大相撲名古屋場所千秋楽(28日、ドルフィンズアリーナ)2場所連続休場明けの横綱照ノ富士(32)が12勝3敗で並んだ平幕隆の勝(29)との優勝決定戦を寄り切りで制し、3場所ぶり10度目の優勝を果たした。本割では、ただ一人1差で追っていた隆の勝(29)は新関脇大の里(24)を押し出し、結びの一番で照ノ富士が大関琴桜(26)に上手出し投げで敗れた。

支度部屋に戻っても収まらない荒い息が激闘を物語った。死力を尽くした隆の勝の表情には充実感がにじんだ。

「むちゃくちゃ悔しいのですが、横綱と決定戦をできたのは自信になります」

本割で先場所覇者の大の里を力強く押し出すと、結びで照ノ富士が敗れて優勝決定戦が決まった。「ガチガチになることはなかった」という言葉通り、立ち合いからもろ差しになって横綱を後退させた。だが、そこからの反撃に逆転された。

「2本(腕が)入ったところで『いける』と思ってしまい、上体が起きてしまった」と悔やむものの、口調に暗さはなかった。

最高位は関脇ながら、けがもあってここ2年は前頭の中位から下位に停滞している。

「上を目指していかないといけない。三役に戻りたい」。奇跡の逆転劇は起こせなかったが、強い決意が心に芽生えた。