「 管 球 王 国 宣 言 」 | 禁断のKRELL

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「 管 球 王 国 宣 言 」


静かな真空管アンプのブームがいま、オーディオの世界の底流に深く
確実に流れています・・・・・・真空管の技術はすでに4半世紀も前に
トランジスターによって乗り越えられたと考えていた人たちには
意外な事かも知れません。しかし、真空管の技術は容易に乗り越えられる
ような単純なものではなかったのです。1920年代から1940年代にかけて、
真空管のアンプリファイヤーの技術は洗練の極致に達しました。
これらはすべて映画館や劇場で使われるために作られたもので、
その再生音は映画館や劇場のなかでこそ楽しむことが出来ましたが、
個人が所有したり、自宅に持ち込むことは不可能でした。
これらの機器はメーカーがそのノウハウを護るために、
真空管のひとつひとつから独自に開発して、市場には出さず、
厳重なリース契約で何重にも縛っていたからです。それらはあまりにも
閉ざされていて、そとからそれを伺うものにとっては、
謎に包まれた世界でしたが、これらの機器は、発明からまだ
日が浅いのに、まさに機能美の極致を示していて、その性能も、
『音質』という本質部分において、今日の技術水準をもってしても、
なお越えることを出来ないものを持っていました。そこに構築されて
いたのは、まさに管球の黄金時代であり、幻の管球王国だったのです。
そのことに気づいたのは、アメリカでもドイツでもなく、
わが日本のオーディオファイルでした。謎のヴェールの下に隠されていた
幻の管球王国のノウハウが、約半世紀にわたる多くのオーディオファイルの
努力の結果、次第に明らかになってきたのです。


管球王国Vol.1 冒頭から抜粋。