◆オリックス1―3ソフトバンク(29日、京セラドーム大阪)

 開幕投手が7回途中まで1失点で踏ん張り、中継ぎ陣が無失点リレーで応えた。打線も同点の七回に新4番が一振りで試合を決めた。まさに理想的な勝ち方だった。

 そんなチームを率いるのが「ミスターホークス」として多くのファンに愛された小久保新監督だ。4年ぶりのペナント奪取、チーム再建と課されたミッションは重大だが、挑む山が険しいほど心を燃やす人物でもある。

 この日の試合前、選手、スタッフらを集め、訓示した。「俺のプロという考えは目の前の仕事に対して情熱を燃やし、誇りとプライドをかけて自分の仕事をやり抜くことと、代えの利かない人材になることだ」。プロフェッショナルの在り方を、熱く説いた。

 一方で冷静さも併せ持つ。開幕直前、修験道1300年の歴史で2人目の大峯千日回峰行の満行者で親交がある塩沼亮潤大阿闍梨(だいあじゃり)からメッセージが届いた。そこに「因果律」と書かれてあった。「すべての行動には、それに応じた結果が生じる」などの意味を持つ。

 指揮官はその言葉を真摯(しんし)に受け止め、開幕前夜、ホテル自室で手帳に記した。「自分のやったことははね返ってくる。人を軽んじず、さげすまず。感謝と反省を日々怠らず。それを肝に銘じ、シーズンを送る」。心は熱く、頭は冷静に。その積み重ねで頂点を狙う。