AIR-TIGHT ATM-300R 真空管ステレオパワーアンプ | 禁断のKRELL

禁断のKRELL

ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。

 

 

AIR TIGHT ATM-300R 真空管ステレオパワーアンプ 2018年 日本 ¥1,155,000 (出力管なし)

 

 

 

 

 

三段構成の300Bシングルアンプ、初段はECC82によるカスコード増幅、
負荷となる上のユニットのグリッドには出力管プレートからNFBが掛けられている。
WE91型に近い負帰還方式で二段目は12BH7Aによるパラレル接続で
300Bを駆動。出力管は直流点火の自己バイアス。B電源の整流は
5U4GB。平滑用チョークの入り口の平滑コンデンサーは40μFと
直熱三極管整流として大容量で保護回路も設けている。
先代の300ANNIVERSARYからの変更点は、出力トランスに
タムラ製作所の新型を搭載。電源トランス、チョークコイルを層間紙巻きに変更、
カップリングコンデンサーをオイルコンからフィルムコンにするなど
幅広い出力管に対応する為、徹底したチューニングを行っている。





直熱三極管の魅力は、クリアーで音像のエッジが非常に鋭く切れ込むところ。
ATM-300Rは現代的なハイエンドサウンド。他の300Bアンプよりシャープな音。
抜群の高S/N比でハイスピード、クオリティが高く、ワイドレンジでドライブ力がある。
強靭で清澄な透明感は、ビーム管プッシュプルアンプの音が濁って聴こえるほどだ。
300Bアンプはどちらかというとすっきりした音である。とくに特性重視で

設計されたものは半導体アンプと間違う事もよくある。だが本機は薄い口ではなく、

真空管の余韻や響きがあり、聴きごたえのある濃い味わいがしっかりとあって、

マッシヴで力強いアメリカンサウンドへの欲求に応えてくれるブランドの象徴といえる。
弦楽器の艶のある上質な質感や音場に漂う凛とした空気感などを鮮明に描き出す。
特筆すべきは「音が生きている」精気に溢れ活き活きとした音であることだ。
日本的な真面目さでつくられているが、明るくスケールの大きい再生で

輝かしい生命感が横溢している。女性ボーカルはインティメートな暖かさがあり、

ていねいに描写され情感が深い。瑞々しく磨きこまれたように非常に美しい音だ。

直熱三極管シングルアンプは出力が取れない、低音の量感が少ないのだが、

その欠点は後から気になり始める。


出力管は高槻TA-300B と PSVAN 300B が ATM-300R と相性が良い。
無帰還なら、WE300B や CETRON300B だが、古典管よりも洗練され

すっきりした音の現行管が本機には向いている。


 



出力:9W+9W(ひずみ率<10%)
全高調波歪率:1%以下(1kHz/1W/ 8Ω)
入力感度:290mV(9W)
ダンピングファクター:7(1kHz/1W/ 8Ω)
周波数特性:30Hz~40kHz(-1 dB/ 1W)
外形寸法:430(W)×275(D)×245(H)mm
重量:24.5k

 

 

 

 

 

左から順番に ATM-300、ATM-300ANNIVERSARY、ATM-300R。


 

 

 

AIR-TIGHT ATM-300R は同社で最高の人気製品 The Absolute Sound誌の2020年度

ベストチューブアンプ・オブ・ザイヤーという管球アンプにおける最高賞を受賞してる。

また三年連続でゴールデンイヤーサウンド賞も受賞している。

 

 

 

AIR-TIGHT ATM-300R の月産台数は5台ほど。

 

 

ATM-300Rは高槻電気工業のTA-300Bで開発されており相性/マッチングも最高である。
スピーカー次第のところはあるが、高槻はあらゆる300Bと比較しても2ランクは上のグレードを実感できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ATM-300Rは能率が高い現代的なスピーカーと組み合わせを前提に設計されている。
鳴らすのがALTEC 604CだとALTEC 1520Tにはなにを鳴らしても敵わなかった。
ヴィンテージのスピーカーにはあまりマッチングがいいとは言えない。
最新鋭のハイエンドスピーカーを鳴らす為の300Bアンプとして開発された。
現代的なスピーカーで能率が良いスピーカーというと選択肢が本当に少ない。
スピーカーは最低でも現代JBLで、本来はセミアクティブ型の

最新鋭のavant-gardeで鳴らして正統な評価を下すべきアンプ。

avant-gardeで鳴らさずにATM-300を手放すのは勿体ない。

最高の音が出ている。他にはParadigmにもセミアクティブ式の96dBの

高能率モデルが存在する。ATM-300Rは最終到達点のひとつと言える

大変優れたアンプで、最低でも数年はじっくりと向き合ってみてほしい。

真空管やケーブルの交換にもしっかりと応えてくれる高い性能をもっている。

 

 

オーダー時に16Ω 8Ω と 8Ω 4Ω の二通りの出力端子が選択できる。
殆どの人が8Ωと4Ωを選択し、16Ωと8Ωはたまにオーダーが入るそうだ。

ハンダゴテが使えるなら簡単な配線変更で後からでも出力インピーダンスは変更できる。


300Bのプレート電圧の定格は480Vが上限値。ATM-300Rのプレート電圧は

437Vとなっている。毅然とした音の表情や強靭な切れ込みは高い電圧が実現。

出力は9W。一般的な300Bシングルアンプのプレート電圧は350Vで、
SUN AUDIO SV-300BEは4.7wしか出ないのだが、プレート電圧320Vと

球を労わった設計になっている。

 

 

 

 

 

 

2022東京インターナショナルオーディオショウにA&Mの北米ディーラーで

カナダ人の女社長が来日されていた。数名の欧米人の方もいらっしゃったが、

全員販売店のオーナーであるそうだ。

 

彼女はavant-garde MEZZOとATM-300Rを自宅で使っているので

球のリコメンドを尋ねました

 

 

「KR 842VHD Western electric 300B TAKATSUKI TA-300Bがお勧め」と教えて頂きました

 

 

三浦社長のお勧め「WE300B(1946年) 高槻 TA-300B PSVANE WE300BそれとポップスならEH300B」

 

三浦社長に尋ねると12AU7は Siemensがお勧めで、本物ならTELEFUNKEN ECC82もお勧め。

(ただし市場に出回っているTELEFUNKENはほとんどが偽物)

 

初段の12AU7は重要だが、12BH7Aと5U4GBはそれほどこだわらなくてもよいのではというご意見でした。

5U4GBは自己判断で勝手に5U4Gなどに交換してはいけない。電気的に不具合が起きる。

 

 

筆者のお勧めはPSVANE 300Bの安い黒袴のもの。安い球の方がよく、

ダイナミクスやハリがあり、新鮮でクリアでWEの古典球のように

くすんだ音がせず、女性ボーカルは輝きと余韻に満ちた魅惑的な表現である。

ただドライオードの山崎社長に聞くと白袴のPSVANEはセラミックベースで

音質はこちらのほうが良いらしい。白袴は外観的にあわないのでお勧めしませんが。

 

 

 

 

AIR TIGHT ATM-300R A&MではB&W802D3を試聴室で使用中、
過去に使用した経歴があるのはB&W800MATRIXやTANNOY Kensington
スピーカーは4Ω 89dBあれはOKで、91dBあれば尚良い。AppleWatchで
簡易計測した75~85dBくらいの音圧レベルを前提とした話だが、
TIASでも実際それぐらいの音量だった。(三浦社長)

 

 

 

 

 

AIR-TIGHT社 ショートインタビュー