◆ラグビー ▽リーグワン・プレーオフ準決勝 埼玉 20― 17横浜(18日、秩父宮ラグビー場)

 埼玉(旧パナソニック)が横浜(旧キヤノン)を20―17で下し、リーグワンで3季連続の決勝進出。初ファイナルを狙う相手を接戦で退け、2季ぶり優勝に王手をかけた。途中出場したフッカー堀江翔太は「なんとか勝てた。普段ミスをしない所でのミスが多く、決勝じゃなくてよかった」と、勝利にも気を引き締め直した。

 前身のトップリーグ時代から16連勝中の横浜に対し、前半は13―3とリード。ただ後半は4分、13分と連続トライを許し、一時13―17と逆転された。後半6分から出た堀江は、グラウンドで起きているチームの状況を冷静に分析。「コミュニケーションが少なかったので。全く必要のない、プレーとは関係のないトークも多めにした」と明かした。

 この日、都内は気温28度と厳しい暑さ。秩父宮でも、足がけいれんする選手が続出した。その中で「暑いし、『なんとか自分でせなあかん』という所で1人になっちゃうんで。しゃべらせるようにするのが、すごく大切。無駄なしゃべりを多くした」と堀江。例えば後半32分。自陣でボールを持った堀江は左サイドに蹴り、そのボールをCTBデアレンデが追った。「蹴った時、ドゥーグス(デアレンデの愛称)を呼び止めて『ゴメンね』と。『蹴ったけど、ゴメンね』と」。更に「スクラムがうまくいってても『スクラムどう?』と話したりとか、ジャック(コーネルセン)に『次のサイン、何がいい?』とか。会話をすればするほど、落ち着いてくるので」。負ければ終わりの一発勝負でも、“ラスボス”は冷静。自らの役割を全うし、チームに落ち着きを取り戻した。

 フッカー坂手淳史主将によれば、この日のテーマは「『ブルー』と言い続けること」。試合を優位に進めている展開を「ブルー」と表現すると言う埼玉は、この声をかけ合うことで、厳しい時間帯も課題を1人ではなく全員で解決するよう努めていたという。逆転された時間帯も「堀江さんを中心に、『ブルー』という声が聞こえていた」と坂手。粘り勝ちしたチームメートに「いいコミュニケーションだった」とうなずいた。

 後半19分に再逆転した埼玉。3点リードの終了間際には、相手の12次攻撃に耐え、最後はスクラムで反則を奪って試合を決めた。反則を誘った直後には、鬼気迫る表情でシャウトした堀江。今季限りでの引退を表明しているシーズン、有終の美へあと1勝とした。「POということで気合いが入り過ぎている部分もあったので。メンタルを上げすぎず、下げすぎずというのは言いながらやっていきたい」。現役最後の1週間、これまで通り準備をしていく。