8第6話-3




‘‘広島’’
‘‘長崎’’の悲劇を二度と繰り返さない……世界は誓いを守り続けていかねばならない……

 それから20分程後のことだ……。教会から呆然とした様子で出てくるセルズがいた……。
 教会の前には子供達が大勢いた。教会と避難テント村をピストン輸送していて、車が来るのを待っているのだ。
ブルルボォブボボボォカラカラァ~!とエンジン音がしてダンプカーが近づいてできた。ダンプカーは教会の前に停まった。荷台に子供達が乗り込む。
(「‘‘避難テント村’’に行けば酒が飲めるなら」)と、子供達が‘‘親の酒代づくり’’のゴミ漁りから一時的解放された子供達だ。何より、子供達を津波の被害から守ることが出来るのだ。
「おじさァ~ん!」
『オジサァ~ン!』と声がした。ティモーナとルカァイ姉弟だった。
「オォ~ッ!ティモーナ!ルカァ~ィ!‘’避難テント村‘’にアイスクリーム食べに行くのか?」
「そうだよ!」
『ソウダヨ!』
「明日もアイスクリーム食べてさ!明日の昼帰ってくるヨォ~!」
『明日もアイスクリーム食べて明日の昼帰ってくるヨォ~!』
「そうかぁ~!良かったなァ~!じゃあなぁ~ッ!」
「じゃあ~!またねェ~!」
『ジャ~マタネ~!』
ボガカラァブルルルルルルゥ~!とエンジン音をさせて、ティモーナとルカァイと荷台ぎゅう詰め乗りの子供達を乗せたダンプカーは走り出した。
「じゃあねェ~!」
『ジャアネェ~!』と姉弟とは、もうお別れだ。セルズは明日の朝、津波が来たらその後は、このゴミ溜めみたいなスラムとはおさらばだ…。
「じゃあなぁ~ッ!」
ボガカラァブルルルルルルゥ~!とエンジンをさせて子供達を乗せたダンプカーは去って行った。ミッション中いつも一緒にいたティモーナとルカァィ姉弟、そしてスラムの子供達との別れをさみしく思ったセルズだった……。


バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ!
 エンジン爆音を轟かせて、やや低めの高度を飛行する‘‘陸上自衛隊’’ヘリUH−1Jだ!教会の真上の空に現れた!揚力を得るためにローターが地面に叩きつける強めの風が、教会の前に立つセルズを嘲笑するかの様に吹き付けてくる。
 開けられているヘリ側部ハッチ、キャビン端にはモンダが座っているのが見える。前日とは別人の様に愛想良いニコニコ笑顔でビラを撒いている。
「オォ~イ!ココにもお願いペペラァ~!」スラム住人が手を振ると、モンダは笑顔で手を振り返し、ビラを空に舞わせた。モンダは笑顔!笑顔!笑顔!……終始笑顔だ!
(「ハッ?」)とモンダが、教会の前から見上げているセルズに気が付き表情が強ばった……。が、やはりモンダはセルズにも笑顔を見せた……。
(「フフフ……」)と‘‘笑顔’’だ……。スラム住人達に見せていた(かわいらしい笑顔顔)‘‘SMILE’’や‘‘LAUGH’’でなく‘’RIDICULE‘’(嘲り笑い)いわゆる……‘’ドヤ顔’’笑いだ……。やはり、ヘリからの下降気流は嘲笑だった!
 モンダがヘリのキャビンから教会前地面のセルズを上から見下ろしている。位置関係をいいことに、完ぺきに‘’上から目線で見下ろし’’ている……?
ワァハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!搭乗してる男性兵士が横から爆笑しているのが見えた……。
(「ツ?」)と不愉快に思い男性兵士を見た。目が合った。
(「ハッ?」)とセルズの視線に気付き、慌ててキャビン内側に下がり隠れる男性兵士だ。
ブブルバァウバワァウウゥゥゥゥゥゥ~!という不細工なエンジン騒音に変わった上空通過後のヘリエンジン爆音だ。スキッドには相変わらず使わない偵察バイクをがくくり付けられている。低空飛行で教会から出てきたセルズの頭上を通過していった。
 セルズは‘‘WAC-女性自衛官’’と呼ばれる女性兵士モンダ軍曹との無線のやりとりを思い出していた……。
「国際活動は‘‘税金’’で行われてンだゼ!‘‘ルール違反’’だろう!」
『スラム住人の命を守るために規則もヘッタクレも何もないです!それに何も‘‘ルール違反’’などしてません!』
「国際活動で‘‘酒’’なンて出すのかヨォ~ッ!」
『酒など出してません!』
「‘‘ラム酒’’を酔っ払う程入れたじゃないか~ッ!酒飲ましてるのと同じじゃないかッ!」
『【‘‘ラム酒風味’’アイスクリーム】です!避難者達の心をやわらげるためにアイスクリームだすのはイケないのですか?』
「‘‘ラム酒’’じゃないカァ~!」
『【‘‘ラム酒風味’’アイスクリーム】と言ったら【‘‘ラム酒風味’’アイスクリーム】です!風味を付けるのに【ラム酒】入れたらダメなンですか?』
「【拡大解釈】だろ!それは!こんな時に【拡大解釈】してなくて、戦争の支援の時に【拡大解釈】して武器弾薬支援しろっての!YOUの国が侵略されたとき『武器弾薬支援はして下さい!』言うンだろ!日本国ジャパンは!人の命がかかってるンだロ!」
『エクスキュエズミィ~!あの~?……【論点】がズレてますネ……!』
「何が【‘‘ラム酒風味’’アイスクリーム】だ!【‘‘アイスクリーム風味’’ラム酒フラペチーノ】だろ!拡大解釈だろ!」(「このクソ女~!」)と怒りに身体を震わせてセルズは返した。
『【拡大解釈】?~人の命がかかってる~はこっちが言いたいンです!何言ってるンですか?』
「……………………」言い返せないセルズだ……。
『子供達の命は?誰が守ってあげるンですか?‘‘親の酒代’’作るためにゴミ漁りさせられて‘‘避難テント村’’に行くコトが出来てないンですヨ!』
「‘‘自分達の食いぶち’’稼ぐためにゴミ漁りしてンだロ!」
『親が家におカネ入れないでお酒を買うから!子ども達は自分が食べるためにゴミ漁りしてるンですよネ~ッ?子供に酒代作らせてるのと同じことじゃないですか~ッ!違いますか~ッ?』
「………………………」
『セルズ中尉は随~分!子供達と仲良くされていましたね~!ヘリから見てましたヨ!……子供達のコトを考えたら~何が何ンでも!そう~思いませンか?』当然のコトを言ってくるモンダだ。
「……………………」(「誰が聞いても、この女の言うとおりだ……正論だ……」)
『【税金だ!】とか【拡大解釈】とか……本当は他に言いたいことがあるンじゃないですカァ~?』
「ッ?……べ……別に何も無いゼ……」
『ソウですか……それではコチラからクエスチョンです!……スラム住人を
テント村に避難させるのに何日掛かってますか?どうぞォ~!』
「……………………」
『セルズ中尉~ッ!アセェ~アゲェィ~ン!繰り返します!……何日かかってますかァ~ッ?どうぞォ~!』
「今……10日間掛かってるヨ……」
『我々は1日で終わらせます!キャハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!』即答&爆笑のモンダだ。
『ワァハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!』搭乗してる男性兵士がモンダに便乗して爆笑しているのが聞こえてきた……。
『それでは!のちほど!』とモンダが無線で言って来て通信は終わった。
 スラム住人の避難が最優先だ。本当は【拡大解釈】とか【国際活動は税金で行われてる】など、ムキになる話ではない……。違うことでセルズは叩きのめされた様なショックを受けて、呆然となったのだった……。
 UH−1Jのキャビンではモンダ軍曹が部下男性兵士カザキ伍長に話し掛けていた。
「カザキ伍長!」
「はい!モンダ軍曹!」
「前から思ってたンだけどね……」
「はい……」
「何故?アメリカは‘‘体力勝負’’ばかりするのかしらネェ?もっと頭を使ったら?て言いたいワよネ!」
「ワハハハハハハァ~ッ!まあ、楽勝っスよ~ッ!スラム住人は『酒代欲しくてゴミ漁り』するンでテント村に行かないンで~!『酒のませてあげるから』言えば、目の色か(変えて)ヒッ?」
「カザキ伍長ォ~ッ!」と部下の言葉を遮るモンダだ!嗜めか?
「はッ?はいッ!」
「『酒飲ませる』なンて一言も言ってないゾォ~ウッ!」と嗜めも口元は堪え笑いだ。
「はいッ!……すみません!……訂正します!……モンダ軍曹指示通りの『70度ラム酒70%風味アイスクリーム』……ですね!……クププ!……ムグゥ!」とカザキ伍長も堪え笑いだ。
「…………『70度ラム酒70%風味アイスクリーム』?????……ほぼ【‘‘アイスクリーム風味’’ラム酒フラペチーノ】……?……【ほぼ酒類】じゃん!……ン?……キャハハハハハハハハハハハ~!」
「ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!」と自分の命令通りの【ほぼ酒類】にウケて目を見合わせて爆笑のモンダ軍曹とカザキ伍長だ。
ブルワァウブルワァウゥゥゥゥゥゥゥ~!とエンジン音をさせて飛んで行くUH-1J側部ハッチの開けられたキャビンから、スラムの空に‘’お菓子付きビラ‘’をまくモンダ軍曹とカザキ伍長が見える……。
ワァァァァァ~!と騒ぎながらスラム住人達は、飛んでいくヘリコプターと、スラムの空に【空中散布ガザ地区退避警告ビラ】のように舞う‘‘お菓子付きビラ’’を追いかけて行く……。
 あちこちのバラック屋から住人が笑い声を立てながら涌いて出てきた。
「早くゥ~行かなきゃペペラァ~!イッヒヒヒヒィヒィヒィヒィィ~ッ!」
「お菓子が空から降ってくるゥ~ペペラァ~!ケェヘェハァホォヒヒィィ~ン!」
「あっちに行けばいいなペペラァ~!ケェへェへェハッハッハァ~ッ!」
住人の笑い声は、とにかく楽しくて堪らない様子だ、
「早く拾わないとペペラァ~!ケェヘェヘェハッハッハァ~ッ!」と何やら‘’ジャワ星住人笑い‘’&‘‘ケンケン犬笑い‘‘&‘‘トム笑い’’の住人達の笑い声は、とにかく楽しくて堪らない様子だ……。
 空中散布ガザ地区退避警告ビラの様に……
菓子付きビラのイメージ絵
 足元を見ると、UH−1Jが空中散布していったビラが落ちていた。セルズが‘‘自衛隊’’に頼んだビラであった。
セルズが手に取ってみると、端に‘’ミニお菓子袋‘’『ポケット柿ぴー』ホッチキス留めの、新たに‘‘陸上自衛隊国際活動隊’’が端に‘’教会ラム酒風味アイスクリームについてのお知らせ’’付け加え印刷バージョンビラだった……。どうりで、スラム住人達は追いかけてくるワケだ……。
 セルズはビラに付いている‘‘ミニお菓子袋’’『ポケット柿ぴー』を外すと、開封し中身を口の中に放り込ンだ。‘‘ピリ辛味なミニライスクッキー’’と‘‘ピーナッツ’’が口の中で咀嚼され混じり合い、病みつきになりそうな最高の味覚コラボレーション世界にいざなってくれる……。
「うめェ~じゃねぇ~のォ!……いいのかヨォ~?お菓子くっ付けて、簡単に呼び寄せて酒のませて~目の色変えさせて避難テント村に行かせて~!あっという間に終わらせちゃうンだもンよォ~ッ!」セルズは思わず、地面に目を配った。
(「チッ!ビラ落ちてねぇ~かな?」)と地面に落ちてる【ポケット柿ぴー】付きビラはないか?と探した……。
ハッ?と気付いた!自分が手に20枚ほど持っているではないか?バカバカしくて空しくなったセルズは、残りのビラを上方に放り投げた。
ヒラヒラと舞い降りてくりビラを、何処からともな湧いて出てきたように現れたスラム住人数人が見つけ、大喜びで駆け寄って来た!
「キャホォ~ッ!あるぞペペラァ~ッ!」
「ワァァァ~ッ!早く拾わなくちゃペペラァ~ッ!」
「アハハハハハァ~ッ!お菓子だァ~ッ!ペペラァ~ッ!」と声がしてセルズの廻りに落ちたビラに集(たか)る住人達だ。地面に落ちたビラを手に取り‘‘ただのビラ’’だと分かると、ガッカリして言った。
「ンもォ~ッ!マギらわしいコトしないでよペペラァ~ッ、」
「あ?あっちの方にヘリコプタル(ヘリコプター)飛んでってルよペペラァ~!」
キャホォ~ッ!ヘェヒィヒィヒィィィィィ~ン!と笑い声を立てて大喜びでビラが舞う空の方向に飛ぶへりを追いかけ走って行った。住人達は、とにかく楽しくて堪らない様子だ。
『…本当は他に言いたいことがあるンじゃないですカァ~?』……セルズはモンダの言葉を思い出していた……。
「チッ!あのジャパニーズ・アーミー女兵士メェ~!……あ~!ソウだよ!……だってヨォ~!コンなンよォ~!反則じゃン!俺が何日も掛かってやってた事ォ~あっという間に終わらせちゃうンだもンよォ~ッ!」とブツブツ独り言で‘‘負け’’を認めた。小型無線機を掴むと口元に当てた。
「こちらアルファ1!こちらアルファ1!ヘリ01!応答せよ!」
『こちらヘリ01!アルファ1どうぞォ!』
「ミッション終了!ゴミマウンテン頂上に向かうから迎えに来てくれ!」セルズは無線機でバーンフィッチャーに言った。無線を終わるとセルズは呟いた……。「……やってらンねぇ~や!」

⚪月△-1日14時前(カリフォルニア時間…フィリピン時間⚪月△日05時前)
カリフォルニア州
トランスバース山脈西部
 ついに⚪月△-1日が来た……。シュワ知事の強い『知事命令』によりロスパドレス国有保安林(トランスバース山脈西部)周辺、ロサンゼルスの街から一時避難命令が出された。ロサンゼルスには震度4強の地震が約20分近く続くために、万が一のためにロサンゼルス市内への立ち入りが禁止された……。
 94年の大地震後、耐震強度重要視の都市計画が成されてきたので、壊滅的な被害は避けられる強い街であろうロサンゼルス市だ。が、未だに経験のない‘’人工地震の想定外の長時間の揺れ‘’だ……。
‘‘命令’’が正解なら『州民の命を救った最高の知事』で良かれ……、必要ない結果となれば『万が一に備え強い権限を出せる大統領レベルのシュワちゃん』をアピール出来る!‘’万が一‘’を考えて‘‘避難命令’’を出した。外れれば‘‘大経済損失’’を追及される。が、構わない!任期はあと残り僅かだからだ!どちらに転んでも次期『大統領選』に追い風となる。
 政治家というのは弁士だ……州民の為に尽くしてきた8年間の任期で、‘‘一部の弊害の発生ブーイング’’が来ても『ドンと来い!』だ!モノは何ンとでも言い様で切り抜けてしまう度量は熟達していた。心配ないシュワルツェネッガー加州知事であった……。

⚪月△-1日14時00分-few十分~
 ホワイトハウス庭~大統領執務室
 200α+3年に大統領に就任したアメリカ合衆国初の黒人の大統領マホバ・オバマ(架空)は、ホワイトハウス庭で大勢の報道カメラスタッフ達を前に‘‘特殊核実験前談話’’を全世界衛星生中継で発表する。
 大統領秘書官スタッフがざわついているハウス庭の報道陣達に『合図』した。
「それではこれより、アメリカ合衆国マホバ・オバマ大統領の談話を始めます」オバマ大統領の談話が始まった。
「世界中の皆さん!真剣に聞いて下さい……カリフォルニア州に走るサンアンドレアス断層の引き込まれ地下水脈の水資源を得る為に、200α+1年にトランスバース山脈西部各山の真下の地中ウン千mまで掘られた2十数本の井戸は数ヶ月前の200α+7年⚪月に完全に枯渇しました……枯渇した井戸は……」
 全世界の都市の街頭スクリーンでは、大勢の人々が足を止めてオバマ大統領の談話生中継を見ていた……。オバマ大統領の口から『枯渇した井戸は……』と出た。その先を学者の論文記事等で世界中の人達は既に知っていた……。が、『人類は追い詰められていること』を認めたくなかった……。
 オバマ大統領から全世界に向けての談話で、いきなり強烈な言葉が発せられた……。
「核坑道として使用されます!」
オオオオオオオオオオオオォ~!世界中の人々はどよめきの喚声を上げた……。オバマ大統領の談話は続く。
「200α+3年のことです……アメリカ合衆国大統領である私とロシア共和国連邦ドルダテーナ・メドベージェフ大統領(架空)との握手によりSTARTされた‘‘新核兵器削減’’条約により核兵器解体が開始されました……取り外されたプルトニウム等は秘密裏に‘‘平和核’’と名付けらました……
200α+2年……国際社会を不安にさせる‘‘核兵器開発’’疑惑のある国とは、‘‘平和核’’限定の核開発を認める‘‘限定譲歩’’が約束され、開戦したばかりの戦争も、わずか数時間で終結しました……
兵器解体等‘‘平和核’’として用意されたプルトニウムの一部~ウン百メガトン分が……本日⚪月△-1日14時よりカリフォルニア州トランスバース山脈西部においての‘’特殊核実験’’で使用されます!……」
『……………………………』黙って聞いていた……。街頭スクリーン前、衛星生中継放送テレビの前の世界中の人々だ……。


「‘‘ヒロシィマァ’’(広島)……

‘‘ナガサァキィ’’(長崎)…
 太平洋戦争において世界は……人類史上2回の核兵器使用という悲劇を経験しました……
……悪夢を見た筈の世界なのに……
『‘‘大戦’’を回避するために‘’悪魔の道具’’……‘‘核兵器’’開発を競い合う』という睨み合いの‘‘冷たく愚かな戦い’’……をする様になり……
時には一つの国の中の二つ国を舞台に大国同士が戦い……
時には‘‘軍事介入’’という形で大国同士が戦って来ました……
時には大国同士の‘‘核戦争’’勃発寸前の危機にまで陥ったり…
時には支援という形で関わり‘‘代理戦争’’で大国同士が戦い続けてきました……
 その後も‘‘冷戦終結’’などは実際には迎えておりませんでした……大国同士の保有する‘‘悪魔の道具’’核兵器の総核出力は地球を何度も滅ぼせる程の保有数です……

削減条約が結ばれても、完全に‘’核‘’を手放すことに、どうして踏み切れなくて……『核兵器保有大国の敵は核兵器保有大国』は変わらないのかも知れません……」
 世界中の街頭スクリーン、政府機関庁舎、アメリカ合衆国各州政府庁舎……そして、モハベ矯正センター内休憩テレビ鑑賞ホール、何十億という人が衛星生中継テレビ放送でマホバ・オバマ大統領の談話を真剣に聞いている。アメリカ合衆国大統領マホバ・オバマは続けた……。
「やがて『テロとの戦い』という‘‘果てしない泥沼戦争’’が始まりました……泥沼戦争’’を経験する‘‘核兵器保有大国’’と世界の国々は気付きました!
カリフォルニア山林火災
ロシア森林火災

ロシア‘’森林ゾンビ火災’’
……自国国土の広大でみずみずしく豊かな筈の‘‘財産’’である森林が‘‘森林火災’’により焼失し続けており、その焼失面積は加速度的に増え続けています!近い将来、大国の国土は広大な『荒漠の地』に変わるのは日の目を見るより明らかです!……
『~テロとの戦い~の終結のために何と戦うのか?の根本』に気付いたのです……

山林火災で焼け焦げた森林を見て気付いたのです!
過激派がいるのは‘‘荒漠の地’’が多い……
‘‘荒漠の地’’の疲れはてた人達……
‘‘荒漠の地’’の混沌とした世界が生きやすい‘‘過激派’’……
『テロ過激派思想のある国の国土』と全く同じ‘‘荒漠の地’’になったことで気付いたのです……!このままでは、世界は破滅の時をむかえる!
『新たな敵』が出現していたのです……‘‘地球温暖化’’です!……‘‘地球温暖化’’と戦わなければならないのです!戦わねばならない根本の敵は‘‘地球温暖化’’だったのです……
『テロ過激派思想』の原因は‘‘水資源の不平等’’であり、その根本は‘‘地球温暖化’’により増えた‘‘干ばつ’’が招いているのです!
温室効果ガスである二酸化炭素排出ストップのために‘‘クリーンエネルギー技術の確立’’の急務が求められるのですが……やはり……時間が必要です!‘‘平和核’’により……‘‘新クリーン技術開発’’のための時間を作るのです……
 同時に『水資源の不平等』とも戦わなければならないのです!今こそSTARTしなければなりません……!……‘‘核兵器保有大国’’同士が‘‘冷たく愚かな戦争’’をしている場合ではないのです!……」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!世界中大歓声だ!
 オバマ大統領は続けた……。
「『テロ過激派思想』の原因……‘‘根本’’は地球温暖化が招いている‘‘水資源の不平等’’がもたらす『荒漠地域思想』以外に考えられません………『テロとの戦い』を終結させるためにも、世界は‘‘水資源の不平等’’解決と真剣に向き合い戦うことが必要なのです!……今こそ!……STARTせねばなりません!……」とアメリカ合衆国大統領の‘‘おハコ’’『決めセリフ繰り返し』が始まった!
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!またまた世界中大歓声だ!
「‘‘荒漠地域への水資源運搬‘’の実現こそが……『‘‘根本’’と戦うこと』なのです……
安定的な世界平和のためにも『世界は目を背けずに真剣に向きあうこと』を……今こそSTARTせねばなりません……!」

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!と世界中の人人々が大歓声を発した!
 
「『水資源の運搬』……これには一切エネルギーは使いません……‘‘降雨’’という地球の力で行います……言うなれば……‘‘地球パァンプ’’です!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!とまた、大歓声だ! 

 敬太郎がまるよがしていた‘’昼休みヲタク雑談‘’を盗み聞きした新ヤマト製鉄重工化学株式会社海外営業展開部次長海鈴が国連でプレゼンした時、各国大使が馬鹿にして爆笑した後に驚愕していた‘‘地球パァンプ’’……そのデータ収集のための‘‘平和核’’使用の特殊核実験が、この数時間後にいよいよ行われるのだ……。

 マホバ・オバマ大統領は続けた……。
「人類史上2回の『核兵器使用』という悲劇………悪夢の巨大エネルギー……‘‘核’’が『人が人を大量に殺す』というために使われてしまいました……ですが!…………巨大エネルギー……‘‘核’’……今度は『平和核』で……『人が大勢の人々を救う』ために使うのです!……」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!と更に、またまた大歓声だ! 
「『平和核』‘核巨大土木工事’’で山脈の山々を沈下させ……‘‘水’’を含んだ気流の通り道を作り……『干ばつが多く、水をめぐり人々が殺し合い、情勢不安を招き‘‘過激派テロ思想’’にまでエスカレートしてしまった地域』に降雨をもたらし‘‘水資源’’を届ける……というモノです……
『テロとの戦い』で、軍事力で押さえようとした大国ですが……根本は『水資源の不平等』です!……
彼らの『本当に欲しいモノ……水資源』を送ることにより『過激派思想からの転換』を促すのです!……そのための……‘‘平和核巨大土木工事’’です!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!とまた、大歓声だ!アメリカの‘’弁士‘’政治家は結構、‘‘聞き心地’’良い言葉を、繰り返すのだ。
オバマ大統領が言葉を発する度に世界中の都市の街頭スクリーン前の大勢の人々は希望に満ち溢れた顔で大歓声を発している。
「言うなれば……‘‘地球パァ~ンプ’’!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!と凄まじい大歓声だ! 
全世界衛星生中継のオバマ大統領の‘’ホワイトハウス庭スタンダップ談話劇場‘’に、街頭スクリーン前の人々は酔いしれた。

 オバマ大統領は続けた……。
「そのためにも‘’データ収集’’が必要です!……本日!200α+7年⚪月△-1日14時に!まずは‘‘核兵器保有大国アメリカ合衆国’’が!その『‘‘根本’’との戦い』のため……カリフォルニア州トランスバース山脈西部において……『森林火災』を防ぐための特殊核実験による‘’平和核巨大土木工事‘’を行います!
使用核を極力抑えるために‘‘連爆干渉破壊方式’’で行います……
地下水脈に影響しない深度での核爆発により、巨大な空洞を作り‘‘巨大な重量’’である山を落下させます!……
落下した時、発生し、上に向かう衝撃を利用し、次の山の重量を軽減させ、使用核を抑える……という‘‘連続核融合‘’による‘’連爆干渉破壊方式殊核実験’’が!…あと、few十分後の14時に!……まさに!‘‘START’’します!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ~!
と世界中の街頭スクリーン前の人々は感動し、大歓声を上げた。
 しかし、世界中の人々が『薄々気付いていること』についてオバマ大統領が言及しなかったことに、誰も注意を払わなかった……。

few十分後……14時前
ホワイトハウス大統領執務室
 オバマ大統領の脇には背広姿の男が立っている。大統領第1秘書官だ。
‘‘大統領机’’の上にはアコーディオンケースに似た黒い大きな鞄が置かれている。カバーは外されていて、回転レバー型スイッチが2個付いている……。
「コイツとは何処に行くにも常に一緒だった……が……まず使うことは無いと思っていたヨ……スイッチ一つ回すだけで‘‘核融合’’が起き、巨大なエネルギーが発せられる……
‘‘核’’は‘‘悪魔の道具’’大量殺戮破壊兵器だが………『大規模森林火災を防ぐための巨大木工事』として……多くの人命を守るための‘‘平和の道具’’として使うことを選択せざる負えない程に‘‘カリフォルニア州民’’……アメリカ国民は…………追い込まれているのだ……
世界を……地球を救うための‘‘緊急避難的措置’’として使う……
責任重大だ!
このスイッチを回転させたら地球が救われることに繋がって欲しいな………」
 部屋の中の応接ソファーにも背広を着た高年男性が座っている。大統領第2秘書官だ。袖スタンドの上には同じ‘‘アコーディオンケース鞄’’が置かれていて、カバーが外されている。
 ‘‘アコーディオンケース鞄’’は勿論‘’核起爆スイッチ‘’だ……。大統領と副大統領が、それぞれのスイッチを同時に回転させ、核弾頭を起爆させる。2つのスイッチ‘’同時ON方式‘’にするのは『仮に大統領が精神異常をきたした場合』まで想定してのことだ。
「30秒前!」第1秘書官が、真剣な顔で手に持つストップウォッチを見ながら言った。
「……………………」「……………………」大統領も副大統領も黙ったまま‘‘タイプライターケース鞄’’の前を見つめている。
「10!……9!……8!……7!……6!……」と第2秘書官はカウントダウンだ。
第1、第2秘書官は『スイッチを掴んで下さい!』と、それぞれ大統領、副大統領に手で合図した。合図通りにスイッチに手を添えた。
「5!……4!……」秘書官がカウントダウンする。
「3!……2!……1!……0!」
カカ!ショ!ション!と許容範囲0.数秒のズレのスイッチ音が大統領執務室内に響いた。
 兵器解体核プルトニウム核弾頭による特殊核実験……二十数分間二十数回核爆発……核融合~計ウン百メガトンの核出力を放つべく、兵器解体核プルトニウムによる連続核融合という連爆干渉破壊方式特殊核実験の起爆スイッチが今……入れられた。

同時刻
モハベ砂漠~トランスバース山脈西部上空
 快晴の青い空のモハベ砂漠上空……。飛行する軍用機数機の後方から、全世界衛生生中継テレビ局の民間小型ジェット機2機が進入して来た。YNBテレビ局とWNCテレビ局の取材撮影用航空機だ。モハベ砂漠上空から‘‘トランスバース山脈西部’’方向へ……東から西に向け飛行している。
 夏季、太平洋側からアメリカ本土に流れ込む湿り気を帯びた気流は、高度2千メートル以上上昇すると‘‘雨雲’’となり‘‘降雨’’をもたらす。トランスバース山脈西部には標高2千数百メートルの山が連なる。山脈西部中東部から東端‘‘ブレイザー山~リエブルー山’’などが雨雲を塞き止め‘‘フェーン現象’’を起こさせるため、標高1000メートルのモハベを‘‘荒漠’’の地にしている。
 全体的に2000メートル近くある標高の山脈西部約100kmの区間を、‘‘平和核’’による‘‘巨大土木工事’’により、モハベ砂漠と同じ1000メートル近くの標高に沈下させる。
 それにより、夏季は太平洋側からの水蒸気を含んだ気流を、‘‘雨雲’’となる前にモハベ砂漠に進入させる……。モハベ砂漠に達出来ずに塞き止めらていた気流を東に進ませ、アメリカ本土内陸部への降雨を増やす。
 冬季には‘‘ロッキー山脈~ブレスベン大盆地’’からの大陸から太平洋に向けての東風は‘’サンアンタナの風‘’、‘‘ディアブロの悪魔’’の2つに分かれさせられている。新たに気流の通り道を作ることにより、3方向目に分けて吹かせ‘‘フェーン現象’’を弱め‘‘山林火災’’を防ぐ。
山脈西部東端‘‘リエブル山~ブレイザー山’’から太平洋手前の山脈西部西端ロス・ヴォリオス……までの間の山々を平和核巨大土木工事により標高1000メートルまで沈下させる……。
マイケル・ジャクソン豪邸ロス・ヴォリオス‘‘ネバーランド・レイク’’
夏季はリエブルー山からロス・ヴォリオスのあるビッグ・パイン山までの間100kmを標高千メートルにまで下げる。
 それにより、モハベ砂漠に達出来ずに塞き止めらていた気流を東に進める。夏季は太平洋上で発生した西からの湿った気流が東方向に進入し、アメリカ本土内陸部への降雨を増やす。
 ロス・ヴォリオスは……故マイケル・ジャクソン豪邸‘‘ネバーランドレイクがあり、背後は美しい景観‘‘ビッグ・パイン山~ルックアウト山’’である。 
 3つ目の風の通り道を作ることにより、冬季の‘‘山林火災’’の原因となる気流上昇力を弱め、‘‘山林火災’’を防ぐ……。と共に、
 テレビ局取材撮影民間航空機は広大な荒漠の地‘‘モハベ砂漠’’の空を飛行するに連れて、人工的でスケールの大きな土地が現れるのを機体窓右下遠くに確認した……。エドワーズ空軍基地だ!
 空軍基地は軍用機がワンセットで魅力的だ。が、今は、間近に飛ぶ軍用機の方がテレビ的に良い画になり、基地に興味は湧かない取材クルー達だ。基地全体は広大だがかなり遠い……。
 レポーターは機内左窓側に移り窓の外を見下ろす……。機外カメラを担当するカメラマンが、レポーターの視線の先の方向にカメラが向く様に機械操作をする。
 機内左側窓からは、広大な緑のモザイクアートのような農産プラント地域が見える。
 少し進むと、先には‘‘ランカスター’’の碁盤の目に整然と並んだ砂漠の中にあらわれた街並みを確認出来る……。勿論、住民は安全な場所に避難済みの街‘‘ランカスター’’の街並みが終わると再び、人の営みが感じられないSF的な地が現れる。黒いプラスチックシートで地面を遮蔽するかの様な地上敷設構造物の広大さが確認出来る…。
 地球外生命体との通信施設か?いや、地上敷設構造物は太陽光パネルだ……。砂漠の使い道の無い余って広大な土地の有効利用の定番……‘‘太陽光発電所’’だ!
 ‘‘太陽光発電所’’エリアが終わり、モハベ砂漠の終わりが近付いてくるに連れて、軍用機が高度を上げた。軍用機から取材機に‘‘高度上昇の指示’’が来た。それに従い取材機も高度を上昇させた。
『サンアンドレアス断層がはるか太古に造った山脈』により、雨雲が遮られ出来た砂漠が終わり、山脈の始まり知らせている緑の壁である壮大な起伏‘‘山々’’が近付いてきた。トランスバース山脈’’に差し掛かった……。
 その時だった!操縦士、乗組員、レポーター達は信じられない光景を目にした!通常ではか考えられない‘‘山’’の表面の変化が起きた!木々の枝という枝が震え、青くさえ見える筈の深緑の山の表面が砂煙で覆われ、汚ならしい象牙色に変わったのだ。
 飛ぶことの出来る生物……主に鳥、コウモリなどの大群が一斉に飛び立った!眼下の山脈の空に、‘‘動物の地震予知行動’‘に似た現象が起きた!が、‘‘予知行動’’ではない。マホバ・オバマ大統領の‘‘スイッチオン’’と同時だ!野生動物も‘‘核融合’’は予知出来なかったようだ。
 もし、山々にギリギリ近付いて撮影していたら、エンジンに鳥が飛び込む’‘バードストライク’’になり墜落していただろう。そのための‘‘高度上昇指示’’だったのだ。
 更に信じられな変化が起きた!最初の変化は‘’リエブル山’’だ!標高が低くなり始めている!沈下しているのだ!核爆発で出来た巨大地下空洞に’’トランスバース山脈西部の‘‘リエブル山’’が【落下】を始めたのだ!陥没して形を変えていく山。
 空の上の遠い距離からの目視では‘‘沈下’’に感じられるが、山のサイズからして、実際は時速300キロメートル近くの凄まじいスピードまで加速され‘‘落下’’している。僅か20数秒近くの間に山が標高の千数百メートル近く、落下するのだ。凄まじい光景だ!
 数十機の軍用、民間ヘリプターがモハベ砂漠西部上空からトランスバース山脈西部の空にホバリングしている……。‘‘空中定点カメラ’’としてリエブル山から始まる、各山々の‘’平和核‘’による‘’標高の変化‘’……つまり‘‘沈下’’を映像記録に残すためだ。
 YNBのフレッシュな美人キャスターのマゴットジョアンが搭乗する小型ジェット機はモハベ砂漠方面からトランスバース山脈西部北側を取材飛行する。南側取材は、やはりWNCの美人キャスター~ナオミ・ライダーだ。
 太平洋方面に東から西に向かい飛行している。‘‘特殊核実験’’を上空より取材するためだ。マゴットとナオミは鳥肌が立つ思いだ!西に向かい進み始めて一つ目の山である‘‘リエブル山’’……眼下の緑の起伏である山地で鳥が一斉に飛び立ち、山が形を変えていくのが確認された。
 まずは二人で同じ叫びだ!まずはYNB、WNC両テレビ局取材機は同じ‘‘リエブル山’’上空を取材飛行だ!2テレビ局合同取材だ!マゴットとナオミは‘’ヨォタァン!マァイタァン!交代‘’でコメントしてのレポートをするようだ。二人のレポートは全世界衛星生中継される……。
「オ~ウ!マイガァ~ッドゥ!」 まずはYNBマゴット・ジョアンがレポートを始めた!
「リエブル山の地下ウン千m真下の‘‘平和核’’つまり‘‘兵器解体核’’に今!‘‘核融合スイッチ’’が入った模様です!オォ~!マァ~イ!ガァ~ドゥ!
標高ウン千ウン百mのリエブル山の緑の木々が一斉に揺れて土煙が立ち!数え切れない沢山の野鳥が一斉に飛び立ちました!
オ~ウ!マイガァ~ッドゥ!たった今!無数の鳥が空を覆い尽くすかのように飛び立ちました!‘’リエブル山‘’が!『しぼンで行く』かの如く沈下を始めたのが!このYNB取材ジェット機から確認できます!」と興奮のレポートはマゴット・ジョアンだ。
 WNCナオミ・ライダーに変わった!
「30秒程の間に自然界の放つ地震のエネルギーとは明らかに違う衝撃が発せられているトランスバース山脈西部に、2つの衝撃が走っています!一つ目はウン十メガトンの核出力の核爆発の衝撃!2つ目は‘‘山’’という‘‘巨大な重量’’が地下巨大空洞を落下して地面への衝突時に発生する衝撃!地下核坑道最深部には核兵器削減により解体された兵器核弾頭からのプルトニウム合計ウンメガトン分がセットされてます!」
という‘‘情報‘’を’’マゴットとナオミは‘’ヨォタァン!マァイタァン!交代‘’でコメントした。二人のレポートは全世界衛星生中継されている……。
 凄まじい光景だ!まるでドームスタジアムの空気が抜けて行くように山が沈んで行くのを、テレビ画面を通して世界中の人達が目の当たりにしている。

街頭スクリーン
 青くさえ見える山の木々の緑の存在が、もうもうとたつ砂煙で消されたかのような錯覚に捕らわれているYNB取材クルーと人気女性アナウンサーマゴット・ジョアンの乗った小型ジェット機だ。
その後2機は二手に分かれて飛行全世界衛星生中継取材だ!



 YNBマゴット・ジョアンは‘‘リエブル山’’→‘‘ブラック山’’→‘‘スノーウィーピーク’’→‘‘アラモ山’’→‘‘ブレイザー山’’→‘‘テカヤ山’’→‘‘ピノス山’’→‘‘ビッグパイン山周辺髙地’’を……。
WNCナオミ・ライダーは‘‘リエブル山’’→‘‘ホワイト山’’→‘‘ブルーストーム山~ハインズピーク周辺髙地’’→‘‘ロス・パドレス連邦国有林髙地’’を……。
 双方、取材ジェット機は太平洋方面まで延べ100キロメーターを上空より飛行取材する。
「オーマイガッドゥ!‘‘ピノス山’’が~ッ!はるか昔の造山期に‘‘サンアンドレアス断層’’が気に遠くなる年月を掛けて出来た‘‘ピノス山’’が、たった今!造山期前の時代の平地だった頃に時間が逆戻しされているかのように‘‘ピノス山’’が茶色い砂煙を立てて沈下しています!山の下での核爆発により出来た巨大な空洞に山の土砂が崩壊し落下しているのです!
その衝撃が今!上方に向かい、次の山を振動させ!ご覧ください!隣の‘‘ソシール山’’の何十万本の緑の木々の緑を立ち上る土煙が茶色く変えてます!あと数十秒で‘‘ソシール山’’も沈下を始めるのでしょう!」
 緑の起伏であるトランスバース山脈西部の山地が形を変えていく!空の上からは意外に『ソフトな変化だ』
「フレイザー山が!」
「爆破衝撃は360度の方向にむかいます!」
「南の方向に向かった衝撃はアラモ山の巨大な重量を上方に押し上げます!アラモ山の!樹木の緑で覆われている山肌が土煙を立てています!今!アラモ山地下ウン千メートルにまで掘り下げられた‘’水資源枯渇井戸核坑道‘’の最深部に送り込まれた核出力ウン十メガトン分のプルトニウムがたった今!‘‘核融合’’を!……つまり‘’核爆発’’を始めま(した)ッ?……オ~ゥ!マイガァッ~ドゥ!アラモ山が~ッ!信じられまセン!まるでドーム球場のエアーを抜いた時の様に‘‘ドーム屋根’’が!シボんでいきます!」

その後……2人の美人『オォ~!マイガッドゥ!』レポートが全世界衛星生中継で叫ばれた!『オォ~!マイガッドゥ!』プラス‘‘山の名前’’だ!
「テカヤ山が!」「エスカプラ・ピークが!」「アンティモニー・ピークが!」 「ピノス山が!」「サン・デシグティオ山が!」「ソミール山が!」「セロ・ソロステが!」「フラッシュ山が!」「カヤーマ・ピークが!」「マダルーシー・ピークが!」「ビッグパイン山が!」「サン・ラファエル山が!」「ピーク山が!」

モハベ砂漠リサイクル矯正センターグラウンド
震度4強の地震発生だ!リサイクル矯正センター屋外グランドに囚人が出された。
普段、顔を合わすことの無いワル同士があちこちで喧嘩を始めている
「ヘイ!何ィ~見てやがァ~んダァ?ハァ~ン?」
「いやァ~!とことんヘドが出そうなくれぇ(位)キモい面してンなぁ~!」
「ボォシィエット何ンだ!この野郎ォ~ッ!」
「カマァン!掛かって来ォ~いサァカァ~ッ!」
ブゴォバァァ~ン!と砂漠の地の刑務所グランドにショットガンの銃声がこだましただ!
「貴様達やめろォ~ッ!撃ち殺すぞバカヤロ~共がァ~!ポ~ォンクス!大人しくしてやがれェ~!シャッタァ~ファッキョオァマァウフゥ!」と、ショットガンで喧嘩囚人に狙いを付け、本当に射殺寸前にプチ切れ刑務官の怒鳴り声だ。
「キャアァァァァァァァァァ~!チャンクゥ~!怖ァ~いィ~!」
「やめろォ~ッてのヨォ~!このホモ野郎ォ~ッ!ファ~グゥ!離れろッてのヨォ~!ヨォ~!ヨォ~!刑務官殿ォ~ッ!コイツ撃ち殺してくれヨォ~!」
「怖い~!キャアァァ~!チャンクと一緒なら耐えられるゥ~!」
「」
ワハハハハハハハハハハハハァ~!と爆笑の囚人達だ。
「ワハハハハハハハハハァ~!チャンク~!『イヤだ!イヤだ!』言いながら!ジョイに抱きついてンじゃねェかァ~!ワハハハハハハハハハァ~!」と爆笑の刑務官だ。
その時、明らかに
「ハッ?……だ?……ち!……違うンダァ~!……だから~!ウワァ~!…………俺ェ~よおォ~ッ!地震がデェきれぇ~(大嫌い)なンダァ~つうのおォ~!アヒィヒィ~!」と叫びながらジョイの胸にを埋めて抱きつくチャンクだ。
「嬉しい~!チャンク~!来て!来て!もっと来て!」
「ヒィヒィィィィィィ~!」
「イエス!イエス!来て!カミィ~ン!イェ~スベイビィ~!イェ~ス!チャンク~!アァァ~!」と、まるで盛り上がっているみたいなチャンクとジョイだ!
『何ンだ!チャンクは‘‘オカマ’’みていな声出しやがって!』
『ちゃんと‘‘ゴム’’付けてンのかァ~?』とヤジが飛んだ。
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~!と大爆笑の囚人と刑務官達だ!揺れ続けるモハベ砂漠リサイクル矯正センターグラウンドだ。

数時間後……
 特殊核実験は終了した……。人工地震はおさまった……山脈の住宅街は……家の倒壊がかなりあった……。が、ロス・アンゼルスの街も、それなりの被害が発生した。が、耐震化工事済みの高層ビルなどは、ビルの中は‘‘シッチャカメッチャカ’’だが、倒壊はゼロに近い……。人工地震は収まったのに‘‘余震’’は続いた。カリフォルニアでは夜になっても余震は続いた。
 特殊核実験による‘‘小波の足し算効果衝撃‘’は‘‘サンアンドレアス断層’’下のマントルにまで達し影響が届いたのだ……。その衝撃は僅か数時間で‘‘トランスフォーム断層線‘’を伝い1万5千キロメートルに渡りフィリピン海で‘‘プレートエネルギー解放’’地震を群発させた……。
 ‘‘津波’’は起きなかったが……瞬く間に‘‘地震の巣’’である‘‘フィリピン嬉しいプレートにまで伝わった……。明け方、ラモン湾沖海底を震源とした‘‘前震’’が始まり、テント村に避難した数万人のスラム住人は、ようやく『大きな地震』が訪れることを信じた……。

 モハベ砂漠にまとまった降雨があった……。


第6話-4に続く……


[re:]/『もう一度』



一年前も穀物輸出に関して、同じようなニュースが……