神戸市 アルテックの館を再訪問 | 禁断のKRELL

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ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。

 

 

 

神戸のアルテックの館を再訪問しました。

 

 

 

金田式WE300Bプッシュプルパワーアンプ。ステレオ機だが直熱三極管アンプに共通した印象で

音離れがよく音場感が非常に広大で透明感と強靭な切れがある。しっかりと甘さもあり、音は綺麗で

上品。やはりヴィンテージと比較すると歴然と洗練された音である。音の濃さは間違いなく薄くなるが、
瑞々しい美しい音色。 通常ステレオアンプよりモノーラルアンプの方がセパレーションが優れているので

音場感が良くなるのだが、色付けや個性はヴィンテージのビーム管アンプより少ないのは間違いない。

強烈な華を振りまくという感じではないが、やはりWE300Bは間違いなく王者の風格がある。

OPトランスはTAMURA。LUXMAN MQ-300を思い浮かべると、ラックスも随分と現代的になったが、

MQ-300の方が固有の世界があり、金田式の方が素肌美人だと思う。

この300Bアンプは出色の出来である。ただ金田式は自作アンプなのでパーツの指定こそあるものの、

白金田、黒金田、非似金田と色々あるのだそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

Western electric 300B のフィラメントは海底ケーブル用や電話局用の真空管のために開発したもので
40,000時間の寿命がある。(24時間付けっぱなしで4年間) 一本、一本、シリアルナンバーを
振って管理している。6c33cがロシアを代表する名球でWE300Bがアメリカを代表する名球。
 
 
アルテックの館で使っているWE300Bは1988年製の最終生産のもの。
以降はすべて再生産である。1988年は大量にWE300Bが作られており
OEMで他のところで作られたものも混じっており注意が必要なのだそうだ。
 

金田さんは個人的には6c33cとWE421Aの球アンプで聴いているのではないか?と伺いました。
 
 
 

 

 

 

 

 

ALTEC 604E は大変な傑作機で、音軸が揃い位相特性の精度が高いため音場感が出る。

華麗な音色である。アルティックトーンをしっかり残しながらハイファイになっている。Cタイプと

比べると切れがあり現代的な音になっている。同軸で音像定位がよく空気感をよく表現できる。

ALTECの超大型システムのように雑にならず歴然と締まった音の印象。現代にも通用する。

天井が高く空間が広いのでプラネタリウムを見ているような広大な音場空間が出現します。

ホーンも上向きになっていて、音場の高さがよく出ていた。実演のエネルギー感と熱気がある。

音のまとまり感も他のALTECのスピーカーより歴然と優れていて驚異的な性能だと思う。

音圧は100dBくらいでしんどくなるらしいが、十分なハイエナジー&ハイプレッシャーサウンド。
後ろに従えている巨大な二機は120dBを涼しい顔で歪みなく再生してしまう。
ただ以前は120dBまで上げていたが真空管でドライブすると85dBでも満足できる音が出ているという。
評価の高いシリーズ機ではもっともロングランの製品で、1975年当時全米のレコーディングスタジオで

アンケートを取ったところスタジオ使用率全米一位の実績を持つモニタースピーカーだった。

月日が流れて現在になって、性能的には過去の物になったかというと、
そうだとは言いかねるものがある。604はベークスパイダー(蝶)ダンパーとフィックスドエッジの

古いタイプは現代録音だとかパイプオルガンを再生するとアッという間にダンパーがへし折れる。

その時点でオリジナル喪失します。エレクトリの営業でALTECのプロでも515を折っている。

注意が必要である。1967年に製造開始した製品だが世代を重ねて性能も向上しており

シンセサイザーで作ったエレクトリック音源にも完全に対応している。オリジナルコーンの威力で

低域もスパッとキレがある。主はオリジナルコーンの重要さを力説されていたが、

確かにこれは重要だと感じさせられた。従来機より明らかに空間表現が向上している。

全体的に平坦化されたウェルバランスなハイファイ・トーンで鋭く立ち上がる音が改善されており、

現代物ソースばかり聴く人にはこちらがベストだろう。シルバーのハンマートーン塗装の下は

木製キャビネットだがコツコツと叩いてみると質感は金属の箱にやや近い。

オリジナルコーンでオリジナルキャビネット。箱が大変綺麗で素晴らしい。

604なのに高域が耳に刺さらないがアッテネーターが背面にありドライバーの音を絞っている。

6畳間だと、本当にほんっっとに605Aか605Bにしておいた方がいい(笑)

604は高域がきつく耳がおかしくなる(笑)

 


実は他の有名なヴィンテージの銘機と呼ばれるものは大抵このモデルの足元にも及ばない。

 


ALTECの一大傑作でまさに決定版ですね!

 

 

でもみんなALTECならA5とかA7とか大きい方に行ってしまう。共振が大きく音が汚れるし、

大雑把な音なのに。

 

 

ALTECの館ではスピーカーの間隔はかなり広く取られていた。

 

「セッティングの正解は二等辺三角形ではなく正三角形なんです」


ALTEC A5 の515ウーファーと288コンプレッションドライバー(ニイパッパッ)だとホーン311と

上手く合わないのではないか?A7の511Bホーンなら良いが、ダブルウーファーだと

エネルギー感がマッチするので世間では低く言われているが817Aでシステムを

組んでいるのです。いうお話しを伺いました。

 

 



 

 


ALTECは現代スピーカーと比べると音楽の表情が断然に魅力的なんです!表現力がある!
現代のスピーカーは無表情に感じられるのですね。

 


原材料のコバルトの主な産出国だったコンゴ共和国が内乱に突入して供給が途絶えた。

アルニコ磁石から急遽フェライト磁石に切り替わったが「音が良くない」 とみんな一斉に離れた。

ただ古いスピーカーはコーン紙が綺麗でもボケた眠い音のものが非常に多い。

減磁が主な原因だが再着磁は基本的に良くない。

後はネットワーク部品が劣化してる。


よく中古ショップでALTECの大型は眠いボンヤリした音で鳴っているが

減磁とネットワークCの劣化が原因。

 

 

 

 

 


緑色のライト付きのPC用の冷却ファン。6c33cOTLアンプの強制空冷用だが両サイドに

二個付いている。風は両方とも右から左に流れているのが特徴だ。左側は真空管の方では

なく逆を向いている。12Vの電源が刺さっているのはクーラーマスターという商品。

12V〜100Vに変換するスイッチ付きアダプターで制御。PCファンは静音ファンで

動作音は無音。クーラーマスターは日本で一店舗でしか売ってなかったような

ニッチな製品で入手難。現在はAmazonでUSBファンとUSB電源を買えば良いだろう。

ファンは両面テープで止まっているが痕も残らず綺麗に剥がすことが出来る。


 

 

 

 

 

 

 

左のリンゴ・スターの後ろにあるスピーカーは EMI REDD.36 で 右のジョージ・ハリスン

の後ろの銀箱に入っているスピーカーはALTEC 605Aだとのこと。

 

 

 

 

 

 


ALTEC LANSING 405 A オールアルミコーンのユニットミニフロントローディング。

見事なアルティックトーン。これはサブの小型モニター用スピーカーなのだが、

ずっとこれだけ聞いていた時期があるそうだ。WE755 A とかには敵わないとのこと。

何でも聴く人に取ってはスピーカーは最低二セットは必要になる。一種類のスピーカーで

全てのジャンルの音楽が十全に鳴ることはない。その上で音を監視するために

モニタースピーカーが必要。とくにマルチをする人は低音がお化けみたいになったり、

おかしな音にならないようにこうした小型のモニターなどを持っておく必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

金田式電流伝送DCパワーアンプ。通常は電流から電圧に変えているのですが、

そのまま伝送でプリからパワーに流している。余計な回路がないので高音質で濁りがない。

金田式はモガミ2497の内部配線を使っている。色付けが少なくハイファイでクリアー。

300Bとは音がかなり違います。604Eが締まったタイトな音で鳴る。出力は16w。

金田式の半導体アンプはクラシック向けでやや暗めでしっとりした音だと思う。

スピーカーケーブルは全て大栄電線のVVF単線を使っているそうだ。

 

 

 

 

もうひとつ。WEスピーカーはやたら古めかしかったり、厳めしい音で魅惑的な音がする
ALTECと違って正直良くないんですね。みんながWEの盛名の威光でありがたがり、
良い物だと信じ切っている、つまりWE信仰。日本人の右に倣えだとか、
所有欲だとか、やはり骨董品なんですよ。実物は良くない。
古いクラシックの重量盤しか合わない。聴いてみれば分かります。
ただし、WEのアンプ群は本当に素晴らしく最高のものが存在する。
あとはWE755A や ミラフォニックシステムも良い。
 
 
音場感に優れたスピーカーにとって広大な専用部屋の絶大なメリットを改めて
痛感した訪問でした。天井高は傾斜が付けられており場所により異なるが、
最大で4.1m。これ以上の高さは必要ないと思うほどのエアボリュウム。
神戸のYAMAHAの技術者と大工さん泣かせの難しい施工だったとの事。
 
 
今回も大変に勉強になりました_(._.)_ 貴重な体験をありがとうございました。
 
 
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