大相撲宮城野部屋の所属力士が28日、匿名を条件に取材に応じた。

 日本相撲協会は、元幕内北青鵬の暴力問題が起きた宮城野部屋を、4月から伊勢ヶ浜部屋が預かることを発表。この日、春場所を終えた力士約10人が、都内の同部屋に戻った。宮城野親方(元横綱白鵬)は、部屋に姿を見せなかった。

 取材に力士は「宮城野部屋の金看板が寂しくて、泣いている」と無念の表情を浮かべた。伊勢ヶ浜部屋への転籍については「昨日の段階で概要がわかったから、みんな対面で集まって(宮城野)親方から発表された。正式な報告は今日」と説明した。

 同力士は「受け入れてくれた伊勢ヶ浜部屋には感謝している。だけど、やっぱり厳しいなとは思う。言いたいことはいっぱいあるけど、協会で決まったことだから受け入れて、みんなで同じ方向を向いていくのが一番の近道だと思う」と複雑な心境を明かした。

 宮城野親方は、北青鵬が後輩力士に複数回にわたって暴行していた事実を知りながら、協会への報告を怠った。だが、「みんな例外なく、親方のことは尊敬しているし大好き。(親方に)憧れてみんな入門しているから。慕っていなかったらこんなに弟子はいないし、いい部屋だと思う」と師匠への変わらぬ思いを語った。

 春場所の番付で、伊勢ヶ浜部屋には横綱照ノ富士や新入幕優勝の尊富士ら20人が所属。宮城野部屋にも、十両伯桜鵬ら20人の力士が在籍している。大所帯となる新たな生活へ「こちらも向こうも、不安でいっぱいだと思う。受け入れる側には本当に感謝している。お互いに迷惑かけないように、共存しながらやっていくのが一番だと思う」と話すしかなかった。