いかけて走ってくる。
 パッカー車荷台後方作動部が上に開き、荷台内部排出板でゴミが後方に押し出される。まるで、排便の様にマニラから収集して来たゴミを‘’ヒり‘’出す様に排出している。排出されたゴミに集る(タカル)スカベンジャー住人達数十人だ。ゴミを‘‘ヒり’’出したパッカー車は作動部を降ろした。ゴミ排出終了だ。
 パッカー車の運転席横に走って行き、怒鳴り付けるセルズだ!
「おォ~イッ!何やってンダァ~ッ?マニラ行政から『今日はゴミ搬入禁止』の通達があった筈だぞォ~!」
「大丈夫だよォ~平気~平気ィ~ペペラ~!マニラには津波来ないからペペラァ~!持って来て降ろさないと明日の‘‘カネ(収集)’’が出来ないよペペラァ~!」と自分中心主義の~わざと噛み合わない返事~のフザけた運転手男だ。
「お前がゴミ持って来るから、皆ンなゴミ漁りに来て避難しないだろォ!ファキョオメェ~ン!」
「知らなイよペペラァ~!俺は『ゴミ持って来て何ンぼ』でカネにして飯食ってンダからァペペラァ~!『飯食うな!死ねよ!』言うつもりかよペペラァ~!」
「津波が来て飲み込まれて死ぬンだぞォ~お前ェ~ッ!」
「うるサイなペペラァ!アイツ等ァにも言えよォ~ペペラァ!」と男の指差す方を見ると、新たにパッカー車1台、大型ダンプ収集車1台が、こちらに向かい進んでくるではないか!
『アイツ等ァ~』の車両2台は目の前まで近づいて来ると速度を落とした。ゴミを捨てに来たのだ。後ろには、いつの間に現れたのか‘‘脱村住人’’達数十人が集(タカ)って付いて来ている。
「お前はすぐにゴミマウンテンに向かって行けェ~ッ!上まで登れェ~ッ!!わかったなァ!早く行けってのォ~ッ!」と『フザけた運転手』に叫び、新たにやって来たパッカー車と大型ダンプ収集車に向かい、走るセルズだ。
ブロロロォォォォ~!と後ろでエンジン音がして『フザけた運転手男』のパッカー車は去って行く……。が、新たに現れた2台に怒鳴り付けねばならない!
「おォ~いッ!お前等ァァ~ッ!今すぐここから出て行けェ~ッ!『今日は搬入禁止』だろうがァ~ッ!」と叫びながらパッカー車のキャビンに走って行くセルズだ。
「出ていくよ~ゴミ下ろしたらねペペラァ~!」と言いながら、ハンドル横のスイッチを操作する運転手男だ。
ブブルトゥイ~!と油圧作動音がして、パッカー車荷台が形状を変え始めた。荷台後尾作動部が開き水平になる高さまで上がり‘‘ダンプアップ’’(荷台が斜めに起き上がる)された。
ブゥプルルゥ~ン!バガッジャズン!と音がして荷台内部‘’プレス板’’が箱荷台内の圧縮ゴミを後方に排出した。袋と‘‘引っ掻き棒’’を持った住人達が一斉に集り(タカリ)ゴミ漁りを始めた。

「…………さっきのパッカー車は荷台は持ち上がらなかったけどよォ~ッ!~この車は後ろが‘‘トランスフォーマー’’みたいにガチャガチャ!動くよなァ~ッ!……どう違うンだァ~ッ?」と少し‘‘プレス式ゴミ収集車’’のダンプ装置に興味が沸いたセルズは質問を叫んだ。
「あ~!それは後ろの作動部の形式とかで~違うのネェ~ッペペラァ~ッ!ダンプアップしない車は‘‘回転板’’で箱(荷台)の中に中にゴミを送り込んで積むンだペペラァ!この車は‘‘プレス板’’でゴミをツブして(圧縮)積むから中に詰まるンで捨てる(排出)時‘‘落っこちる力(重力)’’を利用する為にダンプアップするのねペペラァ~!『色々種類がある』のねペペラァ~ッ!」と叫ぶ運転手男だ。
『ダンプアップの有無は積込み形式等で違う』らしい。
「……へぇ~…………そうなンだ……ふ~ん!………ハッ?……って!……ざけンじゃねェぞォ~テメェこの野郎ォ~ッ!ボォシィェットゥ!下ろしたらァ~さっさと行けェ~ッ!ゴミマウンテンに登れえ~ッ!」と……質問して説明させて感心して運転手男を怒鳴り付けるセルズだ。
「ゴミマウンテンに向かえば良いのねペペラァ!」
「早く行けェ~ッ!」と叫び、大型ロングダンプ収集車’’の方に走って向かった。
 ダンプ収集車は荷台を‘‘ダンプアップ’’しながらゆっくり進みゴミを下ろしていた。地面にばら蒔かれたカネ(ゴミ)に目の色変えて群がる住人達だ。
ケェヘヘェハッハッハッハァ~ッ!
ケェへェハァホォヒィヒィィ~ン!
イィッヒィヒヒヒィィィ~ッ!と‘‘大型ロングダンプ収集車’’が下ろしたゴミに集る住人達の中に独特の‘’3バカ笑い声‘’も聞こえていた。例の‘‘トム笑い’’、‘‘チキ~ケン(チキマシン~等略)笑い’’、‘‘ジャワ星人笑い’’の3住人達もゴミ漁りをしていた。
「8時になったら津波が来るからァ~ッ!ゴミマウンテンの上に向かい避難するンだァ~ッ!今すぐにダァ~ッ!あと数分で大きな地震が起きて津波が来るぞぉ~!皆ンなァ~ッ!今すぐ避難するンだぁ~ッ!」セルズは手を大きく振り叫びながら大型ダンプゴミ収集車に集る住人達の方へ走って行った。
「津波が来るンだぞォ~ッ!何ンダァ~あんた等ァ~ッ!テント村で無料(タダ)で‘‘ラム酒’’飲めンじゃなねェかぁ~ッ!ゴミ漁りなンてやンなくても酔っ払ってゲラゲラ笑ってりゃいいじゃないか~ッ!何ンで~ここにいるンだァ~ッ?」
「テント村ではァ~どうせ地震が来なくなったら‘‘ラム酒アイスクリーム’’貰えないンでしょペペラ~?イィッヒィヒヒヒィィィ~ッ!」と‘‘ジャワ星人笑い住人’’が1バカ笑いだ!
「…………(図星だ……)」と黙ってしまうセルズだ。
「‘‘そこンとこ’’どうなンだいペペラァ~?」
「そうだペペラ!」
「そうだペペラ!‘‘そこんとこ’’どうなンだいペペラァ?」と追及の住人達だ!‘‘そこンとこ’’とまでヌカして国際活動をとことんまで舐めクサった‘’脱村住人‘’達数十人だ。
「そうだペペラ!そうだペペラ!‘‘そこンとこ’’どうなンだペペラァ~!」
「ケェへェハァホォヒィヒィィ~ン!見てよペペラァ~!こンなに沢山カネんなるモン’’取れるンだペペラァ~!」と2バカ笑い‘‘チキ~ケン住人’’が手にしたプラずだ袋には空き缶や空き瓶が大量に入っている。‘‘ライバル’’が少ない今日は『稼ぎ時』らしい……。
「今日来ないでェ~いつ来るってのペペラァ~!ケェヘヘェハッハッハッハァ~ッ!」
バハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!……と3バカ笑い‘‘トム笑い住人の’’お茶ラケ&トム笑い発火点になった。和気あいあい過ぎる‘‘脱村住人’’達全員が一緒になり大爆笑だ! 
 処分場で呑気に構えている自由すぎる運転手や住人達に、セルズは怒りが爆発寸前であった。
ピュワァルルゥ~!と油圧作動音をさせて、大型ダンプ収集車が起こした荷台を戻し始めた。避難を必死に叫ぶセルズを嘲笑するかの様な、マヌケな油圧作動音だ。ダンプ収集車キャビン運転席横に駆け寄るセルズだ。
ダァガァン!と大きな音をさせて運転席のドアを蹴り&怒鳴り付けだ! 
「テメェ~ッ!殺されてェかァ~ッ!この‘‘ゴミ屋ァがァ~ッ!‘’スカァムバァケェトゥ‘’!」
「ヒィッ?」と運転手男は驚き、ビクッ!と身体を震わせた!圧していた操作スイッチから手が放れた運転手男だ。ダンプ荷台下げ中のスイッチ操作が中断され、荷台下げが完了手前で少し斜めに止まっている。
「‘‘ゴミ搬入禁止’’だろォ~がァ~ッ!テメェ~ッ!何やってンだァ~ッ!」

「ゴミ降ろしたからァすぐに行くよォ~!下ろさないとペペラァ!明日の‘‘カネ(ゴミ)’’になンないンだペペラァ!」

「死にたいのかお前はァ~ッ!」と運転手男に叫ぶセルズだ。‘‘テメェ~殺されてェ~かッ!’’なのか?‘‘津波に呑まれたいかァ~ッ!’’なのか?どちらの意味か?……は、分はからない……。

「地震で地面は揺れてもゴミ山は崩れやしないしペペラ~、津波なンてのも来やしないよペペラァ~ッ!」と大型ダンプゴミ収集車の運転主だ。
「道路は警察や軍隊に封鎖されてた筈だぞ!どうやってココに入って来たぁ~ッ?」
「こちとらコレ(ハンドル仕草)でメシ食ってンダァペペラァ!‘‘抜け道’’なンて山ほど知ってるよペペラァ!」と、ドヤ顔でヌカす、大型ロングダンプ収集車運転手男だ!
「またまたツッパったコト言うねペペラァ~!イィッヒィヒヒヒィィィ~ッ!」と‘‘ジャワ星人笑い’’住人だ!
「パッカー車は抜け道を通れるけど、大型ダンプカーは~大き過ぎて‘‘抜け道’’なンて通れないペペラァ~!ケェへェハァホォヒィヒィィ~ン!」と‘‘チキ~ケン笑い’’住人だ!
「封鎖してる警察官に‘‘小銭’’掴ませればペペラァ~ッ!ホイホイ通してくれるンだよねペペラァ~!ダサいねペペラ~!ケェヘヘェハッハッハッハァ~ッ!」とトム笑い住人がダンプ車運転手男をネタに、自分で言って自分でウケて笑っている。
ボォワハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と住人達‘‘ゴミ漁り’’しながら当然、大爆笑だ。
「ワハハハハハハハハハハハハァ~ッ!余計なコト言うンじゃないよォ~ペペラァ~ッ『お巡りに賄賂』の話はナイショだってペペラァ~!」運転手男が爆笑しながら降りて来て‘‘種明かしトム笑い住人‘’に抗議した。勿論、更に発火点になった!
バハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!大爆笑だ。
(「クソ~ッ!こいつ等ァ~もぉ~我慢ならネェぜ!」)セルズは胸のホルスターのベレッタ92Fのグリップを掴み安全装置を解除した。怒りが爆発寸前で、脇ホルスターの拳銃を掴んだアメリカの兵士ジョン・セルズだ。
 スラムに来た初日には、この脅しで、大人しくさせる事ができた。が、2度目は、通じないようだ。セルズは我慢して、安全装置を戻し拳銃から手を放した。
 馬鹿笑い話のやり取りで盛り上がる住人達と、‘‘仲間意識’’で運転席から降りて来て住人達と楽しんでいる運転手だ。
「オレ達なンてゴミ漁りして‘‘小銭’’になるモン拾って~有り難がってンのにペペラ~‘‘小銭’’払って通して貰ってでも~ちゃんと‘’おカネ‘’なにるなンて‘‘運ちゃん’’は羨ましいなペペラァ~!」
バハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~!と爆笑して、命の危険が迫る中、とことんまで呑気だ。全員で70~80人近くの住人がテント村から予備処分場にやって来ていることになる……。

トゥポインティングエリア処分場付近林
「アアァァァァァァ~ンッ!アアアアアアァ~ッ!ティモォ~ッ!ナァ~ッ!」と姉の名前を泣きわめきながら、処分場付近林の林道を走るルカァイだ。
「アアァッ?」と叫び声を上げてズザザァッ!と音をさせて転ぶルカァイだ。
「アアアアアアアアアアアアァ~ン!」と泣き叫ぶ顔は涙と鼻水と涎でドロドロだ。
「ティモ~ナァ~ッ!……なンでェ~ッ?……なンでボクを置いてクのォ~ッ?ティモ~ナァ~ッ!ティモ~ナァ~ッ!アアアアアアアアアアァァァァァ~ッ!」と泣き声を上げ、立ち上がれずに地面にへたりこんだままだ。再び姉の名を叫び泣き続けるルカァイは、走り続けての体力の限界に達したようだ。
「アアァァァァァァ~ンッ!アアアアアアァ~ッ!」


トゥポインティングエリア上空
ハンター02キャビン内
YNB取材ティルトローターBW609機内
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ~!エンジン爆音を轟かせてUH−1Jが処分場近くの林の上を低速で飛行している。国際活動隊日本国専守防衛陸軍‘‘陸上自衛隊’’汎用ヘリコプター~モンダの別班機‘‘ハンター02’’だ。ハンター02の横を数十m離れて飛行するのは、アメリカ合衆国メジャーテレビ局取材特別使用許可ティルトローター機BW609だ。
 国際活動隊の任務は『避難住人のテント村での保護、生活、食事、医療等の提供』であるが『保護中の脱村住人の捜索』もある。
 キャビン乗員兵士には小太りの女性軍曹と男性伍長が搭乗している。処分場近くの‘‘抜け道’’のある林の上を捜索飛行していた。避難住人の中から‘‘ゴミ漁り’’に向かった住人達が80人近くいて、内2名が子供であることが分かった。子供は姉弟であり名前は姉……ティモーナ(9歳)、弟……ルカァイ(5歳)。
 日本のテレビ局チャンネル8の『世界の100人の子供達』クルーと女優サカタの5人も搭乗していた。ティモーナとルカァイの姉弟の取材をするためにテント村に来ていたが、2人の姉弟が行方不明となった……。
 急遽、自衛隊ヘリコプターによる姉弟の捜索活動への同行取材が許可されたのであった。
『自衛隊活動のテレビ取材』をしてもらい日本の一般視聴者に『専守防衛陸軍への理解』を得るためになるからである……。
「いましたッ!……10時の方向~林の中!抜け道を子供地面に座り込んでいます!」と男性伍長が言った。
「ルカァ~イッ!」サカタは林の中に向かって叫んだ!カメラマンもビデオカメラを肩に担ぎ撮影しだした!
「見えたッ!あの子ねッ!うん!セルズ中尉とよく一緒にいる姉弟の弟の方だッ!……こちらハンター02!こちらハンター02!本部どうぞ~ッ!」と無線連絡する小太り女性軍曹だ。
『こちら本部!ハンター02!どうぞ~!』と本部からの応答だ。
「こちらハンター02!処分場付近林で捜索対象の男児確認!ホバリングホイスト救助により収容にあたる!どうぞ~!」
『こちら本部!ハンター02!了解した!……救助の際は~二次災害を起こさぬよう~細心の注意を払え!』
「ハンター02!了解!」
小太り女性軍曹は気合いが入っていた。エンジン爆音の騒音の中、男性伍長の耳に口を近づけ怒鳴り声で命令した!‘‘チャンネル8’’の取材クルーと女優サカタ、YNBのスーミリガン達にが見ている前だからだ。!
「収容の様子はアメリカのテレビ局機が全世界に衛星生中継している~ッ!‘‘チャンネル8’’が一部始終をカメラ取材している~ッ!ジャパニーズアーミーの姿が放送される~ッ!みっともないところを見せるなぁ~ッ!任務を完遂させよォ~ッ!わかったカァァァ~ッ!」と小太り女性軍曹は男性伍長に怒鳴り付けだ!
「了解~ッ!」と叫びながら男性伍長はスキッドに立った。
「降下用意~ッ!」
「下降準備よおォ~しッ!」
「下降ァ始めェ~ッ!行けぇ~ッ!」とカメラ意識テンションで『見える』様に叫び合図しながら、ウィンチ装置のスイッチを入れた。
「下降ォ~始めェ~ッ!」と叫びながら男性伍長はホイストワイヤーで下降を始めた。

世界中の街頭ビジョン前では……
 世界中の街頭スクリーン、テレビ放送で、フィリピンラモン湾が衛星生中継されていた。自分の生活が流されるのでなければ、他所の国のスラムが津波にのまれるのは、SFX映画のスペクタクルシーンを見る感覚でしかなかった。
『スラムの‘‘バラック屋’’なんて台風で年がら年中吹き飛ばされてるんだから……』
『避難誘導は大体済んでるでしょ!』
『早く見たい!』とさえ、面白半分に思い、興味本位で衛星生中継映像を見ていた。大災害時に人は、悲しく醜悪な本質部分を見せてしまうようだ……。

 スーミリガンは純粋に『今、起きていることを伝えたい!』とラモン湾海岸沿いゴミ処分場スラムに来ていた。津波が押し寄せる‘‘特殊核実験’’の影響を、全世界に伝えたかった。
 パイロット~J.J.操縦のBW609機内から、カメラマン~チェリーボーイサム操作の機外カメラ撮影していた。スーミリガンは機内窓の外を見ながら全世界衛星生中継レポートを開始した。

「こちらYNBテレビ局カメラ取材ティルトローター機BW609より……フィリピンルソン島太平洋側ラモン湾沿岸上空からの衛星生中継です……『フィリピン時間○月△日08時にマグニチュードウン点ウンの激震が発生する』との‘‘完全予知’’がなされた、ここ、フィリピンルソン島太平洋側ラモン湾沿岸には『大津波が押し寄せる』確率が高く……昨日『‘‘トゥポイントィングエリア’’ゴミ埋め立て処分場スラムから約20000人のテント村への避難が完了した』と避難先テント村での住人達の衣食住支援を担当する国際活動隊ジャパニーズアーミー陸上自衛隊からの発表があったばかりなのですが……今朝、テント村で、幼い姉弟2名を含む約80名の‘‘行方不明者’’が出た模様です………が、只今、活動隊ヘリコプターが発見し‘’ホイスト救助‘’を実施しています……あ!…………今!…………無事、保護されました…………今ジャパニーズアーミー陸上自衛隊の!幼い姉弟のルカァイ君5歳は活動隊ヘリコプターに発見され!無事!保護されました!」


オオオオオオオオオオオ、オォォォォォ~ッ!ワァァァァァァァァァ~ッ!と‘’ハンター02‘’にる‘‘ホイスト救助’’生中継に大歓声で沸く、世界中の街頭ビジョン前の群衆であった。‘’ハンター02‘’による‘‘ホイスト救助’’場面がに大歓声が沸く世界中の街頭スクリーン前の群衆であった。
「今!無事、保護されました!ジャパニーズアーミー陸上自衛隊活動隊ヘリコプターが発見し無事、されました!幼い姉弟の弟のルカァイ君5歳は活動隊ヘリコプターが発見し無事、収容さされました!…………今、入った情報によるとルカァイ君は怪我もなく命に別状はないそうです!」

 一方、海岸沿いの海が見える予備処分場では、相変わらず呑気な住人達だ。まるで酒場のようにゲラゲラ笑い声を弾ませている。
ワハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!
「~いいカネになンだねゴミ運ぶのってペペラァ~!」
ワハハハハハハハハハハハ~ッ!
「うるさいなァ~!大してもらってないよペペラァ!」
「嘘つけペペラァ!」
ワハハハハハハハハハハハハハハァ~!
「たまには俺たちに酒持って来てよペペラァ!」
ワハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!
「酒瓶なら漁ってりゃ、ゴミン中に入ってるだろよペペラァ!」
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!
「『入ってる』じゃなくて『捨ててある』だろ~ペペラァ!」
ワハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!
「キュ!と一口分位はァ~中身入ってるンだ馬鹿野郎ぉペペラァ~ッ!」といちいち『馬鹿やり取り+‘‘発火点’’』を用意して‘’馬鹿やり取り爆笑大会‘’だ。下らないやり取りで大爆笑出来る……ある意味、幸せな人達だ……。
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ~!と
と、住人達と運転手の、建設的要素一切なしの‘‘クソの投げ合い’’に等しい掛け合いだ!‘‘命に関わる緊急事態’’など、まるで頭になく、自由すぎるスカベンジャー住人達だ。まるで酒場のばか騒ぎだ!
「‘‘小銭’’稼ぎにゴミの中の‘‘空き缶’’拾わなきゃペペラ~!」
ワハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!
「テント村が終わってからの‘‘酒代’’’稼ぎに‘‘仕事’’頑張らなきゃなペペラァ~!」
ワハハハハハハハハハハハァ~ッ!といちいち笑い声を発して、楽しい時間を過ごそうとする彼等だ。
「‘’ゴミ漁り‘’がオレ達の仕事なンだねペペラァ!ケェヘヘェハッハッハッハァ~ッ!」トム笑いスカベンジャー住人が‘‘トム笑い’’したの大発火点になった。
ダハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!ワハハハハハ~ッ!と、しばらく爆笑するつもりのスカベンジャー住人達数十だ!
ワハハハハハハハハハァ~ッ!と、バカ笑いで運転席から降りて来た馬鹿野郎運転手男だ。爆笑大会に参加するために……。
「今すぐここから離れロォ~ッ!ゴミマウンテンに登れェ~ッ!!8時になったら地震が来るンだァ~ッ!」とセルズは必死に叫んだ。
「朝早くから地震なら沢山来てる来てるけど大丈夫じゃないかペペラ!」
「そうだ!そうだ!大したことないよォ~ッ!」
「何時に来るンだよォ~ペペラ?」と完全に、たかくくりの住人達だ。
「8時だ!あと30秒だ!」と答えるセルズだ。
「じゃあ~!‘’新年ハピニュィヤー&メリクリスマァ~ス&誕生日おめでとうハピィバァスデェイ&ハァピィ~ハロウィ~ン!のカウントダウン‘’始まるよペペラァ~!」
ワハハハハハハハハハハハァ~ッ!
20~ッ!……19~ッ!……18~ッ!とカウントダウンを始める住人達だ。
「神様じゃあるまいし~ペペラァ!」「大したことコトないよペペラァ~!」
ワハハハハハハハハハハハハハハハハ~ッ!とフザけた笑い声がする中(「もう我慢なら~ぜ!」)セルズは怒りに身体を震わせた。
10~ッ!……9~ッ!……8~ッ!とアホになって楽しむ住人達のカウントダウンだ!
4~ッ!……3~ッ!……2~ッ!……1~ッ!……0ゼェロォ~ッ!……ハァピィ~ヌィヤァ~ペペラァ~ッ!&メリークリスマス&ハピィバァスデェイ&ハァピィハロウィ~ン!ペペラァ~!
バハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ~ッ!と、お祭り騒ぎ大爆笑の住人達だ。
 その時だった……!
ゴォガァバァガァガガガゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォ~!と大きな地鳴りがして凄まじく強い揺れが発生した!地震だ! 

スラムでは……

 バラック屋は軽いので意外に地震には耐えられたが、あちこちで、やはり倒壊が起きた。所々、倒壊したバラック屋が道を塞いだ。しっかりした造りの‘‘見晴らし通り台’’は倒壊を免れたが、その近くの教会は倒壊してしまった。教会のや屋根が教会前の道を塞いでいた……。


 おそらく誰も経験したことのない大きな地震だ!立っていられない程の強烈な揺れがスカベンジャー住人達を襲った!おそらく震度8強あるだろう……。セルズは思わず転びそうになった。住人達は、片っぱしから地面に転び倒された。
ゴォガァバァガァガガガゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォゴォ~!地鳴りと強烈な揺れは続く……。
「お~いッ!見ろよペペラァ~ッ!‘‘海’’が引いてくぞペペラァ~!」と誰かが叫び、皆が海の方を見た。そして目にしたものに驚愕した!
 まるで名作映画『モーゼと十戒』の様に海面が後退し、7~8百メートルに渡り海底が剥き出しになっていったではないか!沈没した小船まで現れた……。
「ゥワぁァ~ッ?大変ダァ~ッ!あれを見ろよォペペラァ~ッ!こりゃァ~間違いなく大きな津波が来るぞォペペラァ!」と住人の誰かが叫んだ!
 激しい揺れに身体が慣れて来た住人達だが『次に何をすべきか?』が
分からなくなっていて地面に跪いたままであった。
 セルズは脇ホルスターからベレッタ92Fの安全装置を外しながら引き抜き銃口を空に向け引き金を引いた。
ゴォバァァァァァ~ン!と銃声が予備処分場に轟いた。
ヒィィィ~ッ!と悲鳴を上げて驚き我に帰る脱村スカベンジャー住人達だ。
「テメェ等ァ~分かったカァ~ッ!だから出て行けッて言ってんだろがァ~ッ!いい加減にしろォ~てェ~まじブッ殺すぞォ~ッ!今すぐゴミマウンテンの上に登るンだァ~ッ!」と、強い揺れと地鳴りが続く中、セルズは叫んだ。
ゴォバァァァァァ~ン!とさ、らに威嚇射撃を一発、空に向けてブッ放した。
ヒィィィィ~ィィィィィィィィィィィィィ~ッ!と70人近くの住人達は悲鳴を上げて大慌てで立ち上がり走り出した。 
 大地震の恐怖で脚に力が入らず、激しく揺れる地面に膝まづいてバタついていた住人達だ。が、セルズ威嚇射撃に我に帰り『何がなんでもにげねば!』と踏ん張り立ち上がり走り出した。
「何処に行くンだテメェ~等ァ~ッ!」と、セルズは住人達に怒鳴り付けながら、今度は住人達の足元の地面に銃口を向けた!
ゴォバ!ゴォバ!ゴォバゴォバァァ~ン!とセルズぶちギレの威嚇射撃数発の銃声が予備処分場に響き渡りこだました!ゴミマウンテン方向に走り出した住人達の先頭数人の足元の地面が破裂して土煙柱が立った。
ワァアアアァァァァァ~ッ!ヒィィィィィ~ィィィィ!と走り出していた70人近くの住人達の先頭がつんのめり倒れてしまった。
アアアァ~ッ?と後ろを走っていた住人達がどよめいた。、
ズザザザザァ~ッ!ダダダァドササザァ~ッ!と音を立てて、更に住人達が次々に倒れてしまった。更に倒れた住人達につまずいて、また更に次々につまずいて倒れた。元々‘‘ラム酒アイスクリーム二日酔い’’の酔っぱらいばかりだから、皆が次々にドミノ倒れしてしまった。
『あ痛ててェ~!ペペラ~!』『転ぶなよペペラァ~ッ!つまづいたじゃないかぁペペラ~!』『痛ててェペペラ~!』と皆が、倒れて呻いている。
「アホじゃねぇかァ~てめえ等ァ~ッ!走って行くのかぁ~ッ?早くダンプに乗れってンだ馬鹿野郎ォ~共がぁ~ッ!」と、言いながら、セルズはダンプ収集の助手席のドアを開けて乗り込んだ。運転手男も運転席に乗り込んだ。
(「ソウ言われればソウだペペラァ~!」)と気付いて起き上がりる住人達は
ワァァァァァ~ッ!ワァァァ~ッ!と叫び声を上げ、我先に荷台に上がろうとダンプ収集車の後ろに向かった住人達だ!が……?なかなか乗ろうとしない。何故……?
「ゴミマウンテンの上まで住人達を乗せて行ってくれェ~ッ!」とセルズは運転手男に言った!
「分かったよペペラァ~ッ!」と素直な返事の運転手男だ!
「そうだァ~ッ!最初からそういう風に素直にしてくれェ~」と言いながら助手席窓から首を出すと……ンンン???と違和感を感じた。
 住人達は固まったまま動かず、ダンプ荷台に乗り込もうとしないことに気付くセルズだ。
「何やってンだ!早く乗れってのォ~ッ!」と固まった住人達に怒鳴り付けのセルズだ。
「何やってンだペペラァ~ッ!早く乗れってのォペペラァ~!置いてっちまうぞぉペペラァ~!津波に呑まれて死にてェ~のかペペラァ~ッ?」とセルズの怒鳴り付けに便乗して‘‘運ちゃん風吹かし‘’は万国共通なのか?カッコ付け叫びの運転手男だ。
 が、相変わらず住人達はダンプ荷台に乗り込もうとしない。固まったまま動かないのだ。
「何やってンだァァァァァァ~ッ!早く乗れってのオォォォォォォ~ッ!」とセルズはキレて後ろの住人達を怒鳴り付けだ!
「早くしろよペペラァ~ッ!トロい野郎はァ~置いてくゾペペラァ~ッ!」と運転手男は更に便乗して、住人達を‘’上から目線‘’怒鳴り付けだ!緊急事態に‘‘怒鳴り付け’’を楽しんでしまっている。
「早く乗れってンだァ~クソ馬鹿野郎共ォがァ~いい加減にしろォ~ッ!ファッケェンアァスホォォ~ッ!」必死に叫ぶも固まったままの住人達に、ブチ切れのセルズに、住人達何人かが荷台の上の辺りを指差した……。
(「何ンだ?」)と助手席窓から首を外に出し、後ろを見た。‘‘ダンプ荷台’’が下がりきっておらず、途中まで上がって斜めのままだ。これでは乗れない。
(「ガクッ……!」)と力が抜けそうになるセルズだ。
「津波が来ンのにまだァ~ッ!ファッケヌごみ漁りしていてェのかペペラァ~ッ?」と、運転手男は‘‘怒鳴り付け’’の虜になったのか?セルズの‘‘ファッケェン~’’まで真似して後ろの住人達を怒鳴り付けだ。
「マジぶっ殺すぞファッケヌアァスホルペペラァ~ッ!早く(しろ)ヒィッ?」
「馬鹿野郎ォォ~ッ!テメェ~ッが荷台下げないから皆ンなが乗れないンだろうがァ~ッ!ファッケェンアァスホォォ~ッ!」と‘’完ぺきにイキがってしまった運転手男‘’を怒鳴り付けるセルズだ。
「あれェ~ペペラァ?そういえばそうだペペラァ~ッ!」と気がついた運転手男はハンドル横のスイッチを押した。
ピュワァルルゥ~!ダッジャン!と油圧作動音がして荷台は最後まで下ろされた。
ワァァァァァァァァァァァァァァァ~ッ!と叫び声を上げて80人近くの住人達がダンプ荷台一斉に乗り込んだ。
「乗ったカァ~ッ?」とセルズは助手席窓から首を出し後ろに叫んだ!
乗ったヨォ~ペペラァ~ッ!と返事だ。
ブヒュヒュヒュヒュヒュヒュルルルゥ~ッ!とエンジン音を響かせてダンプ収集車は走り出した。脱村住人達80人近くが荷台に乗り終えたダンプは、ゴミマウンテンの方向に向かい走って行った。

few分後
トゥポインティングエリア周辺
ゴミマウンテン頂上
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ!と‘‘ハンター02’’ヘリのエンジン爆音がゴミマウンテン頂上広場に近づいて来た。着陸するのだ!
バパリリリリリリリリリリリリリィィィィィィ~ッ!と独特のエンジン飛行音を轟かせてティルトローター機が1機が‘’ハンター02‘’の着陸を空撮している………
航空機メーカー特別使用許可機BW609だ。アメリカ合衆国メジャーテレビ局YNBの、特ダネに飢えている崖っぷち年増美人人気レポータースーミリガン、パイロットはJ.J.、カメラマンのチェリーボーイサム達が搭乗している。
バパルルルルルルルルルルルルルルゥ~ッ!と飛行音は、有翼高高度上昇仕様コンパウンドブラックホークだ。
 避難テント村から処分場とスラム周辺を‘‘脱村’’住人がいないか?自衛隊ヘリ、バーンフィッチャー操縦コンパウンドブラックホークが空から捜索している。
バタバタバタバタバタバタバタバタ!バタバタバタバタバタバタバタバタ!バパルルルルルルルルルルルルゥ~!バパリリリリリリリリリリリリリィィィィィィ~ッ!と低空で飛行する4機のヘリコプターのエンジン回転飛行音が、ラモン湾海岸沿いに引っ切り無しに響いている。
 ヘリからの情報を受け、処分場に入り込んだパッカー車や住人達の避難誘導の任務に当たるのはセルズだ。
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ!とエンジン飛行爆音を撒き散らしハンター02が近付いて来た。ゴミマウンテン頂上広場に砂埃を撒き散らして着陸した。小太りの女性軍曹が泣いている小さな男の子の手を握り降りて来た。ルカァイだ。サカタ達テレビクルーも一緒に降りて来た。
 広場の活動隊兵士に引き渡しを済ませると、あとfew人いる行方不明者の捜索に向かうためにハンター02のキャビンに再び乗り込んだ。
バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ!とエンジン爆音を撒き散らしヘリコプターは上昇を始めた。
ブルバウバァワァァァ~!とエンジン音が遠ざかって行った。
 ゴミマウンテン坂道をパッカー車2台、ダンプ収集車1台が登って来た。
ブプルヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ~ッ!ボボカラァ~ッ!ボボボボカララァ~ッ!とエンジン音の響きが近付いて来た。3台はゴミマウンテン頂上の広場端に停車した。
 セルズはため息をつきながら、ダンプ収集車助手席から降りた。
(「全くゥ~コイツ等ァ~」)とブツブツ呟きながらもティモーナの安否が気にかかっていた……。
アアアァ~ッ!アアアアアアァ~ッ!ティモォ~ナァ~ッ!アアアアアアァ~ッ!と子供の泣き声がする。兵士達に保護されている子供の泣き声だ。見て、ルカァイと気付いた。ルカァイに向かって走り出すセルズだ。
「ティモーナァ~ッ!アアアアアアアアアアァ~ン!」と泣き叫ぶルカァイは頂上広場の海側の端に向かい走り出した!
「あっ?待って!」とルカァイを保護していた女性活動隊員が叫び、追いかけた。
「ルカァ~イ!待ってェ~!」とサカタも走り出し、後を追いかけた。チャンネル8のカメラクルー達も撮影しながら追いかけた。
 バーン・フィッチャー操縦のコンパウンドブラックホークが上空からの情報収集等にあたり、‘‘陸上自衛隊’’のUH−1J……モンダの班の‘’ハンター01’’、別班機‘‘ハンター02’’の2機が脱村住人の捜索保護に当たっていた。避難テント村から処分場エリアの間を飛行していた。
 かなりの大きなエネルギー開放が、ラモン湾の海底プレートで起きているようだ。大地震という自然の力により起きる現象が、特殊核実験という人工の力で引き起こされてしまったのだ。揺れは小さくなってきたが、まだ揺れているのが身体でわかる程だ。かなり強い地震だ。
 更にバーン・フィッチャーからセルズに無線が入った。
『現在、ハンター02と共に、残りの行方不明者1名を捜索中である!‘‘ハンター01’’が住人few人を保護しゴミマウンテン頂上に向かっている』
 無線を耳にして、だんだん焦りと不安が入り交じり、心拍数が更に高まるセルズだ。処分場場に戻るという、自ら火中に飛び込むに等しい愚かな住人達だが、避難誘導任務を必死に完遂した。が、行方不明の住人がいるのを知らされたのだ。
 もう、今からは、何もすることが出来ないのが悔しかった。と共に、スラムを歩き回った罰ゲームの様な10日間……。ただ、いつも一緒にいてくれて心を和ませてくれた少女の安否が気になった。

アメリカ合衆国エネルギー省
第2特殊部隊ダークベレー本部
オペレーションルーム
 指揮しているマーク大佐から、セルズのレシーバーに無線が入った。……無線は非情な命令を告げることなる……。
『ジョン・セルズ中尉!ダークベレーから派遣の国際活動隊として……避難誘導任務……よく、やってくれた……ダークベレーの中尉のキミは最善を尽くした……間もなくスラムは津波に飲み込まれる!……2次災害を防ぐ為に陸上での行方不明者の捜索を中断せよ……!』

『ブレーク!ヘリ01よりアルファ01!ブレーク!ヘリ01よりアルファ01!』とバーン・フィッチャーから緊急割込み無線が入った!
「こちらアルファ01ヘリ01どうぞォ~!」
『行方不明住人残り1名の情報だ!……女児……年齢……9歳……名前は…………ティモーナ……』バーン・フィッチャーからの割込み無線だ!
「………ッ?……」と無線からの知らせに愕然とするセルズだ。
『アルファ01!ジョン・セルズ中尉!おいッ!聞いてるかァ~ッ!』とマーク大佐だ!

アアアァ~ッ!アアアアアアァ~ッ!ティモォ~ナァ~ッ!アアアアアアァ~ッ!と兵士達に保護されているルカァイを日本人女優サカタが、宥めようとしている。が、泣き止まないルカァイだ。チャンネル8のクルー達がカメラ撮影している。
 ゴミマウンテン麓スラムの数えきれないバラック屋根群と海際予備処分場とラモン湾の海と青い空をバックにカメラクルー達が撮影している。
 セルズはルカァイの元に駆け寄って来た。活動隊の兵士に保護されたルカァイの元に駆け寄ったセルズ……の様子が、全世界衛星生中継放送された。
「処分場近くの林の中を走っていた脱村住人の男の子を保護してます!」と活動隊兵士は駆け寄って来たセルズに口頭説明だ。
 ルカァイにはサカタとチャンネル8テレビクルー達が張り付いている。カメラマンがカメラを担いでルカァイを撮影している。マイク担当、ミラー担当、ディレクターの4人だ。チャンネル8のカメラ撮影映像も、一部、YNBと共同の衛星生中継放送である。
 カメラマンは被写体を‘‘ルカァイ’’から‘‘ルカァイとセルズ’’になるように引いた。世界中の街頭ビジョンにセルズとルカァイの姿が映し出された。サカタは女優でレポーターではないが必死だ!全世界に必死に状況を説明した!
『彼はァ~……国際活動隊隊員で……アメリカの兵士です!……スラム住人達2万人の避難自体は僅か1日で終了しました……が……But……10日間の避難誘導の説明する活動で……ルカァイと仲良しく……なりました……ルカァイと姉のティモーナは彼に懐き……3人はァ~まるで親子のように仲良しになっていました……』と全世界の街頭ビジョンにサカタの必死なレポートコメントの中継映像が映し出された。流暢というワケではないが、視聴群衆の心のを掴むレポートだ。

街頭ビジョン前では……
アアアァァァァァァァァァァァァァァ~!と街頭ビジョン視聴群衆のため息だ。

モハベ矯正センターの牢部屋
 ……ではチャンクはテレビを見ていた。テレビ画面を見て知っている顔が映っている!セルズだ!画面に映っているセルズに驚くチャンクだ!
「あ!……コイツ!……このチャンク様を‘‘ゴミ’’呼ばわりしやがった野郎だァ~!」
「ソイツね!アタシのチャンクを‘‘ゴミ’’呼ばわりしたヤツは?」と相変わらず廊下を挟み反対側の牢部屋のホモっ気囚人ジョイだ。
「出所したらアタシがソイツの‘‘ナニ’’をちょん切って来てあげるワ!アッ?」
「ジョイてめェ~見るンじゃねぇッてのォ~ッ!この野郎~ッ!」と言いながらチャンクはテレビを横に向きを変えてしまった。
「ちょっと~ッ!チャンク~ッ!テレビ見せてっての!」
「うるせェ~このオカマ野郎~ッ!……何ンだか面白いことになって来やがったぜ~ッ!」
(「よォ~し!あの手で鍵~開けちゃうカラ!」)とジョイはベッドマットの下から‘‘リサイクルゴミ‘’のラインで拾った‘‘金属棒’’を取り出した……。

カリフォルニア州州政府庁舎
知事執務室
 ……ではシュワ知事と秘書のステファニーがテレビ画面に釘付けだ。

 アメリカの、とある家庭
 太った父親がソファーに座っていて、隣には息子ピートが座ってテレビを見ている。テレビの衛星生中継で、日本の女優サカタのコメントが放送されている。
「お~いッ!カカァ~!(妻)何ンか~大変なことになってるぜ~!」と叫ぶ夫だ。少し離れたキッチンで、母親はソファーに座る夫と息子の後頭部を見て夕食を作りながら、たまに、テレビを見ている。
「ピート!宿題は~ちゃんとすませたの?」と、勉強嫌いの、テレビばかり見ている息子に、たまに質問を投げ掛ける母親だ。
「カマァ~ン!マァ~ム!ん~!もォ~!母さんたらァ~!……後でやるよォ~」
「ピート!男は身体ァ~鍛えとけェ~!何か学校でスポーツのクラブ入れよ!」とファットデブ父親だ。
「疲れるから嫌だよ~!」
プルルルルゥ~!と無気力少年の息子の無気力返事に、父親は唇を震わし鳴らし息吹きして親子の会話は終了だ。
「おォ~い!カカァ~!ビール持って来ォ~い!」
ハァ~!と、ため息を付いて、キッチンの流し台で水を流し、手を洗う母親だ。手を洗い終わるとエプロンで手を拭き、冷蔵庫の扉を開けビール缶を取り出した。ソファーの夫の所に持って行き、手渡す妻だ。
カァプン!ショパ!と音をさせてリングプルを抜き、すぐに口を付ける夫だ。
ウグ!ウグ!ウグ!と喉を鳴らし缶ビールを飲む父親を、ニヤニヤ笑いで見ているピートだ。
ボォゴォハァゲェハァ~ッ!と父親の豪快なゲップだ。
アハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!とピート爆笑だ。
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と父親も爆笑だ。
フフフ……!と微笑ましく笑う母親だ……。

 マーク大佐はサカタに対し、ノーサンクスの憤りだ
「ヘェ~イ!カマァ~ン!何ンだァ~ッ!止めてくれよォ~!このジャパニーズ女は!そんなコトォ~!‘‘カウボーイ野郎’’のセルズのそばで言うなよォ~!また、~独断行動~やらカしちまうだろォ~!余計なコト~言うなよォ~!ビッチ!」と、オペレーションルームのスクリーンに映し出された全世界衛星生中継映像のサカタのレポートを見て、マーク大佐は不安になり始めた。

 ルカァイの顔の高さにセルズは跪いた。泣いてるルカァイの両肩に手を置き両目を見つめ叫んだ。
「ルカァァ~イッ!どうしたァ~ッ?」
「アアアァ~!」
「ルカァ~イッ!どうして泣いてるンだァ~ッ?」
「アアアァ~ッ!いなくっちゃったァ~ッ!アアアアアアァ~ンッ!」
「誰がァ~いなくなったンだァ~ッ?」
「ティモォ~ナァがァ~ッ!アアアアアアアアアァ~ンッ!」
「ティモーナはァ~ッ?どうしていなくなったンだァ~ッ?、」
「戻ったァ~!ティモォ~ナァ~ッ!アアアアアアァ~ンッ!」
 本日のルカァイとセルズの‘‘質問攻防戦‘’は攻守逆転だ!
「何処にィ~ッ?何処に戻ったンダァ~ッ?」
「家にィ~ッ!」
「何ィ~ッ??家に戻ったのかァ~ッ?家に戻ったンだなァ~ッ?」
「うん!家に戻ったァ~ッ!アアアアアアアアアァ~ンッ!」
「家に何故ぇ~ッ?家に何故戻ったンだァ~ッ?」
「アアアアアアアアアァ~ンッ!」と泣き叫ぶルカァイにセルズは大声で叫び訊くセルズだ。
「何故ぇ~ッ?何故ぇ戻ったンだァ~ッ?何故家に戻ったンだァァァ~ッ?」
「ウゥ~ッ!たか~ァ!……たか~ァ!……ウゥゥ~!……‘’宝物‘’ォ~……‘’宝物‘’ォ取りにィ~家に戻ったァ~」
  その時、バーン・フィッチャーからセルズに無線が入った。
『‘‘ハンター01’’が住人few人を保護しゴミマウンテン頂上に向かう……ハンター02と共に、残りの住人1名の捜索中である!尚……行方不明中の住人の情報!……女子……9歳……名前は……ティモーナ……引き続き捜索を行う……』
「………ッ?……」とバーン・フィッチャーからの無線を聞きながら、ルカァイの言葉した方向……スラムを見下ろし、その先のラモン湾の海の方を見る……。セルズは驚愕とする。水色に広がる青い空と、紺色に煌めく青い海の境目~左端から右端まで繋がる一直線に走る水平線が、いつもと違い白く光り大きく不気味に蠢いている。蠢き長線が陸地に向かい進み来るのが目視確認できた。
 津波だ!不気味な蠢き長線の正体は、かなり大きい津波だ!陸地に上がれば30m近くの高さになるであろう……。セルズは迫り来る蠢き長線と、バラック屋が広がるスラムを交互に見比べた。
 バラック屋にティモーナが~宝物~を取りに戻った??スラムに広がるバラック屋など流されても、また、簡単に建てられる……。が、バラック屋に~宝物~を取りに戻った、宝石のように輝く瞳の少女ティモーナの命が失われることなど、断じて受け入れられない。
 チャンネル8のカメラマンの撮る映像はドリーバック(被写体から下がり、周りも映す……視聴者を映像に引き込む手法)され、セルズとルカァイのバックに映るスラムとラモン湾の海の情態も映した。
 世界中の街頭ビジョンに、水平線より迫り来る大津波の様子が映し出された。視聴群衆は、街頭ビジョンに映し出された世界にテレポーテーションした錯覚にと捕らわれた!瞬時にティモーナの救出を願った。
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ~!とザワつく街頭ビジョン前の視聴群衆だ。あちこちから、オーマイガッドゥ!が発せられた。
「ティモーナを助けに行ってくれよ!カウボーイ!」
「ティモーナを助けてくれよ!テキサスローンレンジャー!このままでは大津波にさらわれちまうゾ!」
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ~!とザワつく街頭ビジョン前の視聴群衆だ。

 

文字数制限に達したために

第6話-5に続く……


緑黄色社会/想い人