大相撲春場所千秋楽(24日、エディオンアリーナ大阪)新入幕の尊富士(24)が13勝2敗で初優勝を果たした。初土俵から所要10場所の制覇は最速。現行の優勝制度が確立した明治42年夏場所以降では、大正3年夏場所の両国以来110年ぶりの新入幕優勝となった。14日目に負った右足のけがを押して出場し、豪ノ山(25)を押し倒し殊勲賞、敢闘賞、技能賞の三賞を全て受賞した。

NHKでテレビ解説を務めた師匠の伊勢ケ浜親方(63)=元横綱旭富士=は尊富士から出場を直訴されたことを明かした上で、「しばらく考えたんですけどね。この一番というのはね、歴史的にもね、関係のある一番だし、止められないでしょう。これを止めたら後悔しますよ。止める方も後悔するし止められた方も後悔しますから。ここはちょっとぐっとね。自分自身が我慢して『じゃあやれば』という感じで」と明かした。

元NHKアナウンサーの藤井康生氏(67)は25日、X(旧ツイッター)を更新。「『歴史的な一番、止めるほうも後悔するし止められたほうも後悔する』…伊勢ヶ濱親方のこれまた歴史的な名言ですね」と感心していた。

■伊勢ケ浜 正也(いせがはま・せいや) 本名・杉野森正也。元横綱旭富士。昭和35(1960)年7月6日生まれ。青森県出身。近大を中退し、56年初場所初土俵。平成2年秋場所で横綱昇進。幕内優勝4度。4年初場所を最後に引退。5年4月に年寄「安治川」を襲名して部屋を継承。19年11月に「伊勢ケ浜」へ名跡変更。元横綱日馬富士や元関脇安美錦らを育てた。