米大リーグのジャイアンツを退団してフリーエージェント(FA)となり、日本球界復帰を決めていた筒香嘉智外野手(32)が古巣・DeNAへの復帰を決断したことが14日、球界関係者の話で分かった。DeNAは複数年契約を提示しており、大筋で合意したもよう。今後は条件面で細部を詰め、正式契約に至る見通し。「ハマの大砲」が5年ぶりに戻ってくる。

筒香が決断を下した。球界関係者によると、DeNAへ5年ぶりに復帰するという。他球団からも獲得オファーを受けていたが、2019年まで10年間プレーしたチームと横浜ファンへの愛着が決め手になったもよう。古巣から熱意と誠意のあるオファーが届き、心に響いたという。

筒香は今春、ジャイアンツのキャンプにマイナー契約の招待選手で参加したが、マイナーキャンプ降格をへて3月21日に退団。出場機会を求めて、日本球界への復帰を決めていた。DeNA・三浦監督は9日、「球団からも交渉しているというのは聞いていますし、祈るしかない」と復帰を熱望。萩原チーム統括本部長も先月22日に「われわれが彼を送り出す際、三原一晃元球団代表から『日本でプレーすることになったらベイスターズに戻ってきてほしい』と伝えており、その気持ちは今に至るまで変わっておりません」とコメントしていた。

一方、メジャー通算178本塁打の新外国人オドーアがシーズン開幕直前に退団した巨人も、同じ左の大砲として筒香獲得に向けた調査に乗り出していた。阿部監督自ら「実績十分だし、人間性も素晴らしい」とラブコールを送るなど、パ・リーグ球団を含めた争奪戦に発展。しかし、筒香がつけていた背番号25を空けたままにし、レジェンドの復帰に向けて最大限の敬意を払って交渉に臨んでいたDeNAに軍配が上がった。既に複数年契約を提示しており、今後は代理人事務所ワッサーマンのジョエル・ウルフ氏(53)が条件面の細部を詰め、正式契約に至る見通しだ。

DeNAは14日時点で7勝7敗でセ・リーグ3位。チームの本塁打はわずか3本にとどまっている。一塁にオースティン、左翼に佐野の布陣で開幕を迎えたものの、2番を打つオースティンが10日の中日戦の走塁中に負傷し、右太もも裏肉離れで出場選手登録を抹消された。現在は佐野が一塁に回り、筒香がDeNA時代に主に守っていた左翼は流動的になっている。1998年以来26年ぶりのリーグ優勝と日本一を果たすため、本塁打増と左翼手の補強が急務な状況だ。

かつて主将を務めていた筒香の加入は球団もファンも待望し、フィールド内外での効果も期待される。筒香は帰国しており、自主トレーニングに励んでいる。契約が整い次第、再びブルーのユニホームに袖を通す。

■筒香 嘉智(つつごう・よしとも) 1991(平成3)年11月26日生まれ、32歳。和歌山県出身。横浜高2年春から2季連続で甲子園出場。2010年ドラフト1位で横浜(現DeNA)入団。16年に44本塁打、110打点で2冠に輝き、球団初のクライマックスシリーズ進出に貢献。20年にポスティングシステムで米大リーグ、レイズに移籍。21年途中からドジャースやパイレーツでもプレー。ブルージェイズ傘下を経て、昨季はレンジャーズとマイナー契約。6月に退団し、米独立リーグのスタテンアイランドに加入。ジャイアンツとマイナー契約を結び、オフに再契約した。185センチ、102キロ。右投げ左打ち。既婚。