母ちゃん
あなたは女優ですかぁ
③余震に怯えながら…
自宅を覗いて気が付いたことは

玄関ドアを破壊して家の中に押し寄せて来た津波は、床上浸水のレベルではなく、天井下まで波が来た跡が窓枠の上にクッキリありました…
作り付けの仏壇は、崩壊していました…
『父ちゃんと弟の位牌は、何処に行った

』家の中は、津波の引き潮で流された物と奇跡的に流されずに家の中に残った物がありました。
家の中は、足の踏み場が無い瓦礫の状態で長靴か靴を履いたままで家の中を歩かなければならない状況でした。
『父ちゃんと弟の位牌は、何処に行った

』泥まみれの写真のアルバム、数少ない衣服など…
倒れたタンスがあり、
玄関から仏壇がある位置まで、スムーズに辿り着けない

奥の部屋には漁業で使う採ったワカメ、ウニを入れる『バンジョウ』と縄の切れ端が散乱して…
色んな物を掻き分けて…
半分、壊れた泥まみれの位牌を見つけた瞬間(とき)は、涙が出て止まらなかった…
半分乾いた泥を指先で取り去り持参したビニール袋に父親と弟の位牌を入れて、持ち帰りました。
不思議だと想ったことは、20年以上前に父親が夜釣りで使った懐中電灯とポータブルラジオが海水に濡れずに瓦礫状態の部屋の片隅に落ちていたのを見つけました…
『父ちゃん
』『この懐中電灯とポータブルラジオを避難生活で使え
』と残してくれたの

と空を見上げた。
家の中に押し寄せた大津波が引いて行く強烈な
引き潮に流されないように
弟の手を握り締めて

父ちゃんは片手で

必死に家の中の柱に掴まって引き潮に耐えたのかなあ

だから…
位牌が流されずに

家の中にあったんだね。
ありがとう。
父ちゃん
母ちゃんと俺を
守ってくれて

ありがとう

避難先の2階建ての家の2階の部屋で寒くて震えながら布団をかぶりながら…ポロポロ涙が止まらない夜を過ごしました。
※④へ続きます。