私は、眠っている間に見た夢の内容をよく憶えている方なのですが、
父も夢の内容をよく憶えている人で、時々その内容を話していました。
その中で、今でもよく憶えている夢の内容があります。
思い出すとつい笑ってしまうからだと思います。
「昨日さぁ、変な夢見たんだて~」
いつも父はそう言って話し始めました。
当時、祖父が鴨を飼っていたのですが、
冬場になると飼っている小屋から庭に持ってきて、
鴨の首をつかむとクルッとひねって曲げ、
紐で首のつけ根とクチバシを束ねて麻紐でグルグル巻きにして縛り、
籠の中にポイポイ入れてどこか(たぶんお肉屋さん)に持って行っていました。
時期になると、近所のお肉屋さんにはいつも鴨が何羽もぶら下がっていました。
今考えるとすごくシュールだな・・・と思いますが、
当時は毎年見る当たり前の風景でした。
父の夢の中では、祖父がいつものように庭で鴨を扱っていたところ、
暴れて祖父の手の中から逃げてしまい、
籠もひっくり返したので中の鴨が全部飛び出して逃げ回り、
「てーへんだ!」(たいへんだ!という意味)
と言って家の前で何羽もの鴨を追いかけ回していたという話でした。
文章にしてみると、どこがおもしろいのかサッパリわかりませんが、
父がニコニコしながら楽しそうに話していた様子と、
いつもムスっとしていたり、すぐに怒りだして大きな声を上げる祖父が、
慌てふためいて鴨を追いかけ回す様子を想像して、
きっとクスッと笑ってしまうのだろうなと思います。