「ボクシング・WBA世界バンタム級タイトルマッチ」(6日、東京ドーム)

 王者井上拓真(28)=大橋=が同級1位の挑戦者、石田匠(32)=井岡=を判定3−0で下し、2度目の防衛に成功した。井上の通算成績は20勝(5KO)1敗となった。

 1回に石田の左のジャブがカウンター気味に井上の顎にヒットし、王者が膝をつく形でまさかのダウン。時間を掛けて立ち上がったが、会場は騒然となった。2回は落ち着いて攻めを組み立てて、ペースを取り戻し、石田にダメージを与えていった。9回には石田が腕が絡んだ状態からふりほどいた時に、井上が尻もちをつく場面も。井上は石田が押したと主張し、不服そうな表情を浮かべた。終盤は激しい打ち合いとなったが、1回以降は完全に井上がほぼ主導権を握り続け、ダウンを挽回し、勝ちきった。

 試合後のインタビューでは「想像以上の石田選手のジャブのやりずらさで苦戦した。今日は勝てた、それだけがただの収穫。こんな内容では統一戦とは言ってられない。課題をクリアしてもっと強いチャンピオンになりたい」と、語った。

 WBC王者に中谷潤人、IBF王者に西田凌佑と世界主要4団体中3団体が日本人王者、そしてこの試合の直後には武居由樹がWBO王座に挑むという同階級の状況の中、存在感を示し、メーンでネリ戦に挑む兄の尚弥に繋げたかったが、しっかり役目を果たした。



 ◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年12月26日、神奈川県座間市出身。アマチュア戦績57戦52勝(14KO)5敗。2013年12月にプロデビュー。15年に東洋太平洋スーパーフライ級王座、18年にWBC暫定世界バンタム級王座、21年にWBOアジアパシフィック王座、22年に日本スーパーバンタム級王座、23年にWBA世界バンタム級王座を獲得。身長164センチ。右ボクサーファイター。