パリオリンピックは27日、開会式が行われ、シンガー・ソングライターのアヤ・ナカムラさん(29)が登場した。日本人を連想させる名前だが、実は日本に縁もゆかりもない。西アフリカのマリで生まれ、パリ郊外で育ったフランスで最も人気のあるポップスターの一人だ。世界的ヒット曲「Djadja(ジャジャ)」の再生回数はYouTubeで9・7億回を超えている。

 本名は、「アヤ・ダニオコ」という。「アヤ」はマリで一般的な名前だといい、2019年に読売新聞の取材に応じた際、「日本でもよくある名前とは知らなかった」と答えている。「ナカムラ」は、大好きだったというアメリカのテレビドラマ「HEROES」で、日本人俳優マシ・オカが演じた超能力者「ヒロ・ナカムラ」にちなんでいる。

 楽曲には、R&Bやアフロビートの要素を取り入れており、自身の名を冠したアルバム「ナカムラ」はフランス語曲のなかで最もストリーミングされた記録を持つ。日本ではあまり知られていないかもしれないが、今後、注目が高まりそうだ。ちなみに、2019年の取材では「チャンスがあれば、日本でもコンサートをしたい」と話している。

 セーヌ河岸では、大雨にもかかわらず、アヤ・ナカムラのヒット曲「ジャジャ」にフランス人の観客が次々と踊り出した。曲が終わると、大きな拍手が沸き起こった。