ドジャース・大谷翔平投手(29)の前専属通訳・水原一平氏(39)の違法賭博疑惑が波紋を広げている。すでに解雇されている同氏を巡っては、米連邦捜査局(FBI)が捜査を進めている南カリフォルニアの違法ブックメーカーに対して多額の借金を作り、大谷の個人口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)の電子送金が行われていたことが判明。IRS(内国歳入庁)も捜査に動き出している。しかし、ここにきて米メディアの間からは大谷の「無頓着ぶり」にも批判や疑念が集中し始めているという。

 いまだ真相は闇の中だ。「ニューヨーク・ポスト」紙の敏腕記者として知られるジョン・ヘイマン氏は、一連の騒動で渦中にいる水原氏と大谷に関し「オオタニ陣営は彼が球界のレジェンドであり、金銭感覚の鈍い人間だと信じさせたがっている」と題した記事を配信。「オオタニは被害者であったとされている。しかし、我々はこの物語の初回にいる」とつづり、事の真相が見えていないことを強調している。

 その上で「オオタニ陣営のストーリーは、長年の通訳である元友人が何年もオオタニをダマしてきた素晴らしい〝俳優〟であり、オオタニがだまされやすくナイーブで、さらに親友の趣味が本当にひどいというものだ」とし「それは正しい話かもしれない」と推察。続けて「オオタニが1日20時間も一緒に過ごしていたとされる男のことを何も知らないというのは、少々信じがたい。だが、オオタニの周囲の人々は彼は天才的な野球選手である半面で(金銭を含む)フィールド外の事については全くの『無頓着』だと信じている」と痛烈な皮肉を込め、自身の見解を展開している。

 2013〜17年の日本ハム時代から大谷を知る球界関係者やファンならば、本人の金銭に関する「無頓着ぶり」はエピソードも踏まえ、人柄を示す共通認識となっている。日本ハムでの在籍5年間は当時監督の恩師・栗山英樹氏から「外出許可制」を課されていた。球場と寮の往復以外、個人的な用事で外出する際は同監督の許可が必ず必要だったこともあり、ほぼ寮にこもって練習に没頭。酒を飲みに行くわけでもなく、日本ハム時代は運転免許を取得していなかったため、移動はタクシーか同僚選手の助手席に座るのがもっぱらだった。

 この頃は大谷自身が「物欲がない。大きな買い物は表彰式やイベントで着るスーツを買うぐらい」と語っていたほど。億単位の年俸を稼ぐようになって以降も派手な事を好まず、野球を中心とした生活の中で質素倹約がルーティンになっていた。

 23歳でメジャー挑戦を決断した17年オフも、MLBの労使協定によりインターナショナル・ボーナスプールの対象選手となっていた大谷は、マイナー契約しか締結できない状況下にもかかわらず海を渡った。25歳まで待てば総額2億ドル(約302億7000万円)以上の大型契約も期待できる中、わずか数億円の契約金で「MLB挑戦の道」を選択。そんな大谷に栗山氏も「おカネへの執着がないところが翔平らしい」と語っていたものだ。

 しかし、MLB7年目を迎えたタイミングで、水原氏を巡る疑惑が発覚。前出のヘイマン氏のように米国内の見方は明らかに一変しており「オオタニの金銭への無頓着ぶり」がクローズアップされつつある。

 ミリオンダラーマンが集まるMLBの頂点に立つプレーヤー・大谷が仮に一介の通訳に自身の銀行口座の一部へアクセスできる〝隙〟を与えていたとしたら…。米国内では「それこそが〝通訳のお面〟をかぶった『泥棒』につけ込まれるボーンヘッドだった」(米メディア関係者)と厳しく糾弾されているのが、今の大谷の現状なのだ。