ALTEC 1569A モノーラルパワーアンプ 1957年 アメリカ合衆国
1568Aと同年の1957年に登場したパワーアンプで
映画館、学校、駅、工場、教会といった公共性の高い場所で
使用された。使用球の6CG7×2は1568と同じだが
EL34を片側で4本使ってパラレルプッシュプル動作として
出力80wを得ている。整流管5U4GBも2本使用して
パワーアップに対応している。入力インピーダンス150Ω
/600Ω/70kΩ、出力インピーダンスは4/6/8/16/62Ω
周波数特性は5Hz~30kHz(+-1dB)となっている。
回路構成とレイアウトはALTEC 1520Tを受け継いでいるのだが、
わずか数年で驚くほどハイファイ・サウンドに変貌を遂げている。
クオリティが高く、まるで現代アンプのような音を聴かせる。
音を遠くに飛ばす事を目的とした、ストレートで開放的な音である。
真夏の湖面に浮かぶ水面(みなも)のようなアルテック独特の輝きや
眩しさも相対的に控えめとなっているが、
1569は明るく華やかで活き活きとした表情のボーカルが朗々と歌う、
情熱的で熱気に溢れた紛れもない正統アルテック・サウンドである。
ただ温度感が高いだけではなく、人の声が感情の暖かさを伴って聴こえてくる。
1520Tなどハンマートーングレーのトランス類が化粧ケースに入ったモデルは、
いわば毒も華もある、ゾクゾクするような表現力も持っている。
1569Aのような緑アンプは能天気な明るさで翳りや哀愁の漂いは感じられないが、
癖っぽさや濁りが少なく素直な音でこちらの方を好む方もおられる。
1569Aは繊細さや空気感なども感じられ現代のスピーカーにもマッチする。
ハイパワーなビーム管でありながら直熱三極管を思わせる澄んだ音で濁りが少ない。
EL34は6L6Gと比べると透き通るような透明感で中高域のクリアーさでは上だが、
低音の図太さでは後退する。タイトで引き締まったやや腰高な音といった印象になる。
薄い口ですっきりした音である。市場存在数の豊富さから推察される
当時の需要の高さはこのモデルの音質的な優秀さを物語っていると云える。
アルテックの音からは希望や勇気を貰える。かけがえのない存在である。
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定格出力 80W
負荷インピーダンス 4Ω(18V)/8Ω(25V)/16Ω(36V)/62Ω(70V)
入力感度 0.9V
周波数特性 5~30,000Hz±1dB/1~100,000Hz±5dB
電源電圧 AC120V、50Hz/60Hz
外形寸法 W483×H222×D203mm
重量 12.4kg/1台
ALTEC1569A pic.twitter.com/g50Tnfdiwx
— Irony オーディオ (@irony49371) August 6, 2022
錆だらけの外観でしたがメンテはしっかりしてあるようで正直なところ音の劣化は微塵も感じませんでした。
外観は汚いが再生音に関しては素晴らしく良いコンディションです。
ハーモニカタイプの信号入力部分です。見ての通り赤白の一般的な RCA ケーブルをバラして
その先端をつないで接続しています。細いケーブルでアースが取れてないので
パワーアンプのボリュームを半分ぐらいまで絞らないとブーンと言うハム音が出ます。
ベルデンのウミヘビ・スピーカーケーブルでケーブル自作するとハムが改善されます。
配線を付けたRCAピンコネクターを増設するというのも手である。