[re:]/『もう一度』


第6話-2


フィリピン
トゥポインティングエリア
埋め立て処分場地域スラム

「『○月△日の午前8時○分に地震が起き津波がくるから、テント村に避難するように』……てペペラ?(以後…子供のみ【ペペラ】省略)」少女の声がした。バラック家の方を向くとティモーナが愛らしく笑い立って、セルズを見ていた。

「あ~!そうなンだよ!だからここより高台の……‘‘テント村’’に避難して欲しいんだよ!……あのさぁ~!……これ……半分、残ってンだけど食べないカ?」と言いながら、戦闘服の脚ポケットからおやつの‘‘クラッカー’’入り袋を取り出し、ティモーナに差し出した。

「ありがとう~!」と言いながら瞳を宝石のように輝かせ受け取るティモーナだ。

「ルカァイ!出てらっしゃい!」と隣のバラック家に声を掛けるティモーナだ。半ズボンに上半身は裸の5歳位の男の子が出てきた。

「ワタシの弟ルカァイていうの!これ美味しそう!半分あげる!」と袋の中から真空パックを取り出して破き、クラッカーを半分取り出すと弟のルカァイに手渡すティモーナだ。嬉しそうに宝石のように瞳を輝かせクラッカーに手を伸ばすルカァイだ。

ショク!ショク!と音をさせてクラッカーを咀嚼する2人の姉弟だ。あっという間にクラッカーはなくなった。

クホォ!ォハァン!と苦しそうに咳き込むルカァイだ。喉に詰まらせたか?セルズが水筒を渡すとゥング!ゥング!と喉を鳴らして水を飲んだ。ティモーナにも勧めた。やはり、ングゥ!ングゥ!ングゥ!と喉を鳴らして水を飲んだ。美味しそうに水を飲む2人の姉弟だ。返された水筒は空になっていた。

(「…………」)と自分の飲む分が無くなったことを落胆するセルズだ。でも、それを帳消しにしてくれるのは2人の姉弟の笑顔だった。

「あぁ!美味しかったァ~!ワタシはティモーナだよ!弟のルカァイだよ!おじさんは……?」

「ああゴメン!おじさん達の決まりで教えられないンだ」

「え?どうして?」

「おじさんのことがバレてしまうと家族が危険な目にあったりするンだヨ……」と訊くティモーナに説明するセルズだ。ティモーナは「ふーん!」と頷いていた。が、……ルカァイは【質問砲撃】を開始した

『どうして?』

「いいの!ルカァイは!分かったから!」

『何が?』

「名前を教えると!危なくなるの!」

『誰が?』

「おじさんの家の人が!」

ふーん!とルカァイは頷いて……すぐにまた『どうして?』と聞いた。……という、このやりとりを数回繰り返す姉弟であった。うまくティモーナが説明して、ルカァイは自分の好奇心を満足させた。

 ……と言いたいところだが、小さな子供の記憶に関するシステムが不完全なのだ。ちゃんと頭の中に記憶はされているが、記憶を引き出したりする仕組みが上手く働かないために、同じ質問を繰り返してしまうのだ。

「おじさんは家族はいるの?」

「ああ!結婚してるヨ」

「子供は?……何歳?」

「いないンだ……」

「どうして?」

「ンン……イラクという所で‘‘劣化ウラン’’ていう毒を吸い込んで……子供が出来ない身体になってしまったンだ……」

ふーん!と頷くティモーナは‘‘この話’’に触れないように留意することにした……。が?そうはさせないルカァイだ!

『どうして、子供が出来なくなったの?』と他人の心の傷への配慮などお構い無しに気ままに質問する無敵の5歳児だ。悪意も計算も全く無く、ただ勝手気ままに’‘質問砲撃’’発射をしてしまうルカァイだ。すぐにティモーナが嗜める。

「いいの!ルカァイは!」

『どうして‘‘毒’’を吸い込ん(だの)ムッ?……ム!ムムム……!』ルカァイの‘‘質問発射砲’’の口手で押さえ塞ぐティモーナだ。この小さな女の子は貧しくても、人の心を思いやる心は豊かなようだ。セルズの‘‘心の傷’’に触れないよう話題を変えようと必死に闘った!必死に考えた!

『ムムム~!』とティモーナに手で口を塞がれたルカァイはティモーナに拘束されたままだ。

「えぇ~と……そうだ!……」と言いながらバラック家の中にルカァイと入って行き「ワタシの‘‘宝物’’……見せてあげる!」と言いながら、例の‘‘ボロボロの教科書’’を持ってルカァイと出てきた。‘‘教科書’’をセルズに差し出した。 

‘‘気を付けて扱わなければ頁がバラバラに落ちてしまう代物‘’の教科書にはあまり興味はないセルズだが、手に取ることにした。

「そう言えばガキの頃~学校で……」と口にし(「ハッ?しまった!」)とティモーナの‘‘学校に行けない悲しみ’’を刺激してしまったことに気付くセルズだ……。見ると、やはり表情が曇り始めたティモーナだったので、セルズは‘‘明るくなる話題’’を探した。 


ジミーデイビス『ユーアーマイサンシャイン』

一旦YouTubeでジミーデイビス『ユーアーマイサンシャイン』見て戻って来て下さい……

 教科書の表表紙を捲ると裏には英語の歌‘‘ユーアーマイサンシャイン’’が載っているので歌うことにした。セルズが歌っている間、ティモーナは、口を開け目は見開き呆気に取られていた……。やがて『ウン!ウン!』頷いて、見開いた目の瞳を宝石のように輝かせた。

「ヘェ~!そういう歌だったンだ~!」とティモーナは表表紙の裏のページの歌のメロディーを初めて知ったようだ。あまりにも耳に残りやすい名曲中の名曲のメロディーだ。

 ティモーナは初めて知る喜びのうちに、あっという間にメロディーを覚えてしまった。ルカァイもキャッ!キャッ!と声を上げ興奮している。

 ティモーナは歌に感動して瞳を宝石のように輝かせている……。やっと、澄んだ瞳の美しさの輝きを見せる9歳の少女らしくなった。虚ろな表情をしていた少女が、笑顔になってくれたことにセルズは純粋に嬉しかった。

♪The other night dear,as I Lay Sleeping

♪ディアダァナァイディ~ヲ♪アズァ~イレェ~スゥリィ~ペェ~ン

♪I dreamed I held you in my arms

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪ヨォ~ヲェ~ンマァ~イタァ~イズ♪

♪And I bowel my houd and I cried

♪エェ~ンドゥアァ~イ♪ホォ~ゥマァ~ヘェ~ダァ~ンクゥラァ~イドゥ!


ティモーナも一緒に歌い出した!

♪You are my sunshine

♪ユウ~ア~マァ~サァ~ンシャ~イン!

♪My only sunshine

♪マァ~オォンリィ~サァ~ンシャ~ァイン!


ルカァイも一緒にキャァ~!キャァ~!とメロディー発声だが歌い出した

♪You make me happy ♪ When skies are gray

♪ユウメェ~クミィ~ハァ~ピィ~!♪ヲェ~ンスカァ~ィザァ~グレ~ェ!

you'll never no dear ,how much I love you

♪ヨォネバノォ~ゥディア~♪ハァ~ウマチア~ィラァ~ビュウ~!

please don't take my sunshine away

♪プリィ~ズドォン~テェ~イクマァ~サァ~ンシャ~イロヲェ~イ!

近くのバラック家から涌いて出てくるように子供が次々と現れた。子供達は瞳を宝石のように輝かせて歌を聴いている。

♪I'll always Love you,And make a happy

♪アァ~イルオォ~ウェ~イズラァビ~ュウ♪アァ~メェィキョォハァピィ~♪

♪If you will only say the same

♪イヒュ~ウィ~ルオォ~リィ~♪セェ~ィドァ~セェ~モォ♪

♪But if you love me ,To love another

♪バァリィフュゥ~リィブミィ~♪トゥ~ラァ~ブアナァ~ダァ~♪

♪You'll regret it all same day

♪ヨォゥリィグレェトォ♪オォ~ル♪サァムデェ~イ

 歌い終わった頃には十数人の子供達に包囲されていた。

ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ~!と子供達の歓声が上がった。セルズにスラムの子供達30人程が集って(タカッテ)来た。避難誘導はどうした?セルズよ!

 何回か繰り返し歌う内に子供達全員で歌い出した。セルズも完璧に子供に返って歌い楽しんでいた。

 増えた子供達50人位と何回『ユーアーマイサンシャイン』を歌っただろうか……?子供達との時間があまりにも楽しすぎて去りがたく、セルズは急にさみしい気持ちになった……。
 ティモーナとルカァイ、子供達ともっと一緒にいたいが、他の場所にも行って避難誘導や口頭説明をしなくてはならない。そんな時だった……!
「あぁ~!楽しい~!おじさん!歌を教えてくれてありがとう!……お礼に【とっておきの場所】に連れて行ってあげようか?」とティモーナが言った。
「ヘェ~イ!カマァ~ン!嬉しいじゃねぇかァ~!行こう!行こう!」と言いながら【ミッション一時放棄サボりを決断】だ!瞳を宝石のように輝かせるセルズは、軍用オートバイに鍵を掛け盗難防止ハンドルロックをした。
「アッ?置いて行ったら盗まれるよ!」とティモーナの忠告だ!
「大丈夫!大丈夫!ハンドルロックしたから!」
「いや!置いてったら盗まれるヨ!」
「いいから!いいから~!【トム・ソーヤ】の話~!聞きたくないカァ~?」
「えっ?何?それ?」とティモーナのセルズへの『バイクの盗難防止、対策、予防はここでは通用しない』の忠告はトム・ソーヤのお話に湧いた興味により、遮断された。

【とっておきの場所】ヒーター道見晴らし台
 ミッションをサボり【トム・ソーヤ】の話を子供達にしながら歩くセルズは、完璧に子供に戻っていた……。【トム・ソーヤ】の話を子供達にしている気の利いた大人子供といった所だろうか……?
「なぁ~ッ!……そンでトムはよォ~ッ!ガムを口から手で取り出すのが面倒になっちゃったンだってさぁ~ッ!」
ワハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!子供達の笑い声はセルズを癒してくれる。
ゲェハェハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と独特の【バカ笑い】声を響かせている7~8歳位の少年リッキーは楽しいガキ……少年だ!
アァ~ハァハァハァハァハァハァハハハハハハァ~ッ!セルズの~歩き読み聞かせ~にゲラゲラと笑い声を爆発させてウケて、他の子供達の笑い声を誘発させている。
ケェケケケケェ~ッ!とルカァイもケタケタ!と笑い声を発している。話を理解出来なくても雰囲気だけで一緒に笑い声を弾けさせることが出来るのは子供の特権だ……?
 前出の【トム笑いスカベンジャー住民】の子供版……といったキャラで、場を楽しく明るくさせてくれるリッキー。

『アーノルド坊やは人気者』
 アメリカの‘’スタジオホームドラマ‘’では【笑い屋】の『ワハハハ~!』という笑い声が入り笑い声を誘発させるが、リッキーは、そういう役所の少年のようだ。
フンギャァァァ~!と赤ん坊を抱いた少女もついて来ていた。リッキーの母親だ。第二次成長が始まった辺りにリッキーを産んだらしく、まだ、10代過ぎ位の少女だ。まだ、子供なのだろうか【トム・ソーヤ】の話に夢中になりリッキーと一緒に付いてきた。
キャキャキャキャァ~ッ!とカン高い声で笑い声を弾けさせているリッキーの母親だ。
フンギャァァァ~!と相変わらず泣き声を発している赤ん坊はリッキーの妹だ。子供達の笑い声に安心して、そのうち泣き疲れて寝ってしまうだろう……。泣かせておけばいい……。
「そンでなぁ~ッ!トムはベッキーにガムをどうやって?渡すことにしたと思う~ッ?」セルズの【参加形式読み聞かせ】に
『ナンダロウ?』
『ドウシタンダロウ?』
『え~ッ?知りたい~ッ!』
『早く続きを話して~ッ!』
『早く~ッ!』
『早く~ッ!』等々~発してすっかりハマってしまったスラムの子供達だ!
『わかった~ッ!トムがガムをプッ!て吹き飛ばして~ベッキーがガムをパクッ!と口で受け止める!』と自分で言って
ゲェハハハハハハハハハハハァ~ッ!と例の独特の【バカ笑い】声はリッキーだ。
アァ~ッハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と子供達50人がリッキーにつられて大笑いだ。
「惜しい~ッ!近いけど惜しい~」とノリノリの子供の乗りセルズだ!
『え~ッ!どうしたのォ~?』
『教えて~ッ!』
『早く~ッ!』と子供達は話が引っ張られて興味が200%だ!
「いいのかぁ~ッ?言っていいのかぁ~ッ?」最後の引っ張りのセルズだ!
『早く~ッ!』
『早く~ッ!』
『教えて~ッ!』
と子供達の惹き付けられ度数はMAXだ!
「わかった~ッ!言うぞォ~ッ!」とセルズが一番ノリノリだ!
『…………』
『…………』
『…………』リッキーもティモーナも……ルカァイも話は分からないが雰囲気に夢中だ!【トム・ソーヤ】に夢中な50人の子供達だ。50人の倍の数の100の澄んだ瞳の瞳孔は開き、100個の宝石のようにキラキラと輝きを放ちセルズを包囲している。世界中で100個しかない美しく澄んだ瞳の輝く宝石だ。
 セルズは続きをゆっくりと話した。
「トムはァ~ッ!…………」引っ張るセルズだ。
『うん!うん!』
『早く~ッ!』
『トムはァ~ッ?』
「ベッキーにィ~ッ!…………」まだ、引っ張る!
『早く~ッ!』
『早く~ッ!』
『いいから~!教えて~ッ!』
「ガムを~ッ!…………」
『…………』
『…………』
『…………』100個の澄んだ瞳の輝く宝石は、更に引っ張られると夢中になり、一人一人の子供が2つずつ持つ最高級の輝きを放っている。
『一体トムはベッキーにどうやってガムを渡すの~ッ?』と、更に更に引っ張られる夢中な宝石達にプレゼントだ!
 引っ張りは終わりだ!セルズは結末?を……言った。
「…………口移しで渡すンだ!」
エェエェェェ~ッ?とどよめきからから始まり……
ワアァァァァァァ~ッ!と歓声に変わった。
キャアァァァァァ~ッ!とリッキーの母親が一番喜んで悲鳴を上げている。
ゲェハハハハァァ~ッ!とリッキーがバカ笑いだ!
キャキャキャァァ~ッ!とティモーナも大喜びだ!
ワハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!連られて子供達全員が笑った!
 が、いくら、アメリカが自由の国だからといっとも、世界児童名作文学で『子供同士がキスをする』というのは、あまりにも自由過ぎるのではないか?
「おぉ~いッ!まだ、話は終わってないゼェ~ッ!」
『えぇ~ッ?まだあるのぉ?』
『トムとベッキーはキスするの~ッ?』
「いいから続きを聞いてなッてェ~」
キャアァァァ~ッ!と悲鳴を上げてタス!タス!タス!と地団駄を踏んで一番喜んでいるのはリッキーの母親だ。リッキーの妹はいての間にか眠ってしまた。
「ベッキーはガムを貰うために………………………唇を薄く開けるンだ!」
『…………………』
『…………………』
『…………………』
『…………………』子供達は興奮して目を大きく見開いている。セルズは続けた。
「トムはガムを口移しで渡すために…………………ベッキーの開いた唇に……………自分の開いた唇を近づけるンだ…………」引っ張るねェ~セルズ!そこら辺にしとけ!
『…………………』
『…………………』
『…………………』
『…………………』アメリカの世界名作児童文学あまりに刺激過ぎやしないか?子供達は気を失いそうだ!
「いよいよ口移し?『あ痛ててててェ~ッ!』たまたま通り掛かった⚪⚪先生に耳を引っ張られて『ガムの口移し』出来ず~!」結末を唐突に放つセルズだ!
ワハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!と『世界名作児童文学』にふさわしい結末に大喜びの子供達だ!
連られてケェケケケケケケェ~ッ……ワケわからないが……皆が楽しそうだから笑ってしまうルカァイだ!
ワハハハハハハハハハハハハハァ~ッ!子供達全員で笑った!
 何よりセルズが一番喜んでいる。楽しすぎる!楽しすぎる!楽しすぎる!こんな楽しい時間あって良いのだろうか?何か悪いことでも起こらないと良いが……。
スラムは何処に行っても蝿がブンブン飛んでいる。何処に行っても吐きそうになる悪臭がする。
 が、不思議だ……。先ほどまでの、この世の終わりなほどに参っていた強烈な悪臭と、蝿天国のスラムの不衛生さだが……子供達と一緒だと、耐えられるようになってきた。
 笑い声が収まり【トム・ソーヤ】話も1エピソード終わった……。喋りっっぱなしだったセルズは少し休憩するに沈黙した。
ドコドコドコドコドコドコ~!とヘリコプターのエンジン爆音が近づいて来て、常に人に集る蝿を吹き飛ばす程の強風が吹いてきた。避難テント村の国際活動で来ている日本国専守防衛陸軍‘‘陸上自衛隊’’汎用ヘリUH−1Jだ。
 スラムを低空飛行している。ヘリが近づいてくると供に風は更に強まり吹いて来た。集(タカ)る蝿はローターが地面に叩き付ける強風で吹き飛ばされていく。
ビュワワワァァ~!という耳たぶに当たる風切り音がボォボボボボォ~!という強風のそれに変わった。
 スキッドには偵察バイクがくくり付けてある。側部ハッチが開けられており、キャビン端の搭乗女性兵士は構えたビデオカメラをセルズ達に向けている。
 子供達が手を振るとビデオカメラを構えたまま、白く歯並びの良い笑顔を見せて片手を振り返してきた。ヘリは通過して行く。
ブルバァウバワァウウゥ~!と不細工なエンジン騒音に変わり飛び去って行った。ヘリが起こしてくれていた‘‘集り蝿’’吹き飛ばし強風は消え、かわりに再び蝿が集って来た。
ブブブブブブ~ン!と蝿が集る音だけが見晴らし台通り上を占領した。沈黙の時間が流れた。
(「誰か?間を繋いでくれないかな……」)リッキーに目でお願い視線だ。
『……?』とセルズの視線に気付いたリッキーはうん!と頷いた。

♪ディアダァナァイディ~ヲ♪アズァ~イレェ~スゥリィ~ペェ~ン♪と不意にリッキーが歌い始めた!

♪アァ~ドゥリィ~ダァガァ~レイヘェ~ォ♪ヨォ~ヲェ~ンマァ~イタァ~イズ♪ティモーナも後に続いて歌い出した。子供達全員が歌い出した!

♪エェ~ンドゥアァ~イ♪ホォ~ゥマァ~ヘェ~ダァ~ンクゥラァイドゥ!

 歩きながら歌うセルズと子供達だ。

♪ユウメェ~クミィ~ハァ~ピィ~!♪ヲェ~ンスカァ~ィザァ~グレ~ェ!

♪ヨォネバノォ~ゥディア~♪ハァ~ウマチア~ィラァ~ビュウ~!

♪プリィ~ズドォン~テェ~イクマァ~サァ~ンシャ~イロヲェ~イ!

 しばらく歩くと陸から海方向に100mほどに渡り、バラック家群の屋根より高い位置に木製足場が組まれ、上部にズラリとパネルやプラタンクが並べられている構造物を目にした。パネルを床板にしたかのような見晴らし台の道……というところか……?‘‘見晴らし通り台’’は陸から海方向に伸びていた。
 構造物の下が来た。パネルを日除け屋根代わりに、木製足場を柱や支柱代わりにしているバラック家が、構造物の真下にひしめき合うように建てられてある。   
 セルズは歌うのを止めた。徐々に子供達も歌うのを止めた。静かになった子供達だ。セルズはリッキーを見ると、目が合いニコニコ!と笑顔を返して来た。セルズはリッキーが、かわいく思えた。
(「こんな楽しい子供が欲しかったナァ~!で……年寄りになるまで仲良くしていくンだ……そういう様になりたかったな……もしも子供を作れたンならな……」)という『もしもの願い』を想像して胸が少し熱くなるセルズだった。
「ここが【とっておきの場】だよ!」ティモーナが言った。構造物の突端には梯子階段が斜めに掛けられてある。

「【見晴らし通り台道】だよ~熱いお湯が出て、身体を洗える場所だったンだ~!日本の人達が作ってくれた(支援)ンだけど~!……ある日、売れるモノは片っ端から盗まれて使えなくなっちゃって……それで、いつの間に海がよく見える‘’見晴らし台の道‘’になったの……」

 ヒーターパネル構造物とは、太陽光でパネルのパイプに通した水で、湯を沸かすためのモノである。シャワー等で住民の衛生状態を改善しようと日本の団体の慈善活動で設けられたが、換金出来るモノがどんどん盗まれて使いものにならなくなり、‘’見晴らし通り台‘’に変わった……。(架空)

 梯子階段を全員で【ヒーター道みはらし台】に立つセルズと50人のスラムの子供達だ。スラムのバラック家が広がる先の第2処分場の先には、水平線まで青く広がるラモン湾の海が見えた。格別の景色だ!確かに【とっておきの場所】だ。

キリンカララァァ~ン!…………キリンカララァァ~ン!……キリンカララァァ~ン!とあまり大きくない鐘の音が聞こえて来た……。振り返えると‘‘見晴らし通り台’’陸側端から数十m離れた位置にオンボロの木造の建物がある。‘‘教会’’らしい。ちっぽけだが心地よい鐘の音がきこえる。

「ゴミマウンテンからも海は見えるけど、ここからは海の様子がよく見えるの」とティモーナは説明した。確かに、ゴミマウンテンからよりも、見晴らし台ヒーター道の上からの方が海面の様子が細かく見られる。見晴らし台通りの上に立つ50人の子供達とセルズのラモン湾の海を見ていた102の瞳だった……。

キリンカララァァ~ン!…………キリンカララァァ~ン!……キリンカララァァ~ン!鐘の音が聞こえて来た……。

♪ユウ~ア~マァ~サァ~ンシャ~イン!

リッキーが歌い始めた……。

♪マァ~オォンリィ~サァ~ンシャ~ァイン!

全員で一緒に歌い始めた……。

♪ユウメェ~クミィ~ハァ~ピィ~!♪ヲェ~ンスカァ~ィザァ~グレ~ェ!

こんなに【とっておきの思い出】はそうはないだろう……。

♪ヨォネバノォ~ゥディア~♪ハァ~ウマチア~ィラァ~ビュウ~!

セルズは心地良い時間を過ごすことができた……。

♪プリィ~ズドォン~テェ~イクマァ~サァ~ンシャ~イロヲェ~イ!


 子供達と何回『ユーアーマイサンシャイン』を歌ったのだろうか?楽しいサボりをしながらバイクを停めて来た辺りに戻ってきたセルズは違和感を感じた。

 そして、セルズを愕然とさせたこと……。何やらスラム住人達がドライバー、スパナ、モンキー、ポリタンク等を手に‘‘バイクが停めてあった位置’’に集(タカ)っている……。笑い声が弾けている。

(「オレのバイクに集って何を笑ってるンだろう……?」)とセルズは【ティモーナの忠告】が頭を過りイヤな予感かしたが認めたくないようだ………

イィ~ッヒヒヒヒィヒィヒィ~ッ!ィヒヒィ~ッヒヒヒィィ~ッ!

『スターウォーズ』‘’ジャワ星スカベンジャー住人’’R2D2をスクラップ屋に売っ払うの巻……のような笑い声が……!

イィ~ッヒヒヒヒィヒィヒィ~ッ!ィヒヒィ~ッヒヒヒィィ~ッ!

ケェヘェヘハァホォヒィヒィ~ン!

チキチキマシン猛レースのケンケン犬の掠れ笑いが……!

ケェヘェヘハァホォヒィヒィ~ン!

ケェヘェヘェハァッハッハッハッハァァ~ッ!

例のトム笑いスカベンジャー住人だ……!

ケェヘェヘェハァッハッハッハッハァァ~ッ!

(「オレのバイクに集(タカ)って何ィ~盛り上がって笑ってやがるンだ……?」)とセルズは【ティモーナの忠告】が頭を過りイヤな予感がしたが認めたくないようだ。

 スカベンジャー住人達が工具を手にしているから、バイクは無事ではないということだ。バイクがバラバラに解体されたらしく、住人達が手に手に部品を持っているではないか!

 激怒に身体を震わせたセルズは脇ボルスターからベレッタ92Fを抜いて、安全装置を解除し、一発ブッ放そうと銃口を空に向けた

『…………ッ?』『……ッ?……』『……ハッ?』と子供達は、ベレッタ92Fを手にしたセルズを見て驚き身体をビクッ!震わせた。

(「……ッ?……」)子供達の前では流石に威嚇射撃は出来ないセルズだ。

『ハッ?』と1人の住人がセルズに気付いて皆に教えている。

『ヤバいよぺぺラァ~!』『戻って来たよペペラ~!』『ピストル手に持って~おっかねぇ顔して見てるよペペラァ~!』と住人がセルズに気付いた。言いながら一斉にセルズの方を見るスラム住人達だ。

『ズラかれぇペペラ~ッ!』住人の誰かが叫んだ!

ワァアアアアアアアァ~ッ!と叫び声を上げて一斉に逃げ出す住人達だ。

ズザン!と音を立てて転ぶ住人がいた。

『あ痛たぁペペラァ~ッ!』と叫びながら転んで手にしていたエンジンのクランク棒を落とした。すかさず他の住人が拾いそのまま走って逃げて行った。

『コラァ~ッ!オレの棒~盗みやがッてペペラァ~ッ!この泥棒ォペペラァ~ッ!』と叫びながら立ち上がると‘‘泥棒の泥棒’’住人を追いかけて走って行った。

 ヘッドライト1つだけが、その場に落ちていた。セルズはヘッドライトを拾い上げ、しばらく見ていたがチッ!と舌打ちして放り投げ投げた……。

トッタ!トッタ!トッタ!トッタ!と足音を立てて、バラック家の陰から現れた1人の住人が走り寄るや、ヘッドライトを拾い上げた。

トッタ!トッタ!トッタ!トッタ!と再び足音を立てて逃げて行った……。

ブブブゥゥ~ン!と蝿が飛んでいる音だけがする相変わらず不衛生なスラムに沈黙するセルズと子供達だ……。

「…………ファッケェン『トム(トム・ソーヤ)』が……くそ!」とサボりを後悔するセルズだ。

 リッキーがセルズの傍に来て手を繋いで来た。リッキーの手の温もりには癒しがあり、少しだけ心拍数が落ち着くのが自分でも分かるセルズだた。

「ごめんなさい……『盗まれるよ』て……もっと強く言うンだった……」と申し訳なさそうに言うティモーナに「イヤ……キミのせいじゃないよ」と首を振り笑顔を見せるセルズであった……。

 セルズは‘‘ビラ貼り’’やスラム住人への説明を徒歩でおこなうことになった……。


4日して……

スラムの教会

 子供達と歌い笑い楽しすぎたサボりと、バイクがバラバラにされて奈落の底に落とされた、わずか4日後のことだった……。セルズは‘‘任務‘’を徒歩で行うこととなった。歩き廻っているとスラムの教会の前に来た……。バラック家よりは、大きくてちゃんとした木造だが、小さな建物の教会だ。


オオァアア~ァイィィ~ッ!アハァ~ァ~ァ~ッ!ァ~ァ~ッ!と少女の泣き声が聞こえる……。


 スラムの住人が教会に次々にやって来て中に入ったり来たり、出てきて帰っていったり……。誰かの葬式らしい……。

 ティモーナとルカァイがやって来た……。ティモーナは泣いている。

「ティモーナ!……ルカァイ!どうしたんだい」とセルズはティモーナに訊いた。

「リッキーが……リッキーが…………ウゥアァ~ン!アァ~ン!」と号泣に変わるティモーナだ。

『リッキーがァ~!……リッキーがアァ~!……アァ~ン!』と言い、姉の泣く理由は良く分からないらしいが、悲しいことが起きたのは分かるらしく、ティモーナの言葉を真似して泣き出したルカァイだ。  

 確かに、あの日の翌日からリッキーの姿を見ない……。『リッキーは風邪をひいた……』とは聞かされていて、大したことなさそうと思い、セルズはリッキーのことを忘れていた……。

 泣く2人と一緒に教会の建物の中に入ると小さな白い棺があり、眠った赤ん坊を抱いた少女が寄り添っていた……。少女はリッキーの母親だった……。

「アハァァァァァァ~ンッ!ウゥイィィィ~ッ!リッキ~ッ!ウゥイィィィ~ッ!アハァアアアァ~ン!」と泣き喚いていた……。

 4日前は‘‘ユーアーマイサンシャイン’’を一緒に歌い、『トム・ソーヤ』の‘‘ガムのシェア話’’に夢中で、子供達の中一番喜んで笑い捲っていたのに、今日は号泣の母親少女だ……。

『トム・ソーヤ』の話に大はしゃぎの4日前の夜から、リッキーは風邪をひいたのであった……。上がった熱は下がらす、どんどん弱っていくリッキーであった。『風邪を拗らせた』……???『100人いたら1人の国』で『風邪を拗らせ死亡』などというのは、まず聞かず、風邪など薬を飲めば直ぐに治ってしまう。3日めに帰らぬ人となったリッキーであった。
(「‘‘避難テント村’’に行けば薬ぐらいもらえたのに……」)と思いながら棺の中のリッキーに十字を切るセルズであった……。たった数時間であったが自分に懐いてくれたリッキーを思い出し目頭が熱くなるセルズであった……。


カリフォルニア州
サクラメント
州政府庁舎知事執務室
ロサンゼルス
モハベ矯正センター
街頭スクリーン前等

アメリカ合衆国
カリフォルニア
サンアンドレアス断層

トランスバース山脈
サンアンドレアス断層引き込まれ地下水脈トランスバース山脈西部各山下井戸(連爆干渉破壊方式特殊核実験核坑道)

 引き込まれ地下水脈井戸はモハベ砂漠真西の、標高2千数百mの山々が連なるトランスバース山脈西部各山下にある(架空)。カリフォルニア州知事の悲しみは、秋から春にかけて死者も出る程の大災害になる太平洋側の山火事であった。
 一般的に、カリフォルニアには海から(太平洋)大陸に向かい風が吹く(気流が進む)。
フェーン現象
 海からの水(水蒸気)を含んだ気流が、上陸後に山脈の山々に当たり上昇させられ上空で冷やされ降雨、山頂付近の高所では降雪となる。山頂を超えると乾燥した風が吹き降ろされるフェーン現象が起きている。
カリフォルニア州北部『ディアブロの悪魔』南部『サンタアナの風』
カリフォルニア州北部『ディアブロの悪魔』
ロッキー山脈とシエラネバダ山脈の間にあるグレートベースン大盆地や周辺砂漠地帯(モハベ含む)は、フェーン現象により荒漠の地となっている。
 特有の地形、気象条件の乾燥地帯の内陸側から、乾燥した気流が山脈を越え吹き降りる時に、更に乾燥高温乾燥化され、山火事が多発しており、カリフォルニア州北部では『ディアブロの悪魔』と呼ばれている。
カリフォルニア州南部『サンタ・アナの風』
 グレートベースン大盆地付近で発達する高気圧から、低緯度方向に吹く風あるいは、風上のモハベ砂漠で昇温乾燥の風となりサンタアナ渓谷から北東ないし東の強風となり吹き出す。ニューボルト付近から太平洋上160km位にまで達する『サンタ・アナの風』が吹くと、海岸部は砂漠より高温となり、山火事多発の原因になっており、住民を脅かしている。
喧嘩中の2人……合衆国政府大統領ウォルト・ブッシュ大統領とシュワ知事は、急遽一時休戦してカリフォルニア山林火災対処にタッグを組んだ……
シュワルツェネッガー知事は身体を張って火災現場に視察に急行し、火傷を負ってしまった……

サンタアナの風……砂漠地帯を通過して乾燥高温となった気流が、山脈の山々の斜面を昇り、更に【フェーン現象】で『濃縮ウラン活動』の如く、人が生き暮らしている山中に狂暴な乾燥高熱風となり牙を剥く……。
 モハベ砂漠真西のトランスバース山脈西部の山々を【平和核(特殊核実験)】により沈下させて、内陸からの風の通り道にする。【サンタアナの風】を弱めることにより山火事を防ぐ。
『アルマゲドン』
『ディープインパクト』
 SF映画では【核爆発の平和利用】は何作かある。が……宇宙空間での話が多いようだ。地球での【核爆発の平和利用】が行われるとしたら……?
『天体の衝突』という差し迫った危機以外に、人が生きて暮らしている中での【核爆発の平和利用】への理解は得られないであろう。
 今まさに、SF映画『ザディアフタートゥモロー』の世界の終焉が訪れる【地球危機】の真っ只中であり、事態は『差し迫っている』ことを理解している筈なのに、人々は動こうとせずに『今までと変わらない日々』を続けようとする……。

 新聞記事に寄稿された論文により、世界中の人々が知ることとなり【平和核】を求める国際世論が次第に高まりつつある(後述)中、やはり『猛烈に反対』する人達がいた。それは【平和核】が行われる地域で暮らしている人達であった。
 カリフォルニア州アーノルド・シュワルツェネッガー知事の果たすべき使命……。それは……『州民の理解と協力』を得て、一時避難措置により市民の安全を確保することである。
【特殊核実験】は震度4クラスの地震が長時間続く。最高峰でピノス山標高2600m……仮に山頂の土砂岩石が2000m落下するとしたら……?空気抵抗も考慮して最高速度で300km/h位で土砂が落下するとしたら……20数秒であろうか……。
 落下衝撃が次の山(隣の巨大な重量の土砂岩石)を上方向に持ち上げる力が働くために落下衝撃が山頂まで到達するまでに、同じ位の時間が掛かる。核爆発1に対し約1分間を費やし、核坑道は約20本近く掘られているため、震度4位の地震が20分近くの間続く。
 高層ビルなどは大きく撓り、倒壊の恐れのある建物もあるであろう。倒壊は免れても無事で住む建物はまず無いだろう。やはり『山林火災を防ぐため』が理由で、自身の生活が壊される恐れがある人達にとっては『山林火災を防ぐため』が理由では受け入れろないであろう。
『猛烈に反対する人々のデモ』行進が起きた……。
『猛烈に反対する』人達に『一時避難の理解と協力』を得るのはカリフォルニア州政府である。
カリフォルニア州政府の『一時避難要請』は【平和核】実施日が近付くにつれて『一時避難命令』に変わっていった。
 反発する人達の行動は徐々にエスカレートしていった。
 高層ビルなどは大きく撓り、倒壊の恐れのある建物もあるであろう。やはり自身の生活が壊される恐れがある人達にとっては『山林火災を防ぐため』が理由では受け入れろないであろう。

「『山火事を防ぐため』に【平和核措置】を行うにあたり、ロスパドレス連邦国有林(トランスバース山脈西部)を立ち入り禁止区域に指定し、ロスアンゼルス都市部からの一時避難を命令する……」シュワ知事からロスアンゼルス市民達への【州知事命令】だ!これには市民達は激怒し、デモ行進が行われ、警官隊と衝突……やがて暴動に発展したのだった!

 テレビニュースでは、白人警官4~5人が1人の黒人市民を、死ぬ寸前までトンファー棒でブチのめす映像が流されている。『人種差別だ!』典型的暴動発生パターンだ!

 暴動は警官隊の力では抑えきれなくなり、止むを得ずに、州兵へ出動命令が出された……。カリフォルニア州知事8年間の任期終了間近のシュワ知事には苦渋の決断であった……。

 州民達はテレビのニュース映像に我が目を疑った!『一時避難命令』……権力から銃口を向けられ避難を強要される……。州兵が銃で威嚇している!州民の安全を守るためだ。止むを得ない部分に対しての州兵出動命令だ。警官達が黒人に人種差別集団暴力だ。
『自由の国のアメリカ人達には到底受け入れられないことを、事もあろうか?シュワ知事の命令を受けた州兵から脅される??』『偽物のヒーローだ!』【一時避難命令】でシュワ知事の支持率は吹き飛んだ。
「全てシュワ知事が命令している!」
「【シュワちゃん】は常に正義の味方……なのに?それが何ンだ?州兵に銃を持たせロスアンゼルス市民に銃口を向けさせているではないか???有権者に対する裏切り行為だ!ファッケェン!シュワルツェネッガー!辞めてしまえッ!」裏切られた思いのカリフォルニア州民達だった。
 普通の政治家なら『入院して寝込んで』しまうだろう……。そういうワケにはいかないシュワ知事であった。『ハリウッドのスター』であったシュワちゃんには意地があった。逃げも隠れもせず会見に臨んだ。開き、記者達からの質問責めに自らが受けて立ち答えた。
「今回の暴動は悲しいヨ……州民に対し銃口を向けさせる……命令したのはワタシだァ~ワタシを悪く言うなら言ってクレ~!……だが!ワタシは州民を守る使命があるンだァ!……州民を守る為ならワタシは悪者になるサァ~!撃たれて殺されたって構わないゾウ~!記者の皆ンなァ~キミ達ならどうするゥ~?ソォ~!ワァヨォゴナァドゥ~?」
『プレデター』のカッコヨキナセリフ『作戦は何ンだァ~?』で記者達に逆質問だ。常にカッコ良くないと気が済まないシュワちゃんだ。
「…………」「…………」「…………」「…………」何も発しない記者達だ。暴動についてあっさり片付けたシュワ知事だ。これから記者達を味方につけるつもりだ。
「ワタシが州知事になって、まだ日が浅い頃に決めたンだ!……サンアンドレアス断層引き込まれ地下水脈トランスバース山脈西部各山々下井戸掘り工事はカリフォルニア州の水不足対策に奏功したヨ……!当時、本当の目的を知らされず……私は【農産プラント】が上手く行き有頂天だったァ~!……【ピラミッド】は魅力的だったァ~!」と『任期中の完成を断念した【ピラミッド計画】』をネタにした。
フフハハハハハハハハハ~!と笑い声の記者達だ。ウケて笑顔を見せるシュワ知事だ。
「……であったのに……他州が真似して材料のプラスチックゴミが集まらなくなったンだ……【ピラミッド】完成の手柄は……次の州知事に譲るヨ……」
ワハハハッハッハッハハハハハハ~!とまたまた記者達からの爆笑ゲットだ!
「マぁ~その頃には私は大統領になってるカラ~国防長官に『やらせのUFO』を飛行派遣するよう命令するつもりダ!」と気を良くして、またまた記者達のジョークで笑いをゲットに走るシュワ知事だ。
「????」と『このジョークの【オチ】は何ダロ?』と笑いを待つ記者達だ。
「たまに『やらせのUFO』を飛ばしてェ~【カリフォルニアピラミッド】を世界中のヲタクUFO信者観光客達のメッカにしては駄目かァ~?」と放つシュワちゃんだ。
ワハハハッハッハッハハハハハハハハハハハハ~ッ!と爆笑の記者達だ!政治家が自分の話に注目させるための常套手段『笑いの前ふり』は流石、元ハリウッドスターだ……。
 たまに政治家が『失言』をやらかすのは、そこでミスるワケで、政治家の~常套手段~は『政治生命を掛けての冗談』なのだ。記者達はシュワ知事に大注目だ。シュワちゃんは多分、次から本題に入る……。
「……『水脈は枯渇する』知らされ心をブチのめされたようだったヨ……本当の目的は【特殊核実験の坑道】と知らされた時、更にブチのめされたヨ……でも合理的だロ?……第2の目的はカリフォルニア州民を山火事から守る為だから……地球温暖化はどんどん進んでいる……山林火災は年々増えて規模もデカくなってるだろォ~!早く手を打たないとカリフォルニアの山々の木々は火事で無くなり丸裸になってしまうヨ……」
 シュワ知事が真面目に発言して【笑い】をくれないなら……記者達は攻撃を開始した。
「カリフォルニアの山火事を防ぐ為に核の平和利用とは、他に出来ることを放棄して性急すぎる印象に思えますが……実は本当の目的があるのではありませんか?」と、フィリピンのスラムの‘‘大卒スカベンジャー住民’’のように【更に真の目的】について触れようとする‘’気の利いた記者‘’がいた。記者はシュワ知事がビクッ!と身体を震わせたのを見逃さなかった。
「現時点では答えられない……」と思わず言ってしまったシュワ知事を見てキラン!と目を光らせロックオンだ!
 シュワ知事は身体がブルブルと震えだし額から玉のように汗が沸いて出てきた。会見スペース袖で心配そうにシュワ知事を見つめる1人の美しいスーツ姿の女性がいた。秘書のステファニーだ。心臓手術歴のあるシュワ知事の健康状態が心配で堪らなかった。
 ステファニーは、最初はシュワ知事への憧れと尊敬で必死に勉強し、試験をパスして秘書となったのであった。が、実際のシュワ知事はあまりにも『自身の支持率』ばかり気にして、大統領やアメリカ政府高官とは喧嘩ばかりで、すぐに失望したのであった。
「ため息つくンなら愚痴聞くよ……奢るヨ!ビールでも飲みに行かないかい?」と
美し過ぎてハイソなステファニーに巷の男性は最初から諦めて声を掛けて来ない所をビリーは躊躇なく声を掛けてくる。
「州知事秘書のアタシをナンパするなら試験パスしてから来てネ……頑張ってネ!ビリー……あっ!そこ……さっき砂糖溢したてたワ……しっかり掃除機かけておいてネ」……あの頃、掃除学生のビリーは、暗くつくため息が癖になっていたステファニーに、気が滅入ってる時にいつも優しく声を掛けてくれた……。恋人にはノーの収入で吊り合わないビリーに好感は抱いていたステファニーであった。
 昨年、超難関試験をパスして今は社会的に地位の高い仕事に就いた彼と、州知事秘書の自分とは、カップルとして吊り合いお似合いだ。……。シュワ知事の任期が終わったら結婚の約束をしているビリーとステファニーの2人だ。
 結婚の前だから、尚更に秘書の務めはしっかり果たしたいステファニーであった。任期初期に、あの日本人の製鉄会社のキレ者ウミスズ(海鈴)が来た時からだろうか……?
 相変わらず『自身の支持率』ばかり気にするのは変わらないが『州民のため、社会のために政治家たるや』を見つけてしまったシュワルツェネッガー知事だった。彼の政策に心を揺さぶられ続けて来た秘書ステファニーだった。
 任期終了間近の総仕上げの【トランスバース山脈西部特殊核実験】……管轄は国防総省だが、許可はシュワ知事が出している、任期終了間近の総仕上げの【トランスバース山脈西部特殊核実験】……サポートに全力を尽くして来てステファニーだ。
【海鈴のプレゼン】の通り(後述)地球規模の危機に人類が立ち向かうためには、新技術の飛躍的発展が必要だ!そのためには時間が必要だ!【時間稼ぎ措置の為のデータ収集】という今回の【特殊核実験】にカリフォルニア州知事としてサインしているのだ。
 いわば、地球を救う為に知事としてする事をしているだけなのに、世論はシュワ知事命令に『裏切り者!』『偽物のヒーローだ!』『市民に銃口を向けるのか!』ヒドいバッシングだ!もう、我慢ならなかった!ステファニーは袖のスタンドマイクから記者達、州民に対し言葉を発した。
「プレス関係の皆さん!そして州民の皆さん!シュワルツェネッガー知事はここのところ【特殊核実験】関連の公務で多忙を極めております!ご存知の通り、手術もされたことがあります!身体への負担を考えて、今日の記者会見は、この辺で終了させて頂きます!」
「待ってくれェ~!大丈夫だ!」とステファニーを遮り「質問なら続けてくれたまえ」と記者の質問からは、あくまで逃げないつもりのシュワちゃんだ!ステファニーを袖の方に追いやった。
「◻️◻️州⚪⚪大学の△△博士が今回の‘‘特殊核実験’’について発表した論文の記事についてですが……」と始まった記者の追撃質問だ。
ビク!と身体を震わせ大きく目を見開いたシュワ知事に更に更に追撃質問だ!
「お訊きします!△△博士の論文……『カリフォルニアでの‘‘データ収集核実験’’』という言葉が出ていますが……今回の核実験は第3の目的……‘‘データ収集をする’’……ということについて質問します!何の為の‘’データ収集核実験‘’なのでしょうか?何かカリフォルニア州民に隠していることがありませんか?」と容赦ない記者質問だ!
「ァ~……ア~ッ!ァ~……ア……」と口をあんぐり開けて限界に近いシュワ知事だ。
「△△博士はヒマラヤ山脈横断地下トンネル国際公共工事について、△△博士はのニューヨークニュースペーパー新聞社にも寄稿しています。記事についてですが……」と質問の記者だ!
「やめてくださぁァ~い!会見を終了します!」とステファニーが叫ぶのと同時だった!
ドタドタァ~ン!と会見場に重量物が床に落下する衝撃音が響きわたった。シュワちゃんは、倒れてしまった!
「シュワ知事~ッ!」と叫び、倒れてしまったシュワ知事に駆け寄るステファニーだった。

 モハベ矯正センターの囚人牢部屋の中、ベッドに寝転びテレビで州兵出動のニュース映像を見ているチャンクも中指立てファックだ!
 相変わらず真向かいの牢部屋の鉄格子に張り付いてチャンクの牢部屋のテレビを見ているのか?テレビを見るふりをしてチャンクを見ているのか?ホモっ気囚人ジョイだ。
「ワハハハ~ッ!ざまァ~ネェでやンのォ~!あのゴリラ野郎ォ~ファッケェン!シュワルツェネッガーめが~!イケ好かねぇ~野郎ォだったンだっつゥ~のォ~!」
「そうよねェ~!大切なアタシのチャンクを逆さ吊りにして落っことして!……プフ!……でもアレは面白かったワ!」相変わらず真向かいの牢部屋の鉄格子に張り付いてチャンクの牢部屋のテレビを見ているのか?テレビを見るふりをしてチャンクを見ているのか?ホモっ気囚人ジョイだ。
「うるせェ~ってのォ!このホモ野郎が見るンじゃねェ~ッ!」と言いながらチャンクはベッドから起き上がりテレビ画面を横に向けてしまった。
「ヤァダァ~ッ!チャンク!見えないじゃない!」
「アハァ~ッ!ハッ!ハッ!ハァ~ッ!ゴリラ野郎ォ~!‘’ロスの暴動’’で参っちまってやンの!泣きそうな顔してンじゃねェ~か!泣いていいンだぜゴリラ野郎ォ~!オッケー?『オッケー!』ブバァン!(銃声モノ真似)ワハハハッハッハ~ッ!」と『コマンドー』モノ真似をして1人でウケているチャンクだ。
【オッケー?】

「キャハハァ~ッ!ウケるゥ~ッ!似てる~!上手い!上手い~ッ!本当~ッ!『いいき気味』だってのォねェ~!あ痛ッ?」
カァ~ン!と音を立ててジョイの頭にチャンクが投げたホーローコップが当たった。


○月△日-2日
避難テント村
活動要員隊テント
 トゥポインティングエリアから数km離れた高台にある避難訓練村の広大な畑の土地にスラム住人達の避難テント村が設置されている。土地の一角にはセルズ達の寝場所兼通信機材室代わりのテント、ヘリポートなどがあった。
 セルズはフィリピンから8,653マイル……約1万3千925km離れたワシントンD.C.のアメリカ合衆国エネルギー省第2特殊部隊ダークベレー本部に‘‘泣き’’を入れた。
「いくら説明しても聞く耳もちません!」‘‘泣き’’報告だ。バイクが盗まれたことも報告した。
「……引き続きビラを貼れ!」とのマーク大佐からの冷徹な答えであった。
「……………………」セルズが絶句していると……チ!……とマーク大佐の舌打ちする音が聞こえてきた。

トゥポインティングエリアスラム
 セルズは相変わらず、徒歩でビラを貼りながら説明して周っていた。ティモーナ達子供が付いてくるのが救いかも知れない……。勿論、相変わらずブブブブゥゥ~ン!と羽音をさせて常に蝿が集ってくるが、歌を歌いながら歩いていると割りと楽しい時間だ。遠くから独特の爆音が近づいて来た。
ドプドプドプコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ!と汎用ヘリコプターのエンジン爆音が遠くから近づいて来た。セルズ達のいる辺りを強い風が吹いて来た。
 
 セルズ達は空を見上げた。アーミーOD色のヘリコプターUH―1J……日本の専守防衛陸軍‘‘陸上自衛隊’’のヘリコプターが低空で飛んでいる。スラムの調査飛行らしい。 
 UHのスキッドには‘’使わない偵察バイク‘’が飾りの様にくくり付けてある。開けられた側部ハッチの開けられたキャビン端椅子に座り‘‘WAC…女性自衛官’’と呼ばれる女性兵士が搭乗しているのが見える。ビデオカメラで上空からスラムの様子を撮影している。
 階級はアメリカ軍で言うと‘‘軍曹’’位らしい……。子供達が手を振ると女性兵士は笑顔を見せて振り返してきた。UHのスキッドの‘’使わない偵察バイク‘’を見て、セルズは瞳を宝石の様に輝かせた。
ブルワァウワワワワワワワワワワァァァァァ~!とエンジン音をさせて‘’ジャパニーズ陸上自衛隊‘’のUHは飛び去って行く。暴風は収まった。
ブブブブブブブブブブゥゥゥ~ン!と羽音がして相変わらず蝿がセルズと子供達にまとわり付いて来た。

避難テント村 
ジャパニーズ専守防衛軍‘‘自衛隊’’テント
 国際活動には日本の専守防衛軍‘‘自衛隊’’も参加していた。避難して来た人達の保護と、テント村での食事と衛生面、寝場所、生活を提供するためだ。
「避難テント村で活動している日本ジャパニーズ専守防衛軍‘‘自衛隊’’が、避難テント、食事等を用意する活動をしているから頼めばどうだ!」と、あまりの絶望から泣きついたセルズへのマーク大佐からの回答えであった。

「頼むヨ!」
「ダメです!」とヘリから子供達に見せていた笑顔とは別人の様に愛想が悪い‘‘女性軍曹’’モンダだ。
「規則ですから!」‘‘規則’’、‘‘規則’’と融通が利かない。
「だってよう……さっき見せただろう?まだ、これよりも(ビラ束)沢山あるンだゼ!バイクが無けりゃ無利だヨ!……な!……頼むヨ!貸してくれヨ!」
「…………我々は避難住人達に食事や医療を提供したり保護が任務です!……⚪月△日8時までに避難させることについてのビラを貼って説明してまわる……というのは我々の任務では(ないですね)ッ?」
「アイツ等ァ~信じらンないンだゼ!『テント村行けばメシ食わせてくれるゼ』言ってンのに『空き缶拾って酒代作らないとペペラァ~!』とか抜かしてやがんだぜ!」融通が利かないジャパニーズアーミー‘‘自衛隊’’モンダ女性軍曹を遮ってセルズは言った。
「我々の任務は避難して来た人達への一時的生活等の提供と保護です!‘‘ビラ撒き’’ではありません!」と同じ回答だ。
「こっちは避難を促す……『命を守るための任務』をしてンだて言ってンだヨ!手伝うつもりはないンダロ?なら、いいからサァ~!バイク貸してくれヨ!」
「…………結論はスラム住人を⚪月◻️日8時までに避難させ命を守るンですよね……確かに『アメリカ合衆国政府は……日本に協力を求める旨を伝えて来た』と、我々の部隊では伝達がありました……地震の【完全予知】により大津波が来るのが分かっていて『動こうとしないスラム住人』達をテント村に避難誘導せねば、数千人の被害が出ます!何ンとしても住人達を避難させねばなりません!」とスラム住人達の避難の重要さは分かっている様だ。
「だったら……」と言い始めたセルズを遮ってモンダは言った。
「ビラを貼って説明周りまでは、我々の任務ではありません」と【そもそも罰ゲームのようなセルズの任務】に協力するつもりはないモンダだ。
「アイツ等ァ~信じらンないンだゼ!こっちは必死で言ってるのに!そのうち『酒飲ましてくれるならテント村行ってもいいけどペペラァ~!』なンてヌかしてやがんだぜ!」
 セルズの言葉を聞いてキラン!と女性軍曹モンダの目が光った!
「ムカつく奴等だろう?バカにしやがっ(てヨォ~!)ッ?」その時だった!モンダがセルズに‘‘フェイスオフ’’近付きしてきた!
「スラム住人達はそういう趣旨のことを言ってるンですネ?」とフザけたことを言う住人達に憤りを感じているのか?セルズの言葉を遮り、目の光を爛々と放ちモンダは訊いてきた。
「そ……そうなンだヨ……だからビラ貼り手伝ってくれるか、バイク貸してくれよ」
「………分かりました……あなたが配る分以外のビラを手伝います」
「本当に~?ありがとう~!センキュー!」と言いながらセルズは(「しかしこの女軍曹は融通が利かねェ~なァ~!全部やってくれヨォ~!」)呆れていた。


翌日のことだった……。スラムがあわただしく騒がしかった。ティモーナとルカァイがやって来た。


「空からお菓子が降って来るンだ!」とビラを手にティモーナは息を弾ませて言った。
『空からお菓子が降って来るンだ!』とビラは手にルカァイは復唱する。
ビラを見せてもらうとビラの端にミニ菓子袋‘‘柿ピー’’が付いている。ビラの余白には新たな印刷文章がある。
『○月△日-1日の午前8時○分において、スラムの教会で‘’アイスクリーム‘’を配ります!‘‘ラム酒’’風味のアイスクリーム!マサラップ!マサラップ!(美味しい)‘’アイスクリーム‘’』
 早速、教会に歩いて向かってあるくとイヤな予感がした……。教会に進む道は『どこもかしこも人!人!人!』スラム住人の大行列だ。教会から歩いてくる大人達はゲラゲラ笑いながら口々に信じられないことを言っている。
『今日から○月△日まではテント村に泊まろうペペラァ~!』
『イヤァ~いい気分だねェ~ペペラァ~!』
『空き缶拾わなくても酔っ払えるねェペペラァ!ケェへェへヘエハッハッハァ~!』例に‘‘トム笑い住人’’も顔が真っ赤だ!
(「まさか?酒飲ましてンのか?」)と愕然としたセルズは教会に急いだ。教会に着くと‘‘自衛隊’’の兵士達が‘’アイスクリーム‘’の小さなカップを配っていた。
‘‘自衛隊’’兵士達はタガログ語の笑顔で叫んでいる。
「子供にはコチラ(普通)、大人にはコチラ‘‘ラム酒風味’’を配ってます!あ!ダンナさん!さっき並んで‘‘ラム酒風味’’アイスクリーム貰いましたよね?ダメ!ダメ!お代わりしたかったら‘‘避難テント村’’に行って下さいネェ~ペペラァ~!」
「イヤァ~!初めてだヨペペラァ~!」
「ダメ!ダメ!お代わりしたかったら‘‘避難テント村’’に行って下さいネェ~ペペラァ~!」
『オォイ!割り込みはズルいぞォ~ペペラァ~!』
『並ばないヤツはブッ殺すゾォ~ペペラァ~!』
『マジブッ殺すゾォ~!ケェヘェハァホォヒヒィィ~!』‘‘ケンケン犬笑い住人が’’だ!
『イ~ッヒィヒィヒィヒィヒィヒィヒィ~ィッ!』‘‘ジャワ星住人笑い‘’住人だ!
「‘‘テント村’’に行って下さい!‘’おかわり‘’ありますヨォ~ペペラァ~!」と叫ぶ‘’自衛隊‘’兵士だ。
 セルズは行列の先頭に行き‘‘自衛隊’’兵士からカップと木ベラを貰った。カップから‘‘ラム酒風味’’アイスクリームを一匙口の中に入れて舌の上で溶かした。冷たく甘いアイスクリームの味……というより‘‘アイスクリーム風味’’フローズンラム酒……『度数の高いほぼ酒類』だ!
「おい!『ビラ貼り手伝ってくれる』って言ってたのに!これは、何んだ?どういうことだ!誰が‘‘ラム酒’’を配ってくれって頼んだ?」と‘’伍長‘’位の階級の男性兵士に言った。
「『‘‘ラム酒風味’’で……』て言ってました……モンダ軍曹に聞いて下さい……今、無線で呼びます……ハンター01!……ハンター01!コチラ教会……コチラ教会!」
『コチラ、ハンター01…教会どうぞォ~!』
「どうぞ!」と無線マイクをセルズに手渡す男性伍長だ。
「ヘイ!モンダ軍曹!どういうつもりだ!何ンだイッ~?お酒飲ましてるのと同じじゃないか!オーバー?」と言って渡された無線マイクにまくし立てるセルズだ。



第6話-3に続く……


写真集紹介『ゴミと宝石』上田敏博・戸井十月



専門家の写真(転載)紹介
山村武彦さん
 世界中で発生した災害の現地調査を実施、報道番組の解説で有名な実践防災危機管理第一人者……



緑黄色社会/想い人