「オリックス3−5ヤクルト」(14日、京セラドーム大阪)

 ヤクルトの奥川恭伸投手が、実に980日ぶりの復活勝利。808日ぶりの1軍先発で5回7安打無失点、無四死球でうれしい今季1勝目を挙げた。

 初回に1点の援護をもらうも、奥川の表情は硬いままだった。1週間前から眠れず、「ストライク入るかな」と不安ばかりが押し寄せた。808日ぶりに見る1軍の景色。最初のアウトを右翼・丸山和の好捕で奪うと、安堵(あんど)した表情を見せた。

 その後も味方のミスや痛打される場面も多かったが、要所は締めた。3回までいずれも得点圏に走者を背負うが、無失点で切り抜けた。それでも四回だ。1死から杉本に、真ん中へ甘く入った直球を完璧に捉えられて今季初被弾。1点こそ失ったが、五回にはこの日初めて三者凡退に抑えて、6回からは中継ぎ陣にバトンを託した。

 飛躍となった21年は9勝を挙げるなど、リーグ優勝&日本一に貢献。だが、ホーム開幕戦を任された22年には右肘痛で4回に緊急降板した。そこから始まった長く苦しい空白の2年間。何度も大きな壁が立ちはだかったが、その都度立ち上がり、乗り越えてきた。21年10月8日の阪神戦以来、実に980日ぶりの勝利に笑顔がはじけた。